ふじもと歯科診療室BLOG

東京都稲城市の歯科医師の日記 

カテゴリ: ブラキシズム

30e5632b.jpg「ブログを読んで、私のことだな〜と思いましたよ。」


ブラキシズムのことを投稿しだしてから、何人もの患者さんに言われました。

そう、程度の差こそあれ、ブラキシズムはしていない人の方が少数派と言われるほど、実は多くの人がやっています。
ですから、それほど珍しい異常行動ではないのです。

ただ、毎日毎日同じ力で同じように歯ぎしりしているわけではありません。
体調や精神状態で、いろいろ変化します(と言うよりも、人間の体、一定状態に保つ方が難しい)。

問題は、その力のコントロールなんですね。

生活歯で破折を起こした患者さんのお一人は、もう20年近いお付き合いになり、いまだにキチンと定期健診にお出でいただいていますが、実は抜歯せずに、問題なく過ごしておられます。
確かに、歯周ポケットは深いのですが、動揺もなく、普通に噛めるとのこと。
時々、歯が欠けますが、それにしても処置はせず、そのままで経過を看ています。


結局のところ、ブラキシズムは、動作そのものが問題なのではなく、その力の大きさ、ストロークなどによって問題を引き起こすことが問題では?と考えています。

いわゆる「フォースコントロール」が出来ないところが問題。

でも、人間の体をコントロールするなんて、ある意味おこがましい行為なのかもしれません。

594a535f.jpg原因が解らなくても、その症状を和らげるべく治療するということは、医療の世界ではゴマンとあります。

どちらかというと、なぜその病気になるかハッキリ解り、原因療法ができる疾患の方が少ないかもしれません。
それに対し、症状緩和を目指す対症療法は、突き詰めて行くと大部分と言っても過言ではないかもしれません。


ブラキシズムについては、筋肉動作ですから、その発生原因がわからなくても筋肉動作を緩和すれば、症状は緩和されるはず。

マウスピースの他に、私がたまに使うのは薬物療法。

既往歴や現症、口腔内の舌や頬粘膜についた圧痕(噛みしめた痕ですね)などから診断し、マイナートランキライザーを処方します。

筋肉の緊張を一時的に和らげるだけですが、効く効かないの結果が極端で、効く人には劇的に効く事が多いように感じています。

基本、5日間服用していただきます。
なぜ、5日間か?

以前、ある勉強会で教わった期間だからという理由だけです。
なぜか、経験的に5日間で結果が十分でるそうです。

習慣化されるのがコワいのですが、私の今までの経験では、5日間服用してもらえば、なぜか当分必要ないというケースばかりです。

394219a2.jpgさて、またまた話題はブラキシズムにもどって(ちょっとしつこいですが)。

ブラキシズムが問題になる原因の一つに、過大な咬合力が発揮されることが挙げられます。
簡単に言えば、覚醒時には考えられないほどの力で噛んでいるということ。

上下の歯が、どう見てもお互いにぶつかって摩耗している形をしているのに、なぜか閉じ合わせてもピッタリ当たらないなどということは珍しくありません。
そういった場合、顎が歪むほどの力で噛んでいるわけです。

論文により、その力の値は様々ですが、大きい場合は覚醒時の2倍くらいの力がかかるという説もあります。

体重60キロの人であれば、奥歯を思いっきり食いしばると、60キロの力がかかると言われていますから、そう考えると120キロ!の力がかかる瞬間もあるわけです。

神経を取ってしまった歯(失活歯と言います)と、神経が生きている歯(生活歯)を抜歯直後にプレス機にかけると、最大6倍の力の差で割れることが言われています。
そこまで極端でなくとも、失活歯はどうしてももろくなってきます。

ブラキシズムで割れ易くなるのも納得ですね。

ただ気をつけなければならないのが、割れたから失活したのか?それとも歯髄壊死(ムシ歯の処置後に神経が自然死したり)を起こしたから割れたのか?という区別はなかなかつきません。

また、摩耗の程度だけでその力の強さを決めつける事も、なかなか出来ないのがやっかいなところです。

1b0c724f.jpgこのブログへのアクセス数が、なぜかブラキシズムについて投稿しだしてからぐっと上昇しています(でも、検索キーワードにブラキシズムがない?)。

やはり、皆さんこの問題には頭を悩ませているのでしょうか?

