今回は、私が勤務校にて担当している授業での「言葉遣いのルール」を公開します。
特に、生徒が授業中に発言する際の、音名や階名の言い方について定めたルールです。
それが以下。

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私は日頃より基本的に、個人レッスンや主に初学者のみからなる授業では、生徒にも「音名はハニホ、階名はドレミ」の区別を徹底させています。

しかし、以上のルールはそれとは異なる、今年度より私が担当しているある音楽理論関係の授業でのものです。
もっとも、音楽理論関係の授業とはいっても、常に階名唱を取り入れつつ進めています。

この授業では約15名の生徒がいて、彼らの音楽学習経験も様々です。
彼らの中には初学者もいる一方で、ドレミのいわゆる「固定ド」用法をすでに知ってしまっている生徒や、ドレミで絶対音感を身に付けてしまっている生徒もいます。
彼ら(特に後者の生徒)はドレミの階名としての使い方に違和感を覚える傾向にあります。

しかし、私はだからといって、彼らが将来良い音楽家になれるためには、不正確な言葉遣いの習慣をそのままにしておくわけにはいきません。
彼らの今までの音楽学習経験の如何を問わず、音名と階名の正確な区別を教えなければいけません
階名唱と階名読譜も教えなければいけません
彼らが将来指導者になり、後進を指導する立場になる可能性まで考慮すれば尚更です。
(なお、実際に教えるかはともかく、潜在的に教える力があるということは良い音楽家の証でもあります)

そこで、今回のルールを定めるに至ったというわけです。

慣れない生徒には最初のうちは戸惑わせてしまうかもしれず、そのことには申し訳ない気持ちもあります。
しかし生徒の皆さんには、今後授業が進むにつれて、音名と階名を正しく使う習慣こそが結局は自分のためになるということ、将来の可能性を広げられ音楽家ととしての成長にもつながるということを実感してもらえればと思っています。

もっとも、今のところは生徒の皆さんも、ドレミファソラティの「ティ」の発音やボチェディ式階名が新鮮であるなどして、笑いを交えつつ和やかに授業を受けてくださっています。

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以下は、ルールに関する備考点になります。

①ドレミの音名的用法(いわゆる「固定ド」用法)の使用条件である「必ずその都度……前置きを付けて」というのは、文字通りに「その都度」を意味します。
つまり、授業の最初などに「私は今日はこのようにします」のようにまとめて断ってはいけないこととしています。

②私が生徒に歌わせる時には、必ずドレミ式階名唱、ボチェディ式階名唱、無歌詞唱(ラララなど)のいずれかで歌わせることし、「固定ド」唱などの音名唱(本来不要なもの)では歌わせません。生徒がボチェディ式階名唱に不慣れな場合は、私がその都度範唱をします。

③「5月の月例テスト」というのは、5月末に実施する一種の定期テストです。このテストを通し生徒には、音名と階名の正しい区別の仕方や、本来の階名としてのドレミの使い方についてしっかり理解してもらいます(合格にも厳しめの基準を設けています)。
このテストに合格した生徒のみが「ドレミ」を音名的用法で言っても良いとしています(上記の条件付きで)。

④私自身が発言する時にはもちろん、「音名はハニホ、階名はドレミ」の区別を徹底します。(指導者が手本を見せなくてどうするか!)

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さて、私が以上の話を詳しめに語ったのも、今日本には(学校で、音楽教室で、音楽大学で)私と同じような立場の指導者が少なくないと考えられるためです。

つまり、生徒に音名と階名の区別を教えたい、階名唱を教えたい、ドレミの本来の階名としての使い方を教えたいと思っている一方で、「固定ド」用法にすでに慣れてしまっている生徒もいるような立場に置かれている指導者です。

大変な苦労をされていることを、私自身の経験からも察します。
そのような方々に、今回私が紹介した授業ルールが一つの参考になれば幸いです