心理学広場

心理学を通して世の中を見る

東大で心理学を研究しています。今の専門は対人心理学。 普段、論文を書くときには、基本的に統計的に確かめられていることしか書かないのですが、ここでは心理学から一歩踏み出したことについて書いてみたい、と考えています。 心理学的な内容について書く際、典拠などは書かないつもりなので、もし知りたければ連絡ください。 また、被験者集めのための告知も行います。

心理学研究の不思議な日常1

今日はウンチクから離れて日常でも書いてみようかと。

文系研究者というのは、基本的に自分の研究をする人は自分だけ、ということが多いので、孤独です。
中でも哲学とか美学とかになると、学会まで他の人に会わないなんて方はザラにいるのではないかと。
以前美学の研究室に遊びに行ったことがあるけど、漫画が沢山あって笑った。

ダメ人間も沢山いれば、いい研究を沢山残してどんどん先へ行く人もいる。
個人の気力と能力で何もかも変わってしまう世界なのです。

理系研究者ならば、チームで実験を行うことが多いので、もうちょっと格差が小さい。
それに基本的に彼らは世の中の役に立つことをしているので、政府からも沢山お金をもらっています。

心理学は…といえば、文系と理系の間にいるような学問なので、ややこしい。いい研究をすれば、お金が入ってくることもあるようです。例えば最新のポリグラフの研究にCIAが100万ドルの支援金を出した、という話がありました(打ち切られたようですが)。
他にも、マーケティング心理学だとか、経済心理学だとか、何人かのチームで研究を行い、ある程度のお金をもらっている所もあるようです。
しかし、なんせ対象が心なので、特許をとるような研究はしにくいと思います。
結局のところ「お金にならない」というのが現実ですね。

それでも生きていけるのは、他の文系と比べれば人とのつながりが多い、ということがあると思いますが、今日はこの辺で。詳しい話は先に書いてゆきます。



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自己をさらけ出す女たち

自分の生い立ちや悩み事などを他人にどんどん打ち明ける人ほど、人付き合いが上手、という研究があります。
1971年のジュラード(美味しそうな名前…)から知られている研究です。

しかし最近になって(1990年代からですが)、自分のことを打ち明ける際には、「相手を選べ」ということが大切だと分かってきています。
そんなこと当たり前だ、と言われるかもしれませんが、結構細かいところまで研究が進んでいるようなので、紹介します。

1 知り合ったばかりの相手に自己開示しても意味がない
2 異性に対しては意味がない
3 女性同士だとかなり有効。男性同士はまあまあ
4 特定の相手に絞って自己開示する方が有効。誰にでも打ち明けていると思われると効果なし 

(コリンズ&ミラー, 1994)

「女性は自分の話を聞いてほしいだけさ」というセリフがベストセラー小説「ハイ・フィデリティ」にもありましたが、女性の悩み事を永遠と聞かされてうんざりっていうのは、男性には経験したことのある人も多いのでは。異性への自己開示はほどほどにしておいた方がよいのかも、てとこですね。

あとは、自分に関わる深刻な秘密を打ち明けるときには、特に相手を選ばなくてはならないといわれています。

秘密を保持することは基本的には健康に悪いのですが、秘密を打ち明けた時に、もしそのことによって差別を受けたり、拒絶されたりすると、かなり深刻なダメージを受けるといわれています(ケリー, 1998)。

深刻な秘密を打ち明ける時には、ちゃんと受け止めてくれる相手を選ぶことが大事です。


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孤立すると死亡率が高くなる

社会心理学では、人の孤独感についての実験が割と多く行われています。

ひとつに、社会的な孤立は、死亡リスクを最大二倍以上にすることが知られています。
この研究は1979年にアメリカで行われました。
バークマンとサイムは、カリフォルニア州に住む住民を、結婚しているかどうか、友人や親せきとどのくらい接触しているか、教会のメンバーかどうか、その他公式・非公式のグループのメンバーになっているかどうか、という基準で、四群に分け、社会的ネットワークの貧しい人は、豊かな人よりも、その後9年間での死亡率が圧倒的に高くなることを示したのです。
この理由としては、社会的に孤立すると、うつ病になったり病気にかかるリスクが高まることや、飲酒、喫煙などに依存しがちになる、ということがあるようです。

よく、うさぎは寂しいと死んでしまう、と言いますが、人間も同じなんですね。

他にも、社会的な孤立によって暴力が引き起こされる、といった実験もあります。
これなどは、秋葉原の殺人事件を思い出します。女性から愛されたことがなく、世の中を逆恨みして殺人事件を起こした男性です。確かに、彼は頭がおかしいのかもしれません。しかし、誰であっても、社会的に孤立した状況に置かれると、暴力的になる可能性があるのです。

もう流行のピークはすぎたかもしれませんが、無縁社会という言葉が流行りました。身元不明のお年寄りの死体が次から次へと発見された事件です。地域のつながりから切り離され、身寄りも知り合いもいないまま、孤独の中で死んでゆく人々。
かなりショッキングな話題でしたが、現代の死亡リスクを高めている一因に、社会的な孤独があることは間違いないでしょう。

解決策は色々あるでしょうが、なにより個々の人が意識を高めることが大切です。ガンやエイズやといった分かりやすい病気と違い、孤独について人は認識が甘くなりがちです。しかし、ガンで死ぬ人よりも自殺で死ぬ人が多いという統計もあります。

「孤独は危険」と思って、人とのつながりを大切にし、社会的なコミュニティーに積極的に参加してゆくことが、健康に生きる秘訣かもしれません。


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