2010年10月14日

尊敬されるべき経営者

日本を発展させたいと願います。日本の発展に何が必要かを考えて見ましょう。

一般に発展というと、経済的発展を意味します。心の豊かさとか、安全とか、安心とか、色々ご意見はあるかと思いますが、これは政治の領域に入りますし、ごくごく一般的な言い方をすれば、経済が発展し、国民の所得や税収が増えれば治安も良くなり、福祉も充実しますので、ここは議論を簡単にするために、経済的発展だけを考えて見ましょう。

これもまた一般的な話ですが、経済的発展の指標としてはGDPが目安になると思います。豊かさの指標としては国民一人あたりのGDPの方が重要ですが、日本のように人口が増えない国ではGDPもほぼ同じ指標として使えるでしょう。GDPは国内で生産される付加価値の総額です。問題はその年度年度で区切りますので、ある瞬間の国勢しか示されません。将来にわたってその国の生み出す付加価値を現在の価値で表そうとすると、付加価値の成長率も加味した指標が必要になります。これに一番近い指標は株式の時価総額になります。但し、日本の証券市場には外国企業も上場していますので、日本で税金を納めている日本企業の時価総額が対象となります。

時価総額には問題があります。成長率の予想・見込みが人によって違うことです。伸びるだろうな、と思っていた企業が失速したり、人為的に企業が生み出す価値が増えていないのに、決算数字にお化粧をして時価総額を上げようとする経営者がいるからです。ただ、枝葉末節な議論をすると結論がいつまでもでないので、細かい話は取り敢えず切り捨てます。

従って、国を発展させる為には、日本で納税する企業の時価総額を「幻想」ではなく、「正々堂々」と上げていくことが重要になります。

さて、ここで今日の題目である「尊敬されるべき経営者」の話になります。長い目で見て、このような企業を育てられる経営者が尊敬や憧れの対象となり、優秀な人材がそのような経営者になりたいと志す社会が必要となります。

では、大企業の経営者が一番尊敬されるべきでしょうか?私はそうは思わないのです。大企業とベンチャーでは人材の厚みが違います。昔の自民党政権のようなもので、首相が誰になっても政権を支える官僚がしっかりしていれば国はそうは大きく変わりません。大企業も社長一人が出来ることは限られており、その下の数多い優秀な役員、部長、課長辺りが共同で付加価値を上げているのだと思います。

結論を言うと、一人が最も大きな影響を社会に与え、経済の発展に寄与するには会社を創業し、その会社を大企業に育てあげることが必要です。そのような人が学生や若い社会人の憧れの的になり、多くの人材がそういう経営者を目指す社会的な下地がなければなりません。これを実現した経営者はソフトバンクの孫社長であり、楽天の三木谷社長であるわけです。

では、このような経営者が尊敬されているのでしょうか?個人の好みも入りますので意見は分かれるのでしょうが概ねそうはなっていないと言えると思います。

「孫さんは韓国人でしょ。」
「なんだか、悪いことやってそう。いつか捕まるよ。」
「金儲けて遊んでんじゃないの?」

「金儲け=悪」という意識や、外国人を差別する意識、妬み、と言ったものが素直に尊敬できない理由ではないでしょうか?また、経営者側にも、妬みを買うような生活を喧伝する悪癖があるのではないでしょうか?例えば、グッドウィルの折口会長は軽井沢に豪邸を建て、それを雑誌に取材させていました。これでは尊敬されるどころか、足を引っ張る人が出てきかねません。グッドウィルの不祥事があれだけ大きく報道されたのも、折口会長の行動と無関係ではないと思います。

長くなりましたので、この先は次回にしたいと思います。

  
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2010年10月10日

環境問題、健康問題

昨今、環境問題や健康にご執心な人の数が増えています。ケーキ屋でもやれ、使い捨ての容器は止めろ、だの、せめてリサイクルの容器を使え、だの、オーガニック素材にしろ、だの、顧客・社員に関わらず本当に良く耳にする機会が増えました。私は個人的には環境にせよ、オーガニックにせよ、かなり懐疑的なのでどうも二の足を踏んでしまいます。ヒロは環境にやさしくない、と思われているかも知れません。

二の足を踏むのには理由があります。そもそも環境問題がクローズアップされだした原因が非常に政治的だからです。

CO2が地球温暖化の原因であることを示す科学的なデータが未だに存在しないことは皆さんも耳にされたことがあるのではないでしょうか。おおもとを辿れば、英国病から抜け出したかったサッチャーが中近東への依存を下げるために原子力発電所の建設を進めたかったため、科学者に自分に有利なデータを出させた、という事実に行き当たります。それに踊らされて大きな排出権市場を作ってしまったEU諸国は既に引き返せないところまで来てしまっています。排出権取引はいわば株の取引となんら変わらないので、それを担う金融機関もみすみす大きな金儲けの機会を見逃すわけにはいかないので環境問題推進に一役かっています。

エタノールを使う低公害車にしても、原料となるとうもろこしの値段を上げたい米国食品メジャーの意向が大きく政権の方向性に影響を与えています。米国の食品メジャーはなんと公開会社ではないので大枚をはたいたロビイングなど朝飯前です。結果、とうもろこしの価格は上がり、アフリカなど、食料としてとうもろこしを必要とする国々が買えないレベルまで来てしまっています。先進国の環境意識が飢餓に苦しむ人々を見殺しにしてしまっている訳です。

リサイクルペーパー一枚作る為に消費する資源はパルプから紙を作る場合よりも多くなります。不純物を沢山含む材料から作るわけですから当然と言えば当然です。クリーンエネルギーを推し進めると原子力に行き着きます。私は総論では原子力エネルギーをより普及させるべきだと考えますが、各論では、例えば自分の家の隣に立てても良いか、と言われると怖気づいてしまいます。また、環境問題に便乗し、核武装を目指す国々が「平和利用のため」と称して原子力発電所を建てようとしていることも無視できません。そもそも中近東への依存を少なくすることを目的としたムーブメントが結果としてイスラエル、イラン、パキスタンといった国々への核の拡散を許してしまった、というのは皮肉な結果としか言えません。イスラエルの核武装は国家の公式発表ではありませんが、公知の事実です。イスラエルが武装すれば、周りのイスラム国家も核武装に走ろうとするのは全く想像に難くありません、。

この国家や大企業の策略とも言える大きな流れに踊らされている消費者は哀れとしか言えません。全ての事実を公平な立場から伝えるメディアが存在しないことや、そもそも事実が隠匿・捏造されていることは世界の不幸でしょう。冷静で客観的な判断力を養いたいものです。
  
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2010年10月02日

書かずにいられないネーミングの話

若干旧聞に属しますが、シャープが電子書籍に参入し、ハードウェアの名前を「ガラパゴス」にした、という記事を数日前に読みました。

よくやった!シャープ!

これは痛快でしたね。シャープのような大企業にもこのような洒落を理解し、かつ実行してしまう人が居るんですね。

1,2年前だと思いますが、有名なコピーライターの方が、大学卒業後、就職するにあたり、、恩師から「クリエィティブの仕事をしたいのなら、オーナー企業に就職しろ。サラリーマン社長の会社はリスクをとれないから、当たり障りのない宣伝しかやらない。」とのアドバイスを受けた、という記事を読んだことがあります。その方は、ソフトバンクの犬と黒人と日本人女性二人が家族として出てくるテレビCMを例に出して、「これも孫社長だからできたのでしょう」と書いていました。ついでに、「『明るい未来に』なんてコピーを未だに使っている会社は大体どんな人がトップをやっているか、想像がつきます。一体、何人の人にこのコピーを覚えて貰えるのでしょうか?」とも書いていらっしゃいました。

この指摘には「なるほど」と軽く膝を打ちました。会社のカラーがこういうところに現れるなんて、面白いですね。微妙にその会社を選ぶ学生の選択基準にも影響するような気がします。

それにしても、シャープのような「サラリーマン社長」の会社がこの名前を製品につけたことには拍手を送りたいと思います。

パチパチパチ
  
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2010年09月12日

コメントを頂きましたので意見を述べます

頂いたコメントは以下の通りです。

「人種や国籍が中国・インドであるだけで、中身はアメリカ人の人材を毎年何百人も輩出し、母国に送り返しているのですとありますが、イスラム圏からの留学生や移民は少数と見てよろしいのでしょうか。

もしそうであれば「世界のマクドナルド化」を防ぐのはアフガニスタン、イラクを含むイスラム文化圏の国々ではないかという疑問が生じます。」

ハーバードビジネススクールにはイスラム圏からの留学生も多数います。私のスタディグループにもパキスタン人がいました。ただ、イスラム圏の留学生の多くは卒業後も米国にとどまるようです。逆に、母国に帰りたくないが為に、高い学位を身につけ、米国滞在のビザ取得につなげているようです。

イスラム圏は米国の価値観から一番離れた国々だと言うことが出来ると思います。原理主義のタリバンやアルカイダに至っては米国や米国人と戦うことが聖戦(ジハード)ですから、世界のマクドナルド化を止めようとしているのは間違いありません。しかし、タリバンやアルカイダはテロリストとしては脅威ですが、世界を動かすようなイデオロギーかと言うと、そうではありません。また、イスラム圏の政府自体は親米である例が少なくありません。イラクやアフガニスタンに至っては米国が主導して作った政府のようなものですし、テロリストを匿うなど、最も反米的なパキスタンでも、表向きは米国と親しく振舞っています。従って、世界のアメリカ化を防ぐのは難しいと思いますし、資源や食料といったさまざまな利権は今後もアメリカに吸い寄せられていくに違いありません。

唯一、アメリカに対抗し得る勢力は中国です。中国はその消費量・経済力をバックにイラン・イラク・スーダン・ジンバブエ・ベネズエラといった、アメリカが敢えてアプローチしない国々から物資を購入、若しくは人的支援を行っています。同時に権益も次々に獲得しています。中国の強みは例えば石油会社と政府が一体化していることです。日本であれば、油田の利権確保は会社レベルで対応せざるを得ませんが、中国であれば政府高官が出てきます。採算を度外視した、コミットメントが可能なのです。ただ、では、アメリカ・中国が以前のアメリカ・ソ連のような反目する関係になるかというと話はそれほど単純ではありません。中国が米国債の購入金額を今後少なくする、と一言漏らすとアメリカの財務長官が北京に飛んでいきます。一方で中台海峡の緊張が高まると軍事的にはお互いを牽制しあいます。是々非々、Love&Hateの関係は今後も強まるでしょう。

小麦、とうもろこし、原油、レアメタルといった、今後確実に需要が増えていく、若しくは枯渇していく資源を対象にこの二国が椅子取りゲームを繰り返しています。電力も広義の資源だとすると、原子力発電所の売り込みでは更にロシア・韓国の後塵を拝し、日本はいよいよ損をするに違いないような気がします。少子高齢化という構造問題、財政問題も抱え、まさに内憂外患が強まっているような気がします。
  
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2010年09月05日

本当は怖い「アメリカ」

英語のことわざの"When it rains, it pours"見たいな二日連続投稿ですが、それなりに書きたいことも溜まっていますので、書いてみます。

最近の新聞のトーンを簡単に纏めると、

・日本の地盤沈下、世界第二位の経済大国の座を中国に明け渡す

・中国の台頭、G2の時代、元の上昇

・ドル・ユーロの基軸通貨としての地位低下

・アジアが世界の成長を牽引

などが挙げられるでしょう。

疑問1「企業はグローバル化しているのに、何故、経済を国単位で捕らえる必要があるのでしょうか?」

疑問2「中国の成長を牽引しているのは外国企業ではないでしょうか?」

疑問3「中国の外貨準備額が積みあがっているのはドルで輸出を決済しているからではないでしょうか?」

疑問4「アジアの成長の源泉である人口増と生活水準の高まりの結果、不足する鉱物資源、食物資源を牛耳っているのはどこの国のどの企業でしょうか?」

新聞はあくまで日々起きている表面的な動きしか捉えません。中国が台頭しても、米国のグローバル企業や食品メジャーが潤うのは目に見えています。そして、中国が元を閉ざしている限り、決済通貨として成長するのは米ドルであることも明らかです。中国を泳がしておいて、ドルの準備高を積みましてもらい、米国債を買い支えてもらう、元を高くし、米国多国籍企業の価格優位性を強める、というのは実に周到、かつ戦略的な動きといえます。表面だけ捉え、国単位のGDPを比較することに何の意味があるのか、裏の裏を読む必要があると思います。

もっと怖いのは、「移民」「情報」と「教育」の米国の戦略です。

米国は、ベトナム戦争後、ベトナムから多くの移民を受け入れました。その移民が現在、シリコンバレーで安価な労働力を提供しています。現在先進国で人口が増えているのは米国だけです。現在、オバマは既に米国に長期滞在している不法移民のヒスパニックの米国滞在を合法化しようとしています。言葉は極めて悪いのですが、誤解を恐れずに言うとすると、経済成長の源泉である人口を他国から持って来ようとしているのです。

また、米国は天安門事件のあと、中国の思想的リーダーを多く、米国に受け入れ、トップレベルの教育を受けさせました。今でも、成績優秀な中国人、インド人をシリコンバレーの企業や、アイビーリーグの大学で受け入れ、さらに高度な「米国式」の教育を受けさせています。ハーバードビジネススクールは第二次世界大戦中、士官を教育する学校でした。その学校は、今、中国やインドの多くの次世代リーダーを育てています。アメリカには「Banana」という言葉があります。見かけは黄色人種だけど、中身の教育や考え方は白人と同じ、つまり、人種や国籍が中国・インドであるだけで、中身はアメリカ人の人材を毎年何百人も輩出し、母国に送り返しているのです。この人たちが先生であるアメリカに不利な方針を出すとも思えませんし、例え交渉のテーブルについたとしても、同じ言語を話し、バックグラウンドを共有する仲間として、少なくともアメリカの納得のいく、結論に至るでしょう。アメリカの財務長官であったローレンス・サマーズは退官後、ハーバード大学の学長になっています。如何に教育が国家戦略の中枢を担っているかを象徴する事実でしょう。

「情報」についても考えて見ましょう。出版不況と呼ばれるネット時代ですが、気が付けば殆どの大手メディアは再編され、ネットの検索に関してはGoogle、MSN、百度の三社だけになってしまいました。

もし、何かの弾みでGoogleの社長にヒトラーのような思想の人が就任したらどうなるのでしょうか?ベルリンオリンピックを国威発揚の場にし、情報統制を徹底的に敷いたような人物です。Googleは公開企業だからガバナンスが利く?Googleの創業者の持っている株の議決権は通常の株の議決権とは違い、一般株主がGoogleの意思決定を左右することは事実上不可能です。しかも、企業のコーポレートガバナンスは「株主利益を最大化することに対し、取締役が善良なる管理者の注意義務に従い、意思決定し、行動しているか」をチェックするだけで、イデオロギーに関してのチェック機能はありません。そもそも、皆が自由にイデオロギー、宗教を選べることを国是としている国です。これを防ぐ方法がある訳がありません。

もし、Googleが自社に都合のよい情報のみを表示するよう、アルゴリズムを変更したら、どうなるでしょうか?誰がそれに気づくのでしょう?Googleの社長を選挙で選べるよう、近い将来に法律を改正することは出来るのでしょうか?Googleがそれに反対する世論だけを検索結果に出したら、果たしてそれは実現するのでしょうか?世界中で著作権問題を抱えるGoogleですが、その顧問法律事務所はWilson Sonsini Goodrich & Rosatiです。ここのCEOを勤めたのが現駐日大使のジョン・ルースです。政治・教育・情報がまさに渾然一体となって、大きな国家戦略の元で動いているのがお分かり頂けると思います。ジョン・ルースがオバマから駐日大使に指名された際、日本のメディアや政府高官の多くは無名の人物だと言って不満を表明しました。不明を恥じるべきでしょう。米国の戦略に背筋が凍る人事であったと思います。

前の記事にも書いたように、日頃の環境に慣れてしまうと、それと違う世界があることに気が付かなくなります。世界の株式市場の連動性が年々高まってきているのは何故でしょうか?皆が同じ教育を受け、同じ情報を共有し、同じ行動をとるようになって来ているからです。お互い独立した変数は、分散することにより、ボラティリティを抑えることが可能になります。情報や思考が似てくると、同じニュースに対し、皆が同じ行動をとるようになり、独立変数は独立ではなくなり、全てがお互いに影響を与え合う、従属変数に変わります。こうなると、ボラティリティは極めて高くなります。ゲーム理論や、ケインズの言った「美人投票」では、同じ情報に対し、個々人が自分の利益や推測に基き、違う行動をとることを前提としていますが、その行動が均質化し、全く異質の理論で経済が動くことになります。

今日、東京の街を歩くと、皆がそれぞれ思い思いの方向に歩いています。これが、皆が全く同じ方向に歩くようになったらどうなるでしょうか?ある地域の経済は完全に破綻し、地下鉄の駅では毎日のように将棋倒しの事故が起こるでしょう。

「世界のマクドナルド化」。グローバル化やネットの普及により、今起こりつつある一番恐ろしいものはこれだと思います。この米国の戦略を誰が止められるのでしょうか?

