食品学実験/栄養, 2010

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2010/11/17 23:55

カテゴリ: 食品学実験/栄養, 2010

食品学実験2／栄7（酵素の働きを知る実験）

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■ 実験の目的など
　今回の実験は酵素の働きを知る実験です。プロテアーゼとアミラーゼを用いてそれぞれの基質であるたんぱく質やデンプンの分解を経時的に確認します。
　たんぱく質の分解ではトリクロロ酢酸による沈殿反応を利用して分解を確認します。
　デンプンの分解ではヨウ素反応やピクリン酸を用いた還元糖の有無から分解を確認します。
　また、実験を通して座学で学んだ酵素に関する事柄についてしっかりと整理しておきましょう。

■ 実験項目
1) パンクレアチンによるカゼインの分解実験：トリクロロ酢酸による分解の確認
2) ブロメラインによるゼラチンの分解実験：ゼラチンの冷却凝固による分解の確認
3) α-アミラーゼによるデンプンの分解実験：ヨウ素反応による分解の確認
4) β-アミラーゼによるデンプンの分解実験：ヨウ素反応による分解の確認とピクリン酸よる還元糖の確認

■ 実験結果
α-アミラーゼによるデンプンの加水分解
（ヨウ素反応により確認）

約1分でヨウ素の反応が失われているのが確認できた。

β-アミラーゼによるデンプンの加水分解
（ピクリン酸による還元糖の有無の確認）

未分解（左端）のものは還元糖が無いためピクリン酸の黄色のままであるが、40分間酵素分解したもの（右端）は還元糖とピクリン酸が反応して生成するピクラミン酸により赤味が強くなっている。

【反応原理】
・デンプンに対するアミラーゼの作用点

・β-アミラーゼ作用後のデンプン（アミロペクチン）

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2010/11/10 17:05

カテゴリ: 食品学実験/栄養, 2010

食品学実験2／栄6（一般分析3）

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■ 実験項目
1) 水分の定量：約8時間乾燥後の水分量を求める。
2) 灰分：一晩灰化したるつぼの重量を測定して灰分量を求める。
3) 脂質：脂質を抽出、乾燥した受器の重量を測定し脂質量を求める。
4) たんぱく質：分解した試料を蒸留し、滴定に供したんぱく質量を求める。
5) ミネラルの検出：灰分測定後の灰を用いてそこに含まれる鉄、カルシウム、リンの検出を行う。

■ 実験結果
・大豆製品の一般分析結果と表示値、成分表値

・一般分析結果

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2010/10/27 23:55

カテゴリ: 食品学実験/栄養, 2010

食品学実験2／栄5（一般分析2）

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■ 実験の目的など
　今回の実験は前回の続きです。
　各種成分値の測定結果が得られます。また、灰分を測定した後の灰を利用してそこに含まれるミネラル成分を確認します。

■ 実験項目
1) 水分の定量：約8時間乾燥後の水分量を求める。
2) 灰分：一晩灰化したるつぼの重量を測定して灰分量を求める。
3) 脂質：脂質を抽出、乾燥した受器の重量を測定し脂質量を求める。
4) たんぱく質：分解した試料を蒸留し、滴定に供したんぱく質量を求める。
5) ミネラルの検出：灰分測定後の灰を用いてそこに含まれる鉄、カルシウム、リンの検出を行う。

・ソックスレーの抽出装置（原理）

上部より冷却管、抽出管、受器。3つのガラス器具で構成されており、サイフォンの原理により試料より脂質を自動で抽出、ろ過する。

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2010/10/20 23:55

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食品学実験2／栄4（一般分析1）

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■ 実験の目的など
　成分表に収載されている一般成分の成分値を実際に求めることで成分表、五大栄養素について理解を深める。
　大豆製品である「きなこ」、「湯葉」、「凍り豆腐」を用いて水分、灰分、脂質、たんぱく質を測定し、その結果から炭水化物量を算出する。
また、大豆の成分値と実験で求めた値を比較して、その違いについて考察する。

【実験法】
水分：常圧加熱乾燥法（110℃乾燥法）
灰分：550℃灰化法
脂質：ソックスレー法
たんぱく質：ケルダール法
炭水化物：測定せず差し引きにより算出する。

■ 実施項目
1) 水分の定量：サンプリング→70分乾燥後の水分量の算出
2) 灰分：サンプリング
3) 脂質：サンプリング
4) たんぱく質：サンプリング→分解準備、蒸留のデモンストレーション

