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最近の外食産業で既存店前年比が一番伸びているのがKFCです。
その理由は「KFCの女性仕掛人」です。東洋経済の記事を少し長いですが紹介します。

客数が前年比20%以上と異例の急増
実際に店舗を訪れる顧客の数も、急増している。2018年7月から2019年6月までの12カ月間のうち、11カ月で既存店の客数が前年同月比で増加。今年6月にいたっては客数が24.4%も増えた。外食企業で、既存店の客数が前年比20%以上増えるのはかなり異例のことだ。いったい何が起きているのか。
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急回復の裏に、昨年4月に入社した1人の女性がいた。中嶋祐子マーケティング部長だ。国内の広告代理店を経て、入社した。2018年3月期に日本KFCホールディングスの業績が急激に悪化したことを受け、中嶋氏が日本KFCホールディングスに入社し、内部から直接立て直すことを託された。

日本のKFCといえば、収益の大部分をクリスマスに稼ぐことで知られる。店舗売り上げが通常時の6〜7倍に拡大するクリスマスキャンペーンは最大の商戦期。2018年は12月21〜25日の店頭売上高が、過去最高の69億円を記録した。

日本ほどクリスマスに集中する国はない
一方で、クリスマス以外の時期の売り上げを伸ばすことが、長年の課題だった。顧客調査を行うと、「年に1回利用する」と答えた人が約4割、年に2回が約2割で、合わせて6割にも上った。
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世界中のKFCを見渡しても、日本ほどクリスマスに売り上げが集中する国はない。
ところが中嶋氏は、強いところをさらに伸ばすより「弱いところこそビジネスチャンス」と考え、日常的に利用してもらう戦略へ舵を切る。

価格面での訴求を控えてきた結果、顧客には「ケンタッキー=高い」というイメージができあがっていた。調査を行っても、「ケンタッキーはおいしいけど高い」、「特別なときに食べるもの」という声が上がった。中嶋氏は、ここに切り込んでいく。
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オリジナルチキン1ピースに、カーネリングポテト(S)、ビスケット、ドリンク(S)。
それぞれ単品で注文すると合計920円(税込み、以下同)のところを、昨年7月23日〜9月5日のランチタイム(10〜16時)限定で、500円のセットで販売することに踏み切った。

効果は抜群だった。それまで前年割れが9カ月続いていた既存店の客数が、明らかに戻ってきた。7月は4.8%増、8月は9.0%増と、勢いを持って戻ってきた。
500円ランチの効果は大きい。もう1品の「ついで買い」や、夜に来店するリピート客もつかんだ。その結果、「500円」という低価格を武器にしつつ、客単価も2%以上向上した。
そのほかの月にも、水曜日限定で「9ピース(ニワトリ1羽分)1500円」、「ケンタッキーの全部盛り」など割安感を出したセットを投入し続けた。
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広告戦略を変えざるをえなかった事情
中嶋氏が切り込んだのは商品の見せ方だけではない。テレビCMなど広告の打ち方も一変させた。というより、変えざるをえなかった。

それまでは期間限定商品で来店を促す「一層戦略」だったこともあり、新商品を発売するタイミングで大量の広告を打っていた。しかし二層にしたことで、限られた予算で両方の魅力をアピールする必要が生じた。そこで中嶋氏がとったのは、1つひとつのキャンペーンの販売期間を長く取る戦略だ。

消費者にとって外食の選択肢が増える中、販売期間を長めに設定することで、売り上げの機会ロスを減らした。別のファストフードチェーンの幹部は「ケンタッキーのCMを見る機会が本当に増えた」と警戒する。広告にかける予算を増やしていないのに、だ。
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従来はテレビCM一辺倒だったが、現在はTwitterや、TikTok、YouTubeといったデジタルメディアにも広告を出す。当然、マスメディアよりも少ない費用で広告を打てるうえ、弱かった若年層へのアプローチもできる。あらゆるメディアに登場することで、どこかでケンタッキーを思い出してもらうことにつながった。

また従来型のテレビCMに関しても、「高畑充希さんを起用したのが非常にハマっている」と競合の外食チェーンからうらやむ声は多い。「今日、ケンタッキーにしない?」の奇をてらわないキャッチフレーズとともに、消費者に好印象を与えたようだ。