ふじもと歯科診療室BLOG

東京都稲城市の歯科医師の日記 

カテゴリ: かむ・のみこむ

先天的な障害がある方の他に、加齢による摂食嚥下の問題にどう対処していくべきか、きたるべき高齢化社会に備える必要性を感じています。

今までは、例えば高齢者からむせるという訴えがあっても、年だから仕方が無いということで片付けられていた面もありました。

もちろん、年齢による「仕方が無い」部分もありますが、そんななかですこしでも質の高い生活を営めるよう、なんらかのサポートができないものか?


ということで、6年ほど前から南多摩保健所主催の摂食嚥下機能支援サポート医研修を受け、また2年前から東京都主催の摂食嚥下機能障害評価医研修を受けて来ました。

実は、私が歯科大学で受けた講義の中には無かった分野。


今では、ちゃんとそういう教育を受けた歯科医師が卒業してくるわけですが、それでもまだまだ一般には知られていません。

ただ、医師や管理栄養士、ケアマネや言語聴覚士などといった他職種との連携が必至。


で、稲城市でなんとかこういう連携体制が作れないかと、これから各分野の方々と動いて行こうと活動が始まっています。

昨日の研修の時に感じたこと。

摂食嚥下機能障害の方の状態を評価するということは、平たく言えば、食餌の形態(普通食、刻み食、ミキサー食など)が、その方の病態(?)に合っているかどうかを判定するところに、おおきな目的があります。

食餌の形態が合わなければ、誤嚥を起こしたり、栄養不良になったりと、いうことが予想されるわけです。

そういった意味で、昨日の研修にご協力いただいたお二人の患者さんは、とてもフィットしていました。

年齢的なものもあり、体重が減少傾向にあるということでしたが、内視鏡で観察しながら食事をしてもらうと、キレイに飲み込んでいます。

これって、やっぱり施設の方々の努力が大きいのでしょうね。

施設内も、臭いもなく清潔ですし、本当に雰囲気が明るい(と、いうか研修に協力してくださる施設はどこもそうです)。

たまたま研修中に通りかかった担当でない職員の方が、「○○さんの結果、どうでした?あの人、ちょっと食べるのが早いんじゃないかと気になっているんですが・・・」と話しかけてきて、一緒に指導医の先生の話を聴いたり、それを見た他の職員さんも集まってきたりと、皆さんホント熱心。

もし将来、自分がこういう施設に入所するようなことになったら、こういうスタッフさんのいるところが良いな〜、などと思ってしまいました。

ちょっと、しつこいようですが、もう少しこの話題を続けます。

摂食・嚥下機能障害とわざわざ名付けるわけですから、これは歯が痛くて、とか、入れ歯が合わなくて噛めないというわけではありません。

認知症の方などに至っては、果たして食べるということが解っているのか?
今、口の中に入れられたモノが、食べ物なのかそうでないのかということすら、解っているのか?というレベルにすらなります。

また、これらをキチンと理解していても、筋肉の機能が低下していて、うまく顎が動かない/飲み込むという動作ができない、という問題があります。



以前も投稿したことがありますが、歯科の検査というのは、機能検査ではなく、形態検査(評価)ばかりです。

例えば、歯周病の治療の基本である歯周ポケットの測定などは、どれだけ歯の周囲の組織が壊されているか?ということは解りますが、それによって、どれくらい噛む力が衰えているか?ということはわかりません。

歯が何本残っていて、そこにこういう歯を入れ(補綴と言います)たら、これくらい噛む力が回復するといった比較評価などもできません。

ですから、機能評価というのは、もしかするとまったく新しい視点と考慮が必要なのでは?と個人的には考えています。

つまり、形態評価しか知らない歯科医師に、機能評価が出来るのか?というくらいの気持ちで臨む必要があると(ちょっと、極端ですが)。

診療室に籠って(?)いると、自ら通ってくる患者さんだけを相手にしていますから、食べるということに対する意識が「噛めて当たり前」という前提から始まります。

しかし、摂食・嚥下機能障害の患者さんは、そもそも噛めるどころか、経口摂取で良いの?というレベルの方もいらっしゃいます。

今まで受けた研修でも、一回の食事に一時間以上かかる方は珍しくありません。
中には、2時間近くかかる方も。

そうなると、食事が終わると、またすぐに食事という、生きるために食事をするのか?食事をするために生きているのか?という感じにすらなってしまします。

しかし、胃瘻にはせず、経口摂取を望む家族の方は多いですし、そうなるとそこの境界はどこにあるの?という判断/評価もできなければなりません。

摂食・嚥下機能障害の評価には、栄養状態や全身状態の把握が不可欠で、そのためには、栄養学や血液検査の結果をキチンと読めるというような知識/技術も必要になってきます。

昨日の休診日は、摂食・嚥下機能評価医実地研修。

多摩市の、ある特養施設で患者さんに実際に食事をしてもらうところに立ち会い、内視鏡を使った実習でした。

今までも何度かこういう研修は受けていますが、受ける度に、難しさを感じます。

その難しさとは、食べるということを、どう自分が捉えているかというところに、根本があるような印象を持っています。

そもそも、私自身は普段、お腹が空いたら、もしくは食事の時間がきたから食べる。
そして、お腹の空き具合で食べる量も適当です。

お腹が空いていれば一杯食べますし、そうでなければそれなり。

どちらかというと、関心は美味しいか美味しくないか?ということくらい。

しかし、摂食・嚥下に問題のある方は、そんな次元ではありません。

普段、咀嚼器官の治療をしながら、根本的なところを考えていなかったことを、こうした研修を受けると如実に突きつけられます。

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一昨日の土曜日は、診療後に歯科医師会の学術講演会&忘年会。
昨日の日曜日は、総義歯の研修会でした。

ところで、一昨日の歯科医師会の講演会のテーマは障害者の歯科治療について。
昨日は、入れ歯がテーマなのですが、なぜか、どちらもいかに上手に「かむ/飲み込む」ができるようになるか?という同じような内容。

同じような嚥下の動画を何回も何回も見せられ、しかしそれぞれ違ったアプローチを図っており、視点の違いも面白いものでした。

特に、昨日の研修会は、3人の講師がそれぞれの視点でお話しし、その連携にはビックリ。
こんな形の研修もありなんだと、実力派の先生の底力を見せつけられた気分です。

それにしても、まったく違うテーマなのに、内容がこれほどカブってくるなんて、偶然でしょうか?

そうそう、偶然といえば、帰りに駅で静岡県富士市で開業している先輩とバッタリ。
訊けば、インプラントの研修会に出席した帰りだそう。

勉強している人はしているんですね。

ボーッとしてられません。

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