  
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2010年09月04日

不思議な話

久しぶりの投稿です。

大学時代、物理を専攻しました。私は落ちこぼれていたのですが、友人に格好良くて、背も高く、ギターもうまく、かつ、天才と呼んで良いくらい、頭のよい人がいました。彼は素粒子を専攻したのですが、その彼がぼそっとつぶやいたことが今でも頭から離れません。素粒子というのは、物をとことん細かくわけていき、電子や中性子どころか、ニュートリノとか、クオークといった領域に入り込みます。一般に物理は、リンゴが落ちるのを見て発見した、という逸話で有名な、重力の働くニュートン力学と重力の影響のない世界の量子力学に分かれますが、素粒子はまさにこの後者の代表的な研究領域と言えます。

その彼が、「素粒子と天体は似ている。どちらも重力でストンと落ちる、ということがない。物理的な特性も似ている」とつぶやいたのです。

人間の知りうる限り、大きなものが天体や宇宙であり、小さなものが素粒子です。その二つが人間の住む重力の働く世界とは違ったルールで動いています。

この話を思い出したのも、最近レオナルド・ディカプリオ主演の「シャッター・アイランド」を観たからです。この映画は、警官であるる主人公が、行方不明になった精神病患者を探しにその病院がある離島に乗り込むのですが、実は彼は自分が捜査にあたっていると思い込んでいる元警官の患者であった、と言うストーリーです。映画の最後は含みを持たせ、主人公の言っている話が本当なのか、病院側の言っている話が本当なのか、観客には最後まで分からないようになっています。

概ね、このような設定の映画は他にもあります。「マトリックス」では、人間の見ているもの、感じているものは全て電気信号に過ぎない、コンピュータが仮想現実の世界を人間に見させることは可能である、としていました。他に、「アイランド」(クローンと本人の二重世界)や、Jim Carreyの「ザ・トゥルーマン・ショー」があります。

今まで自分が正しい、と思っていたことが完全に覆され、価値観が変わることがたまにあります。ガリレオ・ガリレイが地動説を唱えたのもそうですし、アインシュタインが質量がエネルギーに変わることを発見し、化学反応の前と後では質量は変わらない、という「質量保存の法則」を覆したのもそうでした。経済の世界でも、似たような事象は「パラダイム・シフト」と呼ばれます。今回の金融危機の前と後でも、「ニュー・ノーマル」と言う言葉を使い、パラダイム・シフトが起きた、とする議論が盛んです。

友人の話から始まり、前置きが長くなってしまいましたが、この友人の言葉を聞いて以来というもの、私は常に「自分の置かれている世界と全く違う世界、信じている常識が非常識になる世界がどこかにあるのではないか、また、そのような違う時代が来るのではないか」と思うようにしています。いや、そうせざるを得ない位、彼の言葉にはインパクトがありました。

よく、ベンチャー経営者には、型にはめられない「Out-of-Box」な発想が必要だと言われます。これらの映画の主人公と同じように、常に同じ環境に居ると、それが常識だと思い込んでしまいます。時には、日頃自分が行かない場所に行き、しない体験をすることも大切ではないかと思っています。




  
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2010年04月07日

いろいろと言いたいことはあるのですが・・

色々と言いたいことはあるし、このブログで一部言ってはいるのですが、どうも世の中が良い方向に向かわないのでむなしい限りです。爺さんの小言と変わらなくなってきました。少し前に早々と日本に見切りをつけた、ようなことを書きましたが、いよいよそうして良かった、と思えるような状況になってきました。

・日本経済の地盤沈下
・若者の内向き志向
・時計の針を戻すかのような政治、リーダーシップの欠如
・新興市場の低迷

まあ、書き出せばキリがないのですが、改めて考えさせられたことがありましたので書いて見ます。

実はまたStanfordで講演をしました。今度は「日本とアメリカのケーキ文化の違い」についてですのでお題目は柔らかかったのですが、単位を認定される授業で、教授も出席していたのでそれなりに真剣にやりました。

そこで、日本人の原風景として、次の二枚の写真を見せました。

関東大震災









第二次世界大戦






(済みません、無断掲載です。著作権のあるものであれば是非ご連絡下さい。取り下げます。)

最初の写真は1923年の関東大震災時の東京です。下は1945年、終戦の年の同じく東京です。

この写真を見た瞬間、それまでそれなりにガヤガヤしていた20歳そこそこの学生達が息を呑んだのが分かりました。私と同年代の日本人にはどこかで見覚えのある写真ではあると思いますが、やはり若いアメリカ人にとっては衝撃的な写真だったのでしょう。アメリカにとっては世界貿易ビルの更地がグラウンドゼロな訳ですから、東京全体がグランドゼロになっているとは想像し難かったのでは、と思います。しかも、二つの写真は22年しか離れていませんし、その間の20年間には隆々とした東京が再構築されていたわけですから。

私はこの写真を見せて、全ての日本人はここからゼロスタートを切ったのだ、と説明しました。しかも、二回。だからこそ、我々の親の世代、祖父の世代は新しいものを作ろう、生活を良くしよう、という気概に溢れていたのだと。実際、戦後成長した日本の企業は大戦の直後にスタートを切ったものが殆どですし、この説明には学生達も納得したようです。

それで、自分で喋って、果たして今の私達より下の世代にグラウンドゼロが存在するか、と自問した訳です。あったとしても、精々、崩壊したバブルに苦しんだ思い出でしょう。なにくそ、というよりは、じっと我慢して乗り切った、という印象でしょうか。

敢えて東京を焼き野原にしてグラウンドゼロを作ろうとも思いませんし、豊かになればハングリー精神を無くすのは代償のようなものかも知れません。極論すれば、ハングリー精神など要らないのかも知れません。アメリカでもベンチャーを支えているのはインドや中国からの移民の人たちです。ハングリーな人たちを輸入するしかないのでしょうか。

Stay hungry. Stay foolish.

今日もSteve Jobsの声がコダマします。

  
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2010年03月29日

読書について

不思議に思うことがあります。読書についてです。

世の経営者の方はほぼ間違いなく読書家です。論語や、ドラッカーは言うに及ばず、孫子まで読んでいる方は沢山います。私も何を隠そう、この辺りを読もうと努力したことはあります。大前研一は30代の前半に6,7冊読みましたが、ドラッカーは訳本一冊だけ読んで、次に原書を読もうとして軽く挫折しました。論語は最初の10ページくらい。孫子の兵法に至っては本屋で探しているうちに挫折しました。それ以来、ビジネス書と言われるものを読んだ覚えがありません。知り合いが何人かビジネス書を書いているのでそれを貰った時に次に会ったときに中身を何も知らないと失礼だと思い、斜め読みする位です。それも、如何にも全部読んだかのように話をできる程度に読むだけです。

何故こうなるかと言うと、読んでなるほどとうなったような覚えがないからなのです。最初に馬鹿馬鹿しいと思ったのは某シンクタンクの所長をされていた方のベストセラーが統計の羅列で何ら示唆に富まず、そのシンクタンクに勤めている友人に聞いたらその統計を集めるのに随分こき使われたような話を聞いた時です。利己的な目的で書かれたものは所詮薄っぺらく、読み手をうならせることはできないようです。

本当に良書と呼ばれるものは少なく、その意味では何十年もの間、読み継がれてきた純文学の方がよっぽど好きです。今はハワイにいるので出来ませんが、昔はよく文学小説を何冊か抱えて温泉に行き、一冊読み終わるまでずっと風呂に漬かっていました。でも、有名な文学も無限にある訳ではありませんから40歳にもなれば数は限られてきます。推理小説の名作などは中学生の時に全て読んでしまいました。

それで、冒頭の疑問に戻るのですが、忙しい筈の経営者の方が何故読書に使う時間があるのか、ということです。人間誰しも一日24時間しかありません。私の場合、最低4時間は寝ようと思っていますので、残り20時間。純粋な意味で業務に使えない移動中だとか、食事や着替えの時間、健康維持のためにやっているエクササイズ(これは実は仕事上、もっとも重要)を除けば17時間程度です(因みにトイレでは必ず何かを読んでいます)。後はこの17時間をどう振り分けるかですが、1,2時間を読書に振り分けている人は最大でも15時間程度しか働けないということになります。これはどう逆立ちしてもそうなります。仕事を誰かに委譲できる大企業の役員なんかは15時間も働かなくても良いのでしょうが、ベンチャーの経営者は最低でも一般のサラリーマンの1.5倍は働かないと人件費が上がってしまったり、権限委譲すべきでない仕事まで委譲する羽目になったりでうまくいきません。普通のサラリーマンでも12時間程度は働いていますので15時間というのはよっぽどのスーパーマンでない限り、ベンチャー経営は無理でしょう。ベンチャーの経営は組織論とか、戦略論とか、時間とアウトプットが比例しない仕事よりも、より相関の高い力仕事が多いからです。戦略は走りながら、トイレででも考える、これが正解です。

それで結局疑問が解けないのです。どうやって時間を捻出するのでしょうか?うまい方法を知っている人が居たら教えてもらいたいものです。




  
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2010年02月20日

商社考-不毛地帯をみて - その2

その2、と言ってもその2で終わりですが、以前、商社の組織や人的関係について書く、と予告しましたのでようやくそれをこの回で書いて見たいと思います。ただ、少し観点を変えて、商社だけでなく、より大きな括りで書いて見たいと思います。

大企業の組織形態には大きく分けて「部門」と「機能」という二つの軸で成り立っています。この「部門」の中には「製品」であったり、「地域」であったりと、くくり方が違うバラエティがいくつか存在しますが、広い意味で「部門」と言えます。

一方の「機能」は例えば、財務であったり、マーケティングであったりします。人事や営業も機能です。一般に機能で分けると機能間の壁が出来ます。部門で分けると部門間の壁が出来ます。機能で分けた場合、例えばデジタルカメラを売るにしても、製造とマーケティングと営業の目標がバラバラでそれぞれが違った動きをして「デジカメを売る」という目的に必ずしも沿わないような意思決定がなされることがあります。例を挙げると、「うちのデジカメ製造の技術は他社に負けない。売れないのは営業が弱いからだ、と言った会話がなされることになります。

「部門」で分けても同じです。今度は機能間の連携が悪くなります。スキャナーとファックスを製造するのに、例え似たような技術が使われていたとしても、お互いに連絡を取らず、人員の流動性も高まらず、会社として非効率な二重投資が行われる場合があります。

さて、そこで商社の組織です。商社には大きく分けて二つの機能があります。営業と投資です。不毛地帯に出てきた戦闘機の売り込みは「営業」の話です。一方、現在進行している「油田開発」の話は「投資」になります。投資が実を結んだ後に営業がついてくる、というのが一般的な図式です。

投資が先、営業が後、ですから、昔の投資が実って、営業が盛んに行われ、営業だけで利益が上がりだすと、投資がおろそかになります。今年の収穫は良くても、来年に向けての種がまかれない、という状況が生まれます。私が三井物産に居たときに直面した問題はまさにこれでした。日本の高度成長の名残で会社がまだ利益を上げていました。

さて、時は流れて今の日本です。未だに新聞紙上等で聞く会社の名前は、戦前の財閥系の会社か、戦後の動乱期に創業したメーカーが殆どです。何度もこのブログで書いたように、ベンチャーはハングリー精神からしか生まれません。貧しい日本を復興させるぞ、と高い志に燃えたビジネスマンが存在しなければ新規投資や起業は活性化しません。また、昨日100円しか使えなかった消費者が生活をより豊かにしたいために明日は200円使う、という市場が存在しないと市場も成長しません。残念ながら、今の日本にはどちらも欠けてしまっているようです。

生活が豊かになった人達に更に上を目指させるには、より大きなニンジンが必要になります。そのニンジンを手に入れた人が身近に存在し、周りに人に「ああ、うらやましいな。俺も欲しいな」と思わせることも必要です。これを実現するより近代的な仕組みがベンチャー起業、上場であった訳です。それが残念ながら、人のねたみ、成功者のおごり・不祥事、それに起因したコンプライアンスの締め付けの強化で完全に萎縮し、更に金融危機が追い討ちをかけ、殆ど市場を殺してしまったのが今の日本の新興市場です。

この状況はあと5年は変わらないでしょう。5年もたつと、就職氷河期を経て、完全に飼いならされてしまった草食系の若者は起業など全く考えも及ばない牙を抜かれたビジネスマンになってしまうでしょう。人に媚びへつらい、従順でないと職を得られない環境になってしまっているからです。三井物産で昔から「侍」と呼ばれていた、兵頭のような社員は今後どんどん少なくなります。

ベンチャー経営者でも、兵頭でも、出自はどこでも構いませんが、殻を破った発想が出来、実行力が伴う人材が望まれます。専務に向かって、「随分ご都合主義ですね」と言い放つことが出来、言い放っても干されず、逆に専務をモスクワに連れ出せる人材、更に言うと、そういう部下を容認し、「悪かった。お前の言うとおりだ」と許せる器の大きな幹部が望まれているのです。

このドラマの原作はもう30年も昔です。賄賂を渡して情報を入手したり、ホステスをビジネスに利用したり、と今の時代には合わない部分が多々あります。これを見て、今も商社がこのようなやり方でビジネスをしていると思うのは大きな間違いです。しかし、このドラマの底に流れる大きな命題は今の時代でも十分通用するものでしょう。それこそが今の日本に決定的に欠けているものに思えてなりません。

侍よ、出でよ。
  
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2010年02月03日

ようやく売上回復の兆しが見えてきました

ここ数ヶ月、どのニュースを読んでも新興国の回復により、これらの市場に輸出しているメーカーを中心に景気が回復しだした、しかし、アメリカは失業率が10%に高止まりしているので回復は遅れるだろう、と言うストーリーばかりでした。ところが、年明けと同時に少し風向きが変わってきたようです。

店舗売上は昨年夏以降、本格的に落ちだしましたのでリーマンショックや、3月の株価急落とは少しタイムラグがありました。特に失業率が12%を超えているカリフォルニアでの9月以降の落ち込みは酷い有様。逆の言い方をすると、昨年夏までは不景気とは言うものの、ちょっと悪い、程度でしたので昨年対比で見ると直近の月では酷い数字が並んでいました。ところが、1月に入り、ハワイでは昨年対比プラスに転じました。カリフォルニアはまだマイナスですが、明らかに11月頃からマイナス幅が減りだしています。俗に「節約疲れ」と言われている現象でしょうか。特にウエディングケーキに関しては、昨年挙式を延期したカップルが年明けと同時に「そうは言っても結婚はしなきゃいけないしな」と言いながらケーキの注文に動き出しています。

この世の中の出来事、その後の株価、失業率の動き、そして、最終的には消費の動向のタイムラグは大変勉強になりました。人の行動は年が経っても基本的にはそう変わらないと思いますので、将来、似たようなことが起こればもう少しうまく対策が打てるのではないかと思います。同じようなことは決して起こって欲しくありませんが。

消費が落ち込んでいるときは何をやっても焼け石に水、お金の無駄です。じっとしているのが一番です。逆に消費が動き出した時が打って出るチャンスです。商品内容、品揃え、価格、広告宣伝戦略等、一気に見直し、また成長モードに戻ろうと思います。
  
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2010年01月22日

なんだか元気がでませんね

ブログの更新もとまったままですが、毎日多くの方に覗いて頂いて大変恐縮です。なんとなく、最近暗いニュースばかりなのでどうも毎日気が晴れません。皆さんも同じような気持ちでしょうから、そこに敢えて暗い話を書くのは如何なものか、と考えると筆が進みません。思いつくだけでも、

・鳩山首相「子供手当て」
・西松建設事件
・小沢幹事長ゼネコン献金疑惑
・日本航空更正法申請
・オバマ支持率低下、民主党、マサッチューセッツ上院選で敗退
・アフガン情勢行き詰まり
・航空機テロ未遂事件
・欧州景気長期低迷
・日本経済の地位低下
・ハイチ地震
・普天間基地移転問題
・円高(一時よりはましですが)

まあ、主だったところでこんなものでしょうか。一つだけでも大騒ぎなのに、沢山ありますね。

一方、良いニュースはなんでしょうか。

・株高(まあ、とても低いところから、低いところに戻った、というべきでしょうか)

良いニュースとして、一つだけ書いて、頭が白くなりました。あんまり世の中がここまでダメ、という経験がないのですが、皆さんはどのようにこの難局を乗り切っていますか?一年前は少なくとも「オバマ」で皆少しは元気になっていたような気がします。世間との関わりを絶って、引きこもり、ネットの世界に思いを馳せるのでしょうか?

