爺「猿どもよ、来い。こうなったら憂さ晴らしにこの国の中枢を叩きのめして、
 この国をわしの物にしてやる」
猿「うっきっき」
猿、泣けど動かず。
爺「おう、猿ども。貴様ら『黍団子』食っただろう。
 あれを桃太郎がお前らに与えた物だと思ったら大間違いだ。
 あれは爺と婆がなけなしの年金から材料を買い集めて、ようやっと作った
 『桃太郎家』いわば『桃太郎財閥』の資産よ。
 その資産に手を出しておいて、何も手助けせずに済むとは思わなんだな」
猿「うっきっき」
猿、しぶしぶ動き出す。

桃太郎の、いや、爺の猿は、鬼をも蹴散らし、
その身体を八つ裂きにしてきた剛の者どもだ。
彼等の恐ろしい所は豪腕はもとより、
バイオ・クローン技術によって無数の群体として組織化されたその数、
そして、命令のみを聞くように、薬物で抑えられた脳髄。
彼等は指揮をする者の為の圧倒的な手足だ。
爺「千代田区にいる議員バッチを付けた者ども全員を血祭りにあげよ」
猿「うっきっき」
猿はその通りにした。

婆「ワンちゃんは私のところに来なさい」
犬「わんわん」
犬は猿以上に従順だ。
婆「これを牙にお塗り」
それは犬には無害であるが、
人間には有害たらしむるウィルスA。
感染力は弱いが、かかると、罹患者の体力を絶大に奪う。
元から体力の低い幼児、老人の致死率が高く設定されているバイオ兵器だ。
婆「爺様が手に入れた国の電子頭脳がピックアップした年金生活者の一覧表、
 ここに載ってる役立たずを噛んできなさい。
 この国は若者中心の国に生まれ変わるのよ」
犬「わんわん」
犬もその通りにした。

雉は爺と婆の行動に目を剥いていた。
鬼どもの目玉を食い荒らしたと言われる雉、
その雉は爺と婆の元から離れ、逃げ出した。
雉どもの中に羽毛を身に纏った一人の人物が隠れている事を爺と婆は知らない。
その人物こそ桃太郎その人だった。
爺と婆の教育の元、鬼を退治しに出向き、
数々の地獄を掻い潜ってきた軍神・桃太郎は疲労困憊していた。
内外の圧力も加わる中、もう彼は戦う事を放棄したかった。
彼は自分の死を偽装した。
幸い、生命保険会社の保険調査員は彼のセフレだったので、
思ったより簡単に事務処理は済んでしまった。
思いも寄らなかったのは、鬼の財宝により、
誰よりも富んだ爺と婆が老年離婚に踏み込んで、
その財産が折半される事を良しとせずに争いだした事だ。
争いはいつの間にか向きを変えた。
財産を奪おうとするのは「爺」「婆」以上に「国」だったのだ。
老夫婦は国に唾を吐き、国を乗っ取った。
爺は猿をトップに、今や自衛隊を手中に収めている。
婆は犬を使って、未来を持たない無産階級を根絶やしにした。
爺と婆は自らが国益を吸い取る目的でチャッチャと行動したのだが、
その結果、思いもよらず正しい国家になり、強い国家に仕上がった。
但し、その国家は血で作られている。

桃太郎は偽装していた羽毛を脱ぎ捨てた。
鬼を根絶やしにした彼の目の前に最後の二匹が残っているのだ。
退治しない訳にはいかないだろう。
その前に立ちはだかる猿と犬と自衛隊。
これらを彼の剣の錆と変えねばならない。
だが、やるしかない。
それが彼を育ててくれた親代わりの優しき者が彼に「やるように」言った事なのだ。


桃太郎は最後の鬼と血で血を争う戦いを勝ち抜いた。
でも、それは、また、別の話。

とっぴんぱらりのぷう。



PS この戦いの後、韓国人は桃太郎が従軍慰安婦を使役したとして、
 岡山県に従軍慰安婦の碑を建てると全世界にロビー活動をしている。

 桃太郎の脳裏にチラっと不安がよぎる。
 「まさか、あいつらも又、鬼なんじゃないだろうか」

とっぴんぱらりのぷう。



註:暗喩はありません。
 どちらかと言うと物語る快楽に自然に身を任せただけです。