マネジメント寺子屋「日新塾」

《おかげさまです思考(生命論パラダイム)に基づく「ドラッカーマネジメント」》



                ■ マネジメントとは、「組織をして生産的ならしめるもの」である。
                ■ 組織とは、「特定の目的・ミッションを共有した集合体」。       



カテゴリ : 七つの事業の目標と一つの条件

事業の定義は、目標に具体化しなければならない。そのままでは、いかに良く出来た定義であっても、優れた洞察、よき意図、よき警告にすぎない。 


マーケティングの目標

 目標設定においても、中心となるのはマーケティングイノベーションであるなぜなら、顧客が代価を払うのは、この二つの分野における成果と貢献に対してだからである

 マーケティングの目標は一つではない。複数存在する。つまり、既存製品についての目標、②既存の製品の廃棄についての目標、③既存の市場における新製品についての目標、④新市場についての目標、⑤流通チャネルについての目標、⑥アフタサービスについての目標、⑦信用供与についての目標である。  


 これらマーケティングにかかわる目標については、すでに多くの文献がある。しかしいずれも、これらの目標が、実は次の二つの基本的な意思決定の後でなければ設定できないことを十分強調していないすなわち、「集中」の目標「市場地位」の目標である


 古代の偉大な科学者アルキメデスは、「立つ場所を与えてくれれば世界を持ち上げて見せる」と言った。アルキメデスの言う「立つ場所」が、「集中すべき分野」である「集中すること」によって、初めて世界を持ち上げることができるしたがって集中の目標は、基本中の基本というべき重大な意思決定である集中についての目標があって初めて、「われわれの事業は何か」との問いに対する答えも、意味のある行動に換えることが出来る


 マーケティングの目標の基礎となるもう一つの基本的な意思決定が、「市場地位の目標」である。市場地位の目標というと、「市場においてリーダー的な地位を占めたい」とするか、「売り上げさえ伸びれば、市場シェアなど気にしない」とするのが普通である。いずれももっともに聞こえる。だが、いずれも間違っている

 あらゆる企業が、同一の市場において、同時にリーダー的な地位を占めることはない


 逆に、いかに売り上げが伸びたとしても、市場シェアが小さくなり、市場の拡大の方が自らの売り上げの伸びよりも急であることは芳しくない市場シェアの小さな企業は、やがて限界的かつ脆弱な存在となる。売り上げの伸びとは関係なく、市場シェアは企業にとって致命的に重要である限界的な存在にならないための下限は、業種によって違うしかし「限界的な存在になる」ということは、長期的に見たとき企業の存続にとって極めて危険である


 ところが、たとえ独占禁止法が存在していなくとも、「それ以上大きくなると賢明ではない」という上限もある市場を支配すると惰眠をむさぼる自己満足によって失敗する市場を支配すると、組織の中に革新に対する抵抗が出てくる外部の変化に対する適応が危険なまでに難しくなる

 市場の側にも、独占的な供給者に依存することに根強い抵抗が出てくる。メーカーの購買担当者にせよ、空軍の調達官にせよ、あるいは家庭の主婦にせよ、独占的な供給者の支配下にあることを好まない


 しかも急速に拡大しつつある市場、特に新しい市場においては、独占的な供給者の業績は、力ある競争相手がいる場合よりも劣ることが多い。矛盾と思われるかもしれない。事実、ほとんどの企業人がそのような考えをとっていない。しかし新市場、特に大きな新市場は、供給者が一社よりも複数である方が、はるかに速く拡大する傾向がある

 市場の八割を占めることは気持ちの良いことかもしれない。だが、百の八割は二百五十の五割よりも小さい。供給者が一社の場合、市場は百でとまる。製品の用途を勝手に決め込む独占的供給者の想像力不足によって、限界が設けられる。供給者が複数のとき、一社では想像もできない市場や用途が発見され、開発される。市場は急速に二百五十へと拡大する

 

  (デュポン社は早くからこのことを理解していた。同社はイノベーションを成功させたとき、独占的供給者の地位を維持するのは、開発コストを回収するところまでである。その後は、特許の使用権を与えて競争相手をつくる。その結果、多くの企業が市場や用途の開発を始める。

ナイロンも、このようないわばデュポン社後援とも言うべき競争がなければ、その市場の成長はかなり小規模なものに止まっていたはずである。競争がなければ、千九百五十年代の初め、新しい合成繊維が、アメリカではモンサントとユニオン・カーバイドの両社によって、イギリスではインペリアル・ケミカルによって、オランダではAKUによって市場に持ち込まれたとき、市場は衰退を始めていたに違いない。)


