ふじもと歯科診療室BLOG

東京都稲城市の歯科医師の日記 

カテゴリ: 自費診療

000100020004入れ歯の話となると、どうしても入れ歯本体に注目し勝ちですが、部分入れ歯の場合、残っている歯の形態も非常に大切です。

特に被せ物をしている歯の場合、入れ歯装着を前提としているかどうかで入れ歯の具合は全く変わります。

今日の写真は、上から「歯科技工士さんによる模型上の設計」を「できるだけお口の中で再現し」(2枚目)「お口の中に入れ歯を装着した状態」(3枚目)を載せてみました。

天然歯の場合、入れ歯が安定するように削ることもありますが、実はここは歯医者の腕の見せ所。

私の講演でも、ここの説明は比較的受講者が食いつく(笑)ところです。

図1図2













今日の写真は、同じ患者さんの1つ目の入れ歯と2つ目の入れ歯です。

まったく初めてではなく、以前に下の入れ歯は作ったことはあるけど気持ち悪くて使えなかったというこの患者さん。
残念ながら放置していたために、上の歯も抜かなくてはいけない状況になり、新しく作成しました。

上の写真をよく見るとお解り頂けると思いますが、ゴテゴテと後から足した跡があります。
そして、実はかなりあちこちを削ってあります。
そして、最終的に決まった形が下の写真。

入れ歯に馴染みの無い方にはわかりにくいでしょうが、上顎の口蓋を覆う形は本当に人によって適正な形が様々です。

使ってみて感想を聞かせてもらい、その要望を満たすべく修正を行うというプロセスを経て初めて「具合の良い入れ歯」の形が出来上がるわけです。





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延々と続いている「金属床について」ですが、そもそも金属床って?という方もいらっしゃるかもしれません。
実は、敢えて今まで書かなかったのですが、これはフレームを金属で作成した入れ歯の総称です。

総入れ歯でも部分入れ歯でもありますが、私は個人的に部分入れ歯は金属床で作成すべきと考えています。

それは、部分入れ歯の具備すべき条件を考えるとこれ以外では十分その条件を満たすことができないからです。
いわゆる「保険の入れ歯」はあくまでも保険で給付できる経済的な要件を満たすための材料で、歯科医学的な要件を満たすことは困難です。

とは言え、自費診療ですから選択は患者さんの価値観によります。

価格をお伝えすると高いと感じられるでしょうが、その価格をうちの保証期間の1食当たりの価格で計算をすると、約55円/食。

作成する手間と技術。
それで得られる快適さと歯を残せる確率を考えていただきたいな〜と思っています。

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そして、痛みが無い状態が作り出せたら実際に食事もしてもらいます。

食事をすると痛い、噛みにくい、飲み込みにくい、食べかすが残ってしまう、などといった不具合を一つずつ改善していきます。

同時に喋りにくいといった点も。

部分入れ歯は、力学的な設計は模型上でできますが、舌触りや発音、飲み込み易さ(難さ)などは個人の感覚の差が大きいので、実際に使ってもらわないと、こちらもわかりにくいんですね。

なので、調整といっても削るだけで無く、大幅に形を変えたり厚みを変えたりもしていきます。

このプロセスを経ないで「慣れますよ」などということは言えないと思っています。

「慣れ」は大切ですが、「慣れられる形」でなければいけないのです。

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一つ目の入れ歯の最初の目標は、食事時以外の時間にずっとお口に入れていられるという状態を作り出すことです。

なので、入れているだけで痛いという場合は、できるだけ速やかに来院してもらい、調整します。
うちは完全予約制ですが、入れ歯の調整は当日でも連絡をいただければできるだけ対応します。

実際のところ、そういう場合の調整は、調整時間もそれほどかかりません(ただし、予約優先ですから多少待っていただく場合もありますが)。

そして、1日の痛みであれば、調整後はほとんどの場合痛みが取れますが、3日以上我慢すると、調整しても痛みが取れるのに数日かかってしまいます。

一つ目の入れ歯は、頬の筋肉や舌が慣れるためですから、必ず毎日入れていただきたい。
そのため、「痛くて入れていられない」という状態が何日も続くと、意味のないことになってしまいます。

56お口の状態を検査し、入れ歯の設計をし、一つ目の入れ歯が出来上がると、最初に使い方の説明をするのですが、おそらくここが私のやり方の特徴的なところかもしれません。

まず、新しい入れ歯は、それがないと食事が摂れない/見た目にどうしても必要という場合を除いて最初の1週間は食事時には外してもらうようにお話します。
そして食事時以外の時間にできるだけ入れてもらうようにしてもらいます。

