2018年12月07日

JPMAパラモーター日本選手権in鳥取(北栄町) レポート

IMG_0545IMG_0718IMG_0549 2018年度JPMAパラモーター日本選手権は、人口が日本で一番少ないとも言われている鳥取県での開催となった。会場となった北栄町は、鳥取県中部に位置する町だ。
 漫画『名探偵コナン』の原作者でもある青山剛昌氏の出身地であり、町内には青山の記念館やコナンのオブジェがあるなど「コナンに会えるまち」とも言われている。
 どうりで、アニメグッズを片手にしたアジア系の観光客を多数見かけた。また、風車がシンボリックに並ぶ風のまちでもある。 鳥取といえば、大山が有名だが、そのすそ野をあがっていく途中に位置するすいか空港は、普段、山陰マイクロプレーンクラブが運営する西日本では貴重なマイクロライトの場外離発着場できれいに管理されている。 この、クラブメンバー皆様の多大なるご理解、ご協力で開催できる運びとなった。

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11/9(金)公式練習日
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練習日から全選手が遅延なく集合するという、優秀な幕開けとなった練習日だったが、雨天が予測され、選手、スタッフ一同がっかりしていた。
前日の8日には激しい雨が降り、エリアの状況も心配だ。 だが、予定より早く上がりそうな予報に次第に変わり、期待が高まっていった。

 しかし、風の状況は寒冷前線通過後で、西の風7m/s程度の風。終日この風が続いてしまい、練習日は飛ぶことができず、選手受付と機材チェックで終わることになった。翌日の天候がよくなることを期待しつつ、明日の公式競技第1日目は6時集合として解散。選手たちは、鳥取観光へと方々に足を延ばしたようだった。




11/10(土)公式競技日
IMG_0560IMG_0579IMG_0710 早朝6:00には、エリア集合、受付開始。天候は西の風だが弱く、可能性は大。
7:00から、地元北栄町の松本昭夫町長、北栄町議会議員の齋尾智弘氏、地元マイクロプレーンクラブ会長の徳山幸一氏を来賓にお迎えし、開会式が行われた。
 また、昨年度日本選手権者-島津氏のエントリーがないため、夫婦出場の海田和廣・由紀子夫妻(福井県)に選手宣誓を務めて頂いた。ブリーフィングを行い、選手権、FLY&FUN部門の各TASKが発表された。選手権部門では、手始めに山陰地方の空を満喫してもらおうという競技スタッフの気持ちを反映させ、あちこち飛び回ることができるナビゲーションTASKが発表された。

◎選手権-TASK01/02【通過ポイント数ナビゲーション/TO・LDを含む複合競技】

すいか空港は、大丘陵斜面上に位置している。地元クラブ員からは、西の風の場合、あまりコンディションがよくないと聞いていた。 しかし弱い西風で、これなら行けるとディレクターは判断。
つづいて、FLY&FUN部門でもTASKが発表された。
〇FLY&FUN-TASK01【シークレットパイロン1.2、マーカー投下/TO・LDを含む複合競技】

 ゲートオープンは8:15〜11:15の間とされたが、前日の強風もわずかに残り、上空は荒れ模様だったようだ。荒れた風のなか、FLY&FUN部門の選手も予想以上に頑張ったテイクオフが続いた。選手たちは、思い思いにシークレットパイロンを捜して飛び去って行った。 選手権部門の、ナビゲーションTASKは、制限時間2時間で、事前に示されているパイロンをいかに多く回ってくることができるか、が競われる。
ゲートオープンは8:30〜11:30で、後半になると少し風が強くなり、すいか空港特有の山谷越えローターが少し強まっていった。ランディングを試みる選手は上空で風に翻弄されることになり、飛行空域を2時間飛び回ってきたお疲れの選手たちはランディングに四苦八苦。
IMG_0653IMG_0652IMG_0654 選手にとって、事前に飛行空域の地形を把握し、競技地図を整備させることがとても重要な作業となる。左は川村選手(兵庫県)の苦労の大作マップボードだ。全ポイントごとにカラー出力したグーグルMAP地形図をしマップボードに貼付けている。まるで地図帳だ。だが本人曰く、まるで使えなかった。らしい…。

