「ミュージック・イン・ミュージアム」苫小牧2016


23日の土曜日は、出光興産主催のコンサート・シリーズ「Music in Museum=ミュージック・イン・ミュージアム」の苫小牧公演でした。プロデューサーを仰せつかっているこのシリーズも11年目。今年は「昼下がりのハーモニー」というお題にして、音楽そのもののハーモニー、和と洋のハーモニー、アーティストと聴衆のハーモニーを楽しんでもらいました。

出演してもらったのは、北海道をベースに活動している女子たち編成した弦楽アンサンブルと、和楽器オーケストラ「あいおい」の尺八チーム、そこにゲストとして、ドイツ在住の若手ヴァイオリニストの毛利文香嬢を迎えました。毛利嬢は期待通り、ビバルディの「夏」でキリッとした素晴らしい演奏を聴かせてくれました。9月上旬にお隣の越前市で開催される「武生国際音楽祭」にも出演するとのこと、再会が楽しみな逸材です。

プログラム的には、しっとりとしたストリングスの潤いをじっくり楽しんでもらえる「洋」の音楽、新しい感覚を取り込んだ「和」の音楽、尺八を混ぜ込んだ編曲ものと、多彩なプログラムに仕立てました。最初は冒険と思ったのですが、尺八の響きが意外にマッチして、編曲物でもいつもとはまた違った新鮮な響きが生まれ、今年も大盛況に終わってホッとしています。

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鳥越さん、また逃げ、ですか!?


「赤坂プリンスホテル」、懐かしい名前をきのう耳にしました。それがあった場所に「東京ガーデンテラス紀尾井町」というホテルが27日開業するというニュースで聞いたのです。そのニュースを耳にして、昔のことを思い出しました。そう、いま話題の鳥越さんのことです。というのも、私はかつて、「赤坂プリンスホテル」の玄関で、鳥越さんに体当たり取材を試みて逃げられたことがあるのです。

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あれは1994年1月のことですから、20年以上も前のこと。私は当時、社会部の記者で宮内庁詰めでした。ある日、出掛けたパーティーで中国と関係の深い知り合いから奇妙なことを聞きました。「中国大使館の知り合いが騒いでいるんだがねえ………。テレビ番組出ていた中国の軍人の制服がどうとか言っていたが、田中さんは何か聞いてる?」。その話が気になって仕方がないので、調べてみると、なんとテレビ朝日系列の「ザ・スクープ」という番組がヤラセを行っていたのです。その番組のキャスターが誰あろう、鳥越さんでした。

どんなヤラセが行われていたのか……。その前年93年9月11日に放送された「死刑囚の臓器が売買されている!? 中国の処刑場に潜入追跡」の中で、下請けの映像制作プロダクションが現地で雇ったコーディネーターに武装警察の警官の格好をさせ、「死刑囚の臓器摘出に立ち合った」と証言させていたのです。中国留学経験があるだけに、私とて中国でそれが横行していない、とは断言はしません、しかしだからといって、事実をねじ曲げて報道してしまってはジャーナリストとしては元も子もありません。

番組でヤラセがあり、テレビ朝日が裏で密かに中国政府に謝罪していることを、《死刑囚の臓器売買で報道番組 / テレ朝、中国政府に謝罪 /  「関係ない人が公安の服」》という記事にしたのは、94年3月5日付の紙面でした。その直後です、「赤坂プリンスホテル」の玄関で鳥越さんにバッタリ出会ったのは。当然、私は名刺を手に鳥越さんの元へ。私からのコンタクトはそれまで門前払い、その一方でオフレコなら自分の立場について話すという話が知り合いから届き、オフレコ?と混乱していたからです。しかしこうやって会った以上、ジャーナリストの先輩としての生の声が聞ける……。ところが、名前を告げた途端、鳥越さんは目を剝いて逃げて行ったのです。そう、説明責任から逃げるというのは、いまに始まったことではないのです。