私は、自社のカフェでケーキとおいしいコーヒー。これが一番だと思うのですが。。。
  
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2010年01月06日

アフリカ

前回、不毛地帯の話を続ける、と言ったのですが、年末年始の休暇でアフリカに行ったので、予定を変更してその話を書きます。

アフリカに初めて行ったのは10年以上前です。アフリカと言っても、エジプト、チュニジア、ジンバブエ、南アフリカですから、所謂、アフリカとは少し趣が違うかも知れません。今回行ったのは南アフリカでも動物の沢山いる地域ですから、ケニアやタンザニアと近い感じだと思います(行ったことがないので確かではありませんが)。動物の話や、見聞録は特にこのブログでは必要ないと思いますので、この場にふさわしいと思えることのみ書きます。

10年前も全く同じことを感じたのですが、改めて感じさせられたのは、人の幸せってなんだろう、ということです。特に10年前、ジンバブエの道端で微笑んでいた人達の顔が忘れられません。物質的には欧米や日本で暮らす人達の方が圧倒的に豊かです。しかし、その屈託のない笑顔を見ると、じゃあ、どっちが幸せかと言われると自信を持って俺たちの方だ、とは言えないのです。物質的な豊かさが幸せを意味しないとすると、何が幸せなんでしょうか?長寿?少子高齢化って、いい意味の言葉に聞こえませんね。IT革命?ITが進化した結果、人はどこでも連絡がつくようになり、常に仕事に追われるようになりました。休み中にメールをチェックしないと仕事が出来ない奴のように言われます(そんな経験ないですか?)。確か、ブータンだったと思いますが、GDPの代わりに国民の幸せ(Happiness)の総和で一番を目指すと言っていた国があったように思います。文明的な進化が必ずしも国民の幸せにつながらないという哲学に立脚したものと思います。地球温暖化を防ぐために排出権だの排出削減目標だのが議論されていますが、先進国と発展途上国の間で綱引きになっています。アフリカでやさしく微笑んでいる人達の顔を見ると、必ずしもこれ以上二酸化炭素を出すような発展を目指さなくても良いのではないかとも思います(勝手な考えですが)。

ソ連が崩壊し、資本主義が勝利したと思ったのもつかの間、、金融危機以降、特に日米で政権が変わってから、ケインズが良いのか、シュンペーターか、という議論もよく聞くようになりました。ステレオタイプな見方をすると日米とも大きな政府志向、よりケインズに近づいているのでしょうが、金融危機という特殊事情では誰が政権をとってもこうせざるを得なかったでしょう。いつもの私なら、「問題は、アメリカではイノベーションによる成長をより活性化すべき方向に舵を切っているのに、日本はイノベーションによって全体のパイを増やすというシュンペーター的な発想に欠けているのが問題」と言うのでしょうが、アフリカから帰ったばかりでは、この主張にも力が入りません。

成長なんか、しなくても、皆が笑ってられる社会がいいんじゃないの?二酸化炭素も出なくなるし、と今この瞬間は思ってしまいます。
  
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2009年12月20日

商社考-不毛地帯をみて

前回不毛地帯の話をした後、最新の2話をまたDVDでみました。このブログではベンチャーの話や経済の話は沢山してきたのですが、商社の話は余りしていないので、いい機会ですから少し商社について話してみたいと思います。

山崎豊子の取材力は定評がありますが、見ていて本当に関心させられるのはその人物および人間関係の描き方です。まずは人物の描写です。

壹岐正 - 唐沢寿明
残念ながらこんな人は滅多にいません。瀬島龍三さんがどういう方だったのかは直接存じ上げないので分かりません。まあ、小説ですのでご愛嬌ということで。

壹岐家
壹岐佳子 - 和久井映見
居るんですねぇ。こういう旦那に敬語使って喋っている人。本当に気の弱そうな、外で働くことなんか一度も考えたことがないような奥さん。居ます。

毎朝新聞
田原秀雄 - 阿部サダヲ
ブンヤもよく書けていますね。世間一般の新聞記者のイメージとは随分違うと思いますが、こういう人私も知り合いにいます。

クラブ「ル・ボア」
黄(浜中)紅子 - 天海祐希
新入社員の時、取引先の部長や上司にいやいや連れられて行ったクラブなんかに良くいました。仕事の情報を流すのが役目だと自覚して毎日日経新聞を読んでいるようなタイプのママ。大抵、中年以降の女性なのでこんな綺麗な人はいませんが。どうして大企業の役員はクラブなんかだと口が軽くなってしまうのでしょうか?

東京商事
鮫島辰三(航空機部長→輸送機本部長) - 遠藤憲一
これはやりすぎですね。ここまでガツガツした人は居ません。精神的には似ている部分もあるのでしょうがちょっと誇張しすぎです。今は知りませんが、私が入社した頃の商社では特にアジア向けの商売では実弾が飛び交うことは日常茶飯事だったと同期入社の人が話していました。特にインドネシアは酷かったようです。スハルトの時代が終わってからは良くなったようですが。日本の商社も鈴木宗男の事件以降、コンプライアンスが声だかに言われ、随分改善されたようです。昔は日本の紐付きOECDは賄賂の温床でした。

近畿商事
大門一三 - 原田芳雄
残念ながらこんな感情豊かな社長は知りません。大体、皆豪快ですが、もう少し理知的で器の大きさを感じさせる人達です。

里井達也 - 岸部一徳
この策士タイプは居るのですが、ここまで陰鬱ではないですね。大商社の役員は悪く言うと奇人変人の集まり。よく言うと皆本当に個性的です。変な人達なのですが、必ずどこかに人を惹きつけるものを持っていて、無茶苦茶なのですが、「あの人が言うのなら仕方ない」と思わせる人達ばかりです。細かいところで関心したのが、里井副社長がパーティーで「うちのワイフ」と発言する場面です。そう、商社の年配の方は奥さんのことを「ワイフ」というのですね。この観察眼には恐れ入りました。私はいつもこの「ワイフ」というのを聞くと、内心噴出してました。

兵頭信一良 - 竹野内豊
これぞはまり役です。居ます、居ます。ゴロゴロ居ます。こういう人。典型的なのは慶応大学卒、しかも塾高上がりでどこかの体育会に所属していたタイプですね。何故か皆部長位までは行くのですが、なかなか役員にはなりません。

ハル江(家政婦) - 吉行和子
海外駐在している常務クラスにはお抱えの家政婦が居ることも稀ではありません。この人も良く描けています。

貿易商ほか
黄乾臣(紅子の夫) - 石橋蓮司
安蒜公一(日東交易)- 団時朗
竹中莞爾(国際ロビイスト) - 清水紘治
アメリカ・フォーク社
ヘイリー・フォーク (会長) - アレキサンダー・バリ
プラット (アジア渉外担当) - ニコラス・ペタス
韓国・光星物産
李錫源(会長) - 榎木孝明
この人達まとめて本当に取引先に居そうな人達ばかりです。特に黄会長と李会長は本人だと言っても通用する位、居そうな人達です。現実的には一回の交渉でフォーク社の会長が委任状にサインすることは有り得ませんが。でも商社も上の方に行くと、本当にこんな感じで個人ベースでどんどん取引が進んでいきますのでその辺りの描写にも舌をまきます。


家族
大門藤子(大門一三の妻) - 赤座美代子
里井勝枝(里井達也の妻) - 江波杏子
一番笑ったのはこの二人。顔までそっくりな人を知っています。パーティの状況だとか、ゴルフの話をしているところだとか、まるで自分の10年前を見ているようでした。

鮫島倫敦(鮫島辰三の息子) - 石田卓也
名前が「ロンドン」とも読めますね。本当に細かい!自分の過去の駐在地に因んだ名前を子供につける人、います。きっとこの息子はロンドン駐在中に生まれたのでしょうね。

次回は商社の組織や人的関係について少し書きたいと思います。

  
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2009年12月18日

ダッチロール

12月決算の会社はどこでもそうだと思いますが、この時期、経営者の方は来期の予算の詰めでお忙しい筈です。私も今年の数字をにらみながら来期の計画を作っているのですが、ついつい、色んな数字を分析したくなり、時間が余計にかかってしまいます。そんな仕事に疲れたときにほっと息抜きに必要なのは、エスプレッソドリンク、自社のケーキやチョコレート、唐沢寿明の「不毛地帯」のDVDと日経新聞です。「不毛地帯」は言わずと知れた大本営参謀、瀬島龍三をモデルにした話ですが、商社が舞台なので親しみが持てて、本当に面白いですね。白い巨塔の財前役の時もそうでしたが、はまり役ではないものの、見ていて好感が持てます。お辞儀するときの角度をいつも一定に保っているところなど、細かい芸が楽しみです。

で、どうして日経新聞が息抜きかと言うと、最近の政治のドタバタが面白くてならないからです。タイトルに懐かしい「ダッチロール」という言葉を使ってみましたが、正にこの言葉がぴったり。本当は日本が心配でならないのですが、遠くハワイからでは新聞を読みながらハラハラする位しかやれることがありません。「ダッチロール」でなければ、これも昔懐かしい、ドリフの「8時だよ。全員集合!」の冒頭の劇の終わり、皆がドタバタして、ついでに舞台も廻り出す場面のような、どうしようもない状況です。

瀬島龍三だとか、田中角栄だとか、昭和の腹が据わっていた人達に懐かしさを覚えるのは今の二世、三世の政治が余りに頼りないからでしょう。新聞がこぞって鳩山首相への献金を「子供手当て」と呼んでいるのは正に噴飯ものです。お坊ちゃんはいけません。いざと言うときの胆力がまるでないと思います。

ふと外を眺めると、遠くのヤシの木に電飾が施され、クリスマスツリーになっていました。暫くコーヒー片手に遠く日本の将来を案じることにしましょう。
  
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2009年12月08日

ご指摘を頂きました

ある方からメールで「海外投資家の購入比率が低い日本国債がデフォルトを起こすわけがない。買っているのは殆どが日本人、円建てなのでいざとなれば通貨を刷ればデフォルトになるわけがない」とのご指摘を頂きました。

理論上は確かにそうですね。過去にも紙幣を刷って刷って刷りまくり、ハイパーインフレを起こして借金を棒引きにした国がありました。あくまで理論上の話であり、そのような国の状況がよい訳がありません。いずれにせよ通貨は暴落、国内経済は破綻します。

この話で以前友人から聞いたアルゼンチンの笑い話を思い出しました。

「最近は皆レストランで前払いしている。食べた後に払うと料金が倍になるんだ。」

こんな世界には住みたくないですね。
  
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2009年12月06日

ドバイショックに思うこと

実は殆ど全ての資産をこの5,6月でアメリカに移しました。直近では円高ですので円換算すると目減りして面白くないのですが、仕事もアメリカですし、生活の拠点もアメリカなのでまあ、考えなければ済む話です。為替の動きという超短期な話よりも、もっと長期的に見て、日本、または円は若しかしたら駄目なんじゃないか、日本の経済そのものがバブルなんじゃないか、と思ったからです。

「201X年、数度の円高を経て主要製造業は海外に脱出、若しくは中国、韓国籍の企業に市場を席巻され、貿易赤字は膨らみ、国内の失業率は8%(5.1%)に高止まりし、不況は継続、税収は20兆円(40兆円)を切るところまで激減。一方で、90年代、2000年代後半の不況を乗り切るため、国債発行残高は1000兆円(850兆円)を突破。2%(1.3%)の利払いで税収を食い潰し、全ての歳出を国債発行に依存することになった。ムーディーズは日本国債の格付けを投機的要素のあるBaにダウングレード。価格の暴落により、実質利回りは5%に急上昇した。更なる国債発行が難しくなるレベルであり、市場では日本のデフォルトリスクもささやかれるようになった。」

こうなると全ての人が国債を投げ打って現金化、更に現金化で手にした円を他通貨に換えようとしますので円は暴落。1ドル200円程度までいってもおかしくありません。括弧内に書いた数字は最近の数字です。あながち絵空事とも言えない内容だと言うのがお分かり頂けるかと思います。

HBSのファイナンスの教授が最後の授業で言った印象深い言葉があります。

「永遠に繁栄する国などない。100年前、アルゼンチンの経済はアメリカの何倍もあった。その国が破綻した。イギリスはかつて大英帝国と呼ばれたし、古代ではエジプトが栄えた。韓国もIMFに救済された。常に大きな流れを読め。」

水から茹でられて茹で上がってしまったカエルに今日本がなろうとしているような気がします。水は100度で沸騰しますが、経済の悪いところはいつ沸騰するかが分からないことです。5年後かも知れません。10年後かも知れません。民主党は悪いことに財政支出を膨らませる大きな政府志向です。この政党は残念ながら安定多数を確保しています。1年や2年では動きません。この最悪シナリオがより現実的になったと思わざるを得ません。より深刻なのは、民主党も国民も自民党が組んでいた90兆円近い国家予算に道路やダムなど、無駄な部分が沢山あり、まだまだ削れると信じていたのが、いざ蓋を開けると削ることが難しい、削ると景気や日本の将来の発展に悪影響を与えるものばかりだった、ということが白日の下に晒された、という衝撃的な事実です。「うまくやりくりすれば返せるに違いない」と思っていた借金が返せないことが分かったのです。欧米はその国家予算の大部分を社会福祉・医療に使っています。土建屋国家と呼ばれた日本は公共事業へのばらまきにより、経済を下支えしてきました。気がつけば公共事業を減らすこともできず、社会福祉・医療に回す金がなく、少子高齢化という社会の構造的な問題に対して打つ手がなくなってしまっています。

日本が国債を発行し続けられる根拠に皆が挙げるのは1400兆円と言われる個人資産です。今日現在銀行預金になっているお金を個人が引き上げて国債を買う、というシナリオです。しかし、銀行預金も既に間接的に十分国債に投資されてしまっています。海外投資家の日本国債購入比率は7%に過ぎません。日本の財政状況がより悪くなって更にこの比率が上がるとも思えません。個人が国債投資を加速させるのは株式市場が暴落した時、海外投資家が日本国債を買うのは利回りが良くなった時です。つまり、上に書いたシナリオが現実のものとなる直前である可能性が高まった時です。シナリオが現実のものとなった時には国債は投げ売られますので当然更に国債を発行して財政を廻すことは不可能になっています。結論を言うと、1400兆円の個人資産には頼れない、ということになります。

失業率にも落とし穴が隠されています。この少子化が問題と叫ばれる日本において、若年層ほど失業率が高いというのはいったいどういうことでしょうか?20代に限ってみると失業率は10%を超えています。働き手が今後少なくなるというのに、実は次世代を担う若者に対する求人がないのです。これでは今後10年、20年と経つに従い、自動的に失業率が上がっていくことになります。若い人が何のトレーニングも受けないまま、30歳、40歳になっても単純労働にしか従事できない社会が到来することになります。イギリスは「英国病」と言われた製造業空洞化の問題を産業を金融にシフトさせ、少数の頭脳労働者が多くの雇用を支えられるように社会構造を転換することにより解決しました。日本がその道を歩んでいないことは明らかです。

いつこのバブルが弾けるのでしょうか?ドバイショックの比ではないでしょうね。あまり考えたくありませんが。
  
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2009年11月28日

本当に迷惑、鳩山政権

日本は随分と高い授業料を払わさせられそうです。

福田、安部、麻生と首相の子供・孫が政権を投げ出し、愛想が尽きたところで政権が代わり、交代はしたものの、受けた人がまた首相の孫。前の三人よりは更に金銭感覚に疎いお坊ちゃんで「裕福な家庭に育ったので金銭の管理がルーズだった」などと平気で言ってしまう人。前の三人にも政権末期には日経新聞は手厳しかったのですが、鳩山政権には既に随分と厳しい論調で記事を連発しています。「人気取り政策ばかりで財源なし。マクロ政策まるでなし」というのが主な主張。官僚を利用しない、日銀と話さない、竹中平蔵のようなブレーンも居ない、唯一頼れるのはもうとっくに旬を過ぎた77歳の元大蔵官僚だけ。経産大臣はGDP速報値を30分早く喋ってしまう全くのド素人。いっそのこと官僚に政治をさせた方がいいんじゃないかと思ってしまいます。

