国際開発とビジネスを学ぶ ~ Fletcher School MIBプログラム 留学記 ~

2016年秋からアメリカ合衆国ボストンにあるタフツ大学フレッチャースクール(Tufts Fletcher School)のMaster of International Business(MIB)プログラムに留学する日々を綴っています。

フレッチャー1年目の頃に開始した留学生紹介シリーズ!もともと、70カ国以上から様々なバックグランドの学生が集まるフレッチャーのインターナショナルという強みを是非伝えたいという想いで始めましたが、それよりも普段なかなか聞けないフレッチャー留学の前の経験を学生から聞けたり、学生一人一人と向き合える時間となって、自分にとって非常に実りの多いインタビューになっています。ちなみにこのシリーズでの「留学生のバックグランド」の定義は広く、単に学生本人の国籍だけではなく、生まれた場所、最も長く過ごした国、両親の国籍なども含みます。日本と違って二重国籍、三重国籍を認める国も多いですし、○○人とくくらないことに、フレッチャーのインターナショナルさが発揮されると思っています。

さて、フレッチャー2年目としては第1弾、1年目から通算して第31弾の留学生として、アルゼンチン生まれ、アメリカ育ちのIgnacioさん(Ignacio Obejero Paz)をご紹介させていただきます!

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの生まれながら、4歳のとき家族でアメリカ合衆国オハイオ州のクリーブランドに引っ越してきます。言語のカルチャーショックや「移民」としてのアイデンティティが少なからず今もキャリア形成にも関わっているとのこと。大学で政治経済と国際関係を専攻したのち、ワシントンDCにあるDevelopment Finance Internationalという会社へ。世銀など開発金融機関と新興国企業を繋ぐ仕事で、中南米、中東、アフリカの様々なプロジェクトに従事されます。奥さんがボストンで仕事を得たことことから、ボストンでの大学院を探し、ビジネスと国際関係を複合的に学ぶフレッチャーMIBプログラムに進学。フレッチャーではエネルギーとファイナンスを専攻され、卒業後はエネルギー分野のプロジェクトも手掛ける投資銀行などを目指されています。11月には第1子が生まれる予定でパパになる経験豊かなIgnacioさんと出会えてありがたいと思ったインタビューでした。


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<Ignacioさんにインタビュー>

1. Before Fletcher?


アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの生まれです。父はブエノスアイレスで医者をしていて、アメリカに研究者として招かれて、自分が4歳のときに、オハイオ州のクリーブランドに家族で引っ越してきました。

一番のカルチャーショックは言語でした。アルゼンチンを初め南米にはアメリカからアニメが輸入されてスペイン語に翻訳されて放送されているのですが、子どもの頃はもともとアメリカのアニメだと知らずにスペイン語で楽しんでいました。アメリカに来たら、慣れ親しんだアニメが自分の知らない言語(=英語)で放送されていて、このとき感じた「移民」としてのアイデンティティがその後のキャリア形成やフレッチャー進学に大きく関わっていると思います。

小学校から高校までクリーブランドで教育を受けて、大学はCase Western Reserve Universityへ。自分はロックミュージックが好きで将来はミュージシャンになりたいと思い最初は音楽を専攻していたのですが、理論として音楽を学ぶことに肌が合わず、政治経済と国際関係に途中で専攻を変えました。大学のころに、自分のルーツと祖父母をふくめた家族の日常生活を知りたいと思い、アルゼンチンで1年間交換留学もしました。

大学卒業後は、ワシントンDC近郊にあるDevelopemnt Finance International(DFI), Inc.という会社へ。この会社は世界銀行なと開発金融機関と新興国企業を繋げるコンサルティングサービスを提供しています。例えば、世銀がルワンダのICT促進プロジェクトで関連の融資先を探している際に、そのプロジェクトを知らない企業にプロジェクトの背景を説明して世銀に応募するよう提案したり。プロジェクトレポートは100ページに渡るもあって忙しい企業に丁寧に説明してあげるニーズがあるんです。

中南米(メキシコ、コスタリカ)、中東(イスラエル)、アフリカ(ケニア、ルワンダ、ウガンダ)など様々な地域の案件に携わり、複数回、現地にも出張を重ねました。業界としては、サイエンステクノロジー、ヘルスケア、エネルギーなど色々と担当させていただきました。

