Franklin@Filbert

サンフランシスコ・ベイエリアでのあれこれ

先日、子供たちを連れて昼時にSan Mateo界隈を通りかかったので、このあたりでランチしようという流れになり、では、どこに行きたい?と聞いてみたら、ぴろ子が 「Foreignerってお店がオススメだよ」と言うのでその店に行ってみました。

なんでも、トーストやキッシュ、クレープを出す店なのだとか。お店はダウンタウンにありました。

店先には行列ができていたので、これは入れないのでは...と悪い予感がよぎりましたが、杞憂でした。この店は半カフェテリアスタイルで、まず入口にあるキャッシャーでオーダーしてお金を払い、ページャーを受け取って空いている席に勝手に座るというスタイルでした。

"半" カフェテリアと書いたのは、オーダーした商品は店員さんが配膳してくれるからです。普通、カフェテリアだとページャーがピーピー鳴ったらお客がオーダーした皿を取りに行きますが、この店のページャーは、オーダー主がどこに座っているかを店側に知らせるためのもののようです。面白い!

こういうふうにサンプルが並ぶ店ってアメリカでは珍しいですよね。どれにするか目移りします。
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店内はシンプルながらもモダンなデザインですごく好印象です。

ぴろ子のアボガドトースト
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ぴろ太郎のヌテラチョコレートクレープ
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そして、僕はエッグベネディクト
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なんだか馬鹿の一つ覚えみたいですが、僕はどうしてもこういう店に来てエッグベネディクトがあるとそればかりオーダーしてしまいます。昔、誰かにポーチドエッグって特殊な技術がないと作れないんだよーみたいなことを吹聴されて、そんな特殊なものならそれを食べなくちゃって思い込んでしまったんですが、ポーチドエッグって単にお湯の中にタマゴ入れただけですよね?

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店の前にはテラス席もあって、良い雰囲気のお店でした。ミモザ行っときたかったなー(この日は断念)。また再訪します。

藤井風というちょっと斜に構えた男性歌手がおります。以前、紅白にも出たのでその存在は知っていましたが、ほほうこんな歌手がいるのねーくらいな程度に感じていて、特に好きでも嫌いでもありませんでした。

たまたまYouTube見ていたら彼の歌う木綿のハンカチーフがあがっていました。こちらは彼が20歳の時のものらしいので結構前に録画されたもののようです。



木綿のハンカチーフは懐メロとしてよく取り上げられるので、そのメロディは知っていましたが、歌詞はまったく知りませんでした。

今回、藤井風が歌うのを見て、この歌は男性と女性のやり取りになっていることを知り、今更ではありますが、あぁ、失恋の歌だったのことを知りました(彼が最近歌ったと思われる木綿のハンカチーフのショート動画では、もっとはっきりと男女の歌い分けをしていましたが、それが見つからず...)。

そんな訳で、藤井風に一目置くようになり、たまたま8月に彼がSan Franciscoでコンサートをすることを知りました。おぉぉー、さくっと行ってみようかなーとチケットを調べたら...

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なんすか、この値段は?

こんな額を出す価値はないかな。L.A.公演だと$200程度だったのに。

僕も良く分かっていないのですが、どうやらアメリカのコンサートチケットって市場で価格が決まるようで、転売もOKなのだとか。人気コンサートではまず会員等に優先販売して、あとは転売屋などが買って転売するのが認められているようで、転売防止などの措置はないのだとか。

コンサート前日に暴落したりするのでしょうか。売り切れるかな?

学校が夏休みに入って3週間が経過しました。

最初の1週間目は日本語補習校の集中学習があったため毎日San Franciscoまで子供達は通いました。

日本語補習校3年生のぴろ太郎と一緒に夏休みの宿題の計画を立てることにしたのですが、ぴろ太郎はその宿題の多さに絶望して泣き崩れてしまいました。ですが、実際には毎日少しずつ宿題を終わらせれば7月中にすべて終わることが分かり少し安心したようです。

昔懐かしの「夏休みの友」は補習校の宿題にはありませんが、国語や算数のドリル、漢字学習帳など多岐に渡り、加えて、詩、作文、読書感想文、はたまた自由研究まであります。

