ついに2年間のフレッチャー生活が終わりました。
毎日が真剣勝負の怒涛の日々でした。
振り返ってみると、まさに人生を変える(life-changing)豊かで尊い時間でした。好奇心の思うままに色々な活動に挑戦して、泣きも笑いも多くを経験させていただきました。こみ上げてくる感情は「感謝」の一言。過ごした一瞬一瞬に「学び」が宿っていました。
授業では、開発経済学(Development Economics)とソーシャルビジネス(Business for Social Impact)を専攻。このブログのタイトルの通り、「国際開発とビジネスの接点」という関心分野を深めることができました。
開発経済学ではその道の第一線であるSchaffner教授とAker教授からご指導をいただき、政策分析・ミクロ経済分析・計量経済・インパクト評価を学ばせていただき、インドの職業訓練やルワンダの電力事情などを調査できました。お二方とも非常に情熱的で、「開発のプロ」を育てようという教師としての矜持を揺るがず持つ方々でした。深夜1時までパソコンルームに籠ってStataという統計ソフトを前にグループで格闘した日々は今となっては良い想い出です。世銀・UNDP職員を前にウガンダの教育プロジェクトのインパクト評価のプレゼンをする貴重な機会も。国際開発をキャリアとして志す身としてエコノミストの方々の視点をいただいたのは、一生の宝物であり糧だと感じています。
ソーシャルビジネスも素晴らしい教授陣に恵まれました。元マッキンゼーでMIBプログラムの学長であるBhaskar教授からは、途上国で次々と産まれるイノベーション、また10年20年先を見据える視点を教わりました。「国際開発へのビジネス手法のアプローチ」というKim Wilson教授の授業では、国際大手NGOのTechnoServeへのプロボノプロジェクトとしてグアテマラの起業家向けアプリ開発に携わることができました。ハーバードビジネススクールのLeonard教授の社会企業の授業もCross Registerで受講し、アフリカのサファリのエコツーリズムやカンボジアの障がい者らのデータ入力事業など知れたのは発見の連続でした。途上国開発においてビジネスの果たす意義も限界も今後の盛り上がりも、肌感覚として味わった、そんな時間でした。
授業以外にも様々な学びがありました。社会的投資サークルであるFletcher Social Investment Groupに所属して、アメリカの大手マイクロファイナンス団体のKivaと連携して、アフリカ、ラテンアメリカ、東南アジアの社会企業のDue Diligenceに関わることが出来ました。
専攻である「国際開発とビジネス」以外に「音楽」「文化」「芸術」への自分の情熱を再認識した日々でした。合唱サークル(Ambassachords)と芸術サークル(Perfoming Arts Club)のリーダーを務めて、文化交流イベントのCultural Nightや、春と冬のリサイタルを通じて、アフリカ・ラテンアメリカ・アジアなど世界各国の歌を歌ったのは、忘れられない心震える時間です。インド障がい者アーティストの日本のテレビ出演のサポートは音楽のチカラの大きさを痛感した瞬間でした。「音楽を通じた国際理解」という自分の興味をもとに、ニューイングランド音楽院のElke教授のもと、「音楽と社会変化」の授業を聴講。日本の文化理解を促進したいと、プロピアニスト碓井俊樹さんはじめ色々な人々に有り難くも支えて頂いて、フレッチャーで日本音楽をテーマにコンサートも開催できました。「音楽を通じた心と心の交流」という温かくて静かな時間の流れが、忙しい毎日に確かな彩りを添えてくれました。
銀行を飛び出してインドに行った時は好きではなかった「日本」というアイデンティティを愛することができた日々でもありました。ジャパンクラブのメンバーとして日本の折り紙ワークショップを開催した際の参加学生らの楽しそうな笑顔が思い出されます。OBOGや教授、友人らの多大な協力を無理を言って、フレッチャー初のジャパントレックを企画開催。新しいイニシアチブながら、自分の時間を削って支えてくださった方々には頭が上がりません。