私の記事でヤラセの事実と中国政府への謝罪を隠し切れなくなったテレビ朝日は結局、直後の「ザ・スクープ」の放送の中で鳥越さん自ら「事実と異なる内容が含まれていた」と報告、4月1日の定例会見でテレビ朝日の社長が陳謝、さらにその後、検証番組も放映しました。ところが……。この検証番組が外部の制作会社のせいにして、「自分たちも被害者」といわんばかりのひどい内容でした。

このヤラセ事件が起きる直前の93年8月、世間は“非自民”の細川政権の誕生に湧いてました。それを受けて、当時のテレビ朝日の椿貞良・報道局長が9月21日の日本民間放送連盟(民放連)の放送番組調査会で、“自民党を悪代官のイメージに、野党側を善人のイメージにした、新政権はテレビ朝日が作った”という主旨のことを放言、その事実を10月に産経新聞が報道、国会で取り上げられる大騒ぎに発展していました。

そこにヤラセ事件の発覚……。立て続けの不祥事で、監督官庁である郵政省から放送停止を命じられることを怖れたテレビ朝日の首脳陣がなんとか事を穏便に済まそうというのはまだ解ります。しかし、鳥越さんはジャーナリストを“自認”している人。「君は現場をどれだけ知っているのか?」という言葉をいまも、他者には連発しています。しかし、自分はあの時、現実から逃げました。ヤラセの連帯責任を問われないためか、自分は原稿を読んでいるだけ、と逃げたあの時の対応は、図らずも、自らの名前を付けてスタートさせた番組に、実は“ジャーナリスト”という立場で関わっていないのだということを露呈させました。

そんなことを思い出していたら、面白いニュースが飛び込んで来ました。鳥越さんが淫行疑惑で報道されたことに対し、記事を掲載した「週刊文春」を刑事告訴、それに橋下徹・前大阪市長が「公人がメディアから追及を受けた場合には、例え事実無根でも、まずは取材に応じて説明すべき」と主張。「こんな程度で逃げ回っているようでは、知事になる資格なし」、「自ら徹底してメディアに説明できないなら公人になる資格なし」、「鳥越さんもいつもそんなこと言ってたでしょ?有言実行しなさい。逃げずにすぐに囲み取材を」と求めたというのです。

なぜ面白かったのか……。その批判は、橋下さんが鳥越さんをジャーナリストと勘違いしているからこその批判だからです。説明責任を果たさないのは、なにも今に始まったことではないわけで、この場合、鳥越さんをジャーナリストと思っている橋下さんが間違っています。私は20年前の彼の対応から、彼をジャーナリストを装うタレントと思ってきました。

実は数日前、放言でテレビ朝日を去った椿氏が昨年末に79歳で鬼籍に入っていたこと、福井生まれで高校の先輩だったということを知りました。鳥越氏、椿氏、赤坂プリンスホテル……。縁の深い3つのキーワードをこの数日の間にまとめて耳にする、これも何かの因縁かもしれません。

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南シナ海の波高し


中国の焦りが伝わってくるようです。中国がまた19~21日にかけて、南シナ海で軍事演習をすることが明らかになりました。5~11日にかけて、ベトナムと領有権を争うパラセル諸島(中国名:西沙諸島)を含めた海域で演習をやったばかり。この時は、広東省・湛江(たんこう)に司令部を置く南海艦隊などを中心におよそ百隻の艦船と数十機の軍用機が参加、中国海軍トップの呉勝利司令官がわざわざ指揮を取る大規模なものでしたが、19日からの演習は海南島の南東海域で行われ、島しょ上陸作戦などが中心になると見られています。