物を食べるという動作は、歯だけでなく、顎の運動を司る筋肉と舌の連携のうえに成り立ちますが、非常に精緻な運動なので(髪の毛1本でも識別できるほどですから)、入れ歯という人工物が使えるかどうかはまず周囲に馴染ませないことにはどうにもなりません。

ほっぺたや舌に「入れ歯の存在」を認めさせ、慣れたうえでないと食事などという動作は覚束ないはずなのです。

多くの方は、新しい入れ歯ですぐに食べようとしますが、その結果あちこちが痛くなったり上手く噛めなかったりと「自分に入れ歯は合わない」という状態に陥りがち。

でも、そんな「新品の靴を購入してすぐに高い山に登る」ようなことが上手くいかないのはご理解いただけると思います。

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全く初めて入れ歯を作る、以前に作った経験はあるけれども、今は使っていない、現在使っているけれどもぐあいがイマイチ、といういずれの場合でも、うちではまず「入れ歯は2つ作るつもりで考えてください」とお話します。

当たり前ですが、具合が良い状態で歯科医院での処置を希望する方はいらっしゃいません。
なんらかの不都合があり、それでもなんとか毎日の食事を摂っているという状態で来院なさるわけです。

当然ながら皆さんなんとか工夫しているわけですが、これにより筋肉に癖がついていたり、舌などの位置や形態が変化したり、はたまた脳細胞の働きにも健全な時とは異なる現象を抱えてる場合すらあります。
また、入れ歯はその形によって具合の良し悪しがかなり左右されます(のちに詳述します)。

なので、型を摂って、噛み合わせを合わせたら「はい、出来上がり」と言うものではなく、「体の動き」を健全に近づける「治療用義歯」が必要であると私は考えています。

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部分入れ歯の臨床の難しさはいくつかその理由がありますが、一番はやはり「異物感」。
何しろ、髪の毛1本でも簡単に識別してしまうお口の中ですから、ちょっとした突起、膨らみ、といっった舌触りから始まり、歯茎との隙間、浮き上がりなどいくらでもその要因はあるわけです。

そういう「異物感の塊」みたいなモノを使ってもらうためには、慣れるためのステップを確立し、手順を踏んでいく必要があると考えています。

おそらくほとんどの歯科医院では新しく入れ歯を作ったら「使ってみて具合の悪いところは調整しますね」という対応ではないでしょうか?
かく言う私も、十年ほど前まではそんな対応でした。

しかし、それでは使ってみて自分には合わないと感じたら、そのまま使わなくなる患者さんが出てきて当然。

入れ歯は作ったら終わりではなく、患者さんの経験値に合わせた慣れるためのプログラムが大切です。



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歯を失い、その失ったことによってできるスキマをそのままにしておくと、歯並びや噛み合せに影響が出るだけでなく、頬の筋肉や舌の動きに無理がかかります。

もちろん、それは自覚症状が出るほどのものではありませんが、やはり長期間にわたると様々な障害がでる可能性があります。

そこで入れ歯を入れる事により、まず顎の位置が安定すると、

舌機能、嚥下機能が向上します

入れ歯を入れる事により、噛み合せが安定すると、

咀嚼機能が改善することにより、唾液分泌量が増え、腸蠕動運動が活発になります

そして、ピッタリとした入れ歯は、

食塊形成が容易になり、嚥下機能が向上します

食事を摂るというのは、噛んで飲み込んで消化されて初めて目的を達するものです。

それらがスムーズにおこなわれるような手助けが、入れ歯の大切な役割なのです。



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昨日投稿した、「部分入れ歯の説明を経験値によって内容をパターン化する」ですが、その全ての話しの前提として、

「取り外しの入れ歯を作る目的」

または、

「なぜ、それが必要なのか」

を患者さんに理解してもらうということ私は重視しています。

よく、噛めるようにするためと思っている方が多いのですが、私は「健全な摂食嚥下の構築のため」と考えています。

例えば、奥歯の一部だけが失われていても、他のところで噛めるからという理由で入れ歯を使わないという人は本当に多いです。
一度作ってみたけど具合が悪かったから使っていないという人も。
そしてそういう人は、入れ歯がなくてもひとまず「食べられる」わけです。

そういう方に「良く噛めるように」という言葉では説得力がありません。

そして、部分入れ歯の処置は、患者さんの理解と協力がなければ上手くいかないと考えています。

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