民主党政権が発足した当初からヘッジファンドはマクロ運営がアキレス腱と見て、ソロスがポンドで大儲けしたように、円で一稼ぎしてやろうと狙っていました。その噂が政治家の耳に入っていない筈がないと思うのですがまんまとやられています。米国にとって、日本は黙っていても輸出産業を支援してくれる有難い国になってしまっています。FRBが当面インフレの恐れはない、と分析していますので、ドル安はアメリカにとって神風。ドルにペグしている中国は同じく輸出競争力を増大させられるので当然米国と同じ立場を取ります。いくら藤井大臣が国際協調を唱えても、リップサービスだけで他国の協力は得られない、という構図になぜ気付かないのでしょうか?今、日銀と話さずにどうやってこの難局を乗り切れると言うのでしょう?誰もが待ち望んでいた実力次官、武藤氏の総裁就任を拒んだことから、日銀と話し辛いのでしょうか?全てが悪いほうに回っているように見えます。

世界の成長センターと言われているアジアの他の国は必死です。自国の通貨の上昇を抑えるため、必死で米国債を買って、自国通貨を市場に放出しています。巨額の国債の消化を金利の上昇なしに進めなければいけないアメリカにとっては正に慈雨。GMを再生させようとやっきになっている米国にドル高なぞ望むべくもありません。ガイトナーは口では「強いドル」なんて言っていますが、これだけドル安にメリットがあっては、少なくともここ1,2年は絶対にドルを強くしようとはしないでしょう。このカラクリに政治家は早く気付くべきです。

気がついたら日本の自動車メーカーは米国での小型車販売で現代に水をあけられてしまいました。内需もいいのですが、産業を強くして雇用を増やさないことにはバラ撒きだけではすぐに息切れ、内需は広がらないでしょう。

総選挙が4年後だと思うとぞっとします。
  
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2009年11月23日

慶応ビジネススクール

当社のアドバイザーをやって頂いている須賀さんから慶応ビジネススクールで講演してもらえないか、というお話を頂きました。これで似たような機会を頂いた学校はスタンフォード、ハワイ大学、フットヒルカレッジ、東京大学、一橋大学、秋田国際大学と併せて7校になりました。

色んな大学で日本人学生やアジア学生と話して感じることですが、国際的センスという意味で日本人がまだまだ一番弱いな、ということです。島国だからでしょうか。自分で自分の限界を決めてしまっているような気がします。商社に入って駐在員として海外に行くことはできると思っているようですが、自分で知らない土地に出向いて現地の人とビジネスを始めることは出来ない、と決めてしまっているような印象です。商社に入ることが現実的な選択肢であればあえて不必要なリスクは犯す必要はないのですが、これと同じような傾向が日本人一般に当てはまるような気がします。逆境に陥った際、根性が続かないひ弱さを感じます。

私の著書にも書きましたが、シリコンバレーのテクノロジーベンチャーの起業家の殆どがインドか中国籍の方です。なぜかと彼らに理由を聞くと、皆「失敗したところで母国に帰るよりはここに居る方がよい暮らしが出来るから」と言います。この両国でなくとも、例えば古くはアンディグローブ(インテルの創業者)など、移民である例が非常に多いのです。世界を見渡しても、国を失ったユダヤ人が企業家として大成功を収めている例は枚挙に暇がありません。恐らく、起業家の訓練としては、ホームカントリーを飛び出す、ということが極めて効果的なのでしょう。海外留学もよいと思いますが、留学先で日本人だけで徒党を組んでいる人もかなりいます。ネットワークを利用するのと徒党を組むのは似て非なるもの。私が見る限り、日本人は徒党は組み勝ちですが、ネットワークは中国、韓国から来た人達に比べて弱いような気がします。

Satura Cakesのシェフは希望して海外に来た人達ですが、それまで海外に住んだ経験のない方が殆どです。共通しているのは私が商社の海外駐在員だった頃の駐在員仲間と比べ、非常にマインドが強く、現地に馴染んでいるということです。駐在を前提に語学を学んだ駐在員と比べると語学力はかないません。しかし、ガッツというか、意識の持ち方が強いのです。理由はよく分かりません。しかし、今後の日本にSaturaのシェフのような気構えを持った人達が必要なのは間違いありません。「とにかく行こう。後はどうにかなるさ」という意識です。

ここまで書いてふと気づいたのですが、ベンチャー経営者に必要な資質として、「類まれなる楽天家であること」というものがあります。ビジネスモデルやビジネスプランは大事ですが、そればかりやっていて足が動かない人はベンチャーには向きません。「とにかくやろう。後はどうにかなるさ」。これが必要なのです。


  
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2009年11月01日

久しぶりの更新です

ここ数ヶ月ほど、仕事が非常に忙しくなり、ブログどころではなくなってしまいました。どれ位酷いか、と言いますと、

・新聞が常に1週間以上たまる。
・ファイル出来ていない書類の高さが50センチを超える
・メールは常に100通以上受信トレイにたまる

という位忙しかったわけです。原因は何かと言うと、会社の業務以外ないのですが、じゃあ、何かと言いますと、

「リストラの仕上げ」

だった訳です。リストラは1年前からやっていますので特に「仕上げ」と付け加えました。本部経費は削りに削って、ついに私のオフィスがなくなり、本社人員は私や社外役員を除くと1名になってしまいました。人事などはアウトソースしました。1名の本社人員は経理ですが、今まで3名でやっていた仕事を1名にしました。

こうかくと一人あたりの業務がどれ程増えたんだろうと思われると思いますが、これが不思議なことにうまく廻っているのです。昨日などは、「Hiro、やることがなくなったのでもう帰るね」と言って、経理マネージャは午後3時に帰宅しました。

うーん、今まではなんだったんだろう?でも、これは特に不思議なことではなく、過去にも幾度と経験したことです。人は増えれば仕事を増やす、という特性があります。逆に削ればなんとかなるものです。私もここまでやったのは初めてですので、不安もありましたが、社内の士気も上がり、ひとまず成功と言えるのでしょう。数字も見る見る改善してきました。やってみるものですね。

またぼちぼちブログを書いていこうと思います。お付き合いください。
  
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2009年09月07日

選挙結果に思うこと

ゆかし内ではブログを継続していますが、今回の分についてはそちらと直接関係のない話題ですのでライブドアの方に書いてみます。

既に旧聞に属するかも知れませんが、選挙結果の話です。まさにパラダイムシフトと呼ぶに相応しい激変ですが、私が一番考えさせられたのは人の職業の選択です。

大体どんな職業も努力して経験を積めばそれ相応に報われるような仕組みになっています。ある会社でポストがなくなったり、解雇されたとしても、きちんとその道の専門家として努力していれば転職のチャンスもあります。

政治家はどうでしょうか。大臣まで勤め上げた70歳を超えた政治家が30代前半の新人候補に破れ、「落選」という形でキャリアを閉じます。当人と話したことがないので想像の域を出ませんが、これはキャリアの仕上げとしてはやはり悔いが残るのではないでしょうか。

そう考えていくと、晩節を汚してキャリアを終える方は少なくありません。田中角栄や竹下登、ここ最近三代の日本の首相、皆そうです。お隣の韓国では大統領を退くと大体酷い目にあいます。本人が牢屋に入れられなくても親族が皆逮捕されるようなことが年中行事のように起こります。盧武鉉前大統領は自殺してしまいました。ベンチャー企業経営者に目をやると、一時飛ぶ鳥を落とす勢いだった、光通信、ライブドア、グッドウィル、古くはリキッドオーディオ、クレイフィッシュなんかも平家物語を地で行く結末を辿っています。昔も今も変わらずベンチャーの雄と言われるのは楽天くらいでしょうか。もう少し遡るとHISやソフトバンク、更に古くなるとリクルートとか。本当に寂しくなるくらい数が減ります。「中興の祖」まで入れると、ユニクロなんかも入りますね。

少し話がずれましたが、私の問題意識は「如何にキャリアゴールを設定するか」にあります。ハッピーエンドの映画は人の心を温かくするように、人生もハッピーエンドであるべきでしょう。どんな苦労をしてもキャリアを幸せに終えられる人が本当に幸せなんだろうなと思います。ベンチャー企業に創業期、成長期、安定期というステージが存在するように、起業家にもステージが存在するのだと思います。創業期の荒波を切り抜けられるのは精々40代までで、50を過ぎたら経営のスタイルを変えるか、後進に道を譲って自分は別のキャリアゴールを設定するのが正解なのだと思います。個人的に避けたいのは、「目立つこと」。自分の経験から言うと目立って良かったことは何もありません。頭を垂れて、威張ることなく、目立つことなく、地道にキャリアゴールに向けて努力するのが理想です。

歴史的な選挙結果に接し、こんなことを考えました。

  
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2009年08月20日

暫くブログの公開を「ゆかし」内部のみとします。

ライブドアで私のブログをご覧頂いている方には誠に申し訳ないのですが、これから書く内容はアブラハムグループホールディングが運営する会員組織「ゆかし」内部のみでの公開とさせて頂きます。そちらでの連載がどれ位で終了するかは未定ですが、恐らく1ヶ月以内にはこちらに戻ってこれるのではないかと思っています。

「ゆかし」にご興味ある方は以下のサイトをご参照ください。

http://www.yucasee.jp

それではまたお目にかかりましょう。
  
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2009年08月06日

株と確率の変な話を聞きます

数日前の日経に実は株価の動きは正規分布ではないのではないか、という記事が出ていました。

正規分布というのは全くランダムに、お互い独立した数がある一定の分布に従って発生する場合、十分大きな標本数がある時のみ適用されます。

株は?違いますよね。隣の人が売っていると自分も逃げ遅れてなるか、と売る人がいます。これは各標本が独立しているとはいえません。

記事には過去10年間の値動きを年毎に見て、「本来6割以上の確率で起こることが4割程度しか起こらず、異常な動きをすることが多いことが分かった」という趣旨のことを書いてありました。10の標本数で正規分布に従うと考える方がおかしいのですが、天下の日経が堂々と書いているので驚きました。20以下の標本数ではどんな分布であろうが統計的に論じることは出来ません。

勉強のために買った「Stock Market Probability」という本は正規分布信奉の書で、全ての事象を正規分布で捉えようとしていました。「マーケットでは売りと買いが同じ数だけ成立する(当然です)ので、期待値はゼロである」とも書いてありました。著者は「株価はランダムウォーク」と言った著名な(名前は忘れました)学者と一緒に研究をしていた人です。株価の動きを「ブラウン運動」と同じと捕らえていることからもそれがよく分かります。

でも、これもおかしい。何故なら株価は期待値ゼロではなく、長期的に上がることが前提です。将来の値上がりの期待値がゼロであれば、皆株など買わずに国債か、極端な話、宝くじを買うはずです(宝くじの期待値はマイナスなので期待値だけで動く人は買わないと思いますが)。全くのランダムな動きと投資のリターンが違ってくるのは「人の恣意性」が働くからです。市場での売買が成立するときは期待値はゼロかも知れませんが、買った後、その株をホールドしている間の期待値はプラスです。高いと思うか、安いと思うかよりも、「いつ買って」、「いつ売るか」の方がリターンに大きく影響します。もう少しこのことを詳しく説明します。

相場を完全に見通すことは不可能です。自分が株の天才だと思う人はそれだけで既に天才でないことを自分で証明しているようなものです。それよりももっと科学的なアプローチが必要です。全くランダムに売って、買ってを繰り返すと恐らくリターンは限りなく市場全体のリターンに近づいていくでしょう。では、市場を負かすにはどうするか?次のグラフを見てください。


Highly volatileless volatile






どちらも期間当たりの値上がり率は同じです。あなたならどちらに投資しますか?似た質問を以前しました。前回はロング・ショートを適切に組み合わせれば左の方がリターンがあがる、という話をしました。今回は別の解答を考えてみてください。

左の株を買ったとします。株価が落ちたところで買えばすぐに大変大きなリターンが期待できます。また高いところで買って株価が急落したとしても、またそのうち株価が反転しますので売り時は来ます。殆どの人は最も安いところや高いところで買うことは出来ませんので、大体その間のどこか、ということになります。右の株は気長にじわじわを株価が上がるのを待つタイプです。株価が上がるか、下がるかは分かりませんが、この変動率(Volatility)はすぐには変わらないことはよく知られています。左のタイプがある日突然右のタイプに変わることはないのです。

今、買った株に対し、「X%上がったら売る」とプログラム設定をしたとします。左の株であれば、かなりの確率でX%のリターンをしかも早いうちに実現することができるでしょう。グラフで適当に自分が買った時点を想定し、そこからX%リターンが上がったところに水平の線を引いて下さい。その線が何度もグラフと交差する筈です。右のグラフでは交差は一回きり。明らかにこの投資戦略をとるのであれば左の方がリターンを上げられる確率は上がります。

つまり、株投資のリターンが全くのランダムウォークにならないのは、「いつ売るか」ということに対し、投資家が完全なコントロールを持っているからです。株式市場全体で見ると、正規分布に近づくかも知れませんが、個々の投資家は自分のリターンをある程度コントロールする能力を持っています。勝ちの確率を上げるには値動きの激しい株を買い、自分が確定したい利益を予め決めておき、株価がそのレベルに到達したら、何も考えずに速やかに売る、ということが大切なのです。

説明があまりうまくないですが、この簡単な例を考えてください。ルーレットでずっと白に倍々で賭けていけば、いつかは勝てる、ということを皆さん聞いたことがあるかと思います。これは―淑な資金力があること、△い鳥澆瓩襪という判断を自分で出来ること、が勝てる理由です。株も全く同じです。



  
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2009年08月02日

貴方のバックミラーを見ながら走る腕前を試して見て下さい

株の話に戻りましょう。

どんな金融商品を買っても必ず「過去のパフォーマンスは未来のパフォーマンスの参考にはなりません」と書いてあります。人によっては過去の値動きから未来を予測できる人もいるでしょうし、それが下手な人もいるでしょう。貴方の腕前がどうか、こんなテストをやってみませんか。

1.まず、貴方の過去のポートフォリオを見直して、買ってから売るまでの平均期間を計算して下さい。まだ持ち続けている株があれば、今後どの程度で売るか、適当に見積もって平均期間を計算して下さい。

2.次に四季報でもヤフーファイナンスでも構いませんので株価のチャートを見つけてきてプリントまたはコピーして下さい。過去何年分のデータでも構いません。日頃気にして見ている程度のレンジが良いでしょう。銘柄数は多ければ多いほど良いです。

3.チャートを切り抜きます。枠線に沿って四角に切って下さい。

4.2で求めた貴方の投資平均期間分だけ右から切り取って下さい。つまり一枚のチャートから大きい長方形の紙と小さい長方形の紙の二つが出来ます。用意した銘柄のチャートの大きさが同じであることに気をつけてください。これで全く同じ大きさの大小の長方形の紙が2セットできる筈です。どの大がどの小に対応するかが分かるよう、印をつけておいて下さい。

5.さあ、大きな長方形を見て、どの株が上がりそうか、選んで見て下さい。20程度選ぶのが良いでしょう。分散投資に適した銘柄数だからです。

7.選んだ銘柄に対応する小の紙を持ってきて、どの程度のリターンが上がったか、計算して下さい。同じ期間のダウや日経平均に比べてどうですか?

8.次に実際に一番値上がり率の高かった小の紙を同じ数だけ探します。

9.8の中にどれだけ貴方の選んだ銘柄が入ったでしょうか?