今回の実験は3回のシリーズです。今回、実験の結果は出ません。2回目、3回目にそれぞれの測定結果が得られます。

【実験器具】
水分：秤量缶

灰分：るつぼ

脂質：受器（じゅき、うけき）

たんぱく質：分解フラスコ

たんぱく質の定量は“分解→蒸留→滴定”の流れで測定されます。
この写真は分解の様子を写したものです。分解初期は黒変しますが分解が進むにつれ色は薄くなり、最終的には接触剤の薄い青になります。左端は分解が終了したものです。

□たんぱく質の定量_分解の様子（動画）

たんぱく質：ケルダール蒸留装置と蒸気の流れ

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2010/10/13 23:55

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食品学実験2／栄3（ビタミンCの定量実験）

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■ 実験の目的など
　還元型ビタミンCとインドフェノールの酸化還元反応を利用して食品中の還元型ビタミンCを測定する。
　果物や野菜、茶葉を試料に用いた定量結果からビタミンCの摂取について考察をする。また、加熱調理や浸漬処理によるビタミンCの損失等について確認する。

【実験の原理】
　アスコルビン酸（還元型ビタミンC）溶液とインドフェノール溶液を混合するとインドフェノールの青色は消失する。このとき混合液の中では酸化還元反応が起こっており、デヒドロアスコルビン酸とロイコインドフェノールが生じている。この反応は定量的に進むので、あらかじめインドフェノール溶液1mlが何mgのアスコルビン酸と反応するのかを求めておけば、滴定に用いたインドフェノールの量からアスコルビン酸量を算出できる。
（インドフェノール1mlが何mgのアスコルビン酸に相当するのかを求めた値を力価（りきか）という。測定方法は前回のデモ実験を参照の事）

■ 実験項目
1) 果物等のビタミンC量の定量
　レモン果汁、グレープフルーツジュースおよびキウイフルーツ中のビタミンC量を測定する。
2) 大根の調理におけるビタミンCの損失確認
　大根を15分間浸漬した場合と煮沸した場合のビタミンCの損失を確認する。
3) 茶葉浸出液中のビタミンC量の定量
　3gの茶葉を用いて浸出液を第三煎まで調製しそれぞれのビタミンC量を測定する。

■ 実験結果
1) ビタミンC量（A:キウイフルーツ、B:レモン果汁、C:グレープフルーツジュース、D:大根、E:煎茶）

2) 加熱調理におけるビタミンC量の変化

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2010/10/06 23:55

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食品学実験2／栄2（ビタミンの定性実験）

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【ビタミンとは】
　栄養素の1つであるがたんぱく質や脂質、炭水化物のようにエネルギーとはならない。
　微量で働き恒常性の維持に関与している有機化合物である。体内で合成できないため食品を通じて摂取する必要があるが、近年では栄養補助食品として数多く販売されているのでこれらの食品から不足分を補うこともできる。
　水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分類される。（参考サイドバー/その他/日本ビタミン学会HP ）

五訂増補日本食品標準成分表収載ビタミンは以下の通り。
脂溶性ビタミン
　ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK
水溶性ビタミン
　ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、
　葉酸、パントテン酸、ナイアシン、ビタミンC

■ 実験の目的など
　種類が多いビタミンですが、今回の実験では3種類の水溶性ビタミンを取り上げてその性質を確認しました。

■ 実験項目
1) ビタミンCとインドフェノールの酸化還元反応およびアスコルビナーゼによる影響
　還元型ビタミンCにアスコルビナーゼを作用させると酸化型ビタミンCへと変わる。これをインドフェノール試薬との反応から確認する。
2) 強化米のビタミンB1
　強化米中のビタミンB1をチオクローム蛍光法により確認する。
3) ビタミンB2の光分解
　ビタミンB2をアルカリ条件下で光を照射し分解する。
4) インドフェノールの力価測定（デモ実験）

■ 実験結果
1) ビタミンCとインドフェノールの酸化還元反応およびアスコルビナーゼによる影響

A（アスコルビン酸）、B（大根汁）
C（大根汁＋生キュウリ汁）、D（大根汁＋加熱キュウリ汁）

3) ビタミンB2の光分解

A（光照射45分）、B（NaOH添加、光照射45分）、C（NaOH添加、暗所45分）、
D（NaOH添加、光照射120分）、E（NaOH添加、光照射300分）

・B2（リボフラビン）がより分解されているものほど下層の蛍光が強くなる。
・光照射のみのAではリボフラビンが分解していないため下層で蛍光が見られず、上層が蛍光を発している。
・NaOHの添加によりチアミンは分解しやすくなるため、暗所においたCでも分解が進んでいる。
・アルカリ下で光照射が加わると更に分解が進み、照射時間が長いもの(2時間を超えると)上層の蛍光がほとんど見られなくなった（B,D,E）。

