
ワンダーテーブルのバルバッコア青山店(シュラスコ料理専門店)の鈴木支配人を取材して、原稿を書き上げましたので少し紹介します。
心からの「ありがとう」に満ちた店
バルバッコア 青山本店 鈴木 亮次 支配人(48歳)
バルバッコア青山本店は、株式会社ワンダーテーブル(河野博明代表)が経営するシュラスコ料理専門店である。ワンダーテーブルのビジョン(目的)は、「豊かな食卓を広げ、大切な人との絆を深めてもらう。」だ。

ちなみに、河野社長には15年前この実力店長シリーズに、ロウリーズ梅田店総支配人として登場いただいている。現在は飲食店137店舗を展開するワンダーテーブルの代表取締役社長である。
バルバッコアは現在9店舗。今月は青山本店の鈴木亮次支配人にお話を伺った。同店の年商は6億円。鈴木支配人が4年前に赴任して以降、売上向上への貢献が評価され、ワンダーテーブルのベスト支配人賞を受賞している。
プロポーズ1年後の感動
予約のお客様が7割以上のバルバッコア青山本店では、予約時に目的を伺っている。誕生日や記念日、プロポーズなどが多い。

ある時、プロポーズ予定の30代男性から予約が入った。どの席がいいか、どんなプレートにするかなどを考えて準備するのだが、プロポーズが成功するかどうかはわからないため、様々な状況に配慮した準備が必要だ。そのお客様は食事を終えた後に指輪を出してプロポーズし、見事成功。速やかに「プロポーズおめでとうございます」のプレートをお出しし、とても喜んでいただいた。
1年後、そのカップルが予約なしで来店した。プロポーズ記念のお祝いらしい。鈴木支配人はもちろんそのカップルのことを覚えていたが、気づいた素振りは見せず普通にお迎えした。

そして最後のデザートの際に「ハッピーアニバーサリー」のプレートを提供し、「ご結婚1周年おめでとうございます」と満面の笑顔でお祝いの意を伝えた。予約もしていないのに自分たちのことを覚えていてくれたのだと、そのカップルは感動で胸がいっぱいの様子だったという。
感動のホスピタリティの瞬間である。飲食業は人を幸せにするビジネスなのだ。
「飲食への道へ導いてくれた人」

鈴木支配人の主任時代に、20代後半のアルバイトが入店した。飲食店で働いた経験があって自分なりの考え方を持っていたのか、鈴木主任と意見が食い違うことも多く、反発されることもあったそうだ。
だがさほど飲食業が好きでもなさそうで、将来的にもこの業界で頑張っていこうという気概は全く感じられなかった。その後、鈴木主任は別の店に移動し、そのスタッフを指導する立場ではなくなった。
ところがそのスタッフは、やがて飲食業に真剣に臨むようになり、別の飲食企業に入社して、今では店長となっている。鈴木支配人とそのスタッフはそれからも度々会っているとのこと。
ある時その人から、「最初はいろいろ意見の食い違いがありましたが、鈴木さんと一緒に働き、学び、飲食店の素晴らしさを教えていただいたことで、この業界でやっていこうという気持ちになりました。店長になれたのは鈴木さんのおかげだと感謝しています」という、嬉しい言葉をもらった。
飲食業はまた、人を育てるビジネスでもある。