意味性認知症(8)

58歳男性。FTDの萎縮を持つ精神病をケトン・トリートメントで劇的改善!ココナッツオイルの奇跡

 CBDすら疑った男性の片側上肢の痛みを3日で解消した経験は、筆者に変性疾患を治せるという強い信念をもたらしている。彼も妙な疾患だった。この男性もそんな匂いがした。

 58歳の彼。大学は文系で、電車で通った。メンタルが弱くて部活に入りたかったが入れなかった。真面目な性格だが昔は日本酒2合、たばこも吸っていた。おっちょこちょいで静かなところにいたがる。趣味は読書。47歳で結婚して子供はいない。名古屋フォレストクリニックを探し出したのは姉だった。

 会社員だが2か月前から休んでいる。休む前までは自動車を運転していたが、体中が痛くて運転できなくなった。実は10年前から上半身が不器用になってきている。

 改訂長谷川式スケールは23しか取れず、CTでは(図1)左側頭葉の萎縮が明らかに有意なのでFTDでほぼ確定。しかし時計描画テスト(CDT)で0を描いたので、ADHDも濃厚だった。だから会社への診断書は、ADHD(F90.0)と前頭側頭型認知症(F02)と自信をもって書いた。
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 最初の処方は、多動にウインタミン、ガンマオリザノール、痛みにリリカ、リボトリール、サインバルタ、不眠にニトラゼパムとした。その後彼は7回来ている。

 2週間後彼は予約より2週間早く、2週間後に臨時受診。便秘になったという。耳鼻科では正常だと言われる喉の違和感を訴えた。それはヒステリー球ですよと説明した。半夏厚朴湯を処方。糖尿病になるのが心配、という根拠のない不安を訴えた。おかげさまで寝られるようになった、ここにきてよかったとも言ってくれた。

 3回目の外来。翌日の予定を考えると寝られない、季肋部が痛い、心窩部が痛い、リリカで水膨れになった、と不定愁訴の応酬だった。しかし咳はみごとに止まっていた。介護保険の意見書を頼まれた。レミニール開始。

 4回目。だいぶよくなったという。酒も飲まなくなったという。時計はとんでもない絵を描いた。認知症は間違いないのである。カルテにADHD+SD-FTDで間違いないと書いた。もし私が発達障害を知らなかったら、不定愁訴の謎が解けなかったであろう。レミニールは頭痛、カルピスやバナナでしびれて食べられない、掃除中に虫が目の中に入る、背中が周期的に痛む、感情失禁、発汗、3時間ごとに目が覚める。ガンマオリザノール、ウインタミンでしびれがひどくなる。医師が怒り出すような訴えのオンパレードだ。ここでの判断が運命を分けた。私は彼にストラテラを開始したのである。10mg2錠あさ。

 5回目。左足がしびれる。気分がおちつかない。左目が痛い。口からほこりが入るといっていた。音叉試験で脊柱管狭窄はなし、ハロペリドールを開始。センノシドを開始。そしてついに、ケトン食にしなさいと命令した。もう、食事による体質改善しかないと思った。

 運命の5週間後、眼鏡をして理知的で明るい彼に驚いた。診察室に入った2秒でわかった。奥さんが、ストラテラは10mgで効きますとのこと。目からほこりが入る感じはなくなった。夜はぐっすり寝られる。不安はなくなった。散歩はない日できるようになり、便通もばっちり。フェルラ酸含有食品は、いまは飲んでおらず、奥さんに何が効いたのか聞いたら、ココナッツオイルと保険薬の変更(ストラテラ、ハロペリドール)だという。ものすごく明るくなったね!というと、そうなのです、奇跡ですと言っていた。

 ダイエットを目的とせず、神経細胞をココナッツオイルと糖質制限で治すことをケトン・トリートメントと呼ぶことにした。(H30.11.6

83歳女性。HDS-Rスコア24ATD。ケトンダイエット成功(-1.6kg/6週)

  下垂体に良性腫瘍ができた過去があるアルツハイマー型認知症。時計描画は7.5/9とよくない。もはやMCIの領域ではない。レミニール、ニセルゴリンを開始すると同時に、社説の音読、ココナッツオイル、体重63.1kgに対しケトンダイエットを指示した。

 6週間後、体重をちゃんと落としてきた。今後長期的に海馬萎縮が抑制されるかどうか統計を出してゆく。まずケトンダイエットを1年以上続けられる患者を作ってゆくことだ。医者仲間では、糖質制限を2年やっているよという者もいる。私は脂肪肝に対して、ダイエットを4か月半続けている。(H30.11.8

