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日本講演新聞の社説に「幸せは、笑顔の後からそっとついてくる」が掲載されていましたので紹介します。小さな簡単な目標でいいんですね!!

人はなぜ何かをやり始める時に、往々にして腰が重くなるのだろうか。
子どもの頃、夏休みの宿題がまさにそれだった。 机の前に座っても、周りの片付けを始め、宿題は始めない。気付けばお盆も過ぎ、ツクツクボウシが鳴き始め、友人と手分けして宿題をやった経験がある人は多いだろう。

私は大人になってもその習性は変わらない。休日に「今日はジムに行こう」と決意しても、「今日は疲れているから」「ドラゴンズ戦があるから」などと、心の中の言い訳係が雄弁になる。だが、一歩踏み出してしまえば心境は驚くほど変わる。ジムに着いた時には別人のように全身がやる気モードになっている。

やる気は始める前からあるのではなく、「やり始めた後に静かに小走りで追いかけてくるものなのだ」と私はいつも実感する。
スティーブン・ガイズ著『小さな習慣』(ダイヤモンド社)には、人がすべきことをつい避けたがる習性に対してユニークな処方箋が示されている。

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「笑ってしまうくらい簡単な目標を立て、それをほんのわずかな意志で実行することが大切だ」という。
例えば、「腕立て伏せを1回」「本を2ページ読む」といった、とても小さな目標を立てる。一見、冗談のような小さい目標だが、実際にやってみるとその効果に驚かされる。

ダイエット中にポテトチップスの袋を目にした時、こんな悪魔の囁きを聞いたことはないだろうか。
「1枚だけなら問題ないよ」
だが、結局止まらずに一袋全部食べてしまう。「小さな習慣」は、その逆を狙うのだ。
「ポテトチップス1枚だけ」ならぬ、「とりあえず腕立て伏せ1回」「とりあえず本を2ページ」

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やり始めると、なぜか止まらなくなる。悪魔ではなく天使が、「もう少し続けてもいいんじゃない?」と囁いてくれるのだ。
この考え方を日常に応用すると、心が軽くなる。

庭の草取りなら「10本だけ抜く」、夕食の後片付けなら「お皿を5枚だけ洗って残りは明日にする」等々。笑ってしまうほど小さな一歩だが、その一歩が次の行動を呼び込み、気付けば作業が進んでいる、あるいは終わっている。仮に本当に一歩で終わったとしても、それは目標を達成した一歩なのだから喜んでいいはずだ。

やる気とは努力で捻り出すものではなく、まず行動してみることで自然に育つものなのである。
私たちは何かを目の前にして「始めなくては」と思う時、ゴールの遠さにたじろいでしまう。だが、小さな成功体験は雪玉のように転がりながら大きな自信に変わり、やがてその距離を縮めてくれるだろう。

映画監督のウッディ・アレンは言った。
「始めさえすれば、もう8割は成功したのと同じだ」

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この言葉に触れる度に、私はもう一つの名言が浮かぶ。アメリカの哲学者、ウィリアム・ジェームズの言葉である。
「人は幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」

笑顔は単なる感情の結果ではなく、心を動かし、状況を変える力を持っている。たとえ無理に笑ったとしても、その表情の変化が心に小さな明かりを灯す。やがてその心の明かりが、周りの人の心も温めていく。
 
「笑う」という行為もまた、「最初の一歩」なのだ。その笑顔がもしかしたら次の笑顔を連れてくるかもしれない。笑ってみることは、心のエンジンを静かに回し始める小さな点火のようなものだ。
笑うと心がほぐれ、気持ちが動き出す。動けば世界の見え方が変わり、幸せはあとから追いかけてくる。 

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そう考えると、「行動すること」と「笑うこと」は、実は同じ根を持っているように思える。どちらも「心を動かす力」であり、その力が未来を良き方向へと導く。
だから、私は立ち止まってあれやこれやと考え込むよりも、とりあえず笑って行動してみようと思う。その一歩先にある未来は明るい。小さな一歩で未来を動かしている人がきっと他にもいるはずだ。

ただし、ダイエット中に「最初の一歩」となる「ポテトチップス1枚」はやめたほうがいい。その先にある未来は、心ではなく、指先だけがテカテカと明るくなるだろう。

〇スティーブン・ガイズ 著 『小さな習慣』(ダイヤモンド社)