ふじもと歯科診療室BLOG

東京都稲城市の歯科医師の日記 

カテゴリ: 6歳臼歯のはなし

2bdaa40e.jpg昨日は、コマクサ幼稚園での歯科講話。

今回は、休日にもかかわらず、スタッフ全員が参加。
皆、家庭があって忙しいのですが、嫌な顔一つせず来てくれて、ホント感謝です。

講演内容は、昨年とほとんど同じ。
でも、もし来年もやる機会があれば、きっと同じ内容でやるでしょう。

なぜなら、普遍的なお話しかしていないから。

それに、スタッフの一人が話していましたが、聴いていたお母さん方が「へぇ〜!?」と、驚くポイントが意外なところなのに驚いたとそうです。
我々にとって当たり前のことが、案外一般的には当たり前でないところに気づいてくれたようです。

そういったギャップがあるうちは、今の内容をむしろ続ける必要があると感じています。

また、最後の質疑応答も、どこの幼稚園でも同じような質問がでます。
その内容を聴いていると、やはり健康教育のような機会が必要であることを感じます。

実は、うちの診療室の2階は、そういった講演(ってほどの規模ではありませんが)ができるようにと、ちょっとしたスペースを作ってあります。
今は、ミーティングや勉強会などに利用していますが、もしかすると当初の目的の使い方をそろそろした方が良いかもしれません。

でも、診療室の外に出かけるって、結構楽しいんですよね〜。

05dad8c6.jpgさて、カリエスフリーの話を延々としてきましたが、残念ながら私自身、カリエスフリーではありません。

6歳臼歯の3本に、詰め物が入っています。

小学校1年生の時に処置を受け、その後、歯科大学の学生時代に1本、卒業してから2本やり直しました。
実は、くいしばりのクセもあるので、時々歯が痛くなりますが、いつも決まって詰め物が入っている歯です。

ですから、私自身、本当にカリエスフリーの大切さを実感しています。


そして、それはやるべきことを、キチンと継続すればそれほど難しいことではないと感じています。
先日の小学校歯科健診の際にも、6年生のカリエスフリー児童はたくさんいましたし、その他の学年でも、以前からは考えられないほど増えています。

さて、ここでさらに強調しておきたいのは、予防処置は、永久歯が生え始める前に始めたほうが効果的ということです。
お口の中がムシ歯になりにくい状態を作り、そこに永久歯をお迎えするという感じでなければ、写真のようなムシ歯がどうしても出来やすい傾向にあります。

永久歯が生える時期にもよりますが、平均的には4〜5歳くらいには始めていくのがベターでしょう。

84f30094.jpgさて、前回も書いた通り、ムシ歯ゼロもカリエスフリーも、歯科健診などではどちらも「要処置なし」の状態ですが、その内実には、雲泥の差があります。

たとえ、ムシ歯をキチンと処置していたとしても、次には歯髄壊死という危険があるからです。

ムシ歯がいわゆる神経(歯髄)に達していないからと言って、健康が維持されているかどうかはわかりません。詰めるだけの処置で終わったとしても、数年後に歯髄が壊死を起こし、激痛をともなう事は、意外にあります。
うちでは、年間10例近くはあるでしょうか?

また、当然詰め物の脱落や、周囲から再びムシ歯になる危険もあります。
修復材料の耐久性も問題になってきます。

ですから、私は、一旦歯医者の手が入った歯は、いつ問題を起こすか解らないという感覚をもっています。


いくら定期健診を受けていても、毎回毎回詰め物の中までチェックできるわけではありません。
昨日、定期健診にいらっしゃった方の詰め物が、今日取れた、などということも、十分にありえるわけです。

本当に健康なのは、カリエスフリー。
処置済み歯があるということは、すでに「未病」と言っても良いかもしれないと考えています(だからこそ、お手入れで発病しないような配慮がより必要になってくるわけです)。

真の健康状態であるカリエスフリーを実現できるかどうかのキモが、しつこいようですが6歳臼歯にあるわけです。

そして、それは自然に実現できるわけではなく、自らの行動で勝ち取るものなのです。

0357a315.jpg一昨日の木曜日は、小学校の歯科健診に行ってきました。

私が、学校歯科医師を拝命した当初は、とにかくブラッシングをしてこない児童が多く、健診には歯ブラシ持参でした。酷い子は、ムシ歯の穴が歯垢で埋まってわからないほどだったのです。
当時の養護教諭がとても熱心な方だったので、健診時に歯を磨かれることがどんなに恥ずかしいことかを地道に説き続け、4年ほどで使わずに済むようになりました。

そうなってくると、やはり気になるのがムシ歯の本数と、ちゃんと歯科医院で処置を受けてきたかどうかということですが、それも年々良い結果に変化しつつあります。


ところで、健診が終わると、「ムシ歯あった?」と訊いてくる児童が多いのですが、たとえ要処置の歯がなくても、その内容には大きな差があります。

つまり、ムシ歯がなくても、それはすでに処置済みでムシ歯ゼロなのか、そもそもムシ歯がまったくない(治療跡もない)カリエスフリーと呼ばれる状態なのかで全然ちがうのです。