83歳男性。HDS0Rスコア24ATD。ココナッツが合わないが朝絶食でダイエット成功(-2.2kg/5週)

 BMI 23.43の時点でケトン食を提案。5週後に800gしか減っていなかったが、ココナッツオイルを採用するように言い直すと、つごう2.2kg落とせた。ただ、ココナッツオイルは体に合わず、それでも朝は絶食にできたという。かなりハンサムになったので、奥さんが彼女ができたらどうしようと心配していた。(H30.11.8

82歳男性。HDS-Rスコア16.5ATD。ココナッツオイルなしでダイエット成功(-2.2kg/5週)

 半年通っている方で、1万歩歩いているわりに71.8kgの肥満だった。20年来の耳鳴りもあり、ここは体質改善でケトン食を提案した。彼は自己流ながらも炭水化物を制限してきっちり、2.2kg落としてきた。BMI24.36になった。

 歩いてもあまり体重は減らないということを説明しておいた。医師として運動の効用を否定するものではないが、糖質制限ほどは、体重が落ちないことは事実である。要はなにを目標としているか、による。運動で筋肉がつくので、表面上体重が落ちにくいという面もある。(H30.11.8

82歳男性。正常圧水頭症が予備能力を失って突然せん妄を起こした

 2年間元気に1人で通院していた方である。当初からCT上正常圧水頭症が合併しており、なかなかその症状(尿失禁、歩行障害)が出なかったのであるが、改訂長谷川式スケールのスコアは図2に示すように揺れ動いており、NPHによる頭頂葉圧迫を予備能力で補填していたと思われた。
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 しかし今回緊急受診され、時計描画で意識障害が明確にわかったのでシチコリン注射を行い、脳外科に緊急シャント手術を依頼した。脳外科医は、こちらから厳選してシャント手術のうまい医師を指定しなければならない。私の場合、患者の住所が遠くても2人しか指名していない。

かつて、自宅の近くの市民病院に行きたいという娘の希望を聞いてしまって大失敗した。なんとその脳外科医は手術するほどではないと回答してきたのである。だから言ったことではない。すぐに信頼できる脳外科に行き直して、典型的なNPHだという回答を得て手術は大成功した。これくらい脳外科医には力の差がある。

私が信頼する1人は教授である。いつの日か外来中に本人から電話がきた。腰を抜かすほど私は驚いたが、留学生がきているのでどんどんNPHを紹介してほしいとのことだった。私がNPHだと紹介した患者の中でNPHでなかったことは1例もない。診断してほしいという低いレベルでは紹介してはいない。いまなら手術がすごく効果的だというレベルで紹介状を書いている(H30.11.9

79歳女性。超肥満のアルツハイマー。ダイエットで自覚症状も改善(-1.8kg/6週)

 71.8kgBMI32.34 おそらく当院でも随一の肥満の片だった。改訂長谷川式スケール18の中等度。肥満も認知機能も一気に減らそうと思った。レミニール、ニセルゴリンを処方。

初診時からダイエットを提案。6週後に1.8kg減らして表情は明るかった。ココナッツオイルを採用して、朝はちゃんと絶食にしているという。頭がすっきりしたといってい。次回までにさらに1kg減らそうと説明した。(H30.11.9

73歳女性。側頭葉てんかん+FTD。ケトンダイエット成功(-1.7kg/2か月)

 57kgだった彼女にダイエットを指示し、最初の1か月で0.7kgを落としてきたのでさらにダイエットを指示し、2か月でつごう1.7kg落とすことができた。難治性てんかんの子供にはグルテンフリー(小麦粉除去食)が学会から提唱されているが、彼女も側頭葉たんかんにバルプロ酸とイーケプラを処方している。

 初診から改訂長谷川式スケールは27.518.515と坂道をころげおちるように低下してきたが、今回ケトン・トリートメントで、人を茶化すような言動は静まっており、効果がでているようだ。朝はココナッツオイル、トマトジュース、ヨーグルトだけにしているという。絶食ではないが、減量が主目的ではないので、この程度なら口にしてよい。(H30.11.8

