
Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由
浦和レッズ キャスパー・ユンカー インタビュー 後編
新しい環境でのチャレンジが自分を成長させると感じ、「僕にとって、パーフェクトな機会だった」と浦和レッズでのプレーを選択したキャスパー・ユンカー。インタビューの後編は、近年躍進を見せるデンマークのサッカーや、日本での自らのプレーについて語ってもらった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e41634c23137ca2907633522d84a0ea44d6dd4bb
浦和レッズ キャスパー・ユンカー インタビュー 後編
新しい環境でのチャレンジが自分を成長させると感じ、「僕にとって、パーフェクトな機会だった」と浦和レッズでのプレーを選択したキャスパー・ユンカー。インタビューの後編は、近年躍進を見せるデンマークのサッカーや、日本での自らのプレーについて語ってもらった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e41634c23137ca2907633522d84a0ea44d6dd4bb
「特別なゴールでした」とユンカーは振り返る
浦和レッズのキャスパー・ユンカーは少年時代からずっと、マンチェスター・ユナイテッドをサポートしているという。
「エリック・カントナやデビッド・ベッカムに憧れ、フットボールを始めた時から、背番号7のシャツを着用してきました」と明かし、その番号は現所属先でも背負っている。そして今シーズン、もうひとりの7番のレジェンド、クリスティアーノ・ロナウドが古巣に帰還した際は、その「ビッグニュース」を大いに喜んだ。
「彼がユベントスを去ろうとしていると知った時、ユナイテッドに戻って欲しいと思っていました」とユンカーは話す。だが一時は、同じマンチェスターでも、宿敵シティへ移りそうだとも伝えられていた。
「それはあくまで噂にすぎないと、僕は信じていました。最終的に、彼が正しい選択をしてくれて、本当によかったです」
ただし、そんなユンカーの心のクラブと、現在彼の所属する浦和レッズが、"赤い悪魔"という同じニックネームを持つことは、日本に来るまで知らなかった。
「面白いですね。素敵な偶然です」
運命的な引き合わせと言えば、ちょっと大袈裟かもしれない。ただユンカーはそんなふうに巡り合ったクラブで今季、自ら「運命的だった」と振り返るゴールを決めている。
2021年6月13日──。リーグカップのヴィッセル神戸戦で、彼はまず小泉佳穂の先制点をお膳立てすると、同点とされたあとに自らもネットを揺らした。その後、アンドレス・イニエスタの直接FKで再び試合は振り出しに戻ったが、2試合合計で1点差の勝利を収め、準々決勝に進出。つまり、ユンカーの得点が決勝点となったわけだ。ただ得点者自身は、別の想いにも駆られていた。
あの試合の前日(欧州時間)、ユーロ2020のデンマーク対フィンランド戦で、デンマーク代表のクリスティアン・エリクセンが心臓発作に襲われてしまった。即座に懸命な救護が施され、この29歳のエースは一命を取り留めたが、世界中のフットボーラーや関係者、ファンに大きな衝撃を与えたシーンだった。同胞のユンカーが受けたショックは、計り知れない。
それから20時間と経たないうちに彼は公式戦のピッチに立ち、浦和のすべての得点に関与した。自身で決めた得点は、6月のベストゴールに選ばれたリーグ戦の湘南ベルマーレ戦のものと遜色のない洒脱なループシュートだった。
「特別なゴールでした」とユンカーは振り返る。「僕からもクリスティアン・エリクセンへのサポートを示すことができたと思っています。これまでのJリーグのキャリアで、もっとも印象に残っている瞬間のひとつでした」
その後、彼の母国の代表チームは、グループステージで2敗と苦しいスタートを切りながらも決勝トーナメントに勝ち進み、最終的に4強入り。優勝した1992年大会以来となる快挙を遂げた。また現在行なわれているカタールW杯の欧州予選では、ドイツと共にすでに本大会出場を決めている。人口は600万人に満たない国だが、間違いなくフットボールネーションのひとつだ。
「デンマーク人のフットボーラーとして、本当に誇らしいです」とユンカーはうれしそうに話す。
「近年、デンマーク代表はすごく良いコンディションにあります。欧州のビッグクラブでプレーする優れた選手が多く、チームとしてのまとまりも強固です。今や、世界のどんな相手とも好勝負を演じられるでしょう。世界のベストチームのひとつと言っても過言ではありません」
奇しくも、現デンマーク代表には、ユンカーと同じ名前を持つ人物が3人もいる。守護神のキャスパー・シュマイケル、ストライカーのキャスパー・ドルベリ、そして指揮官のキャスパー・ユルマンだ。
「確かにそうですね(笑)。デンマークには割と多い名前だけど、これも面白い偶然です」
─そこであなたが4人目のキャスパーになれるとは思いませんか?