学びの場は学校だけに留まりませんでした。アジアリーダーシップトレックに参加して東南・東アジア6カ国を周遊し、政府機関・企業・NGOなど様々なリーダーから直接話を伺って、成長するアジアの息吹を感じさせていただきました。ルワンダの起業家支援NGOでサマーインターンをさせていただき、ルワンダの未来を信じてビジネスを創り上げていく起業家の情熱や、それをサポートするNGOの方々の信念に感動しました。春休みにはフレッチャーイスラエルトレックに参加して、イスラエル・パレスチナ問題の難しさに途方もない感覚を覚えると同時に、その解決を願って活動する様々な方々の想いに胸が打たれました。
何よりも「学び」を彩ってくれたのは、一緒の時間を共有してくだった教授・スタッフ・学生らとの出会いです。留学を終えた今まさに感じるのは、学ぶ内容より何よりも、人から受ける気づき、刺激、感動がいかに自分を成長させてくれるか。ビジネススクールではなく、国際関係大学院のフレッチャーに集まる人々には、「社会のため」「機会が恵まれない人々のため」等、心の深いところで共鳴するミッションがあると感じています。40カ国を超す留学生の方々へのインタビューを通じて、その行動力、その情熱、その信念に何度も圧倒されました。この人たちと一緒に努力すれば、不合理でどうしようもない社会が、ゆっくり、でも確実に変わっていける、そう本気で感じています。
最後に。いつも深いところで自分を見守ってくれる両親に、この場を借りて御礼を伝えたいです。周囲の反対を振り切って銀行退職、インドでの現地採用勤務、そしてフレッチャーへの留学という破天荒な自分の人生を遠くから見守ってくれているという安心感がいかに自分にエネルギーを与えてくれたか。「自分にしたいように生きて良いから」と背中を押してくれる姿勢に、何度涙を流したことか。家族の大切さを改めて感じた2年間でもありました。
このブログが、フレッチャースクールに関心を持つ、あるいはアメリカでの大学院留学へ興味がある日本人の背中を一人でも押すキッカケとなれば非常に嬉しいです。誰もが「弱さ」や「迷い」があるもの。でもそれが人生の深みや味わいを与えてくれると思います。留学準備など大変なことも多いかもしれないですが、是非是非がんばっていただきたいです。自分も努力を重ねること、人への感謝を忘れないことを胸に、一度きりの人生を全うしていきたいと思います。

▲フレッチャーの友人らに誕生日を祝ってもらいました。こういう感動的な瞬間のために人生があるんだなと感じます。
毎日が真剣勝負の怒涛の日々でした。
振り返ってみると、まさに人生を変える(life-changing)豊かで尊い時間でした。好奇心の思うままに色々な活動に挑戦して、泣きも笑いも多くを経験させていただきました。こみ上げてくる感情は「感謝」の一言。過ごした一瞬一瞬に「学び」が宿っていました。
授業では、開発経済学(Development Economics)とソーシャルビジネス(Business for Social Impact)を専攻。このブログのタイトルの通り、「国際開発とビジネスの接点」という関心分野を深めることができました。
開発経済学ではその道の第一線であるSchaffner教授とAker教授からご指導をいただき、政策分析・ミクロ経済分析・計量経済・インパクト評価を学ばせていただき、インドの職業訓練やルワンダの電力事情などを調査できました。お二方とも非常に情熱的で、「開発のプロ」を育てようという教師としての矜持を揺るがず持つ方々でした。深夜1時までパソコンルームに籠ってStataという統計ソフトを前にグループで格闘した日々は今となっては良い想い出です。世銀・UNDP職員を前にウガンダの教育プロジェクトのインパクト評価のプレゼンをする貴重な機会も。国際開発をキャリアとして志す身としてエコノミストの方々の視点をいただいたのは、一生の宝物であり糧だと感じています。
ソーシャルビジネスも素晴らしい教授陣に恵まれました。元マッキンゼーでMIBプログラムの学長であるBhaskar教授からは、途上国で次々と産まれるイノベーション、また10年20年先を見据える視点を教わりました。「国際開発へのビジネス手法のアプローチ」というKim Wilson教授の授業では、国際大手NGOのTechnoServeへのプロボノプロジェクトとしてグアテマラの起業家向けアプリ開発に携わることができました。ハーバードビジネススクールのLeonard教授の社会企業の授業もCross Registerで受講し、アフリカのサファリのエコツーリズムやカンボジアの障がい者らのデータ入力事業など知れたのは発見の連続でした。途上国開発においてビジネスの果たす意義も限界も今後の盛り上がりも、肌感覚として味わった、そんな時間でした。