 市場において目指すべき地位は、「最大」ではなく「最適」である

                  『マネジメント(P・ドラッカー)』より 
  『マーケティングについて19項目・経営の哲学』 《http://bit.ly/QeIsel》  
  『事業の目標(その2)・イノベーションの目標』へ続く 《http://bit.ly/UhsRsR

 
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イノベーションの目標

イノベーションの目標とは、「われわれの事業は何であるべきか」との問いに対する答え具体的な行動に移すためのものである。いかなる企業にも三種類のイノベーションがある。すなわち、製品とサービスにおけるイノベーション、②市場におけるイノベーションと消費者の行動や価値観におけるイノベーション、③製品を市場へ持っていくまでの間におけるイノベーションである。

 イノベーションの目標を設定するうえでの最大の問題は、イノベーションの影響度
要度の測定の難しさにある

 (包装に関する即座に利用可能な小さな改良百件と、あと十年の努力によって業容を一変させるに違いない化学上の発見一件の、いずれが重要か。この問いに対する答えは、デパートと製薬会社では違うし、製薬会社でも会社によって違う。)

イノベーションの七つの機会
(ⅰ)予期せぬこと

 ・予期せぬことは、ビジネスの現実が変わったことを示唆する。したがって、予期せぬことへの認識と理解がイノベーションの機会となる。予期せぬこととは、自らにとっての予期せぬ成功であり、予期せぬ失敗である。あるいは、顧客、取引先、競争相手の予期せぬ行動である。「万全を尽くしたうえでの予期せぬ失敗が変化と機会を教える」。


(ⅱ)産業構造の変化と地域間格差

 ・産業構造が変化するとき、大きな機会が生ずる。静かな革命により、この種の機会が急速に増大した。


(ⅲ)ギャップの存在

 ・予期せぬことと同様、顧客が欲しているものと、顧客が欲していると企業が考えるものとの間に存在するギャップがイノベーションの機会となる。低価格の新興航空会社ジェットブルーは、他の航空会社が旅客の輸送に注力している中にあって、専用待合室、革張りシート、多チャンネルTVなどのサービスを充実させ、旅行を快適なものにすることによって利益をあげ、成長を続けてきた。「需要が大きいのに利益があがらないというギャップがあるならば、そこにイノベーションの機会がある」とするドラッカーの言葉通りだった。

(ⅳ)ニーズの存在
           

 ・何かが欠けているとき、困難なとき、有効に機能していないとき、そこにイノベーションの機会がある。とくに進行中の静かな革命のもとにあって、情報を武器として、満たされないニーズに応えようとするベンチャーが輩出している。たとえば不動産の世界では、かつては一般の顧客が十分な情報抜きに膨大な買い物をさせられていた。今日では家を買うものの80%が、まずインターネットで情報を得ている。


(ⅴ)人口構造の変化

 ・家具大手小売りのイケアは、金はあまりないが洒落た家具を買いたいという層の増大を受けて、組み立て式の半製品家具に力を入れた結果、世界中で受け入れられ、2005年には年間売り上げ180億ドルという人気ブランドに成長した。


(ⅵ)認識の変化

 ・「認識の変化は事実を変えない。しかし、事実の解釈を変える」。最近起こった認識の変化の最たるものがアメリカ人のオンライン取引への態度である。アメリカ人がオンライン取引に抵抗感を持たなくなったのが、ついこの間の2000年の初めだった。急にアメリカ人の認識が変わり、普通の人がオンラインで取引を始めた。2005年には、4000万世帯が年間一度はオンラインで支払いをするようになった。今ではオンライン取引のできることが、一般人の銀行選びの存在理由の一つにまでなっている。


(ⅶ)新しい知識

 ・リードタイムが長くリスクは大きいが、インパクトの大きなイノベーションの機会が発明発見の類である。

             『マネジメント(P・ドラッカー)』より
 『イノベーションについて9つの要点・経営の哲学』《http://bit.ly/SNlq0b》  
 『事業の目標(その3)・経営資源』へ続く《http://bit.ly/WMv7um》 

 
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経営資源の目標

 企業が業績を上げるうえで必要とする三種類の経営資源それぞれについても、目標が必要である。それら経営資源の獲得に関わる目標である。二百年も前から経済学者が言ってきたように、経済活動には三つの資源が必要である。労働つまり人材、土地つまり物的資源、資本つまりは明日ための資金である。これら三つの経営資源を確保しなければならない。


