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【花屋店内】





「あれ・・・?」



「店長って今日は休み?」



大ちゃんは秀爺に声をかけた。



「あー・・・そうじゃったかな。」


「あー・・・休みじゃろ。」


「・・・うひゃっ。(秀爺の口癖)







「・・・ふーん。」


「今日は出勤かなって思ったけど」


「そっかそっか、休みかぁ。」





「・・・・・。」

「・・・・・。」




「・・・ん?」




「んー・・秀爺・・・なんか




















・・・隠してない?」
















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ー数日前ー








「なあ秀爺。」


「ちょっといいかな?」


「相談・・・っていうかさ」






・・・はて、珍しい。


店長がかしこまって儂に相談とは






「何ですか?店長。」



「実は俺・・・・・。」


「フラワースクールに通おうと思ってさ。」




「!?・・・なんとまあ。」

「・・・・。」




「・・・フラワーデザインの基本が知りたくて」


「わかるだろう?・・・大(だい)達が上手くなってるの。」


「秀爺も感じてるだろう?」


「あいつらどうやら花を『習ってる』らしいんだよ。フラワースクールでさ。」


「こないだ入ってきた小百合さんもそうらしい・・・。」


「だからさ・・・・俺も・・・。」


「このままじゃ抜かれそうだし。」


「いやっ、もっと花が上手くなりたいからさ。」








そうか・・・もっと、もっとか


なんだか懐かしいのぅ・・


・・・・その響き









でも・・・花屋の店長が花を習いにいくって









・・・懐かしいのぅ。



なあて・・・



なあて・・・聞いとりますか?











聞こえとりますか?





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・・・店長。







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・・・変だよな?










「・・・・・。」


「・・・・ううっ。」







「・・・ん?!」



どうした・・・秀爺?


もしかして・・・・






















・・・・泣いてる?

















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移り行く季節を連れて

咲き誇る花を持って歩こう

過ぎ去る時の

その先へ歩いていこう
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光色の
フラワーアレンジメント教室

第11話『君の好きな花』
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■登場人物■

「店長」花屋の男性社長。先代からお店を引き継ぐ

「秀爺」先代の時代から50年のキャリアを持つ超ベテラン

「エース」アルバイト。トップデザイナー

「大ちゃん」女性社員。ムードメーカー

「小百合さん」アルバイト。おだやかで優しい雰囲気。

「かすみさん」フラワースクール講師

「私」『わたし』という名の登場人物







「実はさ・・・フラワーデザインの基本が知りたくて」



店長は今、秀爺に相談を持ちかけている。


・・・花を習いにいきたいと。


店長の『もっと上手くなりたい』という前向きな姿勢は秀爺の胸を打った。



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(・・・先代。)


(・・・聞こえましたか?)






数十年前のあの日が蘇ってくる。





「お花なんて恥ずかしいよ。」




花を触ろうともしなかった彼との・・・




幼き日に父を失った彼との会話。




それは秀爺がまだ『ヒデさん』と呼ばれていた頃の





記憶。





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ー白い壁に囲まれた病室にてー




「なあ?」

「ヒデ・・・?」

「息子の事・・・」


「・・頼んでもいいか?」



「・・・・・!」



「店長!何言ってるんですか!」

「まだまだ!まだまだ!」

「・・・・っつ!」






生きて下さいっ!






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ー数ヶ月後ー


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幼き日の店長はヒデ爺にドライブに連れていってもらう事が好きだった。




『ヒデさん・・・?』



『はいはい?なんですか?』

『ドライブに行きたいですか?』


『いやっ今日は違うよっ。』


『じゃあアイスが食べたいんですか?』


『いいやっ!そうじゃないっ!』

『・・・そうじゃなくってさ。』

『僕に・・・』





『ん?』

『・・・何ですか?』







『んーーっ、僕に!』









・・・お花を教えて!















それからというもの

秀爺は店長にフラワーアレンジメントや

花束の組み方等フラワーデザインを教え続けた。

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もっとだよ


もっともっと教えてよ



ヒデさん?


次はいつ?


楽しみだなあ


ねえ、その時は






・・・この先も教えてよ。




パパが好きだった花




・・・「ひまわり」も使ってさ





この先も教えてね。



















今は亡き先代と秀爺は約束を交わした。




先代とは現店長の父親に当たる人物である。




・・・店を守るという事と、

あの子の面倒をみるという事。




しかし秀爺は花屋の息子として生まれた彼に

花を強要しなかった。





『あの子の将来は自分で
決めさせる。』







という信念のもと彼が自発的に花の世界へ進む事を待ったのである。







やがて

『店を継ぐ』という決断に至った彼を

秀爺は全力でサポートし現在に至る。











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『役目を終えたのか。』











『花を習いにいきたい』という店長の気持ちを聞いた秀爺はそう思った。









すると何故だか、ぽろぽろと涙が流れた。



















「どうした?・・・秀爺?」







「ああ・・・いや、」












・・・間違っていなかった。






君は今もなお・・・向上心を持っている。





・・・だからもう・・・











・・・儂がいなくなっても・・・









もう大丈夫じゃ






だから・・・









「秀爺・・・?」









「ああ・・・儂は今すごく」














「嬉しくてねえ。」























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聞こえてくる






いつの時代も






花の周りには人の声が






ほうら






君たちが好きな花はもう間もなく・・・













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「ぱぱ、おはようー!」

「もう遅刻しちゃう!がっこういってきまーーす!」



「ちょっと待て!」

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「この花、学校に持ってけ!」

「先生に渡して教室に飾ってもらうんだぞ。」


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「わあおおきい!」

「ぼくのかおよりおおきいよ!」

「ねえぱぱ?このはなってなんてなまえ?」









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「『ひまわり』っていう花だ。」

「ぱぱが大好きな花だ。」


「いつだって、どんなときだって、」














太陽に向かって咲く花だ。








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今は亡き彼の父が好きだった花




「向日葵」が咲く季節はもう間もなくやってくる。




生きとし生けるもの全てに




大きな黄色い光が注がれる




時には笑顔の君に




時には泣き顔の君に




うつむいてちゃ気が付かない






前を向かないと・・・・





・・・前に進まないと





そうすればほら





もう既に向日葵は





向日葵は・・・もう既に








「君の好きな花」として







今日も明日もあさっても。



























ー続くー


















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