なぜ私はお花を扱っているんだろう?



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・・・時は経ち


始まりの意識は深淵へと揺れて


やがて・・・・。















ピッ


「台風が近づいています。」

「外出する際はどうぞお気をつけ


ピッ


「今日の星座占いランキング!」

「ごめんなさい!第12位は・・!」

「いて



ピッ


「あっぱれ!」

「じゃあこのプレーは?」

「かつだ!!



ピッ








「ええ!うそでしょ!?」


「いつ用意したの!?」


「でもありがとう。」


「・・・うれしい。」



「とっても綺麗な・・・お花ね。」





「・・・ありがとうね。」














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・・・ふうん




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おはなをぷれぜんとすると


よろこんでもらえるんだ



じゃあ



じゃあおかあさんに




・・・おはな






かってきてあげようかな♪

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ないしょなら


おどろくかな?







たくさんよろこんでくれるかな?












「ねえ」



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「ねえおかあさん?」




「ちょっとあそびにいってくる。」


「だからね、ひゃくえんちょうだい?」


「すぐかえってくるから!」








「うん。だいじょうぶ。」


「ちゃんとはやくかえるから。」


「じゃあいってきまーす。」










「だいじょうぶだよ。」

「しんぱいしなくてもだいじょうぶ!」









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たぬきさんじゃあいってくるね。


たぶんばしょはあっちのほうだったとおもうから。


もしかしたらちょっととおいかもしれないけど


もしかしたらまよっちゃうかもしれないけれど




いまからおはなやさんにいってくるよ。









おかあさんには



















・・ないしょだよ。






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それは・・・「お花屋さん」の日常

きっと・・・おそらく

いや・・・多分素敵?な


「お花屋さん」の物語

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私、お花が好きです。

エピソード

【最終話】後編
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■登場人物■

「店長」・・・花屋の男性社長。先代からお店を引き継ぐ。

「秀爺」・・・先代の時代から50年のキャリアを持つ超ベテラン。

「大ちゃん」・花屋社員。エース退職後この花屋の軸となる。

「小百合さん」・・おだやかで優しい雰囲気。アルバイトの女性。

「準さん」・・・元ウェディング会場装花担当 現新人花屋

「かすみさん」・・新人 準さんと同期 フラワースクール講師兼任

「私」・・『わたし』という名のお花が好きな全ての人々


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その小さな手の中には


大切な大切な100円玉が握られている。


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はあ


はあはあ



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「あ!」


・・・いててて

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はあ

はあはあ


・・・あとすこし


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あとすこしのはずなのに


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はあ・・・・


はあはあ




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「今日もごくろうさん。」


「そろそろ店じまいだ。」



店長は皆に声をかけた。

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私はいつも仕事終わりに

店の外に置いてあるお花や

観葉植物を店内に片付ける。




日中美しく咲き誇っていた花達は

陽の当たらない夜の間に

十分な休息を取る。




植物は夜間

僅かに眠る様な静けさを纏い

花びらを閉ざす事も多い。

全ては明日また美しく咲く為に。






その作業がもう一息で終わる頃、




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通りを走る小さな子供を見つけた。















・・・・・・・・

忘れている事はないか?

・・・・・・・・










通りを走る子供は


小学校低学年・・・2、3年生くらいだろうか。


そばに親はいない。










私のお花の「はじまり」


いつだったんだろうか?








その子がこちらに向かってきた。


そして


「あの・・・おはなやさん?」


と私に尋ねた。







ああ


もしかしたら。







「そうだよ。」


私が言うと・・・







そうだ。







「おはなください。」


とその子は言った。










・・・思い出した。








私はその子を店内に招き入れた。



今この花屋には店長をはじめとして


秀爺、大ちゃん、準さん、かすみさん、小百合さんと


スタッフが勢揃いしている。






・・・がんばれ。






皆は(・・・こんな時間に)子供が一人で?といった表情だ。


しかし店長は前にしゃがみこみ、小さな子供に目線を合わせて


「どうしたの?」と言うと


「・・・おはなください。」


とその子は今にも泣きそうな声で店長に言った。










・・・ああ


忘れていた「はじまり」が今


私の・・・目の前で。








「おはな?」



ここは花屋だからその子は当然の事を言っている


しかし皆は・・・戸惑った表情を隠せない。


幼い子供、夕暮れ時の遅い時間、ひとりぼっちという


特殊な条件が重なっている為だ。






そうだった。


やっと思い出した。







「おかあさんにぷれぜんと
したいから。」







いつだったんだろう?