一朝一夕に行かないのが自由研究です。当初、ぴろ太郎は、何だったか忘れましたが、何やら壮大な研究をやると言っていましたが、どう考えても無理だし結果も出なさそうだったので、もう少し簡単なものに変更するように提案し、朝顔を育てることにしました。

早速、HomeDepotに行き、朝顔(Morning Glory)のタネを買ってきました。

芽が出るまでに1週間ほどかかると書かれていたので、ひょっとすると夏休み中に花が咲くまでいかないかも知れませんが、説明書きにあったようにまずはタネを一晩水につけて、翌日、植木鉢にタネを植えました。

ぴろ太郎は当初はそれほど乗り気ではなかったようですが、朝夕の水やりを率先してやってくれて、朝顔の芽がでるのを楽しみにしているようです。

芽がでるまでに飽きてしまうかもと懸念していましたが、植木鉢に植えてから3日目には双葉が出てくれました。意外と早い!

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芽が出ないタネも多々あるのだろうと思って、植木鉢の土に指で穴を開け、そこに2,3個のタネを入れたのですが、ほとんどすべて発芽したようで、双葉は二つぶつかり合うように伸びてきていました。

そこでDaisoに行き、大きめの植木鉢を買い求めて、密集した双葉を大きな植木鉢に移し替えました。

芽が出てくれたので、これからの成長はますます楽しめそうです。これなら8月中に花が咲くかな?


独身の頃に比べると外食の回数はぐっと減り、外食するにしても同じ店ばかり行くようになっていました。

そこで久々に新しい店でも行ってみようかとSan Mateoのダウンタウンのレストランを調べてみたら、麦蔵といううどん屋がオープンしていることに気づきました。

麦蔵って確かSan Franciscoの日本街にあったのは知っているのだけど、足を運んだことはありませんでした。調べてみたら、今では San Jose, Mountain Viewと4店舗も展開しているのですね。ラーメンひのでや、まるふくラーメン、カレーひゅうがもそうですが、昨今、日本食レストランのフランチャイズを多数見るようになりました。

麦蔵は予約を取らないらしく、オンラインでのWait Listに名前を乗せて現地に向かいます。

この日は夕食の時間がやや遅く午後8時近くなってしまったせいか、比較的すんなりと店内に入れました。

店内は天井が高くすっきりして、インテリアデザインも綺麗な和風テイストです。
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麺は自家製麺している様子で、ガラス越しに製麺機を見ることができました。
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この店のメニューはうどんがメインでアペタイザーはあまりありません。

天ぷら盛り合わせとトウモロコシかき揚げ
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肉うどん
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きつねうどん
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めんたいクリームソースうどん
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僕はめんたいクリームソースうどんをいただきましたが、カルボナーラ風なテイストで美味しくいただきました。

うどんは器が大きくて結構な量がありました。天ぷら盛り合わせとトウモロコシのかき揚げも結構なボリュームで、天ぷらは持ち帰ることになりました(持ち帰りは結構珍しい)。

また再訪したい店ですが、いかんせん、入店がウエイトリストになってしまうのが難点です。

うどん店といえば、この界隈だとPalo Altoの丸亀うどんがありますが、(少なくともPalo Altoの)丸亀なら待たずに入れるし、お値段もお手頃なので(カフェテリア方式という違いもありますが)、どちらを選ぶかと言われれば、個人的には丸亀に軍配があがりそうです(もちろん、場所も違うし、お店のシステムも違いますのでシチュエーションに合った使い方ができそうですが)。


麦蔵
73 E 3rd Ave San Mateo, CA 94401

ちなみに、オンラインのWaitlistはYelpにあります。

San MateoのEl Camino Real沿いにあるKaizen Coffee。

※写真はYelpより勝手に拝借
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交通量の多いEl Camino Real沿いだけど歩行者はほとんどおらず、駐車場もなかなか見つけにくいエリアな上、Kaizenなんて名前だからすぐに閉店しちゃうだろうと思いきや、もう1年以上営業を続けています。