10.日経平均やダウに勝てましたか?もし負けたら、個別銘柄の投資は諦めてインデックスを買いましょう。




  
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2009年07月27日

リッツカールトンハーフムーンベイで結婚式

575b6e4c.jpg部下のJennyがこの週末結婚したのでその結婚式に招かれ、リッツカールトンハーフムーンベイに行ってきました。食事の際、前に座ったのがプリンストン大学4年の学生。彼が面白いことを言っていたので書いてみます。

「専攻は哲学です。特に人間の意思決定のプロセスに興味がある。卒業したら米軍の意思決定に関わる仕事をしたい。この国のセキュリティは実に危うい、貴方のファーストネームがヒロでラストネームがタマキ、ケーキの仕事に携わっているなんてのは誰でもすぐに調べることが出来る。社会保障番号や銀行の口座だってプロならものの10分で調べてしまう。アゼルバイジャンにプロのハッカーが一人いればこの国の国防システムを麻痺させることが出来る。これは実に危ない。

実はプログラムも7言語使えるのでComputer Scienceに進んでも良かったのですが、セキュリティシステムを開発するよりは、ハッカーが何を考え、どういう動機で行動をとるのかを研究する方が面白いと思った。お金儲けには興味がありません。家は代々バンカーなので子供の頃からコーポレートファイナンスのことはよくわかっています。大学のコーポレートファイナンスは簡単すぎてつまらなかった。株式市場の量的分析をする講座もあったけどあれもつまらなかった。株価のパターンを見つけると言うけれど、馬鹿げている。パターンなんかないのです。僕は110ドルのボンドと全く同じ金融商品を株を使って50ドルで作ることが出来る。これを裁定取引すればリスクフリーで儲けることができる。お金は欲しければいつでも手に入るから興味がないのです。今、もっとも早く執行できる証券会社のシステムは5ナノセカンドです。僕の友人は3ナノセカンドで執行するシステムを作った。いつでもお金は儲けられる。」

浮世離れした話が続きますが、その彼がこんなことも言いました。

「プリンストンでAを取るのは本当に難しい。SAT(アメリカの学生が受ける全国共通テスト)でトップ5%に入るような学生ばかり集まっていてその中で3割しかAが取れない。これにはがっかりです。僕も成績は良くない。皆本当に頭がいい。」

ハーバードでもこんな感じの図抜けて頭の良い学生はいました。こういう人達が株の世界にはゴロゴロしていて、その中でリターンを上げようとする訳ですから簡単ではないというのはお分かり頂けるとかと思います。アイビーリーグの大学はどこもそうだと思いますが、実は大学院よりは学部の学生にこのタイプが沢山いるのです。

話は全く変わるのですが、リッツカールトンハーフムーンベイというと北カリフォルニアでも屈指の名ゴルフコースが隣接していることで有名です。私はゴルフダイジェスト・オンライン退職と同時にゴルフを止めたのですが、夕方このコースを眺めながら、改めてゴルフについて考えました。結論から言うと、ゴルフを止めて本当に良かったと思っています。日本ならゴルフにほぼ一日費やすことになりますが、そこまでして「今日は本当に良かった」と思えるのは5回に一回程度。殆どが、「チクショー」と思って終わります。かける時間、お金に対して得られるものが少なかったなぁ、と今になって思います。このゴルフ場から見る海越しの夕日は最高です。でも、プレーせずにこのホテルのテラスからコーヒー片手に眺めているのが最もストレスを感じずに済む方法ではないでしょうか。

HMBホテルのテラスからの眺め
  
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2009年07月13日

あなたの知らないハワイ

今日は日曜で市場も閉まっていますのでちょっと株の話はお休みです。

以前、好評だった「あなたの知らないハワイ」続編です。

ハワイがニューヨークと並ぶ人種の坩堝であることはさほど知られていません。ニューヨークはユダヤ系、黒人、ヨーロッパ系が多いのですが、ハワイはやはりアジアおよびミクロネシア・ポリネシア系が多くなります。人種問題が表面化しないという意味ではハワイの方がニューヨークやロサンゼルスより進んでいると思います。ここに居ると本当に色んな人種の人が平和に暮らしているな、という実感を持てます。オバマが高校時代までのハワイで過ごしたことを考えると、何事にも対話路線である彼の主張がよく理解できます。

住んでいる人は上に書いた通りなのですが、最近観光客として増えているのが、インド人、旧東欧、韓国人です。韓国はビザ免除プログラムが今年の1月から発効されたので分かるのですが、インド・旧東欧は意外です。取引先のワイキキパークホテルのGMから聞いた話だと、ホテル一棟全部が東欧からの観光客で一杯になることもあるとか。

ハワイに2年住んで、こういった環境に身を置くと、自然と国際的な時事問題に目が行くようになります。最近で言うとウイグル自治区ウルムチの暴動。胡錦濤国家主席がサミットに行ったタイミングを狙ったのでしょうが、このニュースひとつとっても以前よりは身近に感じる度合いが随分違います。ハワイに居ることもそうなのですが、グーグルやYouTubeと言ったネットメディアの発達もそうさせるのでしょう。ニュースを見てから、YouTubeを見ると暴動の様子がほぼリアルタイムで報道されています。日本のテレビではまず見せない路上に転がる死体なんかも沢山出てきます。中国がいくら報道規制をしいてもこれを世界の人々の耳目から遠ざけるのは至難の業でしょう。更にグーグルマップで衛星写真を見るとより臨場感をもってこのニュースに触れることが出来ます。

隠れた名作と言われる映画「ブラックホークダウン」をグーグルマップを眺めながら見たことがありました。ソマリアで米兵が捕虜にとられたのを国連軍が救出に行った実話に基づく映画ですが、ヘリコプターが海上から町に近づくシーンなんかをグーグルマップを片手に見ていると本当に臨場感が伝わります。ソマリアの海賊から船舶を守るために自衛隊を派遣すべきかどうか、一時話題になりました。確かどこかの新聞が街頭アンケートをとっていたのですが、かなりの数の人が派遣すべきとの意見でした。日本人の意識が高くなってきたなと感じたのですが、YouTubeやグーグルマップの存在は少なからず貢献しているのでしょう。

遠くハワイに居て感じたことでした。

  
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2009年07月10日

投資のホライズンについて

たまにサーフィンに行きます。ある程度年をとってから始めたのでショートボードは無理で、ロングボードでプカプカ浮きながら乗りやすそうな波が来たらゆったりとパドリングを早めに始めて長く、まっすぐ乗ります。1時間弱やって3,4本乗れたら嬉しい、というような乗り方です。

ショートボードで激しい波に激しくパドリングしてマメに乗る若いサーファーも沢山います。このように同じ海に浮かんでいても波の捕らえ方は人によって違います。

投資の話題でブログを始めた最初の方に波をうまく捕らえてロングショートを繰り返せばリターンが高くなると書きました。しかし、実際の株価の動きはどこが波の山でどこが谷、振幅がどれ位で周期がどれ位なのか、よく分かりません。海の波も、株価の波も複数の波が複合されて、より複雑な波になっています。何がこの複合波を形成するのか、考えて見ましょう。

日々の波を形成するものには
・突発的事故
・企業の業績修正
・非定期な政府の発表
などがあります。一方で月次で発表されるものには各種経済統計があります。企業業績は大体四半期の開示です。一方で70年から100年に一度くる今回の金融危機みたいなものもあります。自分がリサーチにかけられる時間をよく考え、それに従い、何を見ながら投資するのかを決める必要があります。書店で四季報を買って投資する人が日々の株価を追いかけて売買をするときっと怪我をします。1ヶ月程度を投資の周期(ホライズンと言います)にするのであれば、1ヶ月毎に発表される雇用統計など、自分のホライズンに影響を与える情報には目を光らせる必要があるでしょう。一方で、1ヶ月単位の波で投資判断をしているのであれば、多少の日々の株価の上下動は無視すべきだと思います。

自分のかけられる時間以外に投資のホライズンを決定する方法もあります。自分の投資する対象の銘柄を決めてからどの程度の頻度で売買の意思決定をするかと逆算する手です。自分の投資する銘柄のチャートをよく眺めて、株価のボラティリティがどこから来ているかを分析することです。ベンチャー企業など中小型株の場合は、売り上げの伸びや新製品の発表、特許の取得など、その企業特有の情報が株価に影響を与えている可能性は高く、一方で技術革新がそれほど進まない業界では業界全体に影響するニュースや一般的な経済動向がその株価のボラティリティを決めています。このような業界では一般的に寡占化が進んでおり、どの会社も同じような株価の動きをしますので複数社に分散させる意味が余りありません。投資のホライズンも会社の業績というよりはその業界特有のニュースが発表される頻度に応じて決めていくべきかと思います。
  
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2009年07月08日

いくつかの激励を頂きましたので継続します

前回のブログでトピックを変えるようなことを書いたところ、面白いから継続して欲しいとのコメントをいくつか頂きました。本当に有難うございます。万人受けはしないと思いますが、継続させて頂きます。

予想はしていたことですが、やはり市場の潮目が変わると投資家の注目する指標も変わるようです。ここ1ヶ月買われている銘柄の指標を分析すると、上から順に以下のようになります。

・高値からの下落率(大きければ大きいほどよい)
・安値からの上昇率(大きければ大きいほどよい)
・ベータ(2以下)

補足説明ですが、最初の二つは同じことを言っているようですが、数字にすると違います。例えば高値が100で安値が1、直近の株価が3の場合、下落率は97%、上昇率は200%になります。似た動きをする株でも、高値が101、安値が2、直近の株価が4(つまりそれぞれ1ずつ多い)では下落率はほぼ同じですが、上昇率は100%と半分になります。つまり、下落局面で紙キレに限りなく近づいた株が買われているようです。

一方、ベータが2以下、というのは投資家が保守的になっていることを表します。今年の3月以降のようにイケイケドンドンの時はベータが高い株の方がよく上がりましたが、今はベータが控え目な株の方が堅実に上がっています。

リバランスについてはプロのやり方はよく知りません。当然、10の銘柄があって、1つだけとんでもなく上昇し、後がとんでもなく下がると、10の株式にリスク分散されているようでもそのうち一銘柄だけに投資するのと同じポートフォリオになってしまいます。ある程度の分散効果を得るには下がった株は買い増し、上がった株は利食いして金額ベースで分散が保たれるようにしなければなりません。VIXがたまに30を超えるようなボラタイルな市場では投資家が注目する指標も猫の目のようにクルクル変わりますので私は銘柄の入れ替えやリバランスの際にその時に最も注目されている指標を元に入れ替えるようにしています。

それにしても、まだまだ市場が激しく動いているのでトレンドを追っかけるのに疲れてきました。やれ「米国の国債が最高格付けを失う」なんて噂が流れたのがほんの数週間前、今は「長期金利が上昇しだして回復途上の住宅市場が総崩れする」なんて悲観論が支配的になってきました。前も言いましたが余りに短期でトレンドを追いかけるのは間違いです。短期ということは言葉の定義上、短期で流れが反転しかねない、ということです。タイミングよく戦略を切り替えられるのであればその流れに乗れるのでしょうが、周期がずれて悪いほうで重なるとリターンがどんどん下がる方に働いてしまいます。投資実行のタイミングや投資銘柄の流動性もよく考慮し、実行可能な時間軸のトレンドを捕らえる必要があるのでしょう。

何よりも忘れてならないのは、今年の3月の状況が再度起こったり、継続したりすれば世界経済が持たない、ということです。また恐怖が支配する市場に逆戻りする可能性はゼロではありませんが、中期的にそれが継続する、若しくは各国政府がそれを黙認することはあり得ません。中期的な視野で考えれば今が仕入れ時であることは論を待たないと思います。
  
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2009年07月02日

ブログが不評です

どうも突っ走り過ぎたようです。先日元の同僚に会ったら、「最近、ブログに書いてあることがもう5行目くらいから分からないんですけど・・」と言われてしまいました。いろいろと研究しがいのあるトピックだったので時間を掛けて調べてその結果を長々と書いてしまいました。世の中一般の方の証券投資への興味はそれ程強くないようです。ちょっと趣向を変えることを検討します。お待ちください。

でも、本当に面白いんだけどなぁ・・・
  
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2009年06月21日

余談ばかりで恐縮ですが・・

一言に投資と言っても色んな切り口があるなと感じます。

簡単に言ってしまうと、所謂「投資」と言うのはその会社やプロジェクトの本来あるべき姿や社会的な意義を考えながらお金と言うリソースを配分する行為でしょう。一方で日々の株の値動きを追っかけるトレーディングは勉強すればするほど会社のあるべき姿などは全く関係ない、本当に機械的に値の上がり下がりだけを考え如何に鞘を抜くか、ということに注力しているのが分かります。短期的視野だと言ってしまえばそれまでですが、ここまでノーカンでいいのか、と思います。似て非なるものでしょう。

そう言えば、10年以上前の話になりますが、ハーバードビジネススクールでInvestment Managementの授業を受けていたときのことを思い出しました。テクニカル分析を使ってトレーディングをした経験のある日本人学生が教授に自分の経験を生かしたコメントをした時のことです。教授は「俺はそんなもの信じてない」と一言だけ返事をしました。この時はそのコメントにどんな意味が込められているか、ピンと来なかったのですが、今になって思うと「日々の値動きを追うようなゲスな真似はよせ。お金を何のために使うかを考えろ。」という教えだったのでしょう。

考えさせられます。
  
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機関投資家のジレンマ

このブログは当然ですが、プロの方向けには書いていません。私はプロではないので書ける訳もないし、素人が出来る範囲で「こうやればいいんじゃないか」という視点で書いています。

素人というのはその名の通り、プロに劣る部分は沢山あります。その素人が善戦しようと思うとプロの弱点を知る必要があります。なんと言ってもプロの弱点は[動性の縛りがあること、▲侫.鵐疋汽ぅ困鯊腓くしなければならないというプレッシャーがあること、A反イ覇阿上での制限があること、の3つです。,鉢△鰐接にリンクしています。組織で動いている以上、収益を市場に頼る訳にはいきません。ある程度固定費をカバーする固定的な収入が必要となります。これが管理報酬です。管理報酬はファンドサイズにリンクしていますので継続的に資金を集め、固定収入を増やす必要があります。ファンドサイズが大きくなると、いくらリターンが上がるからと言ってもあまり時価総額の小さい銘柄に投資することが出来なくなります。いざという時、あまり小さな株に大きな金額を張っていると大怪我をする恐れもあります。リスクマネージメントの観点からも投資が出来ません。一方で、ファンドサイズが増えると、例え地合が悪くてもとにかく投資しなければいけないというプレッシャーも掛かります。お金が沢山集まるのは市況の良いときですから結果的に株価が高いときに沢山買ってしまう結果になります。また、どうしてもロングポジションに傾き勝ちになります。こう言った特性を理解しながら個人は投資する必要があるのです。

アメリカの大手の機関投資家と言うと、年金基金や大学の寄付金の運用団体が挙げられます。ハーバード大学、エール大学の寄付金を運用するHarvard Management CompanyやYale Investment Officeは一流のヘッジファンド並みのリターンをあげています。ところが、やはり今回の金融危機でポートフォリオの3割前後を失くしてしまい、急に寄付のお願いが沢山来るようになりました。ビジネススクールもいくつかのプロジェクトを中止したり、延期したりという事態に追い込まれました。これほどのプロでもやはりサイズのジレンマからは逃れられないです。

負け戦は避けるべきです。なるべくフェルペスとか、北島康介が泳いでいない市民プールレベルで泳ぐようにしましょう。きっと一番になっていい気分になれる筈です。

  
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2009年06月19日

また余談です

ものの本の1,2冊も読んでおこうと思い、アマゾンでHigh Probability Trandingという有名なトレーダーが書いた本と、投資に関する統計学の本を買いました。後者はこの科目を教えているStanfordの教授が書いたものです。どちらもアマゾンでは売れている(と言っても特殊な分野ですので少数ですが)ことになっていたので気にせず買ったのですが、内容は全く違うものでした。教授が書いた本は大学の教科書にもなっているもので記号の羅列。20年ぶり位にこんな本を読みました(と言ってもまだ斜め読みで、きっと全部は読めそうにありません)。

それと対極にあったのが前者で、トレーダーとしての経験に基づく数式とは縁遠い世界の話でした。その中でとても気になった記述がありました。Average True Range(ATR)に関する説明で、

「もしATRが$4でその日の値上がりが既に$3.75になっていたらすぐに売れ。$4まで行く確率は低い。それがHigh Probability Tradingだ」

と書いてあったのです。うーん、どうも馴染めません。まず、この考え方は数学的に間違いです。サイコロを振って6が出る確率はそれまで何度連続で6が出ていようが、1/6です。

それ以上に気になるのは「肝心の会社はどこへ行ったの?」ということ。もし会社の価値がその株価よりもはるか上にあるなら4ドル以上は上がります。平均4ドルしか上がらないのは一日の出来高、投資家の数や浮動株の数、取引時間と言った色んな制限が存在するからです。もし無限の数の投資家が流動性の潤沢にある会社の株を完全な情報を元に取引したら株価は会社の真の価値に限りなく近づく筈です(というよりも、最初にその価格で購入したらその株の取引はそれ以降発生しません。全員がその株の価値を正確に分かっており、それを取引するということは費用だけが損になる、ということだからです。安いと思っている投資家と高いと思っている投資家がいて初めて取引は成り立ちます)。

しかし、投資する側の知識や情報が不完全であったり、間違っていたら、しかも大多数の人が間違った情報を信じていたらその通りになってしまいます。つまり、枯れ尾花も皆が幽霊だと思えば幽霊になってしまいます。$4のATRが間違いだとしても、皆が$4以上は行かないだろうと思えば本当に$4を超えることはなくなってしまいます。