処置済みでムシ歯ゼロの児童には、「なかったけど、いつできるかわからないから、気をつけてね。できれば歯医者さんに行ってね」と言います。しかし、カリエスフリーの児童には、ただ「素晴らしい!」の一言です。

一昨日は6年生を診ましたが、このカリエスフリーの児童が本当に増えてきました。中には、乳歯がムシ歯になってしまった児童もいますが、抜け替わりの時期をうまく過ごせば、永久歯がムシ歯にならず「カリエスフリー」は達成できます。

このカリエスフリー達成のキモが、6歳臼歯なのです。(http://blog.livedoor.jp/fdo964/archives/50784642.html)

2479c632.jpg長々と続けて来た、ムシ歯予防のための4つ(+1)の行動の最後、「+1」は、保護者自身の歯科医院定期健診受診です。

「私はいいから、子どもを診てもらいたい」というお母さんが時々いらっしゃいますが、実は、そうおっしゃる方とそうでない方では、お子さんのムシ歯予防も結果が違ってくると実感しています。

中には、もう何年も子どもさんだけうちに通っているのに、お母さんのお口は診た事がないという方がいらっしゃいますが、他院にかかっているならともかく、全くご自身がお手入れをしていない場合、お子さんの予防もうまくいかないことがあります。

子は親の鏡と言いますが、両親に歯を大切にしようという意識がなければ、子どもにもそういった意識は作られません。
「そうは言っても、歯の大切さはよく解っている」という声も聞こえそうですが、そのための行動をとっていないのであれば、それは意識がないのと同じ事ではないでしょうか。

ムシ歯や歯周病は、生活習慣病ではありませんが、生活習慣が色濃く反映する病気です。
いくら歯医者に定期健診に通おうと、普段のお手入れがなされていなければ、結果は言わずもがな。

キビシい言い方かもしれませんが、ムシ歯予防などは、そのご家庭の健康に対する意識からできる固有の文化で、その結果が決まると言っても過言でないでしょう。

そして、そういった文化形成のお手伝いも、歯科医師としての大切な仕事と思っています。


3bc347b4.jpgムシ歯予防のための4つの行動の最後は、予防のための歯医者通い。

当たり前ですが、小学生以下で、自主的に予防のために歯医者に行こうというお子さんはいません。
ですから、保護者の方の意識が大切です。

ここ最近は、こういった意識が高まり、最初から予防処置を希望して来院なさる方も増えてきてはいますが、それでも、なかなか最後までキチンと継続できる人が少ないというのが、現状です。

毎回毎回問題ナシが続くと、「そろそろ忙しいし・・・」という感じになるのでしょうか?


さて、うちでは、ムシ歯予防のプログラムコースを作っていますが、詳しくはHPの「子どもの予防歯科」をご覧下さい(トップページ→診療方針→子どもの予防歯科)http://www.fj-dental.jp/?policyPreventChild

私は、現代の食生活では、家庭でのセルフケアだけでムシ歯は困難と考えています。
なかなか忙しくてと言われる事もありますが、例えば4歳から13歳までの9年間、年に4回の通院で36回。

ムシ歯処置などで何回も通院している方はお解りだと思いますが、「たったの!」36回です。
これを多いと思うか、少ないと思うか、しかしムシ歯治療などとは違い、通院の度に自分の歯が減るということはありません。

さらに、6歳臼歯で多いのが、写真のような歯と歯の間にできたムシ歯。
乳歯が抜けるとハッキリ解りますし、抜けてすぐに処置すれば、歯を削る量は最小限に止められます。

予防処置だけでなく、早期発見早期治療も、普段のマメな通院があってこそなのです。

44598083.jpgムシ歯予防で、もっともその対応が難しく、方法論が確立されていないのが、食事・おやつについての対処法ではないでしょうか?

いわゆる、「甘いものは控える」「食事は規則正しく、栄養バランスに気をつけて」などということは、すでに知らない人はいないでしょう。
しかし、これこそ生活習慣ですから、歯科医師がそこまで立ち入って良いものやら・・・。


私の先輩で、管理栄養士さんを常駐させ、患者さんに献立日記を書いてもらい、その内容から食事について指導しているところがあります。実は、私の友人がたまたまそこに通っていたのですが、「先生も良いし、治療内容にも満足しているんだけど、あまりいろいろ言われるとね・・・」ということで、周囲でも不評とのこと。

一生懸命やっている先輩には気の毒でしたが、完璧を目指すあまり、却ってその効果を削ぐような感じでした。

うちでは、定期健診の際、お口の状態でワンポイントアドバイスをするに止めています。

例えば、先日来院した子も、炭酸飲料の摂取量が増えたのでは?と思わせる状態だったので、本人や保護者に確認したところ、その通りだったので、減らしてもらうようお話しました(やめるようお話すると、却ってよくない結果になるようなので、減らすようお話するようしています)。