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焦っているのは、「陸」と「海」から米国の締め付けが強まっていることを強烈に感じ取っているからです。「陸」の方はこの8日、韓国が米国製の最新鋭ミサイル防衛システム「THAAD=サード」を在韓米軍に配備することが決まりました。「サード」は敵の弾道ミサイルを高度150キロ以内の上空で打ち落とすミサイル・システムで、北朝鮮の長距離弾道ミサイルに対抗するための兵器ですが、付属のXバンドレーダーの探知距離が5000キロと長く、国内が丸見えになる中国が配備に強く反対していました。韓国は中国の顔色を伺って配備を渋っていたのですが、その反発を押し切っての決定です。

「海」の方はこの12日、南シナ海の領有をめぐり、フィリピンが国連海洋法条約違反だとしてオランダ・ハーグの仲裁裁判所に提訴していた仲裁手続で、中国の管轄権を否定する裁定が出たことです。南シナ海の地図の上に9つの線からなる「九段線=きゅうだんせん」を勝手に引き、それで囲まれるエリア(南シナ海の大部分!)を中国は「自国の領海」と主張。フィリピンやマレーシア、ベトナムなどの周辺国からの抗議を無視し、強引に岩礁を埋め立てて軍事拠点を建設してきました。それに対して裁定は「中国側が主張する歴史的な権利には法的根拠が無い」として、中国の管轄権を全面否定。同時に、人工島から200海里までを排他的経済水域(EEZ)としてきた中国の主張も、人工島はEEZ設定の根拠にはならないと退け、人工島周辺で自然環境を破壊していると、これまでの傍若無人な中国の動きを断罪しました。

当然、立て続けに面子丸つぶれになった中国の怒りは凄まじく、「サード」の配備については中国外務省が「中国を含む関連国の明確な反対を考慮せず、配置を選んだ」として「強烈な不満と断固たる反対」を表明。12日の裁定の時は、国営の新華社通信がすぐさま、「一帯の島々は古来より中国の領土。政府は今回の判断に基づくいかなる行動も受け入れない」という習近平国家主席の発言を速報。中国外務省も「判断は無効で何の拘束力もない」という声明を出しました。

さらに米国政府の声明がそこに油を注ぎました。国務省のカービー報道官が「国連海洋法協約に明示されてあるように、仲裁裁判所の決定は最終的なもので法的拘束力がある」という声明を出したのです。ところが……。なんとその米国は、199カ国が加盟し、67カ国の批准を経て発効したこの国連海洋法協約に加盟していないのです。国連の常任理事国では米国だけです。条約が採択された当時のレーガン大統領は参加を拒否、議会による批准もいまだ行われていません。力を背景に米国の商船や軍艦が自由に航行出来るのに、加盟すればそれが制限されると考えたからですが、中国にしてみると、「自国の既得権を諦めないくせに、協約に加入した我々に国際法の遵守を要求するとは太い野郎だ!」と映っているはずです。

故に怒りは沈静化せず、きのう18日には、北京を訪問した米海軍制服組トップであるリチャードソン作戦部長と行った会談で呉勝利司令官が「南シナ海は中国の核心的利益。領土の主権で、我々の譲歩を期待するべきではない」と言明。「中国海軍は、いかなる権利の侵害と挑発にも、対応する準備が十分できている」と述べ、「我々は島しょの建設を途中で投げ出すことはしない。いかなる国、いかなる人物が圧力を加えようとも中国は計画に基づいて島しょの建設を完成させる」と啖呵を切るという事態になりました。

日本に勝利したことで、米国は戦後、“不沈空母・日本列島”を拠点に勢力圏をアジアに広げ、日本〜沖縄〜尖閣〜台湾〜フィリピンを結ぶ、いわゆる「第1列島線」で中国と対峙することになりました。双方の力がぶつかったのが朝鮮戦争であり、ベトナム戦争もその代理戦争とみることもできます。呉司令官は今回の会談で、啖呵を切る一方で米中間での軍事的な対立は望んでいないとも述べていますが、彼らが南シナ海への野心を捨てず、国内向けにベタ降りするわけにもいかないとなると、不測の事態はどこにでも転がっているということになります。いつまでも平和ボケでいるわけにはいかないのです。

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