さて私の場合、ブラキシズムに対する処置として第一選択となるのは、マウスピースであることは、以前にも投稿しました。
基本的に依存モノはできるだけ避けたいのですが、歯を削らないということを考えると、型を採るだけのマウスピースはとっかかりとしては安全です。

実は私自身、クレンチングが強く、そこから顎関節に不調をきたし様々な治療を受けた経験があります。
特に、学生時代の学年主任が顎関節の研究をしていた関係もあり、かなり実験的な処置も受けてきました。

当然、マウスピースも様々なタイプを経験しており、うちのマウスピースはそうした「個人的」な体験から現在の形に落ち着いています。

ただ、装着感を良くするため薄いのが欠点なのか、咬み破ってしまう人も珍しくありません。
凄い人は、装着3日目で穴を開けてきた事もあります(ちなみにこの方は、私の歯ぎしり指摘をなかなか信じてもらえず、不承不承装着したのですが、さすがに壊れたことで信じてもらえるようになりました)。

このマウスピースも歯科医師によって考え方があり、これも議論すると、それこそ論争になるかもしれないというシロモノ。

正解がない臨床の世界ですが、それにしても・・・・(^^;

df52c66c.jpg歯が折れる(割れる)ことが致命傷とも言えるブラキシズムですが、それだけでなく、その他の様々な症状でもブラキシズムに起因しているのでは?と疑われる場合があります。

例えば、知覚過敏。
エビデンスもなにもありませんが、なかなか治癒しない知覚過敏症状を訴える方に、マウスピースなどを使ってもらうと、その症状が緩解することがよくあります。

その他にも、症状が一定しないいわゆる「不定愁訴」も、なぜかマウスピースを使うと症状が和らぐことが。

結果オーライの、極めて杜撰な診断ではありますが、様々な診査・検査をおこなっても原因を特定できない場合、不可逆的な処置を避けるためにマウスピースから始めるのが良いのでは?とも思っています(それほど沢山あるわけではありませんし)。
なにしろ、型を採るだけですから、効果がなければそれからの処置方針の変換は容易です。

痛みがあるにも関わらず、レントゲン診や視診、その他の診査で原因がハッキリしない時に、このブラキシズムは忘れてはならない原因の一つかもしれません。

b3ffa2ce.jpgさて、話題は再びブラキシズムに戻ります。

神経筋機構という、精密なメカニズムがありながら、歯が折れ(割れ)、そしてそれに気づかないのは、なぜ?

その答えは、睡眠中に起きているからとしか考えようがありません(と、個人的には思っています)。

覚醒時に折れた(割れた)場合、「ミシッ」というか「パキッ」というか、そういう感触を覚えているはず。
先週も、上の前歯の付け根が痛くなったという患者さんがいらっしゃり、レントゲンでハッキリわかるほど折れていましたが、その方は、ご自分でも折れた瞬間は解ったそうです。

ですから、そういった記憶が無い限り、私には破折の原因が睡眠中のブラキシズムによるもの以外とは考えにくいのです

もちろん、状況証拠だけでの断定は根拠が曖昧であることは十分承知ですが、そう疑ってかかって、その後の処置を進めておいたほうが、安全ではないでしょうか?

しかし、ここでさらに難しいのは、その睡眠時のブラキシズムから起こるであろうことをどうすればコントロールできるのか?ということ。

そもそも原因除去は困難ですし、毎晩毎晩同じようにやっているわけでもないでしょう。

開業前に、ある全国的に有名な歯科医師の先輩のところに見学に伺った時の事です。

「藤本先生は、勤務医で何年目?」と訊かれ、「5年目です」(当時)と答えたところ、
「7年以上経つと、歯根破折という問題に悩まされるようになるよ」と言われました。

そして、その通りのことが起きています。

e10eaf38.jpgいわゆる「歯が折れた(割れた)」状態に起因する痛みや腫れ。

ブラキシズムが原因と思われ様々な症状/疾患のうち、もっとも致命的なものは歯根破折でしょう。
残念ながら、ほとんどの場合、抜歯になってしまいますから。


これが実は初期の段階ではなかなか解らず、対応に苦慮するケースが多いんですね。
レントゲンにも写りませんし(もちろん、写るような状態であれば、一発で解る訳ですが)。