投資は経済学でもあり、統計学でもあり、心理学でもある、と言われる所以です。

ここまで書いて5年前にGDOを上場した際の公募価格決定のプロセスを思い出しました。幹事証券は類似会社のPERを3つ用意し、それを足して3で割り、多少割り引いた株価を提示してきました。私は何故時価総額で加重平均しないかと質問しましたが、「普通はこうやるものですので」という回答でどうも納得が出来ませんでした。極端な話、その3社のうち、1社がPER20倍で時価総額は1000億、他の2社がPER10倍で時価総額1億円なら当然新規上場する会社のPER20倍に近づけるべきです。更に言うと、借入の多い会社はROEが高く、PERは低目になりますのでそれぞれの会社の借入比率で調整しないと理論的には間違ってしまいます。

でも、未だにこんなPERの理屈がまかり通っているのでしょうね。どうもいけません。
  
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2009年06月17日

リスクヘッジ

順序で言うとリバランスの話をしなければならないのですが、こっちの話の方が重要でタイムリーかと思うのでこちらを先に書きます。

今まで述べた手法である程度常識的な速度で株価が上がったり下がったりする場合には十分対応が出来ます。全く対応出来ないのは所謂「ショック」や「危機」と名のつく相場で、垂直に株価が落ちて買い手が市場から消えてしまう場合はどうしようもありません。しかし、いろいろと試行錯誤した結果、一つだけこのリスクを回避する方法を発見しましたのでご披露します。

VIXを使います。VIXが30以下から30を超えた日には全てのポジションを手仕舞います。そしてまた30を切るまで待ちます。40を超えるような大きなショックや危機の場合は30を超えた時点で手仕舞い、40を切ったら投資を再開します。40を超える場合は投資家は疑心暗鬼になりますので本来30程度まで市場が落ち着いているのにも関わらず、色んな情報に過剰反応するため、アフターマスが長引くからです。

この手法で過去のショック・危機をどの程度避けられたか、グラフにしてみました。

vix




どうでしょうか。赤い部分が投資禁止期間です。過去の危機やショックはきれいに全部避けることが出来ます。しかも底を打ってから値上がる部分ではリターンが取れます。

余談ですが、よく相場が底を打つのは二番底の後とか、チャートがW型になった後、と言います。こうやって見ると何が二番底なのか、Wと言ってもどのWなのか、よく分かりませんね。きっとWなんか常に出現してるんでしょうが相場が悪いと皆神経質になっているのでもう一度下げが来ると二番底のような気がするんでしょう。

是非試して下さい。
  
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おさらい

さて、ここまでのおさらいです。いろいろと面倒なことを書きましたが、要は一番値上がり期待が出来て、振れの振幅が大きくて、ロングショートを適切に繰り返した場合、もっともリターンが上がる銘柄を選びなさい。機関投資家が残していくシグナルを数分先回りして売買しなさい。逃げ遅れない程度の投資金額、流動性を確保できる銘柄でやりなさい。システムを組んで迅速に執行しなさい、ということです。

次に銘柄の入れ替えです。

入れ替えの頻度はどの程度が良いのでしょうか?色んな専門家やファイナンシャルプランナーが適当なことを言っていますが、投資の原則に則ると正解は一つになります。

「その瞬間、瞬間でもっともリターンが期待できる銘柄を保有すべき」

です。例え昨日値が上がった銘柄でも、今日それよりも値が上がる銘柄があれば機会損失が生じていることになります。過去の値上がり、値下がりは全てサンクコストですので完全に忘れるべきです。流石にこれは極端な話なので一定のルールに基づいてスクリーニングした結果、現有の銘柄がその中に入らなくなったら入れ替えを検討すればよいのではと思います。但し、入れ替えにはスイッチングコストが発生します。考えなければいけないのは以下の3つです。

1. 証券会社への手数料
2. 売りと買いのスプレッド
3. 譲渡税

1は最近随分下がったので気にならなくなりました。3も含み益、含み損を抱えた銘柄の売買には必ず考えなければいけないことですが、ブログの趣旨から外れるのと個々人の事情で変わってくるのでここでは議論しません。2の売りと買いのスプレッドについては私自身もどう考えるべきか、かなり悩みましたが今のところこうだろうな、という考えを書いてみます。

確実にその銘柄を買うには売り板にぶつけるのがもっとも手っ取り早いやり方です。成り行きで買う、という手もあります。しかし、当然ながらそうすると自分で買い上がってしまう可能性もありますし、少なくとも売り買いのスプレッド分はリターンが下がります。もしそれを吸収してでも余りあるリターンが上がるのならそうすべきです。しかし、株価は動くものなので指値で買い注文を出しても買えるかも知れません。もっと下の方で待っていても買えるかも知れません。一方で基本的には上がるであろう株を買おうとしている訳ですから、見込みが正しければそこから一本調子で上げていき、買えなかった上に機会損失が膨らんで嫌な思いをすることだってあります。実際確率を計算して議論できれば良いのですがそこまでやれていないので私のやり方だけをご紹介します。

私はこの時だけボリンジャーバンドを使います。一般にボリンジャーバンドは21日移動平均とそこからの株価の乖離の標準偏差σを計算し、その平均線から上下2σになるところに線が引かれています。2σというのは何かと言うと95%以上の値の動きがその範囲内に収まる、という値なのでそれを超えて値が動くのはかなり異常な値の動きだと言うことが出来ます。しかし、所詮21日前の株価も算定の中に入っていますので一本調子で上げている場合には線からはみ出すこともよくあります。私はこのボリンジャーバンドからはみ出しているかどうかを見るのではなく、σ自体がどの程度大きいかを見ます。これが大きいということは株価の変動が激しいということですので、上にも下にも振れる可能性は大です。この場合は指値で待ちます。

まあ、こんなことをやりながらなんとなく自分でコストをセーブした気になってるんですね。急に感覚的な話になり恐縮です。


  
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銘柄の選択

今回、銘柄を選択するにあたり、もっとも重視したのは、

「買われている株、買われそうな株を買う。売られている株、売られそうな株を売る」

ということです。微妙な言い回しですが、

「上がりそうな株を買う。下がりそうな株を売る。」

とは根本的に考え方が違います。前者は買う側の論理、後者は売る側の論理です。つまり、いくらEPS、ROE、PER、ROAという指標が良くても、消費者に必要のない機能を沢山備えた携帯を売ろうとするメーカーのようなもので買う側が「いえ、通話できるだけで結構です」と言えばそれでお仕舞い、無用の長物です。

そこでアメリカのNYSE、NASDAQ、AMEXに上場されている全銘柄を対象に投資家がどの指標に反応して値が上がっているかを調べました。Excelの回帰分析機能を使い、投資家が気にしそうな指標を16(Excelの仕様です)まで選び、現在の値、30日前、60日前、120日前、360日前の値とどのような相関関係があるか、分析をかけました。選んだ指標は時価総額、ROA、ROE、EPS(実績および予想)、PER(実績および予想)、PBR、PSR、値上がり率、DEレシオ、出来高、アナリストの評価、売上の伸び率、発行株式数、機関投資家保有株比率などです。赤字の会社が多いのでEPSやPERと言った指標は現実的にスクリーニングの指標にはなりません。結果、相関性が見られた(t値の絶対値が2以上)のは以下の4つだけでした。

・時価総額(以下参照)
・直近30日の値上がり率(上がっているほど良い)
・過去360日の値下がり率(下がっているほど良い)
・DEレシオ(2以下)

つまり、30日前にPERとかROAが良いからと言って投資した人は全く当てが外れていてもおかしくなかった、ということになります。

次により具体的に売買する場合を想定します。時価総額が値上がり率と相関関係があった、と書きましたが、直近の値上がり率上位56社の時価総額を記すと、

2ビリオン以上 2社
1-2ビリオン 2社
900ミリオン-1ビリオン 1社
800-900ミリオン 1社
700-800ミリオン 1社
600-700ミリオン 9社
500-600ミリオン 4社
400-500ミリオン 9社
300-400ミリオン 15社
200-300ミリオン 7社
100-200ミリオン 4社

それぞれ軒並み40%以上は上がっていますので上がり出す前の時価総額はもっと小さかった訳ですが、これから言えることは機関投資家のレーダースクリーンに入るには大体300ミリオンや500ミリオンと言ったあたりがハードルになっているのかと思います。つまり、より値上がりの伸びを期待するのであれば、300よりちょい下か、500ちょい下くらいの銘柄で張っているのが良いと思われます。

また、投資金額にもよりますが、もし数億円の投資を考えているのであれば、以前書いた他の投資家が動き出す前の数分の間にきれいに手仕舞える、もしくは買い付けられるだけの流動性があることが前提になります。銘柄によっては時価総額が低くても出来高が多い場合もありますし、その逆もありますので一度の取引額がどの程度になるかを調べ、板の厚さを確認するという作業も必要でしょう。

ここまで来ると大体投資対象は絞られてきます。こう言った指標は時間とともに変化していきますので定期的に見直しが必要ですが、今日明日すぐに投資家の好みが変わる訳ではないのである程度広めにレンジを取り、絞込みを掛けていきます。最後に50社程度まで絞り込んだ後は先のブログに書いたように伸びそうな業界の銘柄や、過去のチャートのシェイプが自分の好みにあったものを選び、最終的に10-15銘柄に絞ります。分散投資の理論では20銘柄を超えて分散してもそれほどリスク分散が進まないと教えています。それはもっとも分散が進んだ指数であるダウや日経平均が一日に数パーセント動くことからでも確認できます。闇雲に細切れに投資するのではなく、これと思う銘柄を20以下に絞ることが大切かと思います。

次に銘柄の入れ換え、リバランスの話をします。
  
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株価を動かすもの

株価がなぜ動くかを理解するのはとても重要です。

まずは常識的なところから、

1 会社の業績
2 その会社の属す業界の動向
3 景気の動向

の大きく分けて三つがあります。これらは言わば投資される側の状況です。値段は売りと買いで決まりますのでいくら投資される側が素晴らしくても買う側がヘタっていては良い値段はつきません。次に買う側の事情です。

4 他の商品との比較における魅力
5 軍資金の具合

さて、素人の方は1,2,3に時間を掛けがちです。四季報を買ってきて、色んな会社の情報を集めたりします。それで気に入った会社を買い、その会社の株価だけを毎日チェック。そのうちその会社に愛着が湧き、例え値が下がったとしてもいつかまた上がるんじゃないかと希望を持って損切出来ずに損失が広がります。四季報の次のページに載っていた会社がグングン値を伸ばしていたとしてもそんなことは知りもしません。

誤解を恐れずにはっきり言いますが、会社の研究に時間を掛けるなんてのは時間の無駄です。毎日それを専門にやっているプロ以上の仕事が出来るわけがありません。会社の業績による投資を信じるのであれば評判の良い投資信託を買うか、リターンの上がっている投資信託がどの銘柄に投資しているかを調べて同じ銘柄を買う方がよっぽど効率的です。

2004年度の長者番付第一位になったタワー投信の清原さんは毎日目をつけた会社に訪問を繰り返し、社長と膝詰めで話し、その会社が将来有望かどうかを見極めました。敢えて社会的にまだ注目されていない会社を選び、その株をコツコツ買い集め、それで素晴らしいリターンを上げたのです。このスタイルを取らない限り、出来の良い投資信託以上の成績を上げることは出来ないでしょう。

話が若干それますが、投資信託の話もしたいと思います。

どんな投資信託が良いと思いますか?なんとなくファンドサイズが大きいと皆が買っているから良いファンドだろうと思っていませんか?ファンドサイズの大きいファンドのファンドマネージャーは若しかしたら、

「リターンなんかどうせあがらんから、金かき集めて管理報酬で儲けたらんか!」

と檄を飛ばし、投資先に訪問するよりも生保とか銀行の窓販担当に日参しているかも知れません。そもそも、大きなファンドを廻してダウ平均や日経平均以上のリターンを上げるのは無理です。極端な話、上場会社全部の株を買える位大きなファンドであれば、リターンは日経平均とほぼ同じになってしまいます。また、サイズが足かせとなって流動性を確保できる大型株しか買えなくなっているかも知れません。また、市場が急落した時にサイズが大きすぎて逃げ遅れる可能性も大です。私は以下のようなファンドをお勧めします。

・成長株に投資できる中小型株を狙ったファンド
・サイズを制限している出来ればクローズドエンドのファンド
・ファンドマネージャーの顔が見えるファンド
・管理報酬ではなく、成功報酬で儲ける姿勢が感じられるファンド
・出来ればロング戦略一本ではなく、ショートも出来るファンド
・ある程度のレバレッジが許されているファンド

そして何よりも上記の条件が揃っていてトラックレコードのあるファンドが一番です。

それた話が長くなってしまいました。続きは次回に。

  
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2009年06月16日

怪しげな統計について

余談です。証券業界の人間ではないのでもしご存知の方がいらっしゃれば教えてください。

1.最近よく、「企業業績の見通しが悪化しており、株価が下がっているがPERから見ると歴史的な高値水準に近づいている」という報道記事をよく見かけます。

疑問:一社でも利益がゼロならPERは平均しても無限大になります。どうやって計算してるんでしょうか?マイナスの場合は単純にそのマイナスを入れて平均を出しているのでしょうか?それとも全上場会社の時価総額合計を利益合計で割っている?

疑問:PERの平均とは単純平均なのでしょうか?それとも時価総額の大きな会社にはそれなりの重み付けがされる加重平均なのでしょうか?

2.色んな統計数字がアナリストのコンセンサスより上とか下とかで「サプライズ」という話になり、株価に大きく影響します。

疑問:コンセンサスってどうやって話し合ってるんですか?電話会議か何かしているのでしょうか?それとも適当にアナリストを選んで単純平均しているのでしょうか?

疑問:誰がこのアナリストを選ぶのでしょうか?

疑問:いつも外れた予想ばかりしているアナリストを外す仕組みは完成しているのでしょうか?たまに日経新聞に出ているアナリストの予想日経平均とか、為替レートとかを見ていると「まあ、それだけレンジがあればあたるわな」と言いたくなるほどの広いレンジで予想していますがそれでどうやってコンセンサスが得られるのでしょうか?

おまけの疑問:どうして、「コンセンサス」「サプライズ」「センチメント」は英語でしか表現しないのでしょうか?

一見近代的に見える証券の業界では実は慣習で使っている怪しげな指標が横行しています。数学・物理を専攻した身としても、「おいおい、それじゃ正確な比較にならんだろうが」と言いたくなることが多々あります。
  
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どちらに投資しますか?

