2005年02月02日
[よろず感想]
仮面ライダー響鬼 一之巻
今週スタートの新番組、「仮面ライダー響鬼」を見てみました。
……面白い!!私にとっては大当たりでした。
素人ながら、特撮番組を作るのはとても大変だろうと思います。玩具の販売促進を至上の命題とした、「戦隊」「ライダー」というテンプレートが存在し、その範囲内で、なおかつ限られた予算内で、目新しさや作り手の表現したいテーマを追求しなければなりません。しかしだからこそ、私は特撮番組の初回には、何か新しい事に挑戦しよう!という意気込みをこそ期待してしまいます。
「正義の鬼」「音響を使って戦う」と言う設定、漢字多用に象徴される和風テイスト、初回冒頭のミュージカル仕立て、と、今作にチャレンジ精神を感じる部分は多々ありますが、何より私が挑戦的だと感じたのは、ヒーロー「ヒビキ」のキャラ立てと、ヒビキと少年明日夢くんとで擬似父子関係を描こうとしている所でした。
「おじさんライダー」というスポーツ新聞系ネットニュースの煽り文句、そして公式サイトでのだっさい挨拶ポーズを見た時から惹かれるものはあったのですが、期待に外れず、今作のヒーロー「ヒビキ」は31歳という設定年齢以上におっさんくさいキャラ立てをしてあります。奇妙な替え歌を歌いながら現れる、正体不明の変なおじさん。でもいざという時には頼りになる!
転落した子供を救うシーンだけではありません。
屋久島の原生林の中に、明日夢くんと従姉のお姉さんが普段着のまま分け入るシーンで、「おいおいそんな格好で……」と突っ込んでいたら、直後の足を取られた明日夢くんにヒビキが手を延ばすシーン、2人と対照的にヒビキは山支度の上に軍手まではめている!こんな細かい所でまで「頼れる大人」の演出に気を使っていらっしゃるんだなあと感心しました。
冒頭のミュージカルシーンは、敢えてこの番組の売りであるところの和風テイストを排除した軽快な音楽を使用したことで、このお話の語り手はあくまでもヒビキではなく明日夢くんであること、それに加え明日夢くんは悩みはあっても健やかな明るい少年である事を印象付ける事が出来ていると思います。また、明日夢くん役の子役さんもちょっと垢抜けない呑気な雰囲気の持ち主で、よくこんなピッタリの子見つけたなーと感心しました。演技も上手いし。
健やかな少年の目から見た、「憧れの大人=ヒーロー」の物語。
昔の特撮番組には普遍的に見られた構図だと思うのですが(ライダー少年団とかいましたよね)、今の時代にやろうとするのは勇気のいる事だと思います。
子供に憧れられるような、魅力ある大人を描く事はとてもとても難しい事だからです。
作り手はすでに大人です。大人であれば、魅力的な大人であろうとする事がどれだけ困難であるかという事は誰しも知っている筈です。その作り手の挫折感や屈折感が下手に作品に投影されてしまうと、ただ陰鬱なだけの人物になりかねません。
でも逆に、作り手が自分の人生経験や内面の葛藤に一切照らし合わさずに、ただ表面的な格好良さを追求してしまうと、今度は、それこそ作者志望の子供が描いた物語に出てくるような、ぺらっぺらの「キャラクター」(人物、ではない)が出来上がってしまいます。
魅力的な大人を描こうとする事は、作り手に自らの内面を見つめ、しかしそれに没頭しすぎない事を求めるのだと私は思います。あえて難関に挑むスタッフの皆さんの勇気に喝采を贈りたいです。
感想を見て廻って、「対象ターゲットが判らない」という意見を沢山見かけたのですが、私はこの番組の対象ターゲットはお父さん達なのではないかと思いました(勿論1番は子供達なのは言わずもがな)。
今作は可愛い女の子も沢山出演しています。漢字に一切ルビが振られていないのも、子供達が横で見ているお父さんに読み方を聞く事を前提に作られている、という見方も出来ます。
かつて少年であった、そして今自分の子供に憧れられるような「かっこいい大人」であることの難しさを知っているお父さん達にこそ、見て欲しいのではないでしょうか。
……第1話だけ見てここまで言うのは危険かな、と思わないでもないですが、公式サイト等からも並々ならぬ気合いを感じるので、自分のインスピレーションを信じてみようかと思います。
感想を今後も書くかどうかはまだ判りませんが、これから1年間日曜朝の早起きに挑戦してみます。