Sponsored Link

来日の夢が叶ったベガルタ仙台 シマオ・マテは「地下鉄に驚いた」

1
Jリーグは今年28年目を迎える。現在は、じつに多くの国から、さまざまな外国籍選手がやってきてプレーするようになった。彼らはなぜ日本でのプレーを選んだのか。日本でのサッカーや、日本での生活をどう感じているのか? この連載では、彼らの本音を聞いていく。

はちきれんばかりの肉体が生み出すバネと執拗なマーキングを武器に、2019年シーズンのベガルタ仙台を最後尾から支えたシマオ・マテ。

1年目は序盤戦こそ適応に時間を要したが、初夏の訪れとともに先発に復帰すると、6月はチームの全勝に貢献してJ1月間MVPに選出された。

以降は不動の存在となり、終盤戦には腕章を巻くリーダーのひとりに。最終成績は24試合3得点──ゴールはすべて、筋肉と軸の強さを感じさせる、ヘディングで奪った。ファンとメディアから、それぞれベガルタのシーズンMVPに選出されている。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200123-00884350-sportiva-socc

ベガルタ仙台でプレーする、モザンビーク出身のシマオ・マテ


2
険しい表情で敵に睨みを利かせ、時に激しく仲間を鼓舞する闘将然とした姿も見ていたため、インタビュアーはその人物像をあれこれと想像していた。気難しい無口なタイプだったら、少しは質問も変える必要があるかな、と。

けれど、それは杞憂にすぎなかった。柔らかな陽射しに恵まれた11月下旬の仙台で、約束の場所に現れた31歳のCBは、終始鷹揚な笑顔をたたえていた。

対話はもともと、彼の出身地モザンビークの公用語であるポルトガル語で予定されていたのだが、「英語を話しますか?」と聞くと、「まったく問題ないよ」と返答。「そっちのほうが直接話せるからいいよね」とニコニコしながら言い、通訳の方にも「大丈夫」と目配せをした。

10代で母国を離れ、パナシナイコス(ギリシャ)、山東魯能(中国)、レバンテ(スペイン)、アル・アハリ(カタール)でプレーしてきたシマオは、2019年1月に仙台に加入。チャンピオンズリーグやラ・リーガといったトップレベルを肌身で知る彼が、日本を選んだ理由は何だったのだろうか。

「じつは(山東に所属していた)6年前にも、日本行きの話があったんだ。その時は結局スペイン行きのオファーを選んだわけだけど、うちの奥さんが日本にすごく行きたがっていてね。彼女はイタリア人で、僕がギリシャでプレーしていた時に知り合ったんだけど、イタリアでもギリシャでも日本食はすごく人気があるんだ。

妻は日本の文化についても詳しくて、その後も『シマオ、日本のクラブから正式なオファーを受けたなら、挑戦しましょうよ!』とよく言っていた。それにここ何年も、世界中が日本の好印象を語り続けている。僕も日本には興味を抱き続けていた。それは僕ら夫婦の夢だったと言ってもいい」

柔和な表情でシマオは続ける。

「つまり、この移籍で6年越しの夢が叶ったんだ。もちろん、妻だけでなく、僕も日本に来てみたかった。当然、成功する保証はどこにもなかった。でもまずは行ってみて、チャレンジしたいと思ったんだ。

プロのサッカー選手の多くは(シマオは外国人に珍しく、この競技を日本やアメリカで通じるサッカーと呼ぶ)、新しい挑戦を得ることで、モチベーションを維持したり、高めたりしていると思う。僕も挑戦が大好きだ。自分のキャリアはそうやって形成されてきた。若くして欧州へ渡り、異なる国や文化に飛び込んできたんだ。どこに行っても外国人ではあるけど、その分、面白い経験もできる。オープンマインドにもなれるしね」

独特の節と間に英語を乗せ、にこやかにシマオは語り続ける。ただ初めての日本の生活に慣れるまでには、相応の時間がかかった。5月末までの13節で先発3試合(出場5試合)と、それはピッチ上の数字にも表れている。

彼らはありのままの僕を受け入れてくれたんだ。シマオ、大声を出したければ、出せばいい。叫びたければ、叫ぶんだ、とね(笑)