さて、問題です。もし以下の2つの株、AとBが東証に上場されていたとしたら、貴方はどちらに投資しますか?理論上の最大リターンは?

kabuka










どちらも100から400になっているのでどっちでも同じじゃないか、という方も居れば、着実に上がっているAの方が良いよ、という方も居るでしょう。答えはBです。但し、適切にロングショート(現物の購入と空売り)を繰り返せたら、という前提です。

もし完璧にロングショートを繰り返せたらリターンは次のグラフのようになります。

longshort実にただ株を保有する場合の3倍にリターンは跳ね上がります。










まあ、適切に繰り返す、というのが一番難しいのは誰でも分かるので何を言ってるんだと思われる方も居ると思いますが、では次の2つのチャートを見てください。

PrecisionMarkwestこれは実際私が投資している米国の中小型株です。EMA(10)とEMA(20)はそれぞれ過去10日、20日の株価の平均を対数を使って計算したものです。赤が20日線、オレンジが10日線になります。字が小さくて分かりにくいのですが、Short Exit/Long Entryと書かれているのはこの戦略に基づく買いのシグナルです。Short Entry/Long Exitはその逆で売りのシグナルです。よく見るとこのクロスが起こった瞬間に売りや買いが増え、株価が急激に変化しているのが良く分かります。これは実際にこの戦略を使ってシステム売買をしている投資家が居ることを意味します。

株式投資は美人投票のようなものだ、というケインズの言葉は誰でも一度は聞いたことがあるかと思います。この言葉の意味するところは要は誰が本当に美人かは問題ではなく、審査員が美人だと思っているのは誰か、もしかしたら審査員同士も自分の好みではなく、他人の好みを考えているかも知れない、という探りあいの結果選ばれるものだ、ということです。

会社の業績や景気の動向を正確に見通すことが不可能でも、他の市場参加者が何をするか、というのは上記の例からかなり正確に見通すことが出来ます。もし、他の市場参加者がEMA(10)とEMA(20)のクロスを使用して取引しているのであれば、そのクロスが起こる1分前にクロスがほぼ確実に起こるという情報を得ていれば確実にリターンをあげることが出来ます。これは数学的には全く難しい話ではありません。実際ラインのクロスが起こるまで待つのではなく、二つの線が単位時間当たり、どれ位の速度で接近しているか計算すれば確率は分かります。空を飛んでいる飛行機が落下してきた際、それが地面にぶつかる前に切り返すのか、地面にもうどうしようもなく激突するのか位、誰だって分かります。何も本当に墜落するまで待つ必要はないのです。

プログラム売買は多数の参加者が同じ指標に基づいて取引を行うため、株価の振幅を増大させる悪影響があると批判されています。しかし、それを利用して取引を行うものにとってはシグナルが分かりやすくなるという点においてこんなに嬉しいことはありません。
  
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理論と実体経済の乖離

ビジネススクールで会社の評価を行う時に使用する「ベータ」という指標があります。野村證券のWebページによればベータの定義は以下の通りです。

「ベータ値」(以下β)とは、市場の変動に対する価の感応度を言う。
個別証券(あるいはポートフォリオ)の収益が証券市場全体の動きに対してどの程度敏感に反応して変動するかを示す数値で、現代ポートフォリオ理論でよく用いられる。

β=個別銘柄のリターン÷マーケットのリターン

例えば、ある銘柄のβ値が1.5ということは、市場全体が10%上昇するとその銘柄は15%上昇し、逆に市場全体が10%下落するとその銘柄は15%下落することを意味する。」

もっと分かりやすい言葉で言うと、ベータが高ければリスクが高くなる、訳です。ビジネススクールではベータの高い会社に投資する場合、投資家はより高いリターンを期待するので株価は安く評価される、と教えます。

ベータの高い会社とは…戮譴修Δ焚饉辧↓▲戰鵐船磧爾覆匹泙栖霹廚寮阿辰討い覆げ饉辧↓事業内容が性格上市場と密接に連動し、かつ振幅が大きくなるような仕組みを持っている会社、ということになります。

このベータの考えに基づくと、ベンチャーの株価は市場の振幅をより大きくしながら上下動を繰り返す、ということになります。

果たしてそうでしょうか?もっとマクロに見てみましょう。

全ての会社は元はベンチャーでした。歴史的に見て、新しい産業を担う会社はより最近起業され、古い産業の会社は昔起業されています(当然です)。そして、新しい産業は徐々に規模を増し、やがて古い産業を凌駕していきます。会社の時価総額もその産業規模に比例して増減していきます。ベータの考え方に従うとと、経済が一定の割合で成長していれば新しい産業はそれを上回る比率で成長しますので辻褄が合います。ところが、最近のようにマイナス成長になった場合、新産業は経済全体よりもさらに早い速度で収縮する、ということになります。そんなことは常識では考えられません。そもそもマイナス成長など実際に経験した人は世の中に沢山居る訳でもないので理論と実体経済がここで乖離する訳です。このベータを組み込んだ投資手法がうまく機能していないのは想像に難くありません。本来、売ってはいけない株にも売りのシグナルが出た筈です。

実際、過去半年の株価データを調べると、太陽発電だとか、電気自動車の部品メーカーだとか、次世代を担う会社であったとしてもきれいに売り込まれています。オバマの環境ニューディールのお陰でその後急速に株価を戻していますが、それでも危機前の水準からすると割安と言えます。

小難しいことを並べ立てましたが、要は何を言いたいかと言うと、

・新しい産業の規模はやがて大きくなる。
・古い産業の規模はやがて縮小する。
・新しい産業を担い、競合を凌駕する力のある会社の株価は市場平均を遥かに超えるスピードで伸びる。
・古い産業の会社はパイが縮む中、他社を買収するなどして、マイナスサムゲームを生き抜く力がない限り、株価は下がる。
・市場の非効率性により、会社の本来の実力以上に売り込まれた割安な株が沢山存在する。

これが私が今回ポートフォリオを組むに当たり、よりどころとした考え方です。伸びる産業の担い手で、ドミナントな地位を築きつつあり、経営指標のしっかりした会社、ということになります。

結論を聞けば大したことはないのですが、考え方は基礎が大切です。例え、新しい産業の会社であっても、競合が多く、経営基盤がしっかりしていない会社はやがてなくなります。そのような会社を選ばないことが大切です。また、産業全体を見据えた話ですのである程度中・長期の投資スパンも必要となってきます。
  
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2009年06月15日

バブルの作り方

さて、まずは簡単なところから始めましょう。と言っても、株式市場の話は本当に奥が深く、どこから始めたら良いかも良くわからないのですが、徒然に綴ってみます。

今、市場にA社の株が上場されているとします。直近の値段は1株100円です。市場には投資家が10名いますが、それぞれ5名ずつのグループに分かれており、5名の中から1名ファンドマネージャーを選んでいます。各グループのマネージャーをそれぞれBさん、Cさんとしましょう。Bさん、Cさんは運用から上がった利益の2割をもらうことが出来ます。各自、100円ずつ投資するとします。10名居ますので合計の持ち金は1000円になります。

まず、Bさんが5株500円で購入し、それを600円で売ろうとしています。

Cさんが100円銀行から借りてきて、600円でそれを買います。そしてまた800円で売ろうとしています。

Bさんが200円銀行から借り、手元にある600円と併せて購入します。そして更にそれを1000円で売ろうとします。

Cさんは更に200円を銀行から借り(合計300円の借り入れ)、1000円で購入します。そして1500円で売ろうとしています。

Bさんは更に500円を銀行から借り(合計700円の借り入れ)、1500円で株をかいます。

さて、どうなったでしょうか?

Bさんのグループ

株式の時価    1500円

借入         700円

キャピタルゲイン(未実現も含む)  800円から元手の500円を引いた300円

Bさんの成功報酬 300円 X 20%=60円

皆、随分儲かりました。Cさんのグループも構造は同じですので儲かりました。

でも、肝心のA社はどうなったんでしょうか?何も変わっていません。これが市場の一番重要な特徴です。通常の相対取引であれば、片方が100円儲ければ、もう片方は100円損をします。しかし、市場では永遠にバブルを作り出すことが可能になります。そして、ある日、

「王様は裸」

であることに誰かが気付き、慌ててA社の株を売却、現金化しようとします。しかし、その頃には皆王様が裸であることに気付いており、誰も買わなくなります。そうすると、例えA社の本来の価値が100円であったとしても、10円でも買い手がつかない、ということになります。

銀行はどうするでしょうか?700円の借入はこのA社の株を担保にしています。A社の株価が下がれば株を売るなり、他の資産を売却するなりして返済しろ、と言ってきます。信用収縮が起これば理由はどうであれば、返済しろ、と言ってきます。

実際の市場も基本的には同じ仕組みで動いています。これによって株価は上にも下にもオーバーシュート(行き過ぎ)するのです。

もっとも確実な投資手法はA社の本来の価値を見極め、その価値より下であれば買い、上であれば売るということを長期に渡って行います。本当の価値を知っているので短期的に上に行ったり、下に行ったりするのは気になりません。これをValue投資と言います。世界第二位の富豪であるウォーレン・バフェットはこの手法で有名です。

大学の教養課程で教える古典的な経済学では需要と供給で物の価格が決まる、市場の重要な機能の一つは価値を発見する機能である、と教えます。

ちゃんちゃらおかしいや、ですよね。勿論、更に実体経済に沿った経済学も発達していますのでそれを否定する立場ではありませんが、一番の基本がどうも怪しげなのです。

次回はもう少し突っ込んでビジネススクールで教えるベータという指標について、ちゃんちゃらおかしい話をしたいと思います。

 

 

 

  
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2009年06月13日

前振り

本題に入る前に少し日米の情報格差、特にメディアの役割について書きたいと思います。

少し前の話になりますが、ブルーンバーグの英語版で既に流れた情報が少し遅れて日本語版で流れた、ということがありました。日本の投資家が動き出したのは翻訳がされた後だったので、「日本の投資家は英語を読めない、読まない」と話題になったことがありました。国際化、情報化が叫ばれて久しいのですが、まだ変なところに情報格差が存在します。

私の情報源は大体以下の通りです。

オンライン:ブルーンバーグ
雑誌:選択
新聞:日経新聞、たまに朝日新聞

ハワイに居るときはこれにホノルルアドバタイザー(地元紙)、シリコンバレーではサンノゼマーキュリーニュース(地元紙)、その他の場所ではウォールストリートジャーナルが加わります。

さて、今回のGMがチャプター11を申請した時の報道です。アメリカではブッシュが任期最後に「大統領任期最後の仕事がGMを潰したこと」という汚名を歴史に刻みたくない、という理由で今年1月までの繋ぎ融資を議会に通した時から既に「なんであんな駄目会社救済するの?」という世論でした。GMのアメリカでの評判は「ガソリンをがぶ飲みする車」「環境対策に遅れた会社」「労働組合に手厚く、高コスト体質の会社」「未だにCEOが自家用ジェットで出張する会社」というもの。従業員が手厚い福利厚生を受けていることは妬みを買ってしまい、救済に関する世論には逆効果でした。この辺りの事情は普通のアメリカ人なら昨日ヤンキースが勝ったか、負けたか、というのと同じ程度の常識です。GMがチャプター11を申請した日、ダウが上がったのは記憶に新しいところです。

さて、翻って日本での報道です。この辺りの事情をよく分かっている日経新聞は流石にそれほど騒ぎ立てることもなく、1面トップには取り上げましたが控え目の記事で粛々と報道していました。ところが朝日はこれを「GM破綻」と、北朝鮮が核実験をしたときと同じ位のセンセーショナルな見出しで報道してしまいました。日本の会社更生法と同等の手続きを「破綻」と言ってしまうのもどうかと思います。しかも、オバマは申請前から60日から90日で手続きを終え、新生GMにする、と宣言までしていました。経済記者の実力の違いと言えばそれまでですが、自社のメディアとしての影響力を考えるなら、もう少し考えてもらいたいものです。

本当によいと思えるメディアを吟味して選び、時間のない中でよい情報を取捨選択していく重要性を改めて教えてくれる出来事でした。
  
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2009年06月12日

久しぶりの投稿です。株の話

久しぶりに投稿します。更新もせずに何をやってたかと言うと、

「株の研究」

これです。

ご存知の通り、ベンチャーへの資金流入は金融危機以降止まり、未だに回復の兆しはありません。このリスク資金は最初に止まり、周りが十分よくなってから再開する性質のものですからあと最低でも1年は始まらないと思ってよいでしょう。なにせベンチャーキャピタルの大手が倒産するような時代です。

3ヶ月前と一つ変わったことがあります。株式市場が上向きだした、ということです。Saturaの売上は若干カリフォルニアで回復の兆しはあるものの、キャッシュフローがマイナスであることには変わらないので引き続き資金調達の必要性があります。私が貸し付けてもよいのですが、ただそれだけでは能がないので運用益を貸し付ける、更にいうと貸付額以上の運用益を上げよう、上げられる環境になった、と考えた訳です。

そうは言ってもまだまだ脆弱なマーケットです。しっかり勉強して、データを見ながらやらねば、そう思った次第です。

結果を言います。この3週間で、米株を中心に投資し、ダウ平均が約6%あがったのに対して、超過リターンが13%、約2割の利回りです。因みにもしこのリターンが1年続けば、1.2の17乗ですから元手は22倍に増えることになります。まあ、そううまい話にはならないのが世の常ですので、一応複利の恐ろしさ、強みということでご紹介しておきます。

さて、何をやったか、ということにご興味がおありかと思いますので次回以降からその話をしていきます。項目を並べると、

・株のスクリーニング
・プログラム売買
・マージンローン
・株の入れ替え、損切り、時価総額基準、流動性基準等のルール作り
・リスクマネージメント
・テクニカル指標の分析、開発、統計理論

となります。勿論、ビジネススクールで投資理論は勉強しましたので分散投資やベータだのアルファだのバリュエーションだの、基本は分かっているつもりですが、今回徹底的に勉強して学校で教わらないものも見えてきました。「市場は効率的」という前提に立つ学校の理論と、「実は非効率なところも沢山ある」という現実のギャップです。

例えば、今週頭にGMがダウ平均の計算から外れました。それを知らない投資家は未だに同じダウだと思って数字を眺めています。前ほど振れなくなったな(あたりまえです)と思って株の購入を増やしたとします。これってどこが効率的な市場なのでしょうか?知の偏在という非効率が存在する訳です。

ご期待下さい。
  
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2009年05月06日

ここ数週間平穏です

あまりブログの更新をしていないのでサボっていると思われているかと思いますが、ここ数週間平穏で特に書くこともないのです。普通、創業して4年も経つとこれ位平穏なのが普通だと思いますが、前半2年強が余りに強烈だったのでなんだか気が抜けてしまいます。

前から時々触れていましたので勘の良い方は何故平穏なのか想像も出来るかと思いますが、これは不況のためです。現場が大変になるのは大抵人の出入りがある時です。社内に問題があると最終的には従業員の退職という形で最後は表面化します。パワハラ問題の時もそうでしたし、火事の時もそうでした。業績が上向いたとしても適切な人材の配置や増強を行わないと人が辞める結果になります。業績が下がってもリストラの形で人が辞めます。今は現場レベルで個々の問題があったとしても、文句を言ったところでより良い働き口がある訳ではなく、逆に他に比べるとSaturaの方がマシな部分が多いので誰も不平を口にして辞めようとしません。結果として日々が平穏になるのですがだからと言って売上が上向く訳でもありません。

色んな経営者の方が言っているのは今は需要を喚起しようとしても人の心理が冷え切っているためあまり効率的ではない。コスト削減に努めた方がいい、ということです。確かにその通りだと思い、これを機会に徹底的にコストの見直しを進めたところ、間接人員を3名、販売人件費を2割、家賃を2割削減できました。更に間接人員を1名減らそうとしています。購買も色んな業者が新規ビジネス開拓にやっきになっているので相見積もりが効き、少しですがコストダウンが図れました。景気の良いときにはなかなか表面化しないものが悪くなると見えてくるのだなあ、と改めて感じます。

問題はベンチャーの永遠の課題である成長性です。このままでは縮小均衡になる可能性は大。小さく儲からない商売を細々と続けるほど面白くないことはありません。一方で大きく成長するには軍資金が必要ですが、ベンチャーへ資金の流れが回復するまでどれ位かかるか、全く読めません。

舵取りが実に難しい時期を迎えています。
  
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2009年04月28日

久しぶりの更新です。でも景気の悪い話です。

またカリフォルニアに出張しています。2月、3月と酷く売上が落ち込んでいたカリフォルニアの店舗でしたが、最近ようやく回復が見られだしました。少しは街角景気も上向いたかと思い、暫く街を歩いてみました。ところが、目にするものは全く逆のひどいものばかり。パロアルトの目抜き通りはSatura店舗が面しているUniversity Avenueですが、この通りにも3ブロック歩いただけでも8箇所の空き店舗がありました。サイドストリートは目を覆わんばかり。「For Lease」、「Store Closing」のサインがそこら中にあります。恐らく2月の景気が一番落ち込んだときに退去を決めたテナントが今になって店を閉めているのではと思います。明らかに街にはホームレスが増え、道でボーッとしていると物乞いが寄ってきます。アメリカに合計7年居ますがこんなことは初めて。これでは楽しくショッピングも出来ないでしょう。

景気の判断は好悪入り混じっていますが、まだ油断は大敵のようです。
  
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2009年04月09日

株が上がりだしました

待ちに待ったブルマーケットがやってきました。ベアマーケットの定義が2ヶ月以内に株価が2割以上下がることだそうなので、ブルマーケットはその逆に2割以上あがることなのでしょう。Bloombergが「一応、定義上はブルマーケットになりました」とかなり嫌そうに書いていました。

色んな人が「最悪期を過ぎた」と言い出しました。気持ちはよく分かるのですが、行間に「・・・と信じたい」という気持ちが滲み出ています。銀行や専門家の意見を聞くと、厳密には政府の景気刺激策だけではなく、企業業績という実質が伴わないとブルマーケットも腰折れするそうですが、過去1年半に起こったことを見ると株価の下落や信用市場の収縮を起点とする逆資産効果や流動性の危機が実体経済を悪化させましたので、その逆が起こっても不思議ではありません。つまり、金融や人の心理と言ったVirtualなものからよりMaterialな実体経済への良い波及効果が今後現れる筈です。

さて、ここからどうするか、以下のことをよく考えて見ましょう。

・単純な算数ですが、5割下がった株価を元に戻すには株価が5割上げるだけでは不十分で10割あがる必要があります。
・株価は必ずオーバーシュート(行き過ぎ)します。
・ポピュリズムがはびこる政治には経済を適切に舵をきる能力はありません。最大多数の一般層に十分経済回復が実感できるようになるまで金融緩和を続けざるを得ない筈です。その頃には富裕層・投資家層には必ず過剰流動性が生まれています。