名古屋フォレストクリニックに河野フィギュア到着 図3

 熊本講演のポスターに使われた陶器製の河野フィギュアが届いたので、名古屋フォレストクリニックの入口のコーヒーサバ―の上に置いた。2年前の大地震で講演が中止になり、主催者の倉庫に2年間保管されていたものである。熊本講演は大好評で、参加者はまたの講演を希望していたと聞いている。私も頑張って次の講演では、史上最強のコウノメソッド・インターナショナルを紹介できるよう努力したい。
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名古屋フォレストクリニック 河野和彦

意味性認知症(7)

快晴の熊本講演2日間。452人を動員。

 2年前。熊本に九州新幹線が開通した初日に大地震がきて、パレードなどすべての行事が中止された。そして小生の講演も中止に。しばらくは復興関係の講演が続いて駅前の会場も予約できなくなった。

 コウノメソッド実践医の安成英文先生(玉名医師会)は、2年間の悔しさを乗り越えてついに113,4日の講演会を大成功に導いた。図1スライド1

 初日の夜、二次会でソフトバンクの2年連続日本一の瞬間を見届けた中、乾杯がおこなわれ「河野先生にプレゼントがある」と安成先生が大きな箱を持ってきた。親交のある造形作家、松岡志保さんが2年前に作成した河野人形が披露となった。図2
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 3は、2日め。会場で松岡さんと撮影した記念写真である。講演が終わって私が講師控室に戻ったとき、司会者が会場の聴衆に向けて「河野先生の講演をまた企画してほしいか」と問いかけたところ、全員が手を挙げてくれたという。
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 ありがとう、熊本。またいつかお会いしましょう。

音叉を買いましょう:コウノメソッドが整形外科にも進出?

 歩行障害系認知症には、まず脊柱管狭窄症を除外することが大事です。ですから5000円くらいですがネットで音叉を買いましょう。80歳以上で足がしびれている患者は、まず手に振動している音叉をあて、ビーンと感じますよねと学習してもらって、今度は足の外踝にあてた時、ビーンが感じられない人は8割がた脊柱管狭窄です。MRIとかマルチスライスCTのある整形外科に依頼すると、だいたい狭窄しているので、ものすごくモチベーションあがりますよ。図4、5
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魔界のFTD29歳女性を襲った変性疾患をケトン食が救った(-2.3kg/7週)

 彼女は一言もしゃべらず、おどおどしながら母親と診察室に入ってきた。10年前にてんかん脳波を検出されたという。

 まず発達障害の問診から始めたが、整理整頓はできていたが最近はできないというパターン。これは認知症圏になってくる。基本的に易怒はなく、爆発したのは1回だけ。ただ、ほかの2人は非常に成績が優秀で、本人も暗算で学校一だった。

 13歳のときに不眠から始まり、幻覚があった。病院で統合失調症と診断された。別人のように躁と鬱が繰り返された。真面目過ぎて、学校ではいじめられた。私立の高校に行くことになった。私は統合失調症で18歳以下で発病するものなど聞いたことがない。

 診察したがパーキンソニズムはなく、CTで前頭葉萎縮が明確にある29歳の若さではありえない萎縮だった。両親は離婚している。母親は娘の病状説明が口なめらかではない。吃音まではいかないが、ガタガタしている。

患者は決して私と目を合わせない。そうなるとやはり発達障害に近い脳構造で生まれてきたというイメージはある。そしててんかんという不幸。CTでは左側頭葉腫脹があり、ここが震源かと思われた。図6
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 話はそれだけではない。彼女は歩いている時に急に膝が折れて倒れてしまうのだという。体勢を保持できないので、いつも靴底のゴムが片方だけすり減るという。口のもぐもぐ(自動症)はないという。ビタミンC点滴やマイヤーズカクテルを試しているが、点滴中に振戦は消えたという。やはり彼女にはパーキンソニズムがあるらしい。両手をピルローリングしていたこともあるという(ふつうPDでは片側だが)。しかし、転ぶのはてんかんのせいだと考えたい。

 経験のある医師なら彼女の診断はできるだろうが、私にはわからない。周期性四肢麻痺とかFTDP17とか、わかのわからない疾患が頭に浮かんでは消えてゆく。彼女が保険薬では治らない疾患であることは間違いない。そして残念ながら精神病では説明できない何かがある。

 治療方針は、まず57.2kgの体重をケトンダイエットで落とすこと。ココナッツオイルで体にケトン体を増やすこと、フェルラ酸含有食品とNACで抗酸化に努めること、バルプロ酸100mg×2を開始した。

