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伊集院静さんが「くも膜下出血」で倒れてから心配していましたが、再起され日経に連載を書き始めました。
大好きな作家でしたので、安心しました。これからも、小説、エッセイを無理をされないように発表していただきたいと思います。

以前読んだ「誰かを幸せにするために」大人の流儀シリーズで、松井秀喜さんとのエピソードがいい話でしたので紹介します。伊集院さん「大人の流儀」のエッセイは知的でいいですね。

「誰かのために生きる」
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現在、松井秀喜はヤンキースのマイナーのコーチをしている。
ヤンキース配下のマイナーの選手だけでチームは100億円以上の契約をしている。
「伊集院さん、ヤンキースでマイナーではメジャーに昇格できなくても他のチームに移籍させれば十分メジャーで活躍できる可能性のある選手が何人もいるんです。彼らの将来のためにもきちんと指導をしないといけないんです」

彼はGM補佐という肩書で、マイナーの指導をして5年が過ぎている。
その間、松井に指導を受けた3人の野手がメジャーに昇格し、1人は去年の新人王とホームランキングとなった。松井のコーチングはチームから絶大な信頼を得ている。
将来、ヤンキースの監督もあり得るのか?
そこは私にもわからないが、それもひとつの道であろうが、日本のプロ野球の指導者になることも意義のある人生だろう。

かつて、私は松井さんの半生を取材し、それをアメリカで出版したことがあった。
取材で得たものにはいくつもの輝くものがあったが、私が印象に残ったもののひとつに中学野球部の高峰コーチの思い出がある。

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「中学3年の最後の試合が夏に終わって、僕が部屋に置いてあった野球道具を取りに来たんです。夏休みで、チームも数日練習が休みになるんです。部屋を出ようとすると、誰もいないグラウンドにぽつんと人影が見えたんです。あれっ、誰だ?何をしているんだ?とよくよく見ると、コーチが一人でグラウンド整備をしているんです。炎天下で一人っきりです。
そうかコーチは毎年、こうしてたんだ。と思うと黙ってお辞儀をして帰りました」

コーチいわく、「何でもないことです。グラウンドを整備しながら、新チームをどんなチームにしたいかとか思うんです。それに石ころひとつで選手に怪我をさせたくありませんから」

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世の中には、目に映らない場所で、誰かが誰かのためにひたむきに何かをしているものだ。
目を少し大きく見開けば、そんなことであふれている。今は目に見えずとも、のちにそれを知り、感謝すこともあるのだろう。

己の幸せだけのために生きるのは卑しいと私は思う。
己以外の誰か、何かをゆたかにしたいと願うのが大人の生き方ではないか。