2. Why Fletcher?


ワシントンDCで出会った妻は、医学を専攻していて、ボストンにあるBoston Medical Centerにて職を得たんです。ちょうど自分は7年間、同じ会社で仕事をしていた頃で、キャリアを見つめ直す意味でも、妻と一緒にボストンにきて大学院に行こうと思いました。前職で新興国企業を担当していたため、ビジネスを学びたいと思い初めはMBAを考えていたのですが、ビジネスと国際関係を複合的に学べるMIBプログラムへ進学することに。前職からフレッチャーに進学した知り合いがいて、MIBプログラムは自分のバックグランドに適していると感じました。

フレッチャーではエネルギーとファイナンスを専攻して学んでいます。最初はコンサルティングを専攻しようと思っていたのですが、Corporate Financeをはじめファイナンスの授業をフレッチャー1年目で受講するうちに、その定量分析の視点や、数字で裏付けを取る考え方に惹かれました。エネルギーに関してはフレッチャーは関連授業や研究センターもあるほか、The Tufts Energy Conferenceというカンファレンスも開催されて昨年度は自分はパネルディスカッションも担当しました。今学期は、Sutainable Development Diplomacyという授業で、気候変動ファイナンス(Climate Finance)などを勉強しています。


3. After Fletcher?


エネルギーとファイナンスの専攻を活かせるキャリアを目指していて、エネルギー分野のプロジェクトも手掛ける投資銀行などを考えています。この夏は、社会的投資のネットワークを推進するNPOであるThe Global Impact Investing Newtorkにてインターンをしてマクロ分析の仕事をしました。

ケニアのソーラーエネルギーのスタートアップ会社であるM-KOPAなど面白い会社がどんどんエネルギー分野に出てきて、そういう会社へファイナンスしていくニーズも高まっているんです。

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アルゼンチンには行ったことがないのですが、Ignacioさん曰く「南米で一番に欧米化した国」とのことで、Ignacioさん自身、イタリアとスペインのルーツを持つとか。そのほか「ユダヤ教の人たちも多い」とのことで、イスラエル建国前にユダヤ人国家としてアルゼンチンとウガンダが候補地にあがっていた歴史も教えてくださいました。サッカーやタンゴなどで有名な国ですが機会あれば是非行ってみたいです。

Ignacioさんは11月には第一子が生まれる予定とのこと(!)授業に子育てに忙しくなると思いますが、機会を見つけては色々と交流していきたいです。MIBという少人数プログラムでIgnacioさんに出会えたのがありがたいと思ったインタビューでした。


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▲ Hall of Flagにてアルゼンチンの国旗と記念撮影。

先日、ボストンからアイスランドに行って、Arctic Circle Assemblyと呼ばれるフォーラムにフレッチャー生と参加して参りました。

このArctic Circle Assemblyとは、北極圏で最大の国際的なフォーラムで、50カ国以上から2,000人以上もの参加者が集まります。場所はアイスランドの首都レイキャビクにある近代的なイベント施設のThe Harpa Conference Center and Concert Hall。アイスランド現首相を始めとする各国政府のトップ、大臣、国会議員、科学者、起業家、企業のCEO、先住民の代表、環境専門家、学生と参加者のバックグランドは様々です。実際に自分もグリーランドの先住民の方や、アイスランド大学の学生など多くの方々との交流の機会がありました。

フォーラムは、3日間開催されて、メイン会場での合同セッションのほか、朝から夜までテーマ別の様々なセッションが開催されていて、自分の関心のあるセッションを選んで参加する形式です。自分もイノベーション、国際貿易、ジェンダー、中国、日本と様々なセッションに参加させていただきました。

そもそも、なんで国際関係大学院であるフレッチャースクールがArctic Circle Assemblyと関連があるかというと、フレッチャーのMaritime Studiesの教授であるRocky Weitz氏を中心として、一昨年よりArctic Circle Assemblyにフレッチャー生を連れて行くArctic Tripという研究旅行を企画運営しているからです。選ばれたフレッチャー生は500米国ドルの旅費補填が大学院側より支給され、今年は30名あまりのフレッチャー生が参加しました。ただ参加するだけではなく、ハーバードケネディスクール、アイスランド大学、グリーンランド大学、レイキャビク大学と連携して、Arctic Innovation Labというセッションも開催しています。またアイスランドでのArctic Circle Assemblyのほか、春学期にはフレッチャーのキャンパスにて北極圏をテーマにしたカンファレンスであるArctic Conferneceも開催されます。