 7週後、また遠方から2人はやってきた。患者は怖いところや、怖い医師には絶対に行かない子なのに、名古屋の先生のところへ行くよというと、わざわざ2階から降りてきたという。「そうだったの」と久しぶりしゃべったという。食欲は良好でダイエットも成功した。体重は2.3kg落ちていた。自信を持ったらしく、膝がくずれなくなった。靴底も均等にすりへるようになった。

 診察中、彼女はへへへとから笑いしたが、機嫌がよいという受け止め方でいいようである。この笑い方は、子宮頸がんワクチンの副作用をおこした女性(22)にそっくりである。母親はADHDらしく、ココナッツオイルを3回も飲ませて便秘にさせたようだ。血液検査でカリウムが低いということはなかったという。

 いまだに、彼女の病名はわからないが、発達障害+てんかんが前頭葉変性に拍車をかけた病態で体内をケトジェニックにしたことが、改善に向かった最大の原因だと考えている。母親は、また絶対に来たいと70日後の予約をしていった。

 診断について、おわかりになる先生は私に教えてください。名古屋フォレストクリニックFAX 052-624-4005

81歳女性。アパシーのDLBがココナッツオイルで初めて笑った。

 1年半通っている方であるが、体幹傾斜、無表情で重篤感が強かった。今回ダイエット目的ではなく、神経細胞を治すためにココナッツオイルがケトン体に代わることを期待して提案した。5週後彼女は、にこにこ笑って傾斜も治ってしまった。

 体重は400g落ちただけであったが、血圧は144128mmHgとちょうどよくなっていた。図7

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73歳女性。改訂長谷川式スケール6、CDT 0点のSD-FTD

 「海老」は読めるが左手で右肩をたたくことができなかった。CTでは、立派な偉大なるアフリカ、その側頭葉は横からみるとナイフの刃様萎縮。これだけそろっているとアルツハイマーということはないだろう。FTDによるSDと考えレミニール、ウインタミンを開始した。もちろんレミニールの1回量は2mgである。(H30.10.298
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86歳女性。ADHD-DLBがリバート

 DLB47%が生まれた時からADHDであるという。DLBはフェルラ酸で簡単に改善するし、そもそも意識障害系なので、それなりの治療で劇的に改善したようにみえる。そしてADHDによって記銘ができないでいるなら、それも改善しやすい。

 図9のように、改訂長谷川式スケールが2226MCI領域から非認知症に戻ってくることはありうる。だから認知症の定義から「不可逆」がはずれた。こうなると初診時に、予後が悪いなどとムンテラしてはいけないことになる。
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 1年通院している86歳女性。もともと整理整頓できず、衝動買いした方で、学生時代の成績は優秀。マイスリーの副作用で幻視が1回だけ出たことがある。歯車現象もあるので、レビー小体型認知症でいいと思った。いわゆるADHD-DLBラインである。(H30.10.23

 85歳女性。ADHD-VDがリバート

 チアプリドで落ち着きのないCDが改善した症例で過去に紹介した方である。改訂長谷川式スケールは10のようにじりじりとリバートしてきた。ADHDVDも機能的な色彩が強いので記憶は改善しうる。
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 68歳重症認知症が、ココナッツオイルで疎通性、情緒劇的改善

 遠方から通っている女性で、人工内耳で聞こえないのであるが、長年診てきて、ちゃんとこちらを見て自分から挨拶してくれるなどと言うことは初めてだった。CTでは海馬萎縮3+なのに、神経細胞の運営をブドウ糖からケトン体に変えたことで、細胞死は止まったかのように見える。

顔つきも優しく豊かになった。易怒も消失。抗酸化点滴を都合でしばらく減らしたのに症状は改善したという。以前からフェルラ酸含有食品は飲んでいるが、今回はココナッツオイルの効果と断言できる。

 ご主人もいっしょにココナッツオイルを始めたのであるが、昼寝しなくてよくなったと言っていた(著者もそうである)。(H30.10.30

75歳男性。DLB、ダイエットでHDS-Rスコア上昇。妻曰く「認知症を克服できたと感じました。奇跡です」その妻も3kgダイエット成功(-4.1kg/32日)

 11のように、まさに認知症外来が求めていた結果がでた。彼は体重が6kg増えてしまったので白澤式で食い止めないと大変だと説明した。そして1か月で4.1kg減量に成功した。
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増えたものを戻しただけではないかと反論されるかもしれない。しかしこれはただの減量ではない。体内がケトジェニックになって神経細胞の酸化防止を達成したのだ。彼は笑うようになり記憶も改善。奥さんからすれば認知症ではなくなったという評価だった。