名前からして胡散臭そうな店だなーと思っていたのですが、友人からこの店のコーヒーは絶品と聞き、ならば一度行ってみようかと店に入ってみたのが半年くらい前でしょうか。

店内は黒を基調に統一されたデザインで、モダンな雰囲気。席数は多くなくて、奥に長いカウンターとその脇にカウンターチェアがいくつかある程度。

面白いのはメニューでコーヒーの他に、黒胡麻ラテや味噌キャラメルラテなんてのも置いてあります。

その時は味噌キャラメルラテをいただきました。味噌の風味は言われないと分からないくらいに薄いのだけど、飲み込んだあとにふわりと味噌の独特の香りを感じることができました。


今日はフツーにコーヒーをオーダーしてみました。コーヒーはオーダーが入ってからドリップするタイプなので多少時間がかかりますが、出されたコーヒーはとても良い香りがする美味しい一杯でした。Togoの紙コップでいただいたのが残念でしたが(すぐに行かなければならなかったのでTogoでオーダーした)、きっとカップでいただいたらもっと美味しく感じたことと思います。

この日は朝8時半過ぎだったので路駐は店の前にできましたが、店内はすでに満席、混雑していて僕の前に4名ほど並んでいました。


お店があるのはEl Camino Real沿いですが、25th Streetに近い一角です。最近、このあたりに面白いお店が増えつつあります。注目のエリアです。

HillsdaleからSan Mateoダウンタウンに向かう途中にありますので、近くにお越しの際には是非寄ってみてください。おすすめ!

先週の週末はテルアビブにいる同僚らが無事なのか、どう過ごしているのか気になって仕方ありませんでした。

そんな日曜日、仕事で使っているSlackのチャンネルにTel Avivのチームのメンバーからのポストがありました。

てっきり、このような情勢だが我々は無事だから心配するなといった近況報告だとばかり思っていたのですが、内容は全く違いました。

今、進めている仕事のステータスでした。現在の状況については何も触れず、日曜日なのに仕事のステータスを送ってくるなんて...

翌月曜日。定例のGoogle Meetでのステータスミーティングが開かれました。Tel Aviv在住の上司、最近、Tel AvivからNew Yorkに引っ越してきたチームリーダーなども参加していました。

いつもなら「週末はどう?」みたいな雑談から入るのですが、この日は簡単な挨拶のあと仕事のステータス報告になり、淡々とミーテイングは終了。

彼らの住む街にミサイルが降り注いでいることには誰も触れませんでした。


ミーティングが終わると、ひとり、またひとりとGoogle Meetから去っていきます。少し残っていたら、最後に僕と、チームリーダーの二人になったので、思い切って聞いてみました。

「週末のニュースに驚いてショックを受けているのだけれど、テルアビブ在住の皆さんは無事なの?」

彼は、少し深刻な顔をして、こう言いました。

「皆、無事で、社員はオフィスには行かず、自宅から仕事をしている。私が以前住んでいたアパートは爆風で窓ガラスが割れてしまった。状況は最悪だが、私たちは備えているから心配は無用だ。」

もし、サンフランシスコにミサイルが落ちたら1週間くらいはオフィス閉鎖になって、大騒ぎになるだろうに、彼らには日常とは言わないまでも、いつ起きても不思議ではない光景なのでしょうか。

備えているから大丈夫。なんて強い言葉なのでしょう。

日々同じような仕事をして共通の目標に向かっているものの、彼らと僕の置かれた境遇には天と地ほどの差があることを改めて感じた日でした。

勤務先の話です。僕は今年の4月に異動になりました。

アメリカの会社で異動を命ぜられるのは異例なのですが、今回のケースはしかるべき理由がありました。

昨年、弊社がある会社を買収し、その買収先がつくっていた製品が、僕のチームのつくっていた2つの製品とかぶっていました。

上の方で話し合いがあり、このぶつかっている製品については、それぞれの会社からひとつずつ採用することになりました。

ひいては組織変更があり、当初は上の方での入れ替わりがあっただけで下っ端の変更はなかったのですが、3月30日だったかに突然当時のマネージャに呼ばれ、僕を含む3名が買収先の会社のチームに編入することになりました。移動日はその2日後の4月1日であまりにも急な出来事でした。