きっと割れているんだろうな〜と思いながらも、抜歯しなければならない程度かどうかは、経過を診て、または既往歴から判断する場合がほとんどですから、治療期間が長引き勝ち。

ちなみに頻度としては、圧倒的に失活歯(神経を取ってしまった歯ですね)に見られます。

参考までに、私の経験では生活歯の破折は今まで3例ほどしかありません(根まで割れているケース限定)。
共通するのは、咬耗と呼ばれる歯のすり減りが特徴的なのと、すべて下顎の奥歯であることでしょうか?

いずれにしても、この歯根破折。
「折れた(割れた)瞬間」に、気づかないケースが圧倒的。

人間が、口の中のものを咀嚼する時、神経筋機構と呼ばれる、精密な反応システムが働いてくれます。
例えば、貝の中に砂が残っていて、それをガリっと噛んだ瞬間に、噛む事をストップします。

これは、熱いものに手を触れてアチっと手を引っ込めるスピードよりも速いと言われています。

それほど素早い反応システムがあるにも関わらず、歯が折れて(割れて)しまうほどの力がかかり、なおかつ気づかない。

なぜ?

6817bb46.jpg昨日の投稿に対し、またまたプレッシャーのかかるコメントをいただきましたが、私は市井の町医者です。

そんな大層なことはわかりません(^^;。

ただ、こういった話題に、優秀な先生方が食いつく(失礼!)ということを見ても、この問題で悩んでいる歯科医師が多いということは推測できるでしょう。

ちなみに、私なりにブラキシズムの治療が難しい理由を考えると、

1、そもそも、ブラキシズムが起きる原因がわからない。
2、睡眠中におきていることが多い。
3、覚醒時にくらべ、非常に大きな力で噛んでいる。

といったことが挙げられるでしょうか?(ざっくりですが)

つまり、一言で言えば「症状のコントロールが困難」ということ。

原因については、様々な説がありますが、それについてもいちいち否定するような説があり、私自身、どれが本当?って感じです(単に私が不勉強なためかもしれませんが)。

bfe033e0.jpgさて、昨日ブラキシズムについて書くと投稿したところ、お二人の歯科医師からコメントをいただきました。

お二人とも、私より年下ですが、おそらく私よりもずっと凄腕。
「口先だけの歯医者」である私に期待されても・・・・(^^;


と、それはさておき、ブラキシズムについては、検索すればその定義や症状、治療法などいくらでも情報はありますが、ここは私のブログ。
私なりの現在の考えを書きたいと思います(開き直りではありませんが)。

そもそも、昨日ブラキシズムについて書こうと思い立ったのは、ここのところブラキシズムが原因としか思えない抜歯が連続したからです。
もちろん、今までにもそういうケースはありましたが、おそらくここ一ヶ月の抜歯の9割ほどがそう(これも”波”なのでしょうね) 。

また、ブラキシズムが原因としか思えないような症状を訴える方患者さんが、明らかに増えてきていると感じています。

まだまだ一般にはあまり知られていないブラキシズムの影響。

でも、歯科医師として、経験を積めば積むほど立ちはだかってくる問題と感じています。

3c61de4e.jpgムシ歯や歯周病が、歯を失う大きな原因であることは、いまさら論を待たないと思いますが、意外に知られていないのが歯ぎしり。

診療中、患者さんには「歯ぎしり」という言葉を使いますが、正確には「ブラキシズム」と言います。

いわゆる、きりきり音をたてるような、歯をこすり合わせる「グラインディング」。
音はしませんが、食いしばる「クレンチング」。
上下の歯をカチカチと触れあわせる「タッピング」。

この3つの総称です。

特に、クレンチングは音を立てないために、周囲も気づきません。

私が「歯ぎしりが原因です」と説明すると、怪訝そうに「私、やってないと思いますよ」と言われる事が多いのですが、歯のすり減り具合を見ると、ハッキリわかるケースがほとんど。

先日も、咬合崩壊をいかに食い止めるか?という講演会で、このブラキシズム対策が取り上げられていました。

歯ぎしりで、どんなことが起きるのか?

これから、数回に渡ってお話したいと思います。

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