授業以外にも様々な学びがありました。社会的投資サークルであるFletcher Social Investment Groupに所属して、アメリカの大手マイクロファイナンス団体のKivaと連携して、アフリカ、ラテンアメリカ、東南アジアの社会企業のDue Diligenceに関わることが出来ました。
専攻である「国際開発とビジネス」以外に「音楽」「文化」「芸術」への自分の情熱を再認識した日々でした。合唱サークル(Ambassachords)と芸術サークル(Perfoming Arts Club)のリーダーを務めて、文化交流イベントのCultural Nightや、春と冬のリサイタルを通じて、アフリカ・ラテンアメリカ・アジアなど世界各国の歌を歌ったのは、忘れられない心震える時間です。インド障がい者アーティストの日本のテレビ出演のサポートは音楽のチカラの大きさを痛感した瞬間でした。「音楽を通じた国際理解」という自分の興味をもとに、ニューイングランド音楽院のElke教授のもと、「音楽と社会変化」の授業を聴講。日本の文化理解を促進したいと、プロピアニスト碓井俊樹さんはじめ色々な人々に有り難くも支えて頂いて、フレッチャーで日本音楽をテーマにコンサートも開催できました。「音楽を通じた心と心の交流」という温かくて静かな時間の流れが、忙しい毎日に確かな彩りを添えてくれました。
銀行を飛び出してインドに行った時は好きではなかった「日本」というアイデンティティを愛することができた日々でもありました。ジャパンクラブのメンバーとして日本の折り紙ワークショップを開催した際の参加学生らの楽しそうな笑顔が思い出されます。OBOGや教授、友人らの多大な協力を無理を言って、フレッチャー初のジャパントレックを企画開催。新しいイニシアチブながら、自分の時間を削って支えてくださった方々には頭が上がりません。
学びの場は学校だけに留まりませんでした。アジアリーダーシップトレックに参加して東南・東アジア6カ国を周遊し、政府機関・企業・NGOなど様々なリーダーから直接話を伺って、成長するアジアの息吹を感じさせていただきました。ルワンダの起業家支援NGOでサマーインターンをさせていただき、ルワンダの未来を信じてビジネスを創り上げていく起業家の情熱や、それをサポートするNGOの方々の信念に感動しました。春休みにはフレッチャーイスラエルトレックに参加して、イスラエル・パレスチナ問題の難しさに途方もない感覚を覚えると同時に、その解決を願って活動する様々な方々の想いに胸が打たれました。
何よりも「学び」を彩ってくれたのは、一緒の時間を共有してくだった教授・スタッフ・学生らとの出会いです。留学を終えた今まさに感じるのは、学ぶ内容より何よりも、人から受ける気づき、刺激、感動がいかに自分を成長させてくれるか。ビジネススクールではなく、国際関係大学院のフレッチャーに集まる人々には、「社会のため」「機会が恵まれない人々のため」等、心の深いところで共鳴するミッションがあると感じています。40カ国を超す留学生の方々へのインタビューを通じて、その行動力、その情熱、その信念に何度も圧倒されました。この人たちと一緒に努力すれば、不合理でどうしようもない社会が、ゆっくり、でも確実に変わっていける、そう本気で感じています。
最後に。いつも深いところで自分を見守ってくれる両親に、この場を借りて御礼を伝えたいです。周囲の反対を振り切って銀行退職、インドでの現地採用勤務、そしてフレッチャーへの留学という破天荒な自分の人生を遠くから見守ってくれているという安心感がいかに自分にエネルギーを与えてくれたか。「自分にしたいように生きて良いから」と背中を押してくれる姿勢に、何度涙を流したことか。家族の大切さを改めて感じた2年間でもありました。
このブログが、フレッチャースクールに関心を持つ、あるいはアメリカでの大学院留学へ興味がある日本人の背中を一人でも押すキッカケとなれば非常に嬉しいです。誰もが「弱さ」や「迷い」があるもの。でもそれが人生の深みや味わいを与えてくれると思います。留学準備など大変なことも多いかもしれないですが、是非是非がんばっていただきたいです。自分も努力を重ねること、人への感謝を忘れないことを胸に、一度きりの人生を全うしていきたいと思います。

▲フレッチャーの友人らに誕生日を祝ってもらいました。こういう感動的な瞬間のために人生があるんだなと感じます。