なんでこんなに急なのか疑問が残りますが、どうやら異動の話は前々からあったのだと思います。というのも、元のチームで4月上旬にサンフランシスコオフィスでチームミーティングが予定されていて、遠方にいるチームメイトは3月上旬には航空券やホテルの手配をはじめていました。テキサス在住の同僚もそのチームミーティングに参加するため、航空券を手配しなければなりませんでした。が、どういうわけか、彼はマネージャから、説明のないまま航空券の手配を少し待つように言われており、航空券を手配せぬうちに、その同僚も今回移動した3名のひとりとなりました。

あまりに突然の発表で、正直、かなり不安ではありましたが、早速、その翌日に新しくマネージャとなる方から連絡があり、顔合わせのミーティングを行い、いろいろと親切に対応してくれて、新しい部署での活動がはじまりました。

この買収先の会社はイスラエルが本拠地で、テルアビブにオフィスがあります。僕のマネージャや新しく同僚となる人たちもテルアビブにいて、何度かそこのエンジニアたちとテレカンをしていました。皆、親切な人たちで比較的スムースに一緒に仕事を進めていけていると個人的には思っています。

そんな矢先、イスラエルが戦争状態になってしまい、テルアビブにミサイルが落とされるという事態が発生。

イスラエルというお国柄、こういうことが起きる可能性は高かったとは思うものの、まさか自分が一緒に仕事している同僚らの街で戦争が起きるなんて全く信じられません。

これ以上、対立が激化しないことを望みますが、事態はそう単純ではなさそうです。

最近、本を読んでいても集中できなくて、あらすじだけ追いかけてしまうような流し読みしてしまっているのですが、久々に没頭できる作品に出会いました。

村上春樹の最新作「街とその不確かな壁」です。たまたま近所の図書館に置いてあったので手に取ってみました。

村上春樹作品らしく文章は簡潔で読みやすく、登場人物も少なく、大きなイベントも起こらず、ちまちまと物語は進みます。たぶん、そういうところが自分に合っているのでしょうね。多少読み飛ばしても全く問題なしですから。

文章は読みやすいのですが、話はなんにことだかさっぱり理解できません。自分なりに解釈するなら、エヴァンゲリオンに出てくるATフィールドを別な角度から見た話のようでした(なんのこっちゃ)。でも、その不思議な世界にどっぷりと浸かっていられるのはなかなか楽しい時間でした。

ちなみに、この作品、読み始めてすぐに、あれ、どこかで聞いた話だなーと感じてしまいました。というのも、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の、「世界の終わり」の話に瓜二つなんです。なんでも、「街とその不確かな壁」は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」より以前に書いたものらしいです(でも出版はせず)。そのモチーフを「世界の終わり」に取り入れ、今回、その最初に書いた作品をブラッシュアップして一つの作品に仕上げたとの本人解説があとがきに書かれていました。


ハルキワールドは過去の作品もそうだと思うのですが、読み手によって違った解釈ができると思うし、彼の作品の多くは、僕の視点からすると、精神世界への逃避を描いているようでもあり、救われる人もいる一方で廃人も増やしてしまうのでは...なんて思ったりもしてしまいます。どう捉えるかは読み手次第なのでしょうけれど。

しかし、こんな作品でノーベル文学賞候補になるってのがこれまた不思議でもあります。ノーベル文学賞受賞している作品ってこんな病んだ感じなのでしょうか?あはは。

先日、サンフランシスコ交響楽団のユースオーケストラの公演を聞いてきました。メインプログラムはベルリオーズの幻想交響曲。

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幻想交響曲は、過去何度も聴いていますし、自分たちで演奏したこともありました。この曲はクラシック音楽界の金字塔であり、当時の音楽界の地平線を押し広げたという功績があるのに、その作品自体はサイケデリックでクレイジーで中二病でメンヘラな、本当に面白い作品だとつくづく思います。

