今回は、私が最近レッスンで使い始めた「円形モデュレーター」を紹介します。
一般的なモデュレーターと同じく、視唱の訓練ではとても重要な媒体である簡易楽譜の一種です。
それがこちら。

円形モデュレーター

作り方(書き方)は以下の通りです。

まず、360度を12等分する円を書き、各線の外端に d(ド)~t(ティ)の階名を書きます。
階名は時計回りに並べます。

また、階名の間隔は、「d―r」や「f―s」のように全音であれば線1つ分空け、「m-f」「t―d」のように半音であれば直接隣り合わせます。
全音と半音の間隔を区別するのは直線の(一般的な)モデュレーターの場合と同じです。

以下の順に書いていけば、フリーハンドでも簡単に書けます。
① 十字を書く
② ①によってできた各直角を3等分する線を書く
③ 階名を書く

結果として階名が、一周して再び同じ階名に戻ってくるような配置で並びます。
この配置は、音階が実際にオクターヴごとに循環していることに対応します。

このような円形モデュレーターを私は、今まで使っていた直線のモデュレーターに加え使うようになりました。

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さて、円形モデュレーターには、直線のモデュレーターに比べると以下のような利点があります。

まず、階名を円形に並べられるため、音域の制約がありません
直線のモデュレーターではホワイトボードなどに書く場合、音域上で上端の音と下端の音がどうしてもできてしまいます。
しかし、そのような制約は円形モデュレーターではなくなり、どこまでも音域を拡大していくことができます。

また、音階および階名の本質をより直接的に示せることも利点といえます。
例えば、前述のように音階というのが循環する存在であることや、オクターブ違いの音は音環境が同じであり、それゆえに同じ階名を付けられることです。

また、実用的観点からも以下のような利点があります。

一つ目は、ホワイトボードなどの表面にあまりスペースを取らないことです。

直線のモデュレーターではどうしても、縦方向に長いスペースが必要になります。
しかし、円形モデュレーターであれば、正方形が書けるくらいの比較的コンパクトにまとまったスペースがあれば十分です。

私は普段、複数の音楽スタジオやレッスン室を使いレッスンをしています。
しかし、それらには必ずしも、(学校の教室で使うような)大きなホワイトボードが常備されているわけではありません。
中には、縦と横のそれぞれの長さがおそらく70センチもないような、小さいホワイトボードしかないところもあります。
そのような場合にも、モデュレーターを生徒に見やすいサイズで書くことができます。

また、基準音(例えばド)の高さを変える場合にも1回1回書き直さなくて良い、というのも利点です。

こちら
の記事でも述べたように、基準音の高さを毎回変えて生徒に歌わせることは、相対音感式ソルフェージュでは大変重要です。
しかし、直線のモデュレーターでは、ドの高さを低くしたり高くしたりするたびにモデュレーターを、ドが上の方にある形や下の方にある形に書き直さなければならなくなります(そうしなければ十分な音域を使えないためです)。
他方で、円形モデュレーターでは、前述のように音域の制約がないため、基準となる音をどのような高さから始めたとしても音域に問題が起こりません。

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なお、十二平均律的発想に妥協している点については教師自身がしっかり自覚し、生徒にもそれを提示することが必要でしょう(整数比に基づく音律のうち、例えばピュタゴラス音律での音程関係はこちら)。

また、以下2点については教師に工夫が必要になるかもしません。

① 階名を指す方向と、指す手の動かし方
② 教師の立ち位置

直線のモデュレーターでは、教師が脇に立ち各階名を真横から指していけば良いので、指し方は基本的に単純です。

他方で円形モデュレーターの場合は、円の中心から外側に向けて指すこともできます。
あるいは、それが生徒にとって一番分かりやすい指し方かもしれません。

しかし、外側に向けて指すやり方を取る場合、同じ指し方を通そうとするとどこかで体勢に無理が生じます。
そのため、途中から変則的な動きにせざるを得なくなることがあります。
そうなると生徒が反応しにくくなるので、この点には注意が必要です。

また、教師の立ち位置によっては生徒から階名が見えにくくなるため、立ち位置の工夫も必要になります。
これについては真横から指す場合でも同様です。

以上の点については私もまだ良いやり方を模索中で、毎回臨機応変に対応しているという感じです。
もっとも、私にはその模索の過程がまた面白く感じます。

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読者の皆さんも、ぜひお試しください。