選手権TASK01-ナビゲーションに挑んだ選手からは、天候も飛行も厳しい条件だったとの感想があがった。だからこその日本選手権でもあるわけだが、横からの山谷を越える風や厳しい高度制限に手を焼いたようだ。それでも、鳥取県の東西70km、南北30kmを飛んできたぞと意気揚々と帰着した選手も。世界選手権などの国際競技会に、何度か出場経験のある選手でも、これほど厳しい条件での競技内容は初めてだとの声もあがった。結局のところ、鳥取の空を予想以上に楽しんだということだろう。

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3452-大槻選手023555-大西選手012570-高橋選手2349-清水選手011921-杉本選手










IMG_0584  それでもトップ選手は16ポイントもパイロンを獲得して帰着した。しかしここで、誰も予測していなかったパプニングが起こってしまった。
 ベテラン五十嵐選手(山形県)がナビゲーションTASKで、スタートパイロンを取り逃がしてしまうという痛恨のミス。せっかく10ポイント以上のパイロン獲得にもかかわらず、これで最初のTASKはポイント0となる結果に。

 ご承知のとおり、スカイスポーツは、とりわけ天候に大きく左右されるもので、特に競技会では、悪天候に泣きビックTASKを消化できない場合も少なくない。競技期間中、ずっとコンディションに恵まれることは珍しいのだが、TASKを1本以上成立させないと、日本選手権そのものが成立しない。ディィレクターは、とにかく、1本でも競技を成立させる責任があり、選手の技量や気象条件等を冷静に判断し、TASK設定を行っている。今大会では、厳しい環境ではあったものの、最初にロングTASKを成立させることができ、一安心。手ごたえのある良い滑り出しとなった。

EOSR0748EOSR0722EOSR0728 ところが、天候は思うようにはならず、西の風はそこそこの強さとなってしまい、夕方まで他のTASKを実施することはできなかった。
 せっかく遠方からエントリーした選手たちに、できるだけこのエリアを楽しんで飛んでほしいと願う運営スタッフも、冴えない天気に顔を曇らせた。
 夕方になり、少し風が落ちてきたのをみてショートTASKが検討された。ダミーも出したが、まだ不安定で厳しい状況は思うようには変わらず、ここで第一日目の競技を終えることになった。


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 その後、懇親会をエリア会場で実施。選手やスタッフ、フライト仲間も集まり、神奈川県からの似非マジシャンのキラキラ衣装とシルクハット姿に、みな大笑い!(鈴木健市選手ご夫妻、ありがとうございました。笑いすぎてカメラを構えられませんでした。)
じゃんけん総取りゲームやオークションで楽しんだ。



11/11(日)公式競技日
EOSR0866IMG_0755IMG_0754IMG_0753 天気は回復の兆しとの予測。
 しかし、すいか空港で絶好の風向きである北になるには、時間がかかると判断し、ブリーフィング時間を7:00スタートとした。

 FLY&FUN部門も2日目に入り、次のTASKが発表された。


〇ELY&FUN -TASK02【テイクオフ、シークレット1.2.3/TO・LDを含む複合競技】


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 ややサーマル気味のコンディションながら、前日に比べると安定した状態になり、選手は勢いよくテイクオフしていった。









〇FLY&FUN TASK03【ポールキック4本/TO・LDを含む複合競技】


EOSR1223EOSR1225EOSR13133つめのTASKは初体験者も多かったポールキックだ。 サーマルが、多少厳しくなってきたことと、風の方向も、微妙に変わってきたため、テイクオフの風も安定せず、テイクオフに苦戦していた。


FLY&FUN部門は、3本のYASKを終え、萩原翼選手(千葉県)が昨年に引き続き、連覇の1位となった。このFLY&FUN部門は、誰もが気軽にチャレンジできる競技内容とされ、シビアな競技ではなく、安全にフライトを楽しむための基本フライトが中心となっている。そのためか、初心者だけではなく、経験ある選手もストレスないこの部門にエントリーし、活躍する。そのため、一定の技量以上を持つClass曲殕者の得点は20%マイナスで計算され、公平性が保たれるのだ。1位となった萩原選手には、近くClass暁定予定だと聞く。今後は、若手としても、日本選手権部門での活躍を大いに期待したい。


◎選手権-TASK-03【テイクオフ&ランディング


そして、選手権部門は、風が本流になるまでショートタスクを実施することになり、基本のプレシジョンTASK。いたって簡単に思われそうなTASKだが、確実、正確、パーフェクトにこなすことはそう簡単ではない。だが、経験ある実力者が、確実にクリアいくのは実に頼もしい。続いて、競技2日目のメインとなったTASK4-エコノミーが発表された。ピュアエコノミーだ。

