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日本講演新聞に株式会社ティアの冨安徳久社長の「葬儀で伝える愛と感動」の講演録が掲載されていましたので紹介します。

私が創業した葬儀社「ティア」は、「愛ある経営」という言葉を掲げています。「命と真摯に向き合い、残された人々に生きる勇気を与える」が私たちの使命です。

「ティア」は現在、スタッフ約900名、600社以上の協力企業を抱える規模に成長しました。直営、フランチャイズ、グループを合わせると205店(2025年2月現在)です。

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私たちの葬儀は「感動葬儀」として注目を浴び、TV番組でも取り上げられました。葬儀の請負件数は、年間2万4000件(直営、フランチャイズ、グループ合計)を超えています。

私どもの会社でとりわけ力を入れているのが社員教育です。
その根幹に据えているのが「働くことの本質は与えること」という考え方です。
社員には常に、「自分の仕事が誰にどんな喜びや安心を与えているのか」を考えてもらっています。

あるご家族の葬儀でのことです。お父様を亡くされたご遺族と打ち合わせをしていた際、奥様が「あの人は生前、うなぎが好きだった。もう一度食べさせてあげたかった」と、とても残念そうにお話をされました。

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それを聞いた担当社員は、「お別れの際に、お父様に好きだったうなぎを持たせてさしあげよう」と思い、すぐに近くのうなぎ屋を調べ始めました。
しかし、まだ朝早い時間だったので営業している店は見つからず、開店前のお店に電話をしてとにかく事情を話しました。

「今日お見送りをする方が、生前とてもうなぎをお好きで、ご遺族が最後に食べさせてあげたかったそうなんです。何とか用意していただけませんか?」
すると、そのお店の店主は快く引き受けてくださり、特別に焼き立てを準備してくださいました。

「お父様、お好きだったんですよね」と言いながらお渡しすると、奥様は驚き、涙をあふれさせながら「本当に用意してくださるなんて……」と声を詰まらせました。

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そして、「おかげさまで温かい葬儀ができました。ありがとうございます」と何度も感謝の言葉をくださいました。

「私たちの仕事は単なる『儀式』ではなく、『生きる勇気を与える仕事』であることを実感させられた瞬間でした」と、社員は話してくれました。

葬儀社として向き合うのは、悲しみの中にいるお客様です。
大切な人を亡くし、「生きていくのがつらい」と感じている方も多いです。
ですが、残された人々には、生きていかなければならない未来があります。

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その未来に一歩を踏み出すために、「死」を受け入れ、亡くなった方と向き合う時間が必要であり、「きちんとしたお別れの場」を提供する必要があるのです。

「死を明らめる」という言葉を私たちは大切にしています。
「諦める」という言葉の語源は、「明らめる」からきていることをご存じでしょうか?

亡くなった方の死を明確にし、しっかりと受け止める。それが「諦める」です。残された人が生きていく一歩を踏み出すためにはとても大切なプロセスであることを私たちはいつも噛みしめています。

それはつまり、「私たちは元気に生きていくので、天国から見守っていてくださいね」と、ちゃんと最期のお別れをするということです。
その瞬間を支えるのが私たちの仕事であり、「生きる勇気」を与える仕事の本質だと私たちは考えています。