2006年01月13日

安全と楽しみは、同時に手に入るのか?!

SSIの「ダイブビジネスインターナショナル」というインストラクター機関紙に、記事を依頼されて「安全と楽しみ」について書いてみました。


そのまま載せますね。




ダイビングの現場において、安全管理は絶対的なものです。

出来るだけではなく、完璧を目指すのです。もちろん人間のすることですから、完璧を目指しても完璧はあり得ないのですが・・・だからといって「出来るだけ頑張ります」みたいな曖昧さは、プロには許されることではありません。


それにはダイビングのゲストが、出来ることが前提ではなく、出来ない事を前提に安全計画を立て、それに対する準備をすることが大切になります。そして、その上で現場の状況に応じて的確に臨機応変な対応できるようにならなくてはいけないのです。


ならばといって、ダイビングは危険だからとゲストに言ったんではゲストはダイビングを楽しむどころじゃなく、続ける事もしなくなるでしょう。軍隊形式の体育会系で安全管理をするのはたやすい事ですが、楽しみを提供するサービス業とすれば最低の安全管理といえるでしょう。


ならば「安全と楽しみ」は相反するものなんでしょうか?!答えは、NOです。安全と楽しみは、両方を同時に手に入れることが出来るのです。


海況が悪ければ、どう潜るかではなく中止にする状況判断力が重要です。

講習もファンダイブも、一番不慣れなゲストを基準に実行することです。

人数比は基準ギリギリまでではなく、ゲストのレベル・人数・海洋環境・ダイビングスタイルに合わせて「より安全」に考えて実行することです。

決してゲストの方たちを焦らせてはいけません。のんびりと楽しみたいのに、時間に追い立てたらストレスがたまるだけです。ストレスがたまったら安全でもなく、楽しくもないのですから・・・


そのような場作りと、ゲストには見せないシビアな安全管理を同時に実現し、楽しくて安全なダイビングを楽しんで頂くのが、私達プロフェッショナルの使命なのではないでしょうか。



またサポートのアシスタントは必要です。お店でダイブコン(ダイブマスター・アシスタントインストラクター)やインストラクターコースを集客することも大きなメリットになります。

ステップアップコース、特にリーダーシップコースのゲストが多くなると、お店全体のゲストが「上手くなりたい!」とステップアップを自然にするようになるのです。

ステップアップコースが売れる事は、ゲストの安全性もあがりまたお店の売り上げにも繋がりますから、まさに一石二鳥の効果なのです。

ステップアップをすることはゲストにとって楽しみになるのです。人には知識欲もあり、技術の習得も楽しみになります。また後輩のダイバーに頼られたり、信頼されたり感謝されたりする事は、新たな自分自身の発見にもなり誇らしいものなのです。



いかがですか?!安全と楽しみを提供する事が、同時に実現できる事を理解して頂けたと思います。どちらかを実現するのに、どちらかを犠牲にするのは「出来るインストラクター」のする事ではないのです。

出来るインストラクターは、どちらも手に入れることが出来るのです。


千葉裕


この記事へのトラックバックURL