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憲剛の見るロシアW杯。ここまでの印象や気になる傾向とは?

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みなさん、こんにちは。中村憲剛です。早いもので、ロシア・ワールドカップも、いよいよ大詰めですね。そこで今回は大会全般の印象や気になる傾向など、僕なりに感じたことを、ざっくばらんに語ってみたいと思います。

まずは、今大会をひと言でまとめると、もはや差がない――という感じかなと。まったく「ない」と言ったら語弊がありますけど、列強とそれ以外の国々との間でかつてのような格差はなくなってきていると思います。それはいまに始まったことではなく、何年も前から少しずつ差が縮まって、それが今大会で顕著に表れた、と見るべきでしょう。

中堅国はもとより、以前ならばアウトサイダーと思われていたような国々もチームとして戦術的に整備されていましたね。個々の選手を見てもヨーロッパのトップクラブ、またはトップリーグに身をおいて戦術眼や経験値のレベルを上げている。だから、大国相手でも気後れせず、堂々と渡り合っていた。いわゆる「位負け」がなかったですね。グループリーグで敗退した国々も少し風向きが違えば、勝ち抜いていたかもしれない。そう思わせる国がほとんどでした。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180709-00010002-goal-socc

列強とそれ以外との差はない。それが顕著に表れた


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ヨーロッパのトップレベルで揉まれた選手たちが規律に従い、まず守りからという意識で臨めば、そう簡単には崩れない。ある意味、守り勝てるチームが増えたなと。だから強豪国も最後はゴリ押し、あるいは直接FKといった個の力で、どうにか勝ちに持っていくだけで精一杯という……。グループリーグの段階から、もうそこまで追い詰められている。1点を争う僅差勝負が多く、セットプレーが勝敗を分ける大きな要素になったのも、そうした理由からでしょうね。

あとは、1人の選手にすべてを負わせる時代はもう終わりに近いのかなと。スーパースターであっても「11分の1」として攻守の両局面に深くコミットしていかないと、勝ち切るのが難しい。その事実をまざまざと見せつけられましたね。メッシのアルゼンチンしかり、クリスティアーノ・ロナウドのポルトガルしかり。守備は免除――という暗黙の「特別扱い」が通用しない。いや、守備に関与しないアタッカーばかりか、ビルドアップのおぼつかないディフェンダーがいても大きなリスクになる。もはや、そういう時代なのかなと。

優勝候補と目された前回王者のドイツやスペインの「早すぎる敗退」も今大会の大きなトピックスの1つですが、どちらも前線の決め手不足という共通の問題を抱えていましたね。ドイツはバイエルン、スペインはレアル・マドリードとバルセロナがチームの母体でしたが、どのクラブも肝心の決め手に関してはレヴァンドフスキ、クリスティアーノ・ロナウド、メッシ、スアレスといった外国人選手に委ねた状態が続いている。そのツケを払った感じかなと。

ドイツもスペインもボールは回る、チャンスもつくる。 でも、誰が決めるのか――という仕上げの部分でつまずき、最後まで解決策を見いだせなかった。一方、アルゼンチンやポルトガルには決める人がいても、そこまで、いかにボールを運んでいくのか――というプロセスの方に問題を抱えていました。結局は「ないものねだり」ですが、これらの弱点を補うだけのアイデアや戦い方が見つからなかった感じですね。

スペイン敗退に監督交代の影響はあったと思う


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優勝を狙うような強豪国はファイナルまでの7試合をトータルで考え、尻上がりに調子を上げていく。これが今までのW杯におけるスタンダードでしたが、今大会を見ていると、グループリーグの段階から、それなりに仕上がった状態で戦わないと、勝ち抜くのが難しくなりましたね。実際、いくら大国であっても初戦で勝ち点3を取り損ねると、大変なプレッシャーがかかってしまう。もはや楽に勝たせてくれる相手はいない、という証かなと。もちろん、突破の当落線上にある中堅国がグループステージにピークを持ってくる場合が多いからこそ、そうなるわけですが。初戦でドイツに勝ったメキシコなんかがそうですね。

もう1つ、ドイツの敗退に関しては前回にも指摘した問題が大きいのかなと。「王者ゆえのマンネリ」ですね。大きな成功を収めたチームというのはなかなか動かせない。しかも、優勝メンバーの多くが若かったこともあり、今大会もチームの中心として十分にやっていける。それがかえって、マンネリ化を避けるのに必要な新陳代謝の妨げになってしまった感じがありますね。個人的にはリロイ・サネを加えてほしかったなと。すべては結果論ですが。

大会前に「スペイン推し」だった身としては、敗退の理由について、もう少し踏み込んで語る必要がありますね。まず、大会直前の監督交代の影響は少なからずありましたね。とくにスタメンの人選や交代策は、前監督のロペテギとはかなり違っていただろうなと。決勝トーナメント1回戦でイエロ監督がコケを使った理由も分かるんです。グループステージで何度もカウンターアタックを浴びて、ピンチを招いていましたからね。