「もちろん、そう願っているけど、難しいと思います。年齢的なこともあるし、今の代表には若くて優秀なストライカーがいます。それにデンマーク代表は今、すごくうまくいっていますから」
─とはいえ、フットボールでは何が起きても不思議ではない。可能性はゼロではないと思います。
「確かに。それがこのスポーツの良いところですね。たとえば5、6年前に、僕がそのうちアジアのベストチームのひとつでプレーするなんて言ったら、皆の笑い物になっていたはずです。でも僕は今、ここにいて、チームのトップスコアラーになっています」
浦和には現在、デンマーク代表招集経験を持つアレクサンダー・ショルツも在籍している。7月にユンカーを追うように、加入した実力者だ。「デンマークの国内リーグでもっとも高く評価されていたDFのひとりです。間違いなく、他の欧州のクラブも欲しがっていたはずです」と、ユンカーは28歳の同胞を評する。
つまり、現在のJリーグは欧州の優れた選手にも、プレーしてみたいと思わせる場所になっている。ユンカーもここでさらに成長できると感じているようだ。
「Jリーグのレベルは本当に高いと思います。特に選手たちの優れた技術には、僕も驚かされました。これまで対戦したなかでは、ヴィッセル神戸の印象が強く残っていますね。ただ下位のチームもしぶとく、簡単に勝てる相手はひとつもないです。自分も努力を続けて、もっと良い選手になりたいと思います」
欧州で実績を積んだ選手も集まるリーグには、欧州のクラブや代表の首脳陣も注目し始めているのではないか。そこでコンスタントに活躍すれば、20代後半とはいえ、母国の代表から声がかかるかもしれない。
「何よりもまず、浦和で重要な選手になりたいです」とユンカーは続ける。
「そして常に、こうしてフットボールができている喜びを忘れず、感謝したいです。今季は出だしこそ良かったけれど、ここ2カ月ほど、満足に出番を得られていません。いま一度、定位置確保にチャレンジして、多くのゴールを奪えるようにしたいですね。その先のことはわからないですが、最善を尽くせば、どんなことでも起こりうるはずだと思っています」
「エリック・カントナやデビッド・ベッカムに憧れ、フットボールを始めた時から、背番号7のシャツを着用してきました」と明かし、その番号は現所属先でも背負っている。そして今シーズン、もうひとりの7番のレジェンド、クリスティアーノ・ロナウドが古巣に帰還した際は、その「ビッグニュース」を大いに喜んだ。
「彼がユベントスを去ろうとしていると知った時、ユナイテッドに戻って欲しいと思っていました」とユンカーは話す。だが一時は、同じマンチェスターでも、宿敵シティへ移りそうだとも伝えられていた。
「それはあくまで噂にすぎないと、僕は信じていました。最終的に、彼が正しい選択をしてくれて、本当によかったです」
ただし、そんなユンカーの心のクラブと、現在彼の所属する浦和レッズが、"赤い悪魔"という同じニックネームを持つことは、日本に来るまで知らなかった。
「面白いですね。素敵な偶然です」
運命的な引き合わせと言えば、ちょっと大袈裟かもしれない。ただユンカーはそんなふうに巡り合ったクラブで今季、自ら「運命的だった」と振り返るゴールを決めている。
2021年6月13日──。リーグカップのヴィッセル神戸戦で、彼はまず小泉佳穂の先制点をお膳立てすると、同点とされたあとに自らもネットを揺らした。その後、アンドレス・イニエスタの直接FKで再び試合は振り出しに戻ったが、2試合合計で1点差の勝利を収め、準々決勝に進出。つまり、ユンカーの得点が決勝点となったわけだ。ただ得点者自身は、別の想いにも駆られていた。
あの試合の前日(欧州時間)、ユーロ2020のデンマーク対フィンランド戦で、デンマーク代表のクリスティアン・エリクセンが心臓発作に襲われてしまった。即座に懸命な救護が施され、この29歳のエースは一命を取り留めたが、世界中のフットボーラーや関係者、ファンに大きな衝撃を与えたシーンだった。同胞のユンカーが受けたショックは、計り知れない。