 コウノメソッド2019では、ダイエットが筆頭に掲げられている。がん予防、精神病予防、認知症治療、発達障害治療に欠かせない療法だと感じている。名古屋フォレストクリニックでは、MCTオイルが600セット(3000回分)販売された。

74歳女性。前頭葉が萎縮しているSD

 ふつうに元気な女性だった。5年前から母親の介護でうつ状態になり、8回も手術を繰り返しているご主人もいる。そのストレスで2週間前にめまい、嘔吐したという。こういう話を聞くと認知症の前に発達障害でないか調べるほうが早い。

 整理整頓はできる、こだわりは強い、易怒はなく収集癖もない。しかし最終学歴が短期大学と聞き、やはり発達障害かもと思った。ところが私はどこの短大ですかと聞いたみた時である。彼女は大学の名前を思い出せなかった。それで急展開して認知症圏なのだと考えを改めざるをえなかった。

 改訂長谷川式スケールは11.5しかとれない。「海老」が読めない。意味性認知症であった。あとは病理基盤がFTDATDかということで、CTを撮影した。その結果FTDだった。典型的なSD-FTDということである。

 彼女は、左手で右肩を叩くことはできたので、海老を読ませることは有意義である。SDへの第一選択はレミニールである。柴胡加竜骨牡蛎湯、ニセルゴリンも処方しておいた。

78歳女性。腦血管性認知症を示す記憶の改善(HDS-Rスコア12.519

 6年通院している方。発病からすでに11年経過した。67歳から物忘れがあった。血圧は高めで肥満である。初診時は改訂長谷川式スケール12.5、すでに尿失禁があった。胸部レントゲン撮影の時に放射線技師が息を吸って、と指示したがその言葉の意味がわからなかった。

 そんな彼女が、いまふつうの女性のように安定している。やはり腦血管性認知症は進行しないという印象を受けた。初診時はSD-FTDと思ったほどだったのに。1

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ダイエットよりも母親の介護から解放されて病状改善(-2kg/5)

半年前から通院されている65歳女性。改訂長谷川式スケール29ADHD-DLBラインである。彼女の発達障害は、母親から遺伝しているので2人とも易怒性が高いという相性の悪さがある。

 しかし、ケトンダイエットで彼女の白髪が5週間で黒くなったのはまぎれもない事実であり、母親が施設に入ったこととケトンダイエットの双方が好循環になったと思われた。外来で彼女は、さかんに「生き返った」と笑いながら連呼した。(H30.10.23)

オランザピンの食欲改善作用 

 知り合いのレビー小体病の方が、精神科からジプレキサを処方されて食欲が戻ったと聞いた。そのときは、抑制系なのになぜ食欲がよくなるのかと不思議だった。

 私が見ていた遅発性パラフレニーの女性(78歳、改訂長谷川式スケール27.5)にハロペリドール、ガンマオリザノール、ウインタミンを処方していたのだが、今年の夏に長期休暇をとっていなかった近医に相談にいったときに、その医師は当院の3種をやめてオランザピンを処方。(5mg寝る前)食欲が戻ったそうである。

 その後、調べるとオランザピンは食欲を出すために精神科がよく出す方法のようだった。結局彼女への処方は、リバスタッチ2.25mgだけとなった。(7111

(ネットより引用開始)ジプレキサには制吐作用が期待でき、抗がん剤の副作用での吐き気を和らげる目的で正式に適応が認められています。身体的な吐き気だけでなく、心因的な吐き気にも使われることがあります。またジプレキサは、食欲を増加させる作用があります。副作用として問題になることも多いのですが、高齢者で食欲不振がひどい場合などに、ごく少量のジプレキサが食欲を回復してくれることがあります。(引用おわり)

コウノメソッド2019公開しました

http://www.forest-cl.jp/method_2019/kono_metod_2019.pdf

意味性認知症(6)

語義失語で急激に改訂長谷川式が落ちてゆく認知症の代表が意味性認知症。一方、なかなか進行しない認知症もある。軽度認知障害(MCI)からのコンバートを考えるときに大事な概念の数々。それを勉強してゆくコーナーです。