 特に良質の人材資金を引き寄せることが出来なければ、企業は永続できない。産業全体としてみても、その衰退の最初の兆候は、有能でやる気のある人間に訴えるものを失うことである。

 

 (アメリカで鉄道が衰退したのは第二次大戦後ではない。第二次大戦後それが明らかになり、かつ回復不能となったにすぎない。実際の衰退が始まったのは第一次大戦のころからである。第一大戦前には、技術系の有能な若者が鉄道に職を求めていた。ところがやがて、理由は何であれ、鉄道は技術系に限らず、いかなる分野の高学歴の若者にも魅力のない職場になってしまった。) 


 人材と資金の獲得に関しては、特にマーケティングの考え方が必要である

われわれが必要とする種類の人材を引き付け、かつ引き留めておくには、わが社の仕事をいかなるものとしなければならないか」「獲得できるのは、いかなる種類の人材か。それらの人材を引きつけるには何をしなければならないか、あるいは銀行借り入れ、社債、株式などわが社への資金の投入を、いかにして魅力あるものにしなければならないかを問うことである。


 これら経営資源に関わる目標は、二つの方向において設定しなければならない一方の出発点は、経営資源に対する自らの需要である自らの需要を市場の状況との関連において検討しなければならない他方の出発点は、市場であるそれらの市場の状況を、自らの構造、方向、計画との関連において見ていかなければならない

                『マネジメント(P・ドラッカー)』より

 『経営資源の生産性について・乱気流の経営』《http://bit.ly/TlQ7Gm》  
 『事業の目標(その4)・生産性の目標』へ続く《http://bit.ly/TMVxeV》 

 
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生産性の目標

 経営資源を手に入れ、それを利用することは第一歩にすぎないそれらの経営資源を生産的なものにすることが課題であるあらゆる企業が、人材、物的資源、資金という三つの経営資源について生産性の目標を設定しなければならない同時に、生産性全体についての目標を設定しなければならない


 (企業の各部門のマネジメントや、企業間のマネジメントを比較する上で、最良の尺度が生産性である。入手する経営資源はほぼ同じである。独占というまれな状況を別すれば、いかなる分野においても、企業間に差をつけるものはマネジメントの質の違いである。このマネジメントの質という致命的に重要な要因を測定する一つの尺度が、生産性すなわち経営資源の活用の程度とその成果である。)


生産性の向上こそ、マネジメントにとって重要な仕事のひとつである困難な仕事のひとつであるなぜならば、生産性とは「各種の要因の間のバランスをとること」だからであるしかもそれらの要因のうち、定義しやすいものや測定できるものは少ない。たとえば、人材は三つの生産要素のひとつに過ぎない。人材の生産性の向上が他の経営資源の生産性の低下によってもたらされたのであれば、全体の生産性は低下しているかもしれない


 生産性とは
難しいコンセプトである。だが、それは中心となるコンセプトである。生産性の目標がなければ方向性を失うコントロールもできなくなる

               『マネジメント(P・ドラッカー)』より


  『生産性についての11項目・経営の哲学』 《http://bit.ly/T7JOWY》 
  『事業の目標(その5)・社会的責任の目標』へ続く 《http://bit.ly/SJDlW1

 
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社会的責任の目標

 わずか数年前まで、経済学者もマネジメントも、「社会的な責任は無形であって、それに目標設定することはできない」としていた。しかし今日、われわれはこの無形のものが極めて有形たりうることを知った消費者運動や、環境破壊に対する攻撃は、企業が社会にあたえる影響について自ら徹底的に検討し、目標を設定しなければならないことを学ぶための高価な授業だった

 企業にとって、社会との関係は自らの存立に関わる問題である企業は社会と経済の中に存在する。ところが企業の内部にあっては、自らがあたかも「真空に独立して存在している」と考えてしまう。事実マネジメントの多くも、自らの事業を内部から眺めている


 しかし企業は、社会と経済の中に存在する被創造物である社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力を持つ企業は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済が、その企業が「有用かつ生産的な仕事をしている」と見なすかぎりにおいて、その存続を許されているにすぎない

 社会性に関わる目標は、単なるよき意図の表明ではなく、企業の戦略に組み込まなければならない
。社会性の目標が必要となるのは、マネジメントが社会に対して責任を負っているためではない。それは、マネジメントがまさに企業に対して責任を負っているためである

             『マネジメント(P・ドラッカー)』より

 『社会的責任について16の要点・経営の哲学』より《http://bit.ly/QYtLvY
 『事業の目標(その6)・コストとしての利益』へ続く《http://bit.ly/TFzuqr》  

 
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