生産性向上の四つの条件

 自己実現の第一歩は、仕事を生産的なものにすることである。仕事が要求するものを理解し、仕事を人の働きに即したものにしなければならない。科学的管理法すなわち仕事の客観的な組み立ては、自己実現に矛盾しない。別のものであっても、補い合うものである。


 仕事を生産的なものにするには、四つのものが必要である。すなわち、

(ⅰ)分析である仕事に必要な作業と手順の道具を知らなければならない

(ⅱ)総合である。作業を集めプロセスとして編成しなければならない

(ⅲ)管理である。仕事のプロセスの中に、方向づけ、質と量、基準と例外についての管理手段を組み込まなければならない

(ⅳ)道具である。


成果を中心に考える

 さらに基本的なこととして、成果すなわち仕事からのアウトプットを中心に考えなければならない技能や知識など仕事へのインプットからスタートしてはならない。それらは道具に過ぎない。「いかなる道具を、いつ何のために使うか」は、アウトプットによって規定される作業の組み立て、管理手段の設計、道具の仕様など必要な作業を決めるのは成果である


 これらのことは、これまで肉体労働についてのみ研究され、開発されてきた。ほとんど人が肉体労働に携わっていたからである。生産物のほとんど全部が、肉体労働によって作られていた。しかし今日、肉体労働は重要性を失いつつある。


 今日では、肉体労働に対するのと同じアプローチ、コンセプト、原理を肉体労働以外の仕事に適用しなければならない。既に肉体労働のためのものが、大きな修正もなしに、情報の処理つまり事務の仕事に適用されることが明らかになっている。サービスの仕事も、そのほとんどは、ものを生産する仕事と大差はない。意外なことかもしれないが、肉体労働と同じアプローチ、原理、方法は、既存の知識の習得と応用という仕事にも適用できる


 肉体労働についての体系的な方法論を適用できるかどうかが明らかでない唯一の分野は、発明や研究など新知識を生み出すための活動である。しかし、適用できると信じるに足る理由はある。


  (事実、十九世紀における最も生産的な発明家エジソンは、体系的な方法によって、発明という仕事の生産性を上げた彼は常に、欲する製品を定義することから始めた次に発明のプロセスをいくつかに分解し、相互関係と順序を明らかにしたプロセスの中のキー・ポイントごとに管理手段を設定したそして基準を定めた。)


 今日のところ、われわれは断片的な事例をいくつか手にしているにすぎない。それらは、可能性を示すには十分であっても、全貌を明らかにするには十分ではない。方法論というものに限界があることは言うまでもない。作家としての具体的な仕事は方法論の枠内にあるとしても、ビジョンは方法論の枠外にある。しかし科学上、もしくは産業上の新知識を求めるための組織的な探求の活動のほとんどは、そのような方法論の枠内に収まるはずである。

       『マネジメント(P・ドラッカー)』より

 

 

 

 
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