2022年05月

2022年05月10日

メインテナンスについて その6

haisy_chiryo開業以来、患者さんには事あるごとに健診の大切さをお話ししています。
以前は、「忘れちゃいそうだから、お知らせしてもらえないの?」とよく訊かれました。

実は、子供のムシ歯予防のための健診のお知らせは、一時、葉書でやっていた時期がありますが、大人の定期健診では一度も行っていません。

自己判断ができる年齢の方の健診には、自主的にきてもらうということを前提としています。
健康維持の大切さを自覚してもらい、自らの意思で通うようになることもメインテナンスの一つの重要な要素と考えているからです。

そして、メインテナンスの最後のチェックは、必ず歯科医師が行うべき、というのも変わらないコンセプトです。
メインテナンスの施術の主役は歯科衛生士ですが、責任を持つべきは歯科医師という考えです。

予防歯科の概念が広まり、メインテナンスの大切さも多くの歯科医院で言われていますが、一部、歯科衛生士に丸投げしているような所があることは、個人的には残念な気がしています。

2022年05月09日

メインテナンスについて その5

20200420-03その4で触れたエアフロー。

実は、多くの歯科関係者が混同しているのですが、エアブレーション、パウダーポリッシャー、ジェットポリッシャーと呼ばれる器材の一つで、スイスのEMS 社の登録商標です。


微細な粉を吹き付けて、ムシ歯や歯周病の原因となるバイオフィルムを除去するのですが、このエアフローは、これまでの類似機種と違い、

・選択的に摩耗性を低く抑えながら清掃ができること
・軟組織と硬組織を傷つけないようにバイオフィルムのみを効率的に落とせる
・温水下での作業のため、知覚過敏の場合も使用可能(程度によりますが、従来に比較して)
・パウダーが、エリスリトール主成分のため、虫歯予防になる

という特徴があります。

下図は、今までのクリーニングを行った後をマイクロで撮影した歯面です。

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表面にいくつかの線が入ってしまっているのが見受けられます。

この傷がバイオフィルムの温床となり、さらなる炎症を引き起こすきっかけを作ってしまうことが分かってきています。

また一見、歯の表面が滑らかに見えますが、これは歯の表面が摩耗されてしまっているため、将来的に知覚過敏を引き起こしやすくなってしまいます。

次にエアフローでのマイクロ画像です。
下の一枚目がクリーニング前のバイオフィルムが付いた歯面で、2枚目がエアフローをかけた後の歯面です。

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本来の歯面はそのままに、バイオフィルムのみを除去しているのがわかっていただけるでしょうか?

無駄な摩耗も見受けられず、歯本来の姿を保っています。また空気圧で除去するため、直接エアフローの先端が歯面に触れることはありません。

そのため、痛みや負担も軽減することができます。

今までは歯石や着色を中心に取っていましたが、歯石が虫歯や歯周病の原因ではないことが最新の研究で認知され、歯石の表面についたバイオフィルムがさまざまな症状を引き起こす源だと分かってきています。

もちろん歯石がバイオフィルムの足場となるため、最終的には除去しますが優先順位はバイオフィルムなのです。

予防先進国であるスウェーデンやスイスでは、歯に高速回転でブラシを頻回にかけ、歯面を傷つけるようなクリーニングは行われておりません。

歯を守るために、エアフローがクリーニングの主流となっています。

2022年05月08日

メインテナンスについて その4

DSC_0642メインテナンスを健診と置き換えると、変化をチェックするだけ?ともなりますが、そこからお手入れもセットで行います。

健診という言葉でなく、メインテナンスと呼ばれる所以ですね。

お手入れは、簡単に言えば「クリーニング」ですが、実はそう簡単な施術ではありません。

当院では、写真のエアフローという器械を使用しています。

かつては PMTC と呼ばれる方法が主流でしたし、うちでも使用していました。




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左図のような器材を使って、






pmtc01こうやって、歯磨きでは取りきれない歯垢を綺麗に除去するわけですね。

一見、綺麗に磨けて良さそうなのですが、例えば写真のような場所はほとんどリスクの無い部位です。
リスクの高い部位を綺麗にしようとすると、ものすごく時間がかかりますし、またそれだけでなく歯の表面を傷つける可能性も高まります。

