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『今宵、フィッツジェラルド劇場で』を観た。

ロバート・アルトマン監督の遺作。

邦題が秀逸。

 

『ロング・グッドバイ』フィリップ・マーロウな導入部…演じるエリオット・グールド、じゃないケビン・クラインはあちこちで小ネタを披露。

閉館前の公開ラジオ局「フィッツジェラルド劇場」で、引退間近の出演者たちの一夜を、静かに見つめるアルトマンお得意の群像劇。

『ナッシュビル』の後日談を思わせる、愛すべきカントリーシンガーの面々。

 

年老いて、枯れ果てて、いつしか時代に取り残されて…

歌手の一人、メリル・ストリープ演じるヨランダの一言。

「歩けなくなるまで続けたいの、ボケてなければ…」

 

アレクサンダー・ペイン監督『サイドウェイ』で輝けるカムバック、

ヴァージニア・マドセン演じる“白いコートの女”の一言。

「老人の死は、悲劇じゃない。」

 

まるで、アルトマン監督の遺書の様な台詞たち。

逝くときは、もう心得てる。

だから「その時が来たら、そっとしておいて欲しい」と言っているような…

 

好きな役者と、好きな音楽で、今までの映画制作に対する思い出を、静かに振り返る物語。

三遊亭円楽師匠に観て欲しい。

飯島愛にはまだまだ…

 

誰かがラジオで「引退したら、棺桶に片足突っ込んだようなモンだ」って言ってた。

深谷シネマの前身、諸事情で閉館を余儀なくされたフクノヤ劇場で、ひっそりと上映したかった。

最後に、第78回アカデミー名誉賞を受賞された時のスピーチ。

 

「映画作りは、海岸で砂の城をつくるようなもの。友達をみんな呼んで美しい構造物を作るんです。完成したら、一杯片手に波が押し寄せるのを見つめる…いつしか波が城をさらってゆくが、その砂の城は記憶に残る。今まで砂の城を40ほど建てましたが、ちっとも飽きません。

私ほど恵まれた映画監督はいないでしょう…意志にそぐわない映画を撮ったことがありません。

映画作りが大好きです…」(ロバート・アルトマン)