この作品をブログで紹介したいと過去何度か思ったのですが、また久々にその熱が上がってきたのでこの機に書いてみます。

作曲者のヘクター・ベルリオーズはフランス人。父親は医師、母親は弁護士という親ガチャ大当たりな人で、本人は医師を目指して医大に入ったのに、途中で音楽に転向しちゃいます。うーん、今時分ならなんてバカなことをって思っちゃいますよね。

ベルリオーズは24歳の時にパリでハムレットの演劇を見て、そこに出演していたハリエット・スミスソンというアイルランド出身の女優に一目惚れします。劇団がパリに滞在しているうちに手紙出したり面会を申し込むなど行動するけど当然ながら全く相手にされず。そりゃそうですよね、スミスソンは売れっ子女優で、ベルリオーズは無名の若者なんですから。

そして劇団はパリを離れてしまいます。

ここで諦めるかと思いきや、ベルリオーズは違いました。彼は、世の中をあっと驚かせるような大作を書いて、スミスソンの気を引こうと思い立つのです。が、一途な思いとは裏腹に情緒は不安定になりますよね。現代でも恋人にふられた腹いせに相手を刺すなんてニュースがありますが、ベルリオーズもスミスソンを愛していながら、自分を相手にしないスミスソンを恨んだりと精神病んじゃってます。

そんなこんなで幻想交響曲が1830年に書き上げられるのですが、出来上がったこの作品、いろいろな意味で、その当時の交響曲の型を大きく外れるものでした。ちなみに、ベートーベンが第9交響曲を書いたのが1824年なので、そのわずか6年後に完成された曲です。

何が異なっているのか、簡単に3つに絞って説明します。

まず一つ目。この曲は編成が大きい。弦楽器、木管、金管の他に、ハープは4台(4台揃える演奏は少ないかと思うけど)、シンバル、大太鼓、小太鼓、鐘、ティンパニー4台(2人で叩くのが一般的かな?)。ティンパニー2セットなんてこの当時の作品にはないです。まぁ、編成が大きいのは良いんですよ。誰もやったことないようなデカいことをやるんじゃーいと思ったら、編成を大きくするのは簡単に思いつきますから。

二つ目。この曲は、ベルリオーズがつくった物語を音楽で表現したものという作りになっています。

ちょっとオーケストラの歴史に触れますが、もともとオーケストラってのは、オペラの伴奏用として存在していました。オペラってのはあくまで歌手がメインで、オーケストラはサブ。サブだからステージ上がることはなく、オケピットという暗闇の中で音楽を奏でます。でも、時代が流れるうちに、オペラの序曲(オペラの幕が上がる前に演奏する曲)を演奏するような演奏会が開かれ、ふむふむ、これって、オーケストラをステージに乗せて音楽を聴いて楽しむ会もアリなんじゃね?って話になって、試行錯誤して出来上がったのが交響曲という形式ですね。ハイドンがその形式を確立し、モーツァルトやベートーベンがその形式を洗練し発展させました。

それまでの交響曲は基本、純音楽で、音楽だけで何かを表現しようとしていました。が、ベルリオーズの幻想交響曲は、物語があって、その物語を音楽で表現するという形式になっています(これを標題音楽というらしい)。

今からすれば、物語を音楽で表現したって普通じゃん?って気もしますが、多分、当時は違ったのでしょう。で、なんというかスゴイのはその物語。


失恋した若い音楽家が絶望してアヘンを飲んで自殺を試みた際に見た怪奇な夢を5楽章にしたというもの。各楽章は次のような話になってます(以下はWikiからのコピペ)。

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第1楽章「夢、情熱」
彼はまず、あの魂の病、あの情熱の熱病、あの憂鬱、あの喜びをわけもなく感じ、そして、彼が愛する彼女を見る。そして彼女が突然彼に呼び起こす火山のような愛情、胸を締めつけるような熱狂、発作的な嫉妬、優しい愛の回帰、厳かな慰み