学会発表レベルの著効。皮質基底核症候群疑いの59歳。原因不明の上肢痛がケトン食3日で劇的改善。

 化学研究所に勤めている方で、14か月前から右上肢が痛い、動きにくいとのことで初診したのが平成291月でした。肩から指先までがしびれていて、整形外科から葛根湯が処方されました。半年通院して治らないので、今度は接骨院へ。電気治療も奏功せず、ハンドルを操作しにくいこともあり、つらい毎日でした。肩は上がり握力もあるのですが、毎日痛みが続きました。

 初診時改訂長谷川式は14.5言葉が出にくく、右上肢は歯車現象がガチガチにありました。CTで萎縮の左右差はなくハミングバードサインはないためCBDと診断したのです。母の弟の息子(65)55歳で発病したパーキンソン病だそうです。彼は夜7時まで働くと体が動かなくなるそうです。

 その後彼の改訂長谷川式は、14.52323.520.5と推移。知的労働者にしてはやはり低すぎます。パーキンソン病にしても低すぎるのです。最近の処方は、リバスタッチ4.5mg、デパス0.25mg朝、ニセルゴリン3mg細粒朝、人参養栄湯3g朝。負けるのを待つだけの試合が続きました。

 最近私が考えるようになったのは、難病には体質改善。体内をケトン体で満たして神経細胞のエネルギー供給をブドウ糖から奪うことでした。825日、彼の体重は60kgBMI 22.86。5kg落としたらいいことが起きるかもと思いました。

 最初、朝食抜きと聞いた彼はえーと声を上げましたが、指示通り完璧にケトンダイエットをしてくれました。すなわち、ココナッツオイルを飲み、朝は絶食。昼は卵と生野菜、夕食は自由。3日目から右上肢の痛みはなくなってしまったのです。週に1回くらい痛むことはあっても全体として9割以上の改善。

 その報告はダイエット開始2か月後に聞きました。体重は5kg減り、奥さんが言うには痛みがなくなったので性格が明るくなったといいます。

 糖質制限にココナッツオイルをドッキングした白澤式ケトンダイエットは、精神科、神経内科、認知症科を統合した中枢神経系総合診療科をめざすコウノメソッドにおける強力な武器になりました。図1
20181022 (1)

脳血管性認知症は永久にボーダーライン?

 腦血管性認知症(VD)を専門に扱った医学書はきわめて少ないです。だから目黒先生の著者は絶対ほしいとおもいました。なぜ少ないのでしょうか?正直言って訳の分からない病気です。認知症をおこした病気が、脳梗塞が圧倒的に多いのですが、脳出血やクモ膜下出血でもVDになります。

 重症でないかぎり、人格が変わるということはあまりなくて、メタボリックシンドロームに対して日頃処方をしている かかりつけ医にずっと通院している人が多いでしょう。だから認知症専門医に腦血管性認知症はこないですね。専門医が医学書を書くわけだから、VDのデータが少なくて書けないーということではないかと想像します。

 85歳女性。5年間通院されていますが、改訂長谷川式スケールが図2にようにほとんど変わらないのです。一次変性ではないので進行しなくても不思議ではないですが、腦虚血が進行しないというのも、ちょっと不思議です。血圧は初診時が166、直近が178と高いです。この方は、半年ごとに当院に記憶検査にくるだけで、血圧は近医担当です。

 ココナッツオイルでケトン体を増やすように説明し、半年後に再診としました。(6457
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74歳男性。重症ピック病+正常圧水頭症がダイエットで-3.9kg/6weeks。ココナッツオイルで抑制系薬剤の節約効果!

 98日、誤嚥しかけているからコントミンを減らしてくれと訪問医から依頼されました。胸部CTでは誤嚥はなかったですが、認知症の第三期に肺炎を起こすと命取りになります。しかし抑制系を減らしすぎると大変なことになる患者でもありました。(図3

 そこでケトン体を増やして落ち着かせることを考え白澤式を指導。6週後彼は体重を3.9kg落としてきました。指示通り朝は絶食でココナッツオイル。昼はデイサービスの食事を食べずに、卵とトマトジュースを毎回持たせたといいます。
20181022 (3)

その結果、いままでになく目つきが理知的になったこと、顔つやがよくなったこと、そして何よりも予定通りコントミンを減らすことができたのです。

コウノメソッドにおいて、白澤式ケトンダイエットは次元を上げる大きな出来事になっています。(H30.10.20
名古屋フォレストクリニック院長 河野和彦

 

 

 

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