反面、コケが後ろに残ったことでブスケツを起点にしたパスワークのメカニズムを失ってしまった。攻守のバランスを含め、イエロ監督がどこまでチームの戦い方を浸透させることができたのか。崩しの形がイスコとイニエスタの左サイドに偏った点も含め、そこが難しかったかもしれませんね。もう選手の頑張りだけでは勝ち上がっていけない。チームを良い方向へ導く監督の力がいかに重要か、それを再認識されられましたね。

チームとしての拠りどころ、自分たちのやるべきことは何か、それを信じて戦えるかどうか。とくに革新的な何か(戦術など)がある大会ではないですが、逆に戦う上で不可欠な本質的な部分と、それを突き詰めることの重要性を教えてくれているかなと。そのあたりの意味合いも含め、次回は日本代表の戦いについて触れてみたいと思います。
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準決勝、フランス対ベルギーは10日深夜27時より、クロアチア対イングランドは11日深夜27時より試合開始予定。

コメント一覧

    • 1
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 01:12
    • ID:DqeWJfZL0
    • 革新的?VARは革新的だよ、明らかに
      マイナス面もあるけどポジティブな部分の方が強い
    • 2
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 01:21
    • ID:MmsoyDPz0
    • VARは得られるものの大きさを考えるとおれも好意的だなぁ。
      もちろん改善の余地はあるだろうけど、世紀の大誤審ってのが間違いなく生まれなくなったのはでかい。
    • 3
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 01:27
    • ID:dn0iUOFB0
    • 革新的のくだりは戦術とかの話じゃね?
    • 4
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 01:41
    • ID:9VUwvcpB0
    • 戦術的な革新って言ったら2大会前のバルサ式パスサッカー全盛期のスペインとか
      前大会だと5バックとかの話じゃないのかな

      今大会はそういう革新無しに11人全員が攻守に献身しまくるチームが勝ち上がってきて
      本格的に個人主義が終焉したという画期
    • 5
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 01:44
    • ID:pVfZKEZZ0
    • VARのおかげでダイバールが世界中に知れ渡ったね
    • 6
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 01:54
    • ID:5NjQuC2.0
    • ポーランド戦とベルギー戦の後半に憲剛がいれば面白かったはず
    • 7
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 02:10
    • ID:L4oMjQbG0
    • 安定のご意見番感
      監督になったときが楽しみの選手の一人だわ
    • 8
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 05:16
    • ID:LPySZ3Nt0
    • 良くまとめられていて読みやすい文章ですね。良記事
    • 9
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 05:53
    • ID:7jmVPINK0
    • 確かにゼロトップ(false 9)みたいな戦術のキーワードはないね。
      一番思ったのはブラジル戦でルカクが実質WGやってたことかな。
      ブラジルに押されすぎて攻撃システムが崩壊しただけと見るか、サイドの攻防に偏りすぎてCFが遊兵になりがちな現代サッカーからの脱却と見るか。
      少なくとも全員守備全員攻撃みたいなフワフワしたキーワードよりは現実的な作戦だった。
    • 10
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 06:16
    • ID:7ovlRj9V0
    • めっちゃおれと意見があっててビックリ、飛び抜けた国がないのかかなり全ての国の間の差が縮まってる
      守備のくだりからバイエルン レアル バルセロナ メッシのくだりまで全て一緒や
      気が合うなー
    • 11
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 06:49
    • ID:bTMpSKU80
    • マンジュキッチだったり、ルカクだったりデカイやつをサイドバックに当てるの有効的だったしな
      日本も長友のとこにフェライニ当てられたりしたし
    • 12
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 07:02
    • ID:vijFGJ1c0
    • 場外からリアルタイムで戦術分析してピッチに反映 これ革命的だろう
      魚群探知機掲載の漁船か船長の感頼りかの違い
    • 13
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 07:41
    • ID:07MStKWT0
    • でもみんなの共通認識として、日本は南米の個人技に弱いよね。今回のベルギー戦、勝ってブラジルとやってたら勝ててたって言ってる人見たことないし。
    • 14
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 07:53
    • ID:OAsEV2dX0
    • 大きいのが正義な傾向が強まった感ある
      でかい選手にブロックを組まれたらブラジルでさえ遅攻で崩すのは無理ぽ
    • 15
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 08:01
    • ID:OAsEV2dX0
    • ※12
      クラブではだいぶ前から普通にやってる
    • 16
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 08:18
    • ID:GzFQQaTz0
    • このまま各国が戦術的に洗練されていくと、最終的にどこの国も似たような戦い方になっていきそうな気はしたな
      それはそれで楽しくない
    • 17
    • Posted by
    • 名無し
    • 2018年07月10日 11:05
    • ID:FzXZvpWS0
    • 愛甲がバラしてた審判が「多少のボールはストライクにするぞって言ってたやつがこれで無くなるならそれでいいよ
      jも審判があるに権限待たせすぎだから
    • 18
    • Posted by
    • 名無しさん
    • 2018年07月10日 13:27
    • ID:mYXyKTTx0
    • 現役のプロ選手が言うと説得力あるし、憲剛は一般人にもわかりやすいから良いね
      辞めても解説や監督でも成功しそうだな
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