少し前に日本のバブル後の株価推移から推測し、年末までにダウは史上最高値を更新するかも、なんてとんでもない事を書きました。ハハ、楽しみですね。





  
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2009年04月03日

久しぶりにカリフォルニアに出張しました

昨年11月以来ですからもう5ヶ月振りになりますね。年末年始を挟むと時間があっと言うまに過ぎるのでこんなに行ってなかったなんて嘘のようです。いつもは2ヶ月に一回は行くようにしているのですが、随分間が空いてしまいました。

色々と仕事の話も書こうと思えば書けるのですが、最近ブログの話が堅くて面白くない、と不評なので柔らかい話でも書こうかと思います。今回泊まった宿の話です。

ハーバードビジネススクールはハーバード大学の一大学院ですのでその卒業生はハーバードの卒業生だけが所属できるハーバードクラブというものに入会できます。なんともエリート臭い、いかにも東海岸の大学の話のようで恐縮ですが、なんとなくそういうものにも興味を持ってしまうのが人の自然な感情です。かくいう私も興味があり、1年ほど前に入りました。ベースはボストンかニューヨークのどちらかを選べるのですが、この月会費の仕組みが良く出来ていて、近くに住んでいる人ほど利用頻度が増えるであろうとの理由から会費が高くなります。海外やハワイに住んでいる私のような会員は月60ドルほどですのでスポーツクラブより安くて済みます。ボストンやニューヨークに住んでいれば数百ドルはとられる筈です。

ハワイから東海岸にわざわざ行って利用する訳ではないので、何でそんなものに入っているかと言うと、Reciprocityという制度を利用する為です。これは互恵契約と言って、提携したクラブでそのクラブのメンバーと同様に扱って貰える、というものです。例えばハワイではPacific Club、日本ではAmerican Clubなどがそれにあたります。

そうは言うものの、いざ利用となるとそれなりに面倒なので実は入会して以来、全く利用していませんでした。これでは毎月少額とは言うもののお金をドブに捨てているようなものなので今回は思い立ってカリフォルニア出張に利用することにしました。提携先のクラブを探し、そのクラブに宿泊しようと決めたのです。

お店のあるパロアルト近辺で色々探したのですが残念ながらサウスベイエリアには宿泊施設のある提携クラブが見当たらず、サンフランシスコの町中に宿泊することになりました。泊まったのは「Olympic Club」。アメリカで一番古いアスレチッククラブです。このClubの持っているゴルフ場はサンフランシスコのど真ん中にあり、かつ、全米オープンが開かれる位、由緒正しいクラブです。通常、こういったプライベートクラブの宿泊代金はメンバーからの月会費の収入があるので安く抑えれており、私の場合は一泊190ドルでした。サンフランシスコの町中で一流のホテルに泊まるとこうは行きません。

olympic poolどの位由緒正しいかと言うとこのプールの写真でお分かり頂けるかと思います。











兎に角面白かったのがドレスコード(服装に関する規程)でした。電話で予約した際も言われたのですが、その後、確認の電子メールにも書いてありましたし、チェックインした際もしつこく言われました。

「ロビーのあの線から玄関までの間は絶対にビジネスカジュアル以上の服装が必要です。もし、ビジネスカジュアル以上の服装がなければ、勢いをつけてあの線の手前で踏み切り、玄関まで飛んで下さい。しかし、ここはアスレチッククラブですが、クラブの140年を超える歴史の中で未だにそれに成功したものはいませんので気をつけて下さい。」

と、幅20メートルはある空間を指差して真顔で説明するので噴出してしまいました。更に、

「失礼ですが、ジーンズはお持ちですか?」

と聞かれ、ハイと答えると、

「中二階にガレージにつながる出口がありますので、ジーンズをお召しの際はそちらをご利用ください」

とご丁寧に説明してくれました。

カリフォルニアにもこんな場所が残っているんだと良い勉強になりました。滞在はそれなりに快適でした。

  
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2009年03月20日

春になると何故か大学関係の仕事が増えます

昨年もこの時期、大学での講義や講演が多かったのですが、また今年も三件入りました。

一つ目はハワイ大学のビジネスプランコンテストのコーチです。先日講義に行った際、知り合いの教授からボランティアでコーチか審査員をやってくれとお願いされ、コーチを選びました。審査員は最終審査に残ったチーム全部のビジネスプランを読まなければいかないのですが、コーチであれば一つのチームに集中でき、かつ学生とより深い交流が出来るのでこちらの方が良いかと思い、選択しました。しかし、やりだすと結構はまってしまい、週末の時間をかなり投資することになりました。挙句の果ての自分の持てるネットワークをとことん活用し、コーチどころかチームの一員のような感じでやっています。ビジネスプランの対象となるのは「マカオで旅行客向けに発行するフリーペーパー」なのですが、このような自分に縁もゆかりもないビジネスでも自分の人脈をたどっていくといい話を聞ける方が沢山いらっしゃいました。4月末には優勝チームが決まりますのでもし優勝できたらまたこの場で報告したいと思います。

二つ目はカリフォルニアのフットヒルカレッジでの講演です。アジア発のビジネスをアメリカで広めることを主眼としたクラブが主催するものでSaturaがまさにぴったりなので苦労話を聞かせて欲しいとの話でした。聴衆は100名を見込んでいるとのことですので結構な数です。アメリカでの苦労話は山ほどありますのでどれを話そうか、今から楽しみです。

三つ目は昨年に引き続き一橋大学のビジネススクールです。昨年話して感じたのですが、ここの学生は本当に優秀で質問の内容はスタンフォードを上回っていました。ハーバードもそうですが、アメリカの優秀な学生は手の抜き方も優秀なので単位をとり終えた後は徹底的に手を抜いて夜な夜な遊び廻ります。日本以上に勉強だけ出来ても格好悪いという意識が強いので出来る奴に限ってスポーツや遊びにも熱心です。アジアの学生とはそこが違うのでしょう。質問の質の違いはこれが理由だと思っています。ただ、スポーツも出来る根性のある奴らが多いのでここ一番の底力はアメリカ人(アメリカにいるインド人、中国人も含む)の方が持っていたりもしますので侮れません。

なんだか話がそれてしまいましたが、学生と触れ合い、キャンパスに戻るというのはいくつになっても楽しいものです。また暫く楽しみたいと思います。
  
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2009年03月14日

資本市場とベンチャー経営

資本市場が凍結するとベンチャーキャピタルに投資家のお金が流れ込まなくなり、従って買い手が少なくなるのでベンチャーのバリュエーション(もっと分かりやすく言うと株価)が安くなります。大雑把な言い方をすると、未上場であるベンチャー企業の株価も上場企業の株価と相関関係にありますのでマクロ経済の動きはベンチャー経営者は常に追っておく必要があります。特に今回のような経済危機では資本は安全性を求めて逃避(Capital Flightと言います。お金がスーと飛んで逃げていくイメージです)しますので、最もリスクの高いベンチャーの株式への資金の流れが一番先に枯渇します。1回の増資で資金繰りが黒転するまで行けるベンチャーはまれですので殆どのベンチャーにとってこれは一番起こって欲しくないことです。例え業績が右肩上がりでも資金ニーズがある限り、倒産の可能性が大きくなります。今回色々調べた限りでは米国でこのような状況のベンチャーを救う公的資金は存在しません。日本でも個人保証を入れずにお金を調達できる制度は皆無です。爪に火をともして倹約している起業家には担保として差し入れる資産などないのが普通ですから日米共に「ベンチャーを殺す仕組み」が出来上がってしまっている訳です。

ではこれを切り抜けるにはどうしたらよいのでしょうか?

答えは単純です。徹底的にリストラして成長性を犠牲にするべきです。上場を目指すベンチャー企業にとって経済がこのような状況の時に焦って成長する理由は全くありません。上場してそれなりの初値がつくためには既に上場している類似業種の株価が高くなっている必要があります。今のPERのレベルでは上場する意味がなくなってしまうベンチャーが殆どだと思います。であれば、敢えて成長するのではなく、2,3年、景気の回復するのを待って上昇トレンドが確認できてから成長のスピードを上げるべきでしょう。

今まで成長一本槍できた創業者にとって大変苦しい決断ではあります。しかし、会社が倒産する理由はただ一つ、現金が枯渇することですからその最悪の事態を避ける意味でも成長性を犠牲にすることを私はお勧めします。Satura Cakesでも成長はひとまずお休みし、現金の確保に集中しています。そして市況が戻り次第、一気呵成に攻め込もうと思います。その頃には競合もきれいさっぱり居なくなり、やりたい放題の世界が開けている筈です。





  
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2009年03月12日

経済危機 - この次に起こること

少し前円高が進んでいたころは著名なアナリストやエコノミストが瞬間80円まで行く、と言っていましたが、今となっては100円まで行く、という声が優勢になってきました。あの頃、春先までに80円と言っていた榊原さんなんかは今はなんて仰っているんですかね?通貨マフィアでしたっけ?

その時々のメディアの論調にあわせていると損することも多いのですが一応どのように米国のメディアが変わってきているかご紹介します。

・「暫くは回復しない」と匙を投げた意見が多くなってきました。特に昨年10月頃は「アメリカの株は安い。俺は株を買っている」と言っていたウォーレンバフェットまでもが自身の会社であるバークシャーハサウェイの利益が9割以上減ったのに合わせて「アメリカの経済は崖から落ちた」と言うようになってしまいました。

・短期的にいい話はどこからも聞こえてきません。失業者数の増加、失業保険申請者数が記録を作った、倒産数の増加、ダウの下落、金融機関の救済等々、悪い話のオンパレードです。

・注目されつつあるのは米国債です。今は株式から逃げたお金が安全性を求めて米国債に向かっています。しかし、本来は政策はインフレ政策です。莫大な金額の起債が成功するのも逃げ場を失ったお金の受け入れ先となっているから。一旦経済の風向きが変われば大きく割り引かないと国債をさばけなくなる可能性があります。額面から割り引くと言うことは償還時に向けての利回りが上昇する、ということですから金利の上昇を意味します。経済が回復する過程でこれが起これば問題ないのですが、起債額が大きすぎて経済が回復に向かう前に長期金利が上昇しだすと不況をドンドン長引かせるかも知れません。微妙なバランスが要求されます。一方で起債する、ということはその何パーセントかは債券ブローカー(投資銀行)に手数料収入が入る、ということです。このお陰で各銀行の収入を数百ミリオン押し上げることは確実です。それを機に銀行株が見直されるかも知れません。

・PBRとPERのどちらに軸足を置くか、という議論もなされています。それによって株価が安いのか高いのか、判断が分かれます。PBRなら1倍を割っているので安い、PERなら60倍を超えているので高い、ということになります。しかし、直近のPERは在庫調整やリストラ費用で実体以上に押し下げられています。長期的には全上場企業のPBRが1倍を下回るということは「絶対」あり得ませんので株価が上昇に向かうのは間違いありません。問題はそれが「いつか」ということです。

・株価の動きが要人の一言一句で大きく振れています。オバマやガイトナーが何言っても大して株価は動かないのが悲しいのですが(オバマは「株は長期保有する投資家にとっては割安だ」なんて発言までしています。これは米国大統領としては異例とのこと)、上に書いたウォーレンバフェットやバーナンキ、グリーンスパン、バンカメやシティ、GEのCEO、ソロスなんかがボソッと言うと大きく振れます。市場がどれ位神経質になっているかを表す指標によく使われるのが恐怖指数と呼ばれるCBOE Volatility Index(VIX)なのですが、これが30を超えていると市場は過敏に反応するようです。20辺りが丁度良いくらい、10台は安心して投資ができる環境と言えるでしょう。30を超えている時は車の行き来が激しい道を横切るようなもので運が悪ければ分析や経済動向に関わらず大怪我をするので手控えた方が良いようです。

市場はついにCitigroupのCEOが社内向けに送ったメモを材料に金融株が反発を見せました。低過ぎるのは誰の目にも明らかなのでいつ何をきっかけに反転するかを全投資家が固唾を飲んで見守っています。これがきっかけになれば良いのですが。
  
Posted by flyingdonuts2000 at 08:54Comments(0)TrackBack(0)

2009年03月06日

オバマ批判

アメリカのメディアの論調でオバマに対する批判が増えてきました。アメリカには新大統領のある程度の失点も最初の100日は黙っていようという暗黙の了解があります。俗に言うハネムーンピリオドです。今回はまだ50日も経っていないのですが、批判が多くなりだしました。何かが悪くなると犯人探しをしたくなるのが人の世の常ですが、オバマが大統領になるまではブッシュが犯人でした。戦争を長引かせて財政赤字を増やし、金融機関を放置して今回の金融危機を招いた、という理屈です。

しかし、オバマになっても就任前に一時株が上がった時期はありましたが、今日現在年初からダウは20%以上の下落になっています。期待が大きかっただけに失望も大きいようです。メディアの論調をまとめると、「危機感をあおりすぎて投資家を怖がらせている」「この危機に乗じて健康保険改革など余計なことをしている」「理想が高すぎるからこの緊急時に必要な人材を集められない」「長期的ビジョンはいいが、今必要なのは死にそうな病人に打つカンフル剤だ」ということになります。

オバマは歴史的に貧者の見方でした。一方、資本家はその名の通り、資本を持つものです。正義の味方は良いのですが、必要以上に富裕層を敵対視しているようにも見受けられます。銀行を救済する際も、「金持ちの銀行家を助けるのではない」と一々断りを入れます。結果として、銀行は潰れないのでしょうが、国有化を懸念した投資家のお金が逃げて行き、株価は逆に下がる、という皮肉な現象が起きています。銀行の株価が下がればつられてその他の企業の株も下がり、含み損が膨らみ続け、更なる対策が必要となる、という悪循環に完全にはまってしまいました。結果、財政赤字は膨らみ、ドルは安くなり、米国への輸出に頼っている他の国々に不況が波及する、という現象も起きています。米国企業の輸出は強くなる筈ですが、その要の自動車産業は倒産しそうでとても海外に攻勢に出れる余裕はありません。

悪循環を断つにはその輪のどこかを完全になくす必要があります。殆どのメディアがいっているようにそれは金融でしょう。金融が磐石になれば、他の産業は回復に向かいます。銀行救済の話が銀行経営者のボーナス救済のような話にすりかえられてそれもままならない状況です。

出口はどこなんでしょうか。人付き合いも同じですが、一度信用を失うと回復するのは容易くありません。不況が長引く、とい言われている理由はそこにあると思います。今までうまくやれなかった人達が今後急にうまくやれる訳がない、と市場から思われているのです。

じっと手を見てしまいます。


  
Posted by flyingdonuts2000 at 19:59Comments(0)TrackBack(0)

2009年02月26日

Managing your boss

ハーバードビジネススクールの講義の中で印象深かったものの一つがこれです。Managing your boss - 上司をどう管理するか。なかなか挑戦的なタイトルでいいじゃないですか。

色々と副読本の中には書いてあったと思いますが、結論のみ覚えています。

「お前のやりたいことをやるのではなく、上司がお前にやってもらいたいことをやれ」

実に分かりやすい結論でした。前回のブログを読んだ方はなんとも封建的な考え方だと思われたかも知れません。よく、会社が自己実現の場であったり、やりたいことをやる場であったり、またはやり甲斐を求める場であったり、という理想論がなされていますが、資本主義の原則から言うと、「会社は誰のものか」の回で書いたとおり、

「投資家のリターンを極大化させるために雇われている組織」

が会社である訳です。自分のやり甲斐を見つけることが出来るかどうかはまず入社前、会社を選択する時点である程度勝負がついています。会社は社員のやる気を保つべく努力すべきですが、それは飽くまでやる気を失われては上に書いた目的が達成できないからやるべきことであって、社員にやり甲斐を感じて貰うことが会社の目的ではありません。極端な話、会社の業務を全てロボットでやれるのであれば人なんか要らない訳です。メーカーは正にその方向に向かっています。

その前提に立つと、ハーバードビジネススクールの教えの意味がよく見えてきます。上司のやってもらいたいこと、その上司のやってもらいたいこと、またその上司と考えていくと、やはり上に書いた会社と言う組織のそもそもの存在意義に行き着きます。これにそった動きをとることがやはり会社の中での自分の発言権を強め、ひいては昇格や昇給につながるのです。社長を選ぶのは取締役会で、取締役を選ぶのは株主です。自分たちのためになる役員や社長を選ぶのは当然のこと。社長を目指すのであれば組織の究極目標をよく理解し、それに沿った行動をとることが上司をマネージ、更に会社をマネージすることにつながります。
  
Posted by flyingdonuts2000 at 08:58Comments(6)TrackBack(0)