メインテナンスと称する施術を受けたことによる害が報告されている論文も数多くあり、クリーニングと言っても、実際にはなかなか技術的にも難しいところがあります。

つまり、「短時間で」「効果的な」「害の少ない」クリーニングというのは、そう簡単では無いんですね。

ちなみに、口を開けていられる時間というのは限られていますので、短時間というのは重要なポイントなんですよ。









2022年05月07日

メインテナンスについて その3

medical_doctor_tablet_man-2さて、生活背景の変化も大切ですが、やはり歯科の本業であるお口の中の変化の確認も大切です。

変化を確認するために一番手っ取り早いのは「前回、もしくはちょっと前の記録との比較」です。

つまり、記録が大切なんですね。

うちで行っている記録は、
1)チャート(歯茎の状態、ムシ歯の状態、歯磨きの状態、歯のグラグラ度、等)
2)口腔内写真
3)レントゲン
です。

チャートに関しては、これこそコンピューターの得意分野というか、もはやこれなしでは管理できないほど。

実は、1993年の開業時には、診療室には1台もパソコンがありませんでした。
なので、当然ですが手書きのチャートでいちいち前回と比較しなければならず、大変でした。
が、翌年あるチャートを記録できるソフトのことを知り、早速導入。
しかし、これはあまりにも煩雑すぎて、あっという間に挫折。

で、なにか使いやすいものはないかと探していたところ、1996年のデンタルショーで現在のソフト会社に辿り着き、それ以来ずっと使用しています。


口腔内写真は、開業前から撮影していましたが、これはデジタルになって本当に楽になりました。
また、当初は「なんで歯医者で写真なんか撮るんだ!」と怒る患者さんもいたりした時代もありましたが、今では多くの歯科医院で撮影していることもあり、さほど苦労はしなくなりました。




2022年05月06日

メインテナンスについて その2

329990d3d7ee1ed5808c8dc2c19990f3メインテナンスの目的は、可及的な現状維持(健康を回復するというのは治療)ですから、来院時に診るべきは「変化」です。

それは、お口の中だけではなく生活の変化も。
口は全身の鏡という言葉があるほど、生活背景が大きく影響します。

特に大きく影響するのは、服薬でしょうか?
糖尿病、高血圧は、薬の影響がお口に反映されたり、またお口の症状がその病状に影響することもあります。

また、受験生(夜食などの影響)、学生から社会人へ、といった生活そのものの変化も。

意外にご本人は、バタバタしているせいなのか?自覚症状に気づかないこともあったりします。

2022年05月05日

メインテナンスについて その1

lucky_yotsuba_clover_girlメインテナンス(もしくはメンテナンス)とは、「維持」「持続」「保守」「保全」という意味で使われる言葉ですが、歯科では(定期)健診の意味合いで使われることが多いです。

病気の治療をし、そこで回復した状態をできるだけ悪化させないようにお手入れを続けるということでしょうか。

残念ながら加齢変化もありますから、少しでも悪化を遅らせるというのが現状かもしれません。

それでも、効果的なメインテナンスは明らかに健康維持に繋がるので、うちでも力を入れています。
と言うよりも、これがベースに無いと、治療方針自体が定まりません。

勤務医時代に、このメインテナンスの重要性に気づき、ベースにするためには最低ユニット数が4台以上必要ではないか?ということから開業地/物件を選んだほどです。

そして、開業当初から定期健診の重要性を患者さんに伝えてきました

おかげさまで、多くの方々に健診で利用してもらっていますが、その施術内容は随分と変化してきています。

特に、この4月からは今まで以上に「必要なことだけを行う」という内容に絞ってきています。

メインテナンスを継続し、それが受診者の皆さんの健康な生活に貢献できれば嬉しいです。



2022年05月01日

初の5月改定

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基本的に、健康保険の改定は、2年に一回行われます。

その改定が今年の3月末、つまり今年の4月から施行されたばかりなのですが、なんと5月1日からもあらたに改定が行われます。

こんなことは、過去に経験がありません。

改定で、金属の詰め物・被せ物の価格が変わるのですが、これは金属の価格の上昇が著しいため。
もともと数年前から金属の価格高騰により、相場価格に合わせるべく半年ごとの改定が行われたこともありますが、それでもこのところ完全に「逆ザヤ」状態。
つまり、治療すればするほど金属価格では赤字(これは本当に文字通り)だったんですね。

一部では、相場に左右される金属で治すということ自体見直すべきでは?という声もあるほどです。

そうした「価格面」だけではなく、最近のセラミック修復の進歩もあり、私自身も最近は患者さんへの説明も変化してきました。


fdo964 at 11:56|PermalinkComments(0)診療紹介