ネットフォーラム上である双眼鏡愛好者がプリズム材料のBaK4BK7の違いを質問しているのを見かけた。見たところ簡単な問題のようだが、徹底的に明らかにしようと思えば、それほど簡単な話ではない。したがって、単独に文章を書いて、この問題を明らかにしようと試みる。今回は論述の難度、また私自身の学識の限界を考慮し、ポロプリズム形式の双眼鏡ついてのみ述べる。

 

この問題を説明する前に、先ず述べておきたいのが、双眼鏡にはなぜプリズムが必要かということだ。

 

周知のように、双眼鏡がプリズムを使用する目的は正立像を得るためだ。私たちが洗顔の時に使うような鏡の面の反射原理を通じて、本来の倒立像の上下左右をすべて転倒させて正立像にする。もし鏡の話をすれば、皆さんはおそらく反射とは何かをご存知だろう。しかし、プリズムの実物を見てみると、その3つの面はすべて透明で、銀メッキあるいはその他の反射膜の類がないことを発見する。プリズムはどのようにして反射を実現しているのだろうか。
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下の図をご覧いただきたい。図中の下半分の白色部分がガラス、中間の水平面がガラスの平面、上半分が空気と仮定する。
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上の図は光線が2種類の異なる屈折率の媒質の境界面に達した時に発生する一種の光学現象¯¯全反射を示している。

 

上の図中で、赤い線で示した光線を見ると、その入射角とガラスの面には、とても明らかな夾角があり、この光線はすべて反射し戻って来る。このような現象を私たちは全反射と呼ぶ。

 

それから、黄色の線で示した光線を見てみよう。それはちょうど一つの臨界の位置にあり、私たちはこれを臨界角と呼ぶ。入射角がこの臨界角より大きければ、光線の一部あるいは全部がガラスの表面を透過し(なぜ一部あるいは全部と言うのか。赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の各色の屈折率がすべて異なるからだ)、空気中に飛んで行ってしまう。逆に言えば、入射角がこの臨界角より小さければ、光線はすべて反射して戻って来るし、しかも飛び出して損失が発生することはあり得ない。双眼鏡はガラス材料のこの特性を利用して、反射機能を達成し、正立像を得るという目的を実現している。

 

BaK4BK72種類の異なる材質の光学ガラスのコードナンバーだ。この2種類のガラスの屈折率は異なり、BaK4の方が屈折率は高い。BK7は一般光学ガラスと称されるが、BaK4は屈折率がBK7より高い一種の材料だが、コストも比較的高いので、比較的高級なポロプリズム双眼鏡に採用される。

 

お手元のポロ型双眼鏡をご覧いただきたい(大型ポロでも小型ポロでも結構、理屈は同じ)。
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双眼鏡の接眼レンズを自分の目から40cmの位置に掲げ、白色の壁などの背景に向けて双眼鏡の瞳孔の内部を見ると、少し淡い青褐色の縁欠けがないだろうか。もしあれば、あなたがお持ちの双眼鏡は廉価なBK7プリズムを使用して組み立てた低級な望遠鏡だということが証明される。

 

この青褐色の縁欠けはなぜできるのか。下図をご覧いただきたい。
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上の図から見ることができるが、BK7という材料は、赤色光線に対する屈折が比較的低く、臨界角に近い角度の光線中の赤い光がガラス材料の中から逃げ出し、青褐色の光線だけが反射して戻って来る。これが屈折率の比較的低いBK7材料のプリズムを使用したポロ式双眼鏡で、その瞳孔の四周(少なくとも2辺)になぜ青褐色の欠けができるかの原因だ。その結果、双眼鏡の光度が損なわれるだけでなく、赤色光成分が失われるため色彩の再現性も損なわれる。

BaK4材質のポロプリズムは、吸収を考慮しない時には入射光は100%全反射するが、BK7は入射光の83%ほどしか反射せず、したがってBaK4の光効率は高いが、その価格も高価だ。そのため比較的高価で上質な製品のみにBaK4プリズムが選択採用される。

 

まとめ

①比較的高価で良質なポロ型双眼鏡でのみBaK4材質のプリズムが採用される。

BaK4プリズムを採用したポロ型双眼鏡は、光度の上で比較的大きく向上する(10%以上)が、これもBaK4プリズムを採用する主な理由だ。

③プリズム材質を判断する最も簡単な方法は、接眼レンズ後方の瞳孔の形状を確認し、薄暗い縁欠けの現象があるか否かを見ることだ。
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(完)


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BaK4とBK7の違い(ダハプリズム編)

2014年12月1日に翻訳&整理