自分もフレッチャーに入学するまで全然知りませんでしたが、Arcticとフレッチャーって実は非常に深い関係があるんです。国際開発のキャリアを目指す自分にとっては、ダイレクトにキャリア形成に繋がるわけではありませんが、視野を広げるという意味で非常に豊かな経験ができました。

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このブログに書き切れないぐらいの色々なインプットや学びがありましたが、日本人として是非お伝えしたいのは、日本の外務省によって開催された「The Arcitc As The Field Of SDGs」という日本セッション。日本の研究者によるArcticに関連するトピックでの研究内容の発表が行われました。

例えば、気候変動に関する研究発表では、日本の大雪や太平洋のエルニーニョ現象など世界の異常気象は、実はArcticの気候変動にも繋がっており、気候変動の予測可能性(predictability)を高めるために、衛星を利用して北極圏の氷の厚さのデータを収集したデータベースが作成されたとのこと。そのほか先住民の方に関する研究発表では、シベリアのヤクーツクに住む先住民の方々に影響のある気候変動の実態と、また環境教育のための教育ツールの開発の必要性が話されました。
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日本セッションのあと「Japan Night」と呼ばれる懇親会が開催されました。そこでは、日本の伝統的な音楽パフォーマンスとして三味線の演奏とともに、日本のお寿司とお酒が振舞われました。(寿司職員の方が日本からわざわざお越しになったのと、お酒も日本から全て持ってこられたとのこと。)Arctic Circle Assemblyというフォーラムが単なる北極圏をテーマにしたイベントに留まらず、様々な国々の人々が参加する「場」として文化交流に繋がるのは意義深いと。
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ボストンからはアイスランドへはLCCを利用して5時間半ぐらいのフライトと意外に近く、4日間の滞在という短い期間でしたが、参加できて良かったと思います。Arcitc Circle Assemblyというフォーラム自体もそうですが、何より普段接する機会の少ないフレッチャー生らと深く交流できたことで、より想い出深い経験になったのかと。Arcitcとの縁を大切にしてフレッチャーライフを送っていきたいです。
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▲Arctic Innovation Labというセッションにてフレッチャー生らと集合写真。
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▲Icebreakerという船を見学するツアーも参加させていただきました。
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▲綺麗でエコで静かなレイキャビクの街並み。また是非訪問したいと感じる街でした。

フレッチャースクールでは、Fletcher Feastという「手作りの食事を通じた交流会」が、各学期に2、3回程度開催されています。先日は、2017年秋学期初のFletcher Feastが開催されて参加して参りました。

このFletcher Feast、フレッチャーの長い伝統というわけではなく、昨年はじまったもの。

Fletcher Feastを始めた元フレッチャー生のAnna Helena Ackermanさん(MALDプログラム 2017年卒業)に「なぜFletcher Feastを始めたのか?」と質問したところ、「フレッチャースクールは外交を教える大学院だけれど、教室で外交に関してディスカッションすると、どうしても仰々しくなったり、自然体でない気がした。自宅に招いて食事を囲みながら、ざっくばらんにディスカッションすることの重要性を感じて企画しはじめた」とのこと。

昨年はじまったこの取り組みは、Fletcher Culinary Diplomacy Clubという名前を変えて正式なクラブ活動として展開されています。ゼロからイチを企画して周りの学生を巻き込む勢いは「フレッチャーらしい」と感じる瞬間です。

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今回、自分が参加したFletcher Feastにてホストしてくださったのは、もともとモロッコでPeace Corp Volunteer(アメリカ版の青年海外協力隊)をやっていたMichaelさんを初めとするハウスメイトたち。誰のホストの家に招かれるかは、運営側がランダムに決めてくれます。

モロッコにちなんで、タジンやクスクスなどのモロッコ料理が振舞われました。

ディスカッションしたのは、真面目な話題から、くだけた話題まで様々。DACAプログラムやアメリカの移民問題、中国やモロッコでのPeace Corps Volunteerの経験、フレッチャーの環境カンファレンスなど。

新しい学生と食事を囲みながら深く知り合えるきっかけともなり、是非次回以降も参加していきたいなと感じました。

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▲ふだん授業が重ならなくて交流の少ないMALDプログラムの学生らと知り合えました。

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▲モロッコ料理をふくむ様々な料理が振舞われました。





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