第2楽章「舞踏会」
とある舞踏会の華やかなざわめきの中で、彼は再び愛する人に巡り会う

第3楽章「野の風景」
ある夏の夕べ、田園地帯で、彼は2人の羊飼いが「ランツ・デ・ヴァッシュ」(Ranz des vaches)を吹き交わしているのを聞く。牧歌の二重奏、その場の情景、風にやさしくそよぐ木々の軽やかなざわめき、少し前から彼に希望を抱かせてくれているいくつかの理由[主題]がすべて合わさり、彼の心に不慣れな平安をもたらし、彼の考えに明るくのどかな色合いを加える。しかし、彼女が再び現われ、彼の心は締めつけられ、辛い予感が彼を突き動かす。もしも、彼女に捨てられたら…… 1人の羊飼いがまた素朴な旋律を吹く。もう1人は、もはや答えない。日が沈む…… 遠くの雷鳴…… 孤独…… 静寂……

第4楽章 「断頭台への行進」
彼は夢の中で愛していた彼女を殺し、死刑を宣告され、断頭台へ引かれていく。行列は行進曲にあわせて前進し、その行進曲は時に暗く荒々しく、時に華やかに厳かになる。その中で鈍く重い足音に切れ目なく続くより騒々しい轟音。ついに、固定観念が再び一瞬現われるが、それはあたかも最後の愛の思いのように死の一撃によって遮られる

第5楽章「魔女の夜宴の夢」
彼はサバト(魔女の饗宴)に自分を見出す。彼の周りには亡霊、魔法使い、あらゆる種類の化け物からなるぞっとするような一団が、彼の葬儀のために集まっている。奇怪な音、うめき声、ケタケタ笑う声、遠くの叫び声に他の叫びが応えるようだ。愛する旋律が再び現われる。しかしそれはかつての気品とつつしみを失っている。もはや醜悪で、野卑で、グロテスクな舞踏の旋律に過ぎない。彼女がサバトにやってきたのだ…… 彼女の到着にあがる歓喜のわめき声…… 彼女が悪魔の大饗宴に加わる…… 弔鐘、滑稽な怒りの日のパロディ。サバトのロンド。サバトのロンドと怒りの日がいっしょくたに

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いくら何でも失恋したからって、ドラッグやって、夢の中で相手を殺して、自分がギロチンで死刑にされて、魔女の夜宴に参加しているなんて夢オチ話を堂々と発表するなんて、奇想天外すぎません?

普通の人なら思いついても恥ずかしくて誰にも言えませんよ。匿名でネットに書くくらいならできるかもだけど。

こんなん発表して恥ずかしくないのか?って思ったりもするのですが、それは置いておいて、作品としては大成功してしまいます。それがスゴイよね。ピカソのキュビズムとか、夢野久作のドグラ・マグラとか、岡本太郎の太陽の塔とか、天才は自分を信じて突き進むものなんでしょうね。


さて、もうひとつ特筆すべき点があります。三つ目になりますが、上の楽章の説明の中で「主題」と書かれているものです。この交響曲の中では、その愛する女性を表す旋律がありまして、それが繰り返し現れます(それが主題と書かれているものです)。簡単にいうと、スターウォーズが良い例なんですが、ダースベーダーが登場するシーンって、あのお決まりの音楽が流れますよね。それをはじめてやったのが幻想交響曲なんです。幻想交響曲では、ところどころで愛する女性のフレーズが奏でられます。そのフレーズの直後には、突然高揚した嬉しい音楽に切り替わったり、というような感じで、音楽を聴きながら、今、女性が現れた!僕ちゃん嬉しくて飛びあがっちゃう!ってな感情をわかりやすく表現されているんですね。



この曲のタイトルの「幻想交響曲」(Symphonie fantastique)というネーミングもなんだか惹きつけるものがありますよね。ちなみに、日本語で幻想というとファンタジーな印象がありますが、どうやらこの曲にはそういう意味合いはないようです。なんでも当時、オカルトめいたジャンルが流行っていてfantastiqueにはそういう怪奇なものって意味があったみたいです。なので怪奇交響曲の方が本来の名称には近いのかも。でもそれだと日本ではウケが悪いかもですねー。

ちなみに、この曲の演奏時間は50分程度と極めて長いので、通して聴くのはなかなか大変です。そこで、聴く時のポイントを書いておきます。できれば全楽章通して聴いてみてくださいね。