◎選手権-TASK04/05【ピュアエコノミー/ TO含】

DSC_3213DSC_3212DSC_3215DSC_3216 これは、2箸離ソリンでどれだけ飛んでいられるか、というシンプルかつシビアな競技だ。審判員立会いの下、燃料計測し、計量後、機材は指定場所に格納され、一切手を触れてはならない。
 この競技は、単にエンジンの吹かし方の技だけではなく、燃料セーブのためにエンジンカット後もソアリングして時間を稼ぐためにも、地形やサーマル、風の流れなどを読むことが重要となる。エンジンのパワーだけを頼りにせず、フライトスキルを発揮できるエコノミーTASKは極めてパラモーターらしい競技とも言えるだろう。動力なしの山飛びの経験値がものをいう競技でもある。
このエコノミータスクでは、世界選手権でもTASK首位を取る五十嵐選手(山形県)が、きっちりトップ獲得した。五十嵐選手が99分。2位の田村選手(東京都)は55分という結果はさすが。
↓(左:五十嵐選手/右:田村選手)
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 この頃になるとやはり風が上がってきてしまった。これでは、安全に飛ぶことは難しい。こんな時のためにと、マイクロプレーンクラブのみなさんによる素晴しいデモ飛行を実施。選手や観客の目を楽しませんてくれた。向こうに見える大山とのコントラストも美しい。この他にも、鳥取砂丘パラグライダースクール((砂丘本舗)によるパラグライダーふわり体験も実施され、子供たちを含む多くの観客が少しでもスカイスポーツの楽しみを味わっていただく時間ができたことは、本当によかった。選手によるデモフライトも観客を楽しませた。
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 FLY&FUN部門は午前中に1本のシークレットパイロンのタスクを終え、午後からは選手権部門だけが競技を実施。最終タスクとなった内容は、テイクオフと見た目にも楽しいボーリングの複合競技となった。

◎選手権-TASK06/07【ボーリング/TO含】

IMG_0627 会場では、地元マイクロプレーンクラブ員のご尽力で飲食ブースやビジョンが設置され、賑わいを見せてくれた。
 また、そのおかげもあり、地元の観客も多く来場、とりわけ、ランディング競技のひとつである
ボーリング(ボーリングのピンに見立てたペットボトルを多く倒しながら安全に着陸する競技)は観客が見て楽しめるグランドタスクで、見事にピンを倒した選手には大きな拍手がおこった。



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001002003そして、上位選手の得点がせめぎ合っていることもあり、挽回のチャンスとなった最終タスクで、またしてもドラマが起こった。勝者は若手の田村選手か?さてまたベテラン五十嵐選手のどちらか??という緊張状況で、まずはトップの田村選手が先行し、手堅く7本を倒した。対して逆転を狙う五十嵐選手は、悪い風に翻弄されたか、なんとテイクオフに失敗。さらに、プロペラが折れるトラブルに見舞われたのだ。それでも諦めない五十嵐選手はエンジン変更を競技委員長に申告、受理され、再フライトチャレンジに。
 しかし、ゲートクローズまで残すは10分、時間が刻一刻と無くなっていくところで、ラストチャンスのフライトへ。ところが、緊張の面持ちの五十嵐選手は、風も悪かったことも影響したか、再びテイクオフに失敗してしまう。そして、ゲートクローズ時間を迎えた。
これで今年のチャンピオンが田村選手に決まった。最後まであきらめない姿勢を貫いた五十嵐選手は特筆に値するが、結果はごらんのとおり。 確実に得点を重ねた田村選手が雪辱を果たした。
 初の0点TASKとなったにもかかわらず、ピュアエコノミーで巻き返しを図った五十嵐選手は見事2位に食い込んだ。3位にはニューフェイスの大西能哲選手(愛知県)、そして4位には常連の川崎義弘選手(静岡県)と続いた。新旧の選手が上位で拮抗し、実にドラマの多い大会となった。 全TASKを終え、16:00から閉会式を行った。閉会式では(一財)日本航空協会 航空スポーツ室大山拓也室長から、田村選手へ日本選手権者証が授与された。また、山陰マイクロプレーンクラブ会長-徳山氏には、感謝状が贈られた。入賞者と結果は以下のとおり。  ※大会中の画像(アルバム)はこちら。●アルバムVol.01  ●アルバムVol.02
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(クリック拡大)
2018年度JPMA FLY&FUN result2018JPMA日本選手権result
















