2/8のNHK「クローズアップ現代」では、コンピューターが将棋で米長邦雄元名人を破ったことを特集していました。
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同番組は「クローズアップ・ヒュンダイ」と揶揄されるほど、反日的な番組ですが、今回もひどいものでした。

コンピューターが人間に勝利したといっても、同番組のでたらめな解説を省き、事象を冷静に分析すれば、コンピューターの目指す人工知能なるものがむしろ巨大な壁にぶつかっていることを明らかにできたはずです。にもかかわらず、NHKは意図的にでたらめな解説ばかりをくり返し、コンピューターとその研究者を礼賛していました。中でもひどいのは、下記の解説です。

(1) 米長永世棋聖の後手番初手(第2手)6二玉は、対人間用には絶対に用いられないが、対コンピューター上で有効とされた根本的な理由を説明しない。

(2) コンピューターが米長永世棋聖の着手をすべて予測していたかのように解説する一方で、米長の強引な手に対してコンピューターが直ちに隙を衝く計算結果を出したとする、矛盾した解説をしている。

(3) コンピューターの手待ちを独創的なものとして礼賛している。

(4) プロ棋士がアマチュアに比べ、経験に基づいて読みを省略していることを根拠に、コンピューターに意味のなさそうな選択肢に関する計算を省略させたことをもって、"人工知能"や"学習機能"と詐称している。

草創期の将棋ソフトを利用したことのある将棋好きなら、誰でも知っていると思いますが、かつてのソフトは、定跡を外れた途端に意味不明な手を指し出していました。現在でも、フリーソフトならそうなります。しかし、それは処理できるデータ量を増やすことで対応し、その結果、ソフトは飛躍的に強くなりました。しかし、その一方で将棋ソフト側は、手詰まり風の局面になると、絶対に自ら局面を打開しようとはせず、かといって千日手にもしない、無意味な手待ちを延々とくり返すことが多くなりました。

コンピューター将棋の最大の問題は、コンピューターはデータと計算と乱数(確率)によってしか対処できず、独創的な構想、すなわち、互角の戦いに持ち込めるが結論のはっきりしない、新たな一連の手のつながりというものを自ら作り上げることができない、という点です。

たとえば、しばらく前に藤井システムという従来にない戦法が発表され、一世を風靡しました。しかし、コンピューターに藤井システムに関連しないデータを無限に入力しても、コンピューターが独自に藤井システムを発明することはあり得ません。

コンピューターの現状は、後手6二玉を、自らの戦いに有利に生かす構想すら生み出せない水準ということです。上記(4)の、計算の効率化を人工知能と称するアホぶりには、あきれるばかりです。

米長永世棋聖は、コンピューターの差し手を封じ込めるような指し方をして、コンピューターは手待ちをくり返しました。

既存のプロのデータに依存して、いざとなれば手待ちをくり返し、相手がミスをすると計算力にものをいわせて勝利する、そのような将棋にアマチュアが勝てるはずはないし、そのような将棋のどこを楽しめばいいのでしょうか。くだらない棋譜の生産機という将棋ソフトの将来が予想されます。

コンピューターが上記課題を克服しない限り、人工知能を詐称するなど、おこがましい限りです。最大の課題に挑もうとしないばかりか、それを認識すらしていないらしいNHKや自称研究者の姿勢は、非常に非科学的です。

意外に知られていませんが、NHKは政治ばかりでなく、文化報道も実は極めていいかげんです。そこにあるのは、知ったかぶりと開き直りで専門家を偽装する素人知能だけです。絶対にそのまま信用してはいけません。