・・・そして










「おかあさんにぷれぜんと
したいから・・・


・・・おはなください。」









何故私は今


花の仕事を・・・?










店長はその子に優しく語りかける


「おはなって?全部お花だよ・・・?」






「店長!」


私は口を挟んだ。






「カーネーションにしましょう。」







喜ばせたい


大切な人の笑顔が見たい








小さな子供は店長に向かって


「おかねを・・・」


その子は握りしめたままの小さな手のひらを



・・・そっと広げた。







・・・・何も握られていない。







汗にまみれた土が手のひらに
こびりついているだけだった。


子供は困惑した表情で


「・・・あれ?」


ない・・・じゃあ、」


「じゃあぽっけのなか・・・かな?」



「・・・おかね・・・」


ごそ・・ごそごそ


「・・・・。」


「・・・あれっ?・・・・。」


「ない・・・・。」



「・・・ない。」



「・・・・・・。」




「おかね・・・なかったです。」




「だから・・じゃあ・・・。」








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じゃあかえります。



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「・・・・!!」

「ちょっ!!」


ちょっと店長!





私から店長にお願いを・・・


きっとこの子は途中でお金を


・・落としたんですって!


だからお願い


だから・・・!



いつか私がそうであった様に


この子にとってきっと今日が


・・・今が!


きっと「はじまりの時」だから


・・・・だから店長お願い。








この子に・・お花を

















・・・同時だった。








その瞬間スタッフ全員が一斉に

「店長!」

と言い放った。



皆・・・同じ気持ちだった。


この子にお花を渡したかった。





「て・・」←秀爺だけ言い遅れる






しかしすぐに店長は言葉を発しない。

必死に何かを考えているようだった。





・・・ああ


・・・そうか。


たしかにそうかもしれない。


今お花をこの子に渡すことは


辛いけどこの子の為にはならない。




・・・ならば






「店長。」


「私が責任を持ってこの子を家まで送り届けます。」



だから



「・・・だから」


「カーネーションを一輪私に売っていただけますか?」


「ご両親にちゃんと事情を説明します。」



「その後でこのカーネーションをこの子の親に渡します。」



店長はいつも通りのやさしい表情だった。



「・・・そうか。そうだな。」


「・・・お金はいらないよ。」


「俺からも頼む。きっと・・・」




きっとその方法が一番いいだろう。









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美しい夕暮れ空の下


その子を連れて歩き始めた。




一輪のカーネーションは

私が握っている



曖昧な道の記憶を聞きだしながら







二人は帰り道を急いだ。



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「あっ!」


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その百円玉は間違いなくその子のものらしい。

途中で落としたと言っていたお金をその子が拾い上げると


私に百円玉を差し出してきた。










これでおはなください。



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花の話をしながら二人は歩き続けた。


シロツメクサやタンポポ、つくしや
向日葵の話・・・


赤い花をチュッチュ吸うと甘いんだよ
とか


四葉のクローバーが見つからないの・・・その子はそんな話もしてくれた。


















もう家は目の前だった。


その子から花屋としてお金をもらった私は


ご両親に事情を説明をする必要がなくなった事に気がついた。


念のため直接ご両親に会うまで付き添おうかとも思ったが




・・・やめた。




この子はきっと母親に

遅くまで何をしていたの!?

とか

もう!心配したじゃない!

なんて怒られるかもしれない。





だけど


だけど有り余るだろう。






だって








その子の手には今お花が握られているのだから












その場面の邪魔をしたくなかった。






・・・だから





じゃあここまでね。


バイバイ。ありがとう。


うん・・・またね。


こちらこそありがとう。


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けれど私は密かに見守っている。


その子が自宅に戻るまで。


そして明かりが灯る玄関の扉を


・・・そっと開けた時に


美しい夕陽に照らされた小さな背中が最後に映った。



すぐに扉は閉まり姿が見えなくなったところで


役目を終えた私は花屋へと踵を返す。












その時だった。









聞こえるはずのない






























「ありがとうね。」





























という母親の声が聞こえてきた。











その時に・・・


















私は


花を扱うという事の意味が


・・・分かった。






















見上げるともうすでに陽は落ちて


辺りは闇に包まれているというのに


私の頰を通りぬける夜風は優しくて




・・・どこか懐かしくて







いつかの初夏の暖かさを感じた。




































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【エピソード】私、お花が好きです。

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ー完ー

























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