IMG_0785 日本選手権者部門 優勝 田村高章(36歳)東京都出身
まずは今大会のために周辺整備やいろいろな準備をして頂いた、すいか空港関係者の皆さんにお礼申し上げます。ありがとうございました。 また、北は海、南は山という非常に変化に富んだ地形の空域でフライトでき、貴重な経験になりました。

TASK01はナビゲーション&テイクオフ&ターゲット。
天候に恵まれず、練習日にはフライトできなかったので、初めての空域でいきなりのナビゲーションタスクとなりました。まずは地形と周辺に点在する住宅街などを把握し、当初の予定通りにフライトできるかの判断に努めました。エリアより海側は、比較的地形変化が少ないため、予定通りのコースでのフライトを決めました。ただ、初めての空域ということもあり、途中で何カ所か自分の場所がわからなくなり、どうやら迷子になってしまったようで、時間をロスしてしまったのは、残念でした。
フライト中盤、山側のコースに差し掛かった頃には気流が乱れ、揺れや潰れが発生してフライト自体が難しい状況になっていきました。それでもなんとか当初の予定の8割程度のポイントを通過し、1時間50分程度でエリアに帰着。実は、フライト中の揺れで気持ち悪くなりフライト酔い状態に。
実は、帰着から1時間くらいはフラフラしていました。ターゲットは外してしまいましたが、後々聞いたら、誰も取れなかったとのこと。
 初日はその後気流が荒れた状態が続いてしまい、競技はキャンセルとなりましたが、夕方のフリーフライトで空から見た夕日が沈む大山は最高にきれいでした。

最終日の朝いちばん、TASK2はテイクオフ&ターゲット。
風は比較的安定しており、普段の練習通り危なげなくボールを蹴りました。ある程度熟練のフライヤーなら、よほどのことがない限り失敗しないので差は付きません。
TASK3はピュアエコノミー。10時15分オープンでしたが、誰も出ません。まだリッジサーマルが発生していないことを他の選手も分かっているようでした。11時過ぎ頃からポツポツとフライトする選手が出てきて、自分は12時くらいにフライト開始。予想通りサーマル、リッジサーマルが所々に出ており、エンジン回転数を極力抑えて効率的に飛べたと思います。途中サーマルが見つからずうろうろしていた時間帯があり、少し勿体なかったですが、それでも2リットルのガソリンで55分のフライト時間でした。
TASK4テイクオフ&ボーリング。このタスクの時も風は悪くなかったので、普段の練習通り行えば全部倒せると思っていました。しかし最後のタスクということもあり緊張していたのでしょうか、
 無意識にブレークコードを引き過ぎて最後は少し浮いてしまいました。結果倒せたボーリングは7本でした。全体を見てみると、ところどころミスや勘違いがありましたが、クリティカルなミスは無かったので総合得点は満足のいく結果となりました。今大会のフライト空域を飛んで一番感じたことは自分にはまだまだ山での経験値が低いと言うこと。今後は山飛びの機会を増やしてどんな地形でも的確に判断してフライトできるようになりたいですね。


IMG_0674 FLY&FUN部門  優勝 萩原 翼(27歳) 千葉県出身
今回で、2回目の大会出場ということで、去年同様楽しませていただきました。それというのもJPMAの方々を始め、大会開催にご協力くださった皆様のおかげです。ありがとうございました。
普段は、海沿いの安定した風でしか飛んでいなかったので、初日のコンディションは、かなりシビアな経験となり、途中で何度も戻ろうかと考えていました(笑)また、風向きの定まらない中でのテイクオフは、フロントでのハンドリングが重要と痛感し、いろいろと勉強になりました。
2日目は、とても安定したコンディションだったため、気持ち良く飛ばせていただきました。ここは、地元の千葉県からは、かなり遠いエリアとなりますが、また行ける機会があればもっとじっくりと飛んでみたいと思います。パラモーターで飛ぶには、とても魅力のあるエリアでした。
今後の課題として、 競技内容についても、状況判断が十分にできていない事が、大きな反省点でした。
これら精度をもっと上げて行けるよう、日頃から練習していきたいと思います。

Posted by mikabo2416 at 19:49│ 地域ブロック情報 | 競技プロジェクト