生活習慣は、如実にお口の中に反映されます。
でも、ちょっとした気をつけ方で変わってもくれます。

そのちょっとを知っているかどうか?
ここがポイントでしょうか。

(講話では、ちょっとクイズ形式でお話する予定です)

df8c5966.jpg積極的なムシ歯予防の手段としての、キシリトールガムの選び方と、摂取の仕方。

まず、パッケージ裏の成分表を見てください。
炭水化物と、キシリトールの重さが表示されているはずです。

キシリトールの重さ÷炭水化物の重さが0.5以上、つまり炭水化物中、キシリトールが50%以上入っていれば、ムシ歯予防効果ありと言われています。
製品によっては、100%のものもあります(いわゆる、歯科医院専用というものですが)。

もちろん、この数値が高いほど効果も高いのですが、同じ製品でも味によってその含有量が異なったりしていますので、注意が必要です。

摂取量は、大人であれば一回2粒を3回(おやつを食べる人などは、さらに1〜2回)ほど。
何分噛めば良いのかという質問を受ける事もありますが、ハッキリとしたデータはありません。おおむね味がなくなるまで(3〜4分でしょうか?)くらいで効果は上がるのではないかと考えています。

ちなみに、うちで扱っているのは、グリコのポスカム。
キシリトールだけでなく、再石灰化をうながす成分も含まれているという事で、私の入っている勉強会でも評価が高かったので・・・・。

ただ、我々臨床家は、それほど厳密な実験を自分でしているわけではなく、論文や伝聞で選んでいるので、一般に売られているものであれば、まずはキチンと使う事の方が大切では?と思っています。

507b1d87.jpgここ数年、次々と新製品が出るキシリトールですが、実は意外に古くからそのムシ歯予防効果は知られていたんですね。
ただ、食品加工が難しいのと、下痢をしやすいという副作用の問題で、製品化が遅れたそうです。

ところで、キシリトールガムで効果的にムシ歯予防するには、なんといっても集中使用が大切。

つまり、思い出したように時々噛むのではなく、毎日3〜5回噛む事を、3ヶ月ほど続ける事です。

キシリトールは、ムシ歯の原因の代表菌であるミュータンス菌の大好物なのですが、実はエネルギーとなりません。人間で言えば、カロリーゼロの食べ物のようなものですから、お腹いっぱいでも餓死してしまうというものです。
そうやって、ミュータンス菌の数を減らし、ムシ歯予防に繋げるものですから、たまにという使い方では、その効果はほとんど期待できません。
キシリトールガムのパッケージにボトルが多いのも、そういった理由があるわけです。

さらに言えば、できるだけキシリトール含有量が多いものの方が、効果は高いと言えます。
パッケージの裏を見て、炭水化物とキシリトールの重さでその含有率がわかります。


以前、うちの診療室のスタッフ全員で唾液検査をし、その中でミュータンス菌が多かったスタッフがキシリトールガムをキチンと使い続けたところ、3ヶ月後には、驚くほど減少していました。
本で得た情報だけでなく、実体験でもその効果を確認しています。

さらに、ミュータンス菌が減ると、ハミガキ後のツルツル感が違いますよ!

f4eb8daf.jpgムシ歯予防に欠かせない「フッ素」の応用。

実際には、フッ素化合物を使いますがやはりこれなしに、予防は語れないほど重要と思っています。
フッ化物により、
1)歯の表面が、強化される
2)汚れがつきにくくなる
3)ミュータンス菌の活動抑制効果
などが期待できます。

一般的には、家庭でフッ素入りハミガキ粉の使用と歯科医医院でのフッ素塗布の併用が望ましいとかんがえています。
フッ素のおもしろい特性として、効果発現濃度以下の含有量でも、継続的に使用することにより、効果が期待できるという点が挙げられます。
通常、お薬というのは、ある一定濃度なければ、その効果を期待できないものですが、フッ素に関してはそういった特性があるため、低濃度のハミガキ粉でも、十分効果が望めるわけです。

ただ、基本的には、歯の表面のバイオフィルムと呼ばれるバイキンの膜を除去してから高濃度のものを塗布することも必要です。


フッ素というと、相変わらず副作用を心配する声があがりますが、よほど使用量を誤らない限り、また本人にアレルギーがない限り、比較的安全なものと、私は考えています。

薬と毒の違い。
これは、一言で言ってしまえば「使用量の違い」でしかありません。効果が高いといわれているお薬でも、使用量を間違えば命にかかわるのは、皆さんもご存知のとおり(睡眠薬など典型的かもしれません)。

副作用の心配を超える、メリット(この場合は、ムシ歯予防効果ですね)が期待できる時のみお薬は使うべきですが、そう考えるとフッ素応用は積極的に用いるべきと考えています。

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