・・・すやすや


なんだろう?


何か・・・


・・・聞こえてくる





・・・・?









・・・う。



も・あさ・。





・・ル。





・・れる?




IMG_20180520_185354_264


おはよう。






もう朝よ。




・・・。




起きれる?







・・・ん。


んーーー。




「んん・・・・。」





IMG_20180512_083658_705


「・・・もう少し寝てる?」


「昨日からお花屋さんに勤め出したから・・・」


「疲れてるんじゃない?」


「今日は紫陽花(あじさい)を見に行こうって約束してたけどまた今度にしてもいいわよ。」









「んんんーー!」


「・・・お母さん・・・おはよう。」


「もう大丈夫。」


「紫陽花か、行くよ行く。」


「だってわたしの好きな花だもん。」





「・・・そう?無理しなくてもいいのよ?」


「今日は家でゆっくり休んでも・・・。」





「ううん。・・・そっかわたし・・・」


「・・・昨日から始まったんだよね。」





「全然疲れてなんかいないよ。」


「だって私が働く花屋はねえ」


「すっごく楽しいの!」


「店長は優しいしさ、秀爺って呼ばれてる人なんてねぇ口癖が『うひゃ』なんだよ?」


「最初はちょっと・・・引いたけど・・・」


「一日でもう慣れた。それとね、」


「ほぼ同期なんだけどさ、『大ちゃん』っていう子がいてね」

IMG_20180521_184218_651

「すっごい大きいの。・・・女の子なんだけどね、大ちゃんったらさぁ」


『アタシの事は大ちゃんって呼んでね!あははは!』


「こんな風に言うんだよ?」


「本名に『大(だい)』なんて字はどこにも無いのにね。」



「うふふ、おかしいでしょ?」



「とっても明るくてね楽しい子なの。」



「昨日もね、大ちゃんと『一緒に頑張ろうね!』って」



「初日からそんな話もできたんだよ?」



「・・・ああわたし・・・この花屋に入れて良かったって」



「心からそう思うの・・・『よしっ!頑張ろうっ』てね。」



「だからさ、全然疲れてなんかいないよ。ね、もう行こうよ。」







「紫陽花・・・楽しみだなあ。」



























IMG_20180507_150537_437

梅雨時に幾つもの花を豪華絢爛に咲かせる紫陽花は


夏前には散り・・・葉だけに


やがて葉さえも落ちて枯れた茎だけになる


しかし毎年春を迎える頃、その枯れ木からは新芽が姿を現し


街中が湿度を纏う頃


再び豪華絢爛に花を咲かせる。





紫陽花に限らずおおよそ全ての植物はこの行為を繰り返す。


一度枯れる事で再び美しい花を咲かせる。





繰り返し何度も・・・・・何度でも。




















それを何回か繰り返した頃に
























彼女はこの店で




















IMG_20180319_142257_196












エースと呼ばれる様になった。



















DSC_0077
移り行く季節を連れて

咲き誇る花を持って歩こう

過ぎ去る時の

その先へ歩いていこう
DSC_0076
光色の
フラワーアレンジメント教室

第12話『君がいた季節』
afaea97c-s
■登場人物■

「店長」花屋の男性社長。先代からお店を引き継ぐ

「秀爺」先代の時代から50年のキャリアを持つ超ベテラン

「エース」アルバイト。トップデザイナー

「大ちゃん」女性社員。ムードメーカー

「小百合さん」アルバイト。おだやかで優しい雰囲気。

「かすみさん」フラワースクール講師

「私」『わたし』という名の登場人物





IMG_20180524_145605_650

ー花屋店内ー





店長をはじめ秀爺、エース、大ちゃん、小百合さん以上5名は店内中央に集まっている。




「よし、皆集まったな。」


「今日の仕事の確認だ。」





店長は号令をかける。




「小百合さんと大(だい)は店内で花材の水換えと下処理を。」


IMG_20180507_140119_610
「今日はバラが多い。茎を傷つけない様に丁寧に棘(トゲ)を取って。」


「大は小百合さんにコツを教えてあげてくれ。」




「はーい!」


「大丈夫!小百合さんもだいぶ慣れてきたもんねっ!」


「下処理なんてとっとと終わらせてさ」


「バラのギフトアレンジ作ろう!」





「・・・おいおい。」


「水換えや、枯れた葉、バラの棘取りそして茎を切り戻したりの下処理は


花屋の生命線だ。丁寧に頼む。」




「確かに・・・!

小百合さん!?そういうことだからね!

ちゃんとやるよっ!」





「えっ、あっ、はいっ!