4) インドフェノールの力価測定（デモ実験）
　アスコルビン酸標準溶液（0.04mg/5%メタリン酸溶液）5mlを三角フラスコに分取してインドフェノールで滴定した結果、次の様になった。力価を求めよ。
・滴定値　5.65ml

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2010/09/29 23:55

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食品学実験2／栄1（タンパク質の定性実験）

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【タンパク質とは】
　20種類のアミノ酸が任意の割合と順番でペプチド結合した高分子化合物。3大栄養素の中では唯一窒素を構成元素に持つ。そのため、タンパク質を定量する場合には窒素量を測定して窒素-タンパク質換算係数を乗じて求める。通常この値はタンパク質量100に対して窒素量が16であることから6.25［100/16］が使われる。

アミノ酸
　分子内にアミノ基とカルボキシル基を持つ。
　タンパク質を構成する天然のアミノ酸は20種類。但し、20種類のアミノ酸が各タンパク質に平均的に含まれる訳ではなくタンパク質の種類によって含まれているアミノ酸の割合は異なる。そのため、タンパク質の種類によって栄養価が異なる。必須アミノ酸と呼ばれる生体内での合成が出来ないか、ごく僅かしか合成できないアミノ酸が多く含まれるタンパク質ほど良質といえる。

必須アミノ酸
　トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、
　スレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン（9種類）
　条件によってはアルギニン、システイン、チロシン（成長の早い乳幼児）などを含むこともある。

■ 実験項目
＝窒素と硫黄の検出＝
1) 窒素の検出
2) 硫黄の検出（含硫アミノ酸の存在で反応は陽性）

＝呈色反応＝
3) ビウレット反応（タンパク質、ペプチドの検出）
4) キサントプロテイン反応（芳香族アミノ酸の存在で反応は陽性）
5) アダムキービッツ反応（トリプトファンの存在で反応は陽性）
6) ニンヒドリン反応（遊離のアミノ基の存在で反応は陽性）

＝沈殿・凝固反応＝
7) トリクロロ酢酸による沈殿反応
8) スルホサリチル酸による沈殿反応
9) 飽和ピクリン酸（エスバッハ試薬）による沈殿反応
10) 熱凝固反応・・デモ実験

＝タンパク質の分離＝
11) 塩析・・デモ実験
12) グルテンの分離・・デモ実験

■ 実験結果
2) 硫黄の検出（含硫アミノ酸の存在で反応は陽性）

グルテンを試料に用いた方がよりはっきりと確認できた。

5)アダムキービッツ反応

タンパク質の構成アミノ酸にトリプトファンが存在すると紫色の環ができる。卵白とカゼインには環がはっきりと見られるが、ゼラチンにはない。

6)ニンヒドリン反応

タンパク質やアミノ酸が持っている遊離のアミノ基と反応し紫系の呈色をする。アミノ酸の種類によって色調やレスポンスが異なる。ゼラチンはやや薄い呈色となっている。

沈殿・凝固反応
7) トリクロロ酢酸による沈殿反応
8) スルホサリチル酸による沈殿反応
9) 飽和ピクリン酸（エスバッハ試薬）による沈殿反応

卵白（10倍希釈溶液）、ゼラチン（1%溶液）、カゼイン（1%溶液）

上段は各試薬3～4滴滴下後
下段は滴下後、緩やかに撹拌したもの

12) グルテンの分離
小麦粉20gからグルテンを分離した結果。
湿グルテン＋ガーゼ重量19.16g（ガーゼ重量12.60g）
この結果から湿グルテンの重量および小麦粉に対する割合を求め、小麦粉の種類を考察せよ。

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2010/09/01 17:38

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食品学実験1／栄14（脂質の定性実験2）

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■ 実験の目的など
　前回に続き脂質に関する実験を実施しました。但し、前回は脂質の酸敗を中心に実験したのに対し、今回は脂質の構造や微量、特殊成分について実験しました。具体的には以下の通りです。
　油脂のケン化やグリセリンの検出、融点の測定結果から油脂の主成分であるトリグリセリドの構造を理解する。また、油脂の微量（特殊）成分であるステロール類やゴマ油中のセサモリンを確認する。