3
「最初は率直に言って、ちょっと不思議に思ったよ」と言った時、シマオの表情はにこにこから、にやにやに変わった。口調は変わらず、彼の母国で親しまれているティータイムを想起させるように、ゆったりとして柔らかい。モザンビークの首都マプトには、息を飲むほどに美しい海岸線もあるらしい。そんな場所で育ったおおらかなシマオを最初に驚かせたのは、時間や予定の感覚だったという。

「まず、必ず時刻どおりにくる地下鉄には、本当に驚いたよ! そんな国はほかにないだろうね。それから僕の印象では、日本人の多くは1日が始まる前に、その日のスケジュールが決まっている。でも僕のようなプロのサッカー選手は、練習が終わって、家族や友人に電話して、今からランチでも行こうよと、気軽に誘ったりしたい。でもこっちの人は、急にスケジュールを決めるのが好きじゃないでしょ、一般的に。たとえばあなたを誘うには、1週間前に連絡しなきゃいけないでしょ?(笑)」

他者への敬意の払い方にも、びっくりした。もちろんよい価値観ではあるんだけど、僕にとってそれは大きな衝撃だった。ちょっと過剰というか。たとえば、僕は地下鉄やレストランで普通に大きな声で話したいのに、周囲を気にしてか、そんな風にしている人は誰もいない。だから僕も静かにしなければいけないんだろうな、と。

サッカーのトレーニング場やスタジアムは、もちろん大きな声を出していい場所だけど、最初は日本語をなにひとつ知らなかったので、今度はその難しさがあった。でもラッキーなことに、ベガルタのチームメイトはものすごく歓迎してくれた。彼らはありのままの僕を受け入れてくれたんだ。シマオ、大声を出したければ、出せばいい。叫びたければ、叫ぶんだ、とね(笑)」

そんな仲間の助けもあり、シマオは初夏から本領を発揮しだすと、すぐさまチームに不可欠な存在となっていったのだった。
4
つづく
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント一覧

    • 1
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 12:15
    • ID:kgE.DIaT0
    • なんかかわいい
    • 2
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 12:18
    • ID:AjKYGM3c0
    • 島男…
    • 3
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 12:28
    • ID:c.8.WqFV0
    • とにかく強い
      セットプレーでも結果出してる
    • 4
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 12:33
    • ID:ZSRcHs.p0
    • 嶋夫待て
    • 5
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 12:34
    • ID:KUWvDc8c0
    • めっちゃいい記事
    • 6
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 12:35
    • ID:HThkpqkD0
    • シマオさんありのままでいていいんだよ
    • 7
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 13:04
    • ID:7Kf2GE7z0
    • 温かい気持ちになる記事だな。
    • 8
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 14:38
    • ID:hwuyy.fs0
    • 縞男(パンツ)
    • 9
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 14:50
    • ID:1IgBat5C0
    • シマオの気持ちちょっと分かるな
      大人になってから「今日遊びに行こうぜ」みたいのできなくなって寂しい
    • 10
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 15:08
    • ID:uktebgDE0
    • ほらね、外人でもまともな人はちゃんと周囲に気を遣い、文化や習慣に合わせようとする。
      それをしない中国人とかを「文化が違うから」とか言って擁護するマスメディア。
    • 11
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 15:13
    • ID:oyIPdHRV0
    • 最初モザンビーク代表って聞いてどこよ?謎補強だけど大丈夫か…?って思ってたが大当たりだったわ、強いし倒れないしまさに筋肉の壁
      引き抜かれるかとヒヤヒヤしてたから残留決定は本当に嬉しかったわ、来シーズンからキャプテンだし期待しかないね
    • 12
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 15:54
    • ID:0MBfiCHg0
    • ※10
      模範的な人を例に出してもね・・・
    • 13
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 17:57
    • ID:QpfgVpee0
    • シマオには本当にカニマンボと言いたい
    • 14
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月23日 20:28
    • ID:HErvmkgJ0
    • ありがとうシマオ・マテ
      奥さんも日本に来て楽しんでもらえてると嬉しいんだが
    • 15
    • Posted by
    • 名無し
    • 2020年01月26日 00:43
    • ID:.lYTpF.Y0
    • >>10
      悪いことする人擁護する気はないが、文化や習慣に合わせるとか、「まともな人」っていう認識は貴方だけのもの、または日本だけの認識であって、世界の常識ではないからね 
コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
最新記事
記事検索
カテゴリ別アーカイブ
月別アーカイブ
おすすめRSS
ページアップ