楽章の中で一番聴きやすいのは4楽章。金管楽器が死刑台に向かう行進曲を賑やかに奏でます。当時の死刑執行はお祭り騒ぎだったんでしょうね。

この行進曲はそこそこ有名なフレーズなので耳にしたことある人も多いのではないでしょうか。演奏時間も6分程度と短いです。最後にギロチンに切られた首が転がるシーンがありますので、聴いて見つけてください。

2楽章のワルツも聴きやすいですね。楽章の最後の方で人混みの中に恋する女性を見つけて、ウッヒョーと飛び跳ねて(かどうかは知らん)喜ぶシーンがあります。例の主題が現れますので見つけてください。

1楽章は恋する若者の気分を表しているのでしょうか、テンポや音量が突然変わったりして、情緒不安定さがあるのですが、でもでも、その気分、僕には良く分かる。中学生の頃、密かに恋心抱いている女の子と目が合ってニコッとされただけで天にも昇る気持ちになったり、すれ違いざまにこっちに反応してくれないと、嫌われたんだと絶望したり、勘違いなのだろうけど、そんなふうに勝手な思い込みで気分が高揚したことって誰にありますよね?(え、ない?) それを音楽にしたのがこの楽章です。

3楽章は僕個人的には退屈。でも、ちょっと面白いことがあるんです。この楽章の冒頭で、羊飼いの角笛が互いに呼び合うシーンがあります。ひとりが、おーい、と呼びかけ、もうひとりがあいよーと返すみたいな。

で、(ちと退屈な)中間部があって、曲の最後にもまた羊飼いの角笛が呼び合うシーンがあるのです。しかし、今度は一人がいくら呼びかけても返事がないんです。代わりに、雷鳴が鳴り響く。この先の暗示をしているようです。


こんなに呼びかけても返事がない。それで激昂して相手を殺しちゃうのですかね。そして自分がギロチンにかけられる。

5楽章は魔女の宴。例の主題が流れますが、今までの楽章に流れていたように美しく演奏はされずに滑稽に演奏されてます。その女性が魔女になって登場していることを意味しているようです。見つけられるでしょうか?


とまあ、こんな流れなのですが、不思議なのは、こういう物語があったらクライマックスは女性を殺すところかなと思ってしまうのですが、そのシーンは音楽にはなってません。なんでかな?



さてさて、この幻想交響曲で一躍脚光を浴びたベルリオーズですが、彼とスミスソンとの関係はどうなったでしょう?

これがまた事実は小説より奇なりなんですが、スミスソンは自分が題材になっているとは知らずに幻想交響曲の演奏会に行き、そのプログラムを読んで自分がこの交響曲に深く関係していることを知ったようです(真相不明ながらWikiにはそう書かれている)。そして、二人は会うことになり、1833年に二人は結婚します。


おぉぉーー






めでたしめでたし!










... とはならないんですよね。

そもそも、ベルリオーズはフランス人で英語はできず、スミスソンはアイルランド人でフランス語はできなかったようです。

スミスソンもこの時には役者としては落ち目だったとかで、夫婦仲も不仲になり1840年頃から別居。

1854年にスミスソンが亡くなると、ベルリオーズは同棲していた女性と結婚しちゃったそうです。


やっぱり、恋は恋焦がれているうちが華なのですかね。


ベルリオーズは他にも多くの作品を残していますが、幻想が圧倒的な人気作品です。ぜひ一度聴いてみてください。

先日、近所のSafewayに行ったところ、KeyMe なる鍵の複製をつくるマシンが設置してあることに気づきました。

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鍵の複製なんて、今時、HomeDepot をはじめ、あちこちで出来るのですが、ウチでは若干、不便を感じている鍵の問題がありました。

僕が乗っている車は、渡米した2001年に購入したトヨタ車でして、2つの鍵がありました。ひとつはマスターキー。こちらではエンジンも掛かるし、グローブボックス(助手席の前にある収納ボックス)やトランクの施錠・開錠ができます。

もうひとつはサブキーで、こちらはエンジンは掛けられるものの、グローブボックスやトランクの施錠・開錠はできません。

どうやら、サブキーは、バレーパーキング等で第三者に鍵を渡すときに使うもののようです(とは言っても、トランクは運転席左下にあるレバーで開くので、バレーパーキングの人もトランクは開けることができますが)。

