まずは前のブログで行ったトロッコ問題(ブログを利用して心理学実験1 : 心理学広場)の話から。被験者数が少ないですが(笑)、いちおう結果は欲しい方向に出ていますね。
このトロッコ問題では、「1人を犠牲にして5人を救う」という構造は同じです。にも関わらず、レバーを動かすことは倫理的に許されると思われがちなのに対して、直接突き落とすことは倫理的に許されないと思われがちになるのです。
この理由はいろいろ研究が進んでいますが、結局のところ、直接の接触があるかないかという違いが大きいようです。

これは例えば政治に置き換えてみれば分かりやすい問題です。
政治家が消費税増税を打ち出します。これはいわば、レバーを動かす行為です。
この行為によって、今後増えると考えられる高齢者が恩恵を受けると考えられます。その代わりに、毎日の生活をやりくりするだけでも苦労しているような低所得者にとっては重い負担となります。
もし政治家が、低所得者のお金を直接奪い取って、直接高齢者に手渡せば、倫理的な大問題として取り扱われるでしょう。政治について批判はあるものの議論を進めることができているのは、政治がレバーを動かす行為だから、と言えるかもしれません。

世の中には数多く、こうした「レバーを動かす」ような行為が行われています。そして、レバーを動かす行為に対して、我々の倫理観は低くなりがちなのです。消費税増税が悪い、と言っているわけではありませんが、せめて物事の本質を見極めるために、「直接手を下すとしたらどのような行為を行っているのだろう?」という疑問を持つことは悪い事ではありません。

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