頑張ります!」




IMG_20180520_180030_885

「・・・おいおい、今俺は大に言ったんだよ。」




「はーーい!」




「・・・ふう・・・


ええと・・・隣町の劇場で舞台がある。1ヶ月公演だそうだ。


その花の注文を取ってきたから


あとのメンバーは初日に演者に渡す用の花束を急ぎで作る。


出来上がり次第、車に積んで劇場に持っていく。


俺たちは現場で舞台装花も施す。」




「えええー!いいなああ!

演者は誰ですか!?有名人?!

店長!私も行きたいっ!!」



IMG_20180524_154346_290


「・・・いや、店内に残る者がいないとだめだろ。

不意に客はやってくる。

それに何度も言ってるが花の下処理は重要な仕事だ。

新人の小百合さんにもちゃんと教えてやってくれ。」




「・・・ん、ゴホンッ、だからな・・・」





「大、おまえが店に残れば安心だからさ・・・」







「・・・・・。」




「・・・そ、そうですかっ。

よしっ!小百合さん頑張ろうねっ!」




「・・・・・・。」


「・・・・・・。」


「ええと、どこまで話したっけ?」


「ああ・・・この1ヶ月は主にその仕事がメインになる。」








「長丁場だ、皆よろしく頼むよ。」
















こうして・・・・

大ちゃんと小百合さんは店内の仕事をこなし




エースを含め、店長達はそれぞれ特大の花束を作成する。


その花束と下処理済の新鮮な花材を数百本、車に詰め込み


3人は車で劇場へと向かった。












IMG_20180524_145605_650


ー花屋店内ー





小百合さんは釘付けになっていた。




『エース』が作る花束の美しさに魅了されていた。




小百合さんは思わず呟く




「あの花束・・・・・・」




「・・・すごく素敵だった。」





事実エースがつくる「花」(フラワーアレンジメントや花束)は


群を抜いて綺麗なものだった。



IMG_20180510_115358_738




大ちゃんは小百合さんにこう答える。





「でしょ?」



「彼女この店のエースなんだから。」



「いいえ、飛び越えて・・この店を飛び越えて」



「もう既にいろんな企業からも注目されてるんだよ。」





「本人の前じゃ恥ずかしくて言えないけどね。」








「・・・天才だと思う。」





「あたしは『エース』がいるこの店で働ける事が」





「すごく嬉しいの。」









大ちゃんにここまで言わせる人って



すごいな・・・・。



ああ・・・そういえば・・・




「ねえ、大ちゃん?」




小百合さんは大ちゃんに問いかける



「この前『エース』・・・とだけ紹介されたけど



彼女の本当の名前って?



・・・不思議と知らないまま今日まで来ちゃったけど。



大ちゃんは知ってますよね?」






「もちろんだよ、んんと・・・あれ・・・」



「んー・・・あれ?」



「ええとね、ここ数年ずっと『エース』って呼んでたから」



「・・・・・うーん、」



「その印象が強すぎて・・・あっ」
















・・・思い出した。


















IMG_20180520_185354_264

同時刻



【車内】

秀爺が運転

店長は助手席

エースは後部座席に座っている。








彼女は装花のイメージを膨らませている。




IMG_20180507_151719_049

紫陽花(あじさい)がたくさんあった


きっと素敵な装花ができるわ・・・・


このイメージが消える前に早く作りたい・・・





・・・・現場に早く着かないかな?





IMG_20180507_002825_190



・・・ビー!




・・・・・




ビー ビービー!!







・・・・ん!?




クラクション!?




・・・この車に!?




あっ!!




この車・・・進んでない!











「・・・どこじゃ・・?」





ごそごそ・・・



・・・ごそごそ





聖子ちゃんの赤いスイートピーはどこじゃ・・・・








「秀爺?!」




「もうとっくに信号『青』だよ!」







「んお?・・・うひゃ!」








「もう!店長は!?」










「・・・・・ぐう。」



「・・・ぐぉーーぐぉーー。」



















・・・思い出したよ



彼女の名前はね・・・


















「秀爺?!」


「もうとっくに信号『青』だよ!」


「もう!店長は!?」


「なんで気がつかないの!?」








「店長ーー!!」









「・・・・・ぐう。」



「・・・ぐぉーーぐぉーー。」






ん?・・・ああ・・・寝てたのか・・・俺?






 「あれ」





「・・・呼んだ?







・・・











彼女の名前はね・・・
















ん?・・・ああ・・・寝てたのか・・・俺?






 「あれ」





「・・・呼んだ?















・・・光?」
















IMG_20180510_130528_545




















っていう名前だよ。

































ー続くー












どなたも初めての方もどうぞお気軽に
下記コメント欄からコメントを頂けたら幸いです。





→ランキングを見る


下のマークを押すとランキングアップ!

「応援してあげるっ!」という方は

一日一回有効ですので、気が向きましたらぜひお願いします!

「フラワースクール東京ハッピーレーベルのブログ」


生き方 ブログランキングへ