【脂質とは】
　脂質は水に不溶で有機溶媒に可溶な生体成分の総称である。単純脂質、複合脂質、誘導脂質、（その他の脂質）に分類される。共通の構造を持たないが多くの場合、構成分として脂肪酸を持っているため加水分解すると脂肪酸を遊離する。広い意味では脂溶性の色素やビタミンなどもここに分類されることがある。

　単純脂質：グリセリドやロウなど
　複合脂質：リン脂質や糖脂質など
　誘導脂質：脂肪酸やステロールなど

■ 実験項目
5) 油脂のケン化：脂肪酸の確認
6) グリセリンの検出
7) 融点の測定
8) ゴマ油の検出：セサモリンの確認
9) ステロール類の検出

■ 実験結果
6) グリセリンの検出

7) 融点の測定

8) ゴマ油の検出：セサモリンの確認

・サラダ油5mlにゴマ油5滴を入れた後、フルフラールと塩酸を添加した結果（右端）
・サラダ油5mlにフルフラールと塩酸を添加した結果（中央）
・ゴマ油（左端）

ゴマ油中にはセサモリンと呼ばれるリグナンが含まれており、これが酸により加水分解されるとセサモールとなる。
セサモールはフルフラールと反応すると赤く呈色する。したがって、油脂中にゴマ油が添加されているかどうかをフルフラールと塩酸を用いることで確認できる。

　
5)ステロール類の検出

リーベルマン反応（Liebermann-Burehard's reaction/リーベルマン・バーチャード、リーベルマン・ブルヒァード、リーベルマン・ブルヒャルト反応)はステロールやトリテルペン類の呈色反応として有名な反応です。

右側から順に簡単に解説すると・・・
・0.1%-コレステロールで（赤）→紫→青→緑と変化する様子が観察されました。
・溶媒として用いたクロロホルムでは変化しませんでした。
・ラードでは僅かに含まれるコレステロールの影響で呈色しました。
・サラダ油も同様に呈色していますが、これは植物性ステロールであるβ-シトステロールの影響です。
・サララはコレステロール値を低下させる食品、特定保健用食品として販売されています。植物性ステロールが通常の植物性油よりも多いのが特徴であるためより強く呈色しています。

リーベルマン反応＜動画＞

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2010/07/14 20:50

カテゴリ: 食品学実験/栄養, 2010

食品学実験1／栄13（三大栄養素に関する実験　炭水化物2、脂質1）

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■ 実験の目的など
　前回に続き炭水化物に関する実験と後半は脂質に関する実験を実施しました。
　炭水化物の実験では加水分解について理解するために、ショ糖とデンプンを試料として分解前後の化学的な性質を確認しました。
　脂質の実験では脂質の長期保存および繰り返しての使用における酸敗の状態を確認すると同時に、油脂食品による食器汚染の確認を行いました。

■ 実験項目／炭水化物2
9) ショ糖の硫酸による加水分解
　ショ糖を硫酸で分解し分解されたことを還元反応で確認する。
10) デンプンの塩酸による加水分解
　デンプンを塩酸で加水分解し分解されたことをヨウ素反応と還元性の有無から確認する。

■ 実験結果
9) ショ糖の硫酸による加水分解

ショ糖溶液に希硫酸を添加し、湯浴で加熱後ベネディクト反応とフェーリング反応で加水分解を確認した結果を示した。酸と水、熱が揃ったもので赤い沈殿物が確認できた。

10) デンプンの塩酸による加水分解

ヨウ素反応が青から青紫、紫、（赤紫、橙、黄）に変化して行く様子が確認できた。
これはデンプンを構成するアミロース鎖やアミロペクチンが切断されサイズが小さくなったことを示している。
また、分解されると還元性を示す単糖や二糖が生じるためベネディクト反応は陰性から陽性へと変化している様子が確認できた。ベネディクト試薬の青色（2価の銅イオンの色）は徐々に消え、赤い沈殿物（亜酸化銅/1価の銅イオン酸素が結合）が増加している。

■ 実験項目／脂質1
1) アルデヒドの検出
　試料中のアルデヒドの有無を確認する。
2) 酸価の測定
3) TBA値の測定
4) 油脂食品による食器汚染の確認

■ ダイラタンシー流動の確認
　バレイショデンプン1に対し水を1～2加えダイラタンシー流動の確認をする。
水を加えてよく混ぜ、暫く放置した後、表面に素早く圧を加えたときとゆっくりと圧を加えたときの状態を観察する。