言わずもがなですが、この鍵は2001年の車の鍵なので、ハンドル隣に鍵を差し込んで回すことでエンジンが始動する物理的な鍵です(最近の車だと車内に持ち込んでエンジンボタンを押せばエンジンかかったりしますが、この鍵は昔ながらの鍵です)。こんな形ですね(ネットから適当に画像拝借)。

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メイン・サブ、どちらの鍵も黒い取手部分がイモビライザーになっていて、この黒い部分と車本体がIDを照合して一致しないとエンジンがかからない仕組みになっています。なので金属部分だけコピーをしてもエンジンはかからないはずです。


当然ながら、この車を買ってから長いことマスターキーを使っていました。ところが、さすがに20年以上使っているためか、鍵の金属部分がすり減ってしまったようで、鍵を差し込んでも回りにくくなってきたのです。わずかに鍵を前後させると鍵が回転するポイントがあるのですが、だんだんとそのポイントに合わせるのが難しくなってきました。

そこで、しばらく前からサブキーを利用していました。サブキーは全く問題なく鍵を回してエンジンを始動できますが、トランクを開けられないのが不便ではあります。特に買い物をしてトランクに物を入れたいときに、一度運転席まで行ってレバーを引いて、またトランクに戻るのが面倒だったりします。

23年も乗っている車なので、もういい加減に買い換えるべきとの意見もあるとは思いますが、この車、エンジンは全く問題がなくすこぶる快適なのです。さすがトヨタです。

以前、トヨタのディーラーに行ったときに、この問題を訴えたところ、鍵の複製を作ることはできるけれど、ウチでやるよりも、HomeDepotなどで複製を作った方が安いよと言われました。それはそうなのですが、すり減った鍵の複製を作っても、それはすり減ったままになってしまうだろうし、そういうところではイモビライザーまで複製できるのだろうかと疑問もありました。


そんな折に見つけたのがこのKeyMeでした。興味半分で触ってみたところ、このKeyMeは、鍵の形状と、イモビライザーの情報を取得して、会社に送り、複製した鍵を後日郵送するという仕組みで、この場で鍵の複製が渡されるものではありませんでした。

ですが、イモビライザーまで複製できるというのはなかなかの優れもののように思います(というか、僕が知らないだけで、イモビライザーの複製って今時どこでもやっていたりするのでしょうか?)。

せっかくだから、マスターキーの複製を作成してみることにしました。万一、複製した鍵が動作しない場合には、返金してもらおうと考えての行動です。


KeyMeですが、車の鍵だけでなく、いろいろなタイプをカバーしているようです。

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車の鍵の場合、メーカー、車種、年式などを入力します。
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そして、鍵を差し込むとその鍵の形状を読み取ってくれます。
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形状読み取り中...
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形状の読み取り終了後、イモビライザーの情報も読み取られます。そして、郵送先住所を入力して支払いするのですが、ここで豆情報!

支払いする段階で「キャンセル」を選択します。すると、

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なんと割引クーポンが提供されます!

キャンセルせずにそのまま進めると定価になってしまうので、一度キャンセルしましょう!

ただ、このクーポンは僕には適用されませんでした。と言うのも、イモビライザーある場合の鍵は割引クーポンは対応しないと小さく書かれていました。これに気づかなくて、なんでクーポンもらえたのに値引きされないのだろうと何度も試しておりました。この時は、一度定価払って、鍵が動かなければ返金要請し、鍵が動いたらクーポン適用できなかったよーと値引き交渉を後で行おうと思っていましたが、対象外だったことが後で分かりました。


さて、このマシンでカード決済し、その数日後に鍵が郵送されてきました。

果たして動作するのか半信半疑でエンジンをかけてみると、なんら問題なくすんなりと鍵は回りました。これは嬉しい! トランクも開けることができました!


鍵が動作しなければ、返金要求しようと思っていましたが、ちゃんど動作する鍵を送ってきてくれて助かりました。こんな簡単にイモビライザー含めた物理キーの複製ができるようになったのですねー。

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