コメントより
「ブラジルは近年本当に不調ですね、パリ五輪の切符も逃し、Ｕ−２０も2017年と2019年のワールドカップ出場を連続して逃し、南米予選では史上初の3連敗、強豪国とそうでない国の差はボールを持つ事の差なんですね」


近年、世界のサッカーは、より戦術的になり、スピーディーなサッカーとなっている。

現在、世界のサッカーは、ヨーロッパのフィジカル的、戦術的なサッカーがトレンドになっている。

フィジカル的、戦術的ということは、まるでロボットやテレビゲームのように、みんなが走り、みんなでボールを運び、チームを動かしてサッカーをやるようなもの。

この場面では、ボールはこのように動かす、人はこのように動くなど、そこには、個々のボールを持てる技術、強いてはボール持ち方などは、完全に無視されている。

だから、ボールの置き場所がどうとか、ボールの持ち方がどうとか、それが良くても悪くても、戦術的にパスしなければならないとなると、利き足も両足も関係なく、ボールを動かし、人も動くというサッカー。

現在のサッカーのつまらないところは、そういう部分でもあり、例えば、個々がボールを持ったときに、何かが起きそうなワクワク感がなくなってきた。


ブラジルが今、良くない原因の一つに、世界的な流れのサッカーに飲み込まれつつあるから。

ブラジルにはサッカーの技術書がない理由は、彼らのDNAには、個々が「ボールを持てる」ことがある。

ボールを持てる技術には、当然、利き足のポイントの技術があり、ブラジル人は子どもの頃からボールを持てることが一番重要とわかっているから、自然に利き足中心からボールの置き場所、ボールの持ち方が良くなり、それが良い選手がプロに繋がっていく。

しかし、近年の情報社会の進化により、ヨーロッパにおける「両足を使うボールコントロールメニュー」などがブラジルでも広まっている。

さらに、サッカースクールの増加に伴い、そのような両足メニューにより、ボールの持ち方が悪くなっている。

そもそも技術書がない、技術論がないというブラジルサッカー界で指導する場合、ヨーロッパなどのメニューの真似事になることがたくさんある。

今でも、ブラジルのサッカー選手のボールテクニックは世界一だろう。

ちなみに世界でプレーする外国人ではブラジル選手が一番多い。

それが意味することは、どんな国に行っても対応できる技術があるということ。

それは、両足論、利き足論ではなく、ボールコントロール技術が世界基準以上だから。

だから、日本の選手も海外のトップリーグに行ける選手は、ボールコントロール技術は世界基準に達している。

そもそも、ボールコントロール技術が世界レベルであれば、どの国に行っても、対応できる。

しかし、さらに突き詰めた技術に関しては、ボールコントロールは当たり前で、ボールの置き場所、ボールの持ち方は、必ず関係する。

ボールコントロールレベルが高いと、ボールテクニックだけでプレー出来てしまうので、ボールの置き場所もボールの持ち方もアバウトであってもプレー出来てしまう。

サッカーは対相手のスポーツのため、相手が格下であれば、利き足、両足、フェイント、なんでもありだから。

よりレベルの高いプレッシャーの中では、ボールコントロールだけではなく、ボールの置き場所、ボールの持ち方は、より重要になるのは当たり前。

しかし、それよりも、戦術的、フィジカル的、スピードが求められると、そのレベルのボールコントロール技術だけで対応できる。

早くからヨーロッパに渡ったブラジル選手たちは、そういうサッカーに慣れてしまい、個々がボールを持てるという真の技術が失われている。

だから、国際試合になると、例えば、ヴィニシウスが二人にマークされてしまうとパフォーマンスが落ちるように、本来なら、そこでボールの置き場所やボールの持ち方が良ければ、技術を発揮できるのに、それが全く出来なくなっている。

わかりやすいのは、例えば、ブラジルが強い時には、サイドバックがボールを持てていた。

しかし、今のブラジルにはそういう選手はいなくなっている。

サイドバックからボールを持ち、ゲームをコントロールし、自分たちがボールを支配するのがブラジルサッカーであった。

今は、ブラジル選手全員のボールの持ち方に違和感がある。

結局は、現在、世界一ボールを持てる技術があるのはメッシであり、改めて、利き足のボールの置き場所、利き足のボールの持ち方を正しく学ぶしかない。