それから20時間と経たないうちに彼は公式戦のピッチに立ち、浦和のすべての得点に関与した。自身で決めた得点は、6月のベストゴールに選ばれたリーグ戦の湘南ベルマーレ戦のものと遜色のない洒脱なループシュートだった。
「特別なゴールでした」とユンカーは振り返る。「僕からもクリスティアン・エリクセンへのサポートを示すことができたと思っています。これまでのJリーグのキャリアで、もっとも印象に残っている瞬間のひとつでした」
その後、彼の母国の代表チームは、グループステージで2敗と苦しいスタートを切りながらも決勝トーナメントに勝ち進み、最終的に4強入り。優勝した1992年大会以来となる快挙を遂げた。また現在行なわれているカタールW杯の欧州予選では、ドイツと共にすでに本大会出場を決めている。人口は600万人に満たない国だが、間違いなくフットボールネーションのひとつだ。
「デンマーク人のフットボーラーとして、本当に誇らしいです」とユンカーはうれしそうに話す。
「近年、デンマーク代表はすごく良いコンディションにあります。欧州のビッグクラブでプレーする優れた選手が多く、チームとしてのまとまりも強固です。今や、世界のどんな相手とも好勝負を演じられるでしょう。世界のベストチームのひとつと言っても過言ではありません」
奇しくも、現デンマーク代表には、ユンカーと同じ名前を持つ人物が3人もいる。守護神のキャスパー・シュマイケル、ストライカーのキャスパー・ドルベリ、そして指揮官のキャスパー・ユルマンだ。
「確かにそうですね(笑)。デンマークには割と多い名前だけど、これも面白い偶然です」
─そこであなたが4人目のキャスパーになれるとは思いませんか?
「もちろん、そう願っているけど、難しいと思います。年齢的なこともあるし、今の代表には若くて優秀なストライカーがいます。それにデンマーク代表は今、すごくうまくいっていますから」
─とはいえ、フットボールでは何が起きても不思議ではない。可能性はゼロではないと思います。
「確かに。それがこのスポーツの良いところですね。たとえば5、6年前に、僕がそのうちアジアのベストチームのひとつでプレーするなんて言ったら、皆の笑い物になっていたはずです。でも僕は今、ここにいて、チームのトップスコアラーになっています」
浦和には現在、デンマーク代表招集経験を持つアレクサンダー・ショルツも在籍している。7月にユンカーを追うように、加入した実力者だ。「デンマークの国内リーグでもっとも高く評価されていたDFのひとりです。間違いなく、他の欧州のクラブも欲しがっていたはずです」と、ユンカーは28歳の同胞を評する。
つまり、現在のJリーグは欧州の優れた選手にも、プレーしてみたいと思わせる場所になっている。ユンカーもここでさらに成長できると感じているようだ。
「Jリーグのレベルは本当に高いと思います。特に選手たちの優れた技術には、僕も驚かされました。これまで対戦したなかでは、ヴィッセル神戸の印象が強く残っていますね。ただ下位のチームもしぶとく、簡単に勝てる相手はひとつもないです。自分も努力を続けて、もっと良い選手になりたいと思います」
欧州で実績を積んだ選手も集まるリーグには、欧州のクラブや代表の首脳陣も注目し始めているのではないか。そこでコンスタントに活躍すれば、20代後半とはいえ、母国の代表から声がかかるかもしれない。
「何よりもまず、浦和で重要な選手になりたいです」とユンカーは続ける。
「そして常に、こうしてフットボールができている喜びを忘れず、感謝したいです。今季は出だしこそ良かったけれど、ここ2カ月ほど、満足に出番を得られていません。いま一度、定位置確保にチャレンジして、多くのゴールを奪えるようにしたいですね。その先のことはわからないですが、最善を尽くせば、どんなことでも起こりうるはずだと思っています」
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— Kasper Junker (@KasperJunker) October 28, 2021