■ 結果
　素早く圧をかけると表面は硬く固体のようであるが、ゆっくりと圧をかけると液体のように振舞う。　

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2010/07/07 16:25

カテゴリ: 食品学実験/栄養, 2010

食品学実験1／栄12（三大栄養素に関する実験　炭水化物1）

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■ 実験目的など　
　今回から栄養素に関する実験になります。1回目の炭水化物では食品学で学んだ定義や分類、性質について各種実験を通して確認し理解を深めます。

【炭水化物とは】
分子内に複数の水酸基（-OH）とアルデヒド基（-CHO）またはケトン基（>C=O）を持つ化合物をさす。また、前記物質の縮合体や誘導体も含める。単糖、少糖、多糖に分類される。

単糖
　最小単位でこれ以上分解すると炭水化物の定義を満たさなくなる。ブドウ糖（グルコース）や果糖（フラクトース）、マンノース、ガラクトースなど。

少糖
　単糖が2つから10個グリコシド結合したもの。ショ糖や麦芽糖、乳糖など。

多糖
　単糖が多数グリコシド結合したもの。デンプンやセルロース、グリコーゲンなど。

■ 実験項目
呈色反応
1) モーリッシュ反応：糖の検出に利用される。反応が陽性であれば糖である。
2) フェノール硫酸反応：糖の検出に利用される。反応が陽性であれば糖である。モーリッシュ反応に比べて鋭敏である。
3) セリバノフ反応：ケトースの検出に利用される。反応が陽性であればケトースが含まれる。
4) ヨウ素反応：デンプンの検出に利用される。

還元反応：糖の還元性を利用した反応。
5) フェーリング反応：還元糖の検出に利用される。
6) ベネディクト反応：同上。
7) 銀鏡反応：銀鏡の生成により還元糖の検出が可能。
8) バーフォード反応：単糖と二糖の区別、糖の還元性を利用して単糖と二糖を区別する。

以上8種の実験を実施することで各種炭水化物の性質を確認、理解する。

■ 実験結果
1) モーリッシュ反応

モーリッシュ反応は炭水化物であれば反応する。
実験に用いた3種の試料で硫酸（下層）と試料の境界面に反応（紫色の環）が見られた。

2) フェノール硫酸反応

フェノール硫酸反応もモーリッシュ反応同様炭水化物であれば反応する。

3) セリバノフ反応

ケトースが反応するため果糖で反応が顕著であった。
ショ糖は果糖とブドウ糖から構成されているため反応している。

4) ヨウ素反応

ヨウ素反応はデンプン特有の反応であるため、ブドウ糖では反応せず薄い黄色である。
デンプンでは反応が見られるが、通常のアミロースを含むバレイショデンプンでは青色（群青色）、アミロペクチン100%のモチトウモロコシデンプンでは紫色を呈している。

5) フェーリング反応（上段は加熱前/下段は3分間加熱したもの）

フェーリング反応は還元糖と2価の銅イオンが反応し1価の銅イオンからなる亜酸化銅が生成する反応である。
ブドウ糖や果糖などの単糖はカルボニル基が遊離のため還元性を示し亜酸化銅の赤褐色沈殿が生成している。
麦芽糖は2糖であるが、還元性を示す部分が存在するためやはり赤褐色の沈殿物が生成している。
ショ糖は還元性を示す部分が結合で使われているため還元性を示していない。

6) ベネディクト反応（上段は加熱前/下段は3分間加熱したものを15分間放置）

ベネディクト反応もフェーリング反応と同様2価の銅イオンを含むため還元糖の存在で赤褐色沈殿が生じる。
但し、フェーリング反応と異なり還元糖の量に応じて試薬の青色が緑～黄色系の色に変化する。
今回用いた試料は全て1%濃度であったため、麦芽糖の還元力は果糖やブドウ糖に比べると1/2程度のため試薬の青色が残っている。一方、ブドウ糖と果糖では青が消えて黄色味を帯びている。

7) 銀鏡反応

ブドウ糖と果糖の還元性を示す部分同士で結合しているショ糖では還元性が見られなかったが、他のものでは美しい銀鏡が観察できた。これはトレンス試薬中の銀イオンが還元されて析出する事で見られる。

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■還元反応考察参考図

図A～図Eは同濃度（%）のときの各成分量をイメージ化したものである。

赤●：アルデヒド基、緑●：ケトン基 → 還元性を示す部分

・単糖同士を比較すると還元性を示す部分の数は等しい。
　（図では10個ずつある）

・麦芽糖と比較すると還元性を示す部分は半分になる。（図AとC）
・ショ糖では還元性を示す部分が結合に使われており還元性を示さない。（図AとD）
・少糖～多糖では還元性を示す部分は極端に少なくなる。（図AとE）