2006年11月16日

アジアの社会主義国〜万博の思い出から連想する事

中央アジア館

meemeeさんのHPのTOP
「万博アニバーサリー」
1年経ちましたね。今も心に残るもの、
心に残しているもの、なんですか。

というメッセージがここのところずっと掲げられている。

これを見ていつも思うことがある。

去年愛知万博にたった数回、行った。
パスポートを買ったのに結局数回しか行けなかった。子供もつき合ってくれず、一人で回った。
meemeeさんのように何回も行ったわけでもなく、たくさん人の並ばない、入りやすい館によって入った。

そしてそんな中で、実は一番ショックだった事、心に残ったことは、
派手な新しい技術で心を魅せるパピリオンの事でもなく、
アフリカ館のような手作り民芸品でのちょっとした異民族間との心温まる交流でもなかった。

一番ショックだった事。それは…

中央アジア共同館などのアジア各国のパビリオンを回ってその名前から
中央アジアって社会主義国ばっかりじゃん!!と思いこんだ事だ。「ウズベキスタン カザフスタン キルギスタン タジキスタン」
全部「共和国」となってる。ちょっと目を下にやればベトナムも共和国。共和国=社会主義国、とばかり思いこんでいた私は、その名前を見てひどくショックを受けた。

実は「社会主義国ばっかだと気がついたことだ」と書くつもりだった。
万博と言えばその時のショックをまず思い出すからだ。で、
書いてからホントかな〜とWikipediaで今回調べた。…違っていた。
社会主義国ではないらしい。しかし社会主義国ぽいのも多いのは確からしい。

こんな事は世界の知識に詳しい人ならば、既に知っている事だろうし、
今更なにを、と多分言われることだろうと思う。
でも私は、知らなかった。知らなかったからショックだった。

昔私達が中学生の頃世界地図を暗記させられて覚えた頃は、ソビエト連邦の下に中華人民共和国があって、その真ん中へんには中央アジアとしてチベットが載っていた。それからインド、パキスタンがあって、その向こうにイラン、イラクがあって、ヨーロッパに続いていく…という不確かな記憶しか正直言ってなかった。

チベットが中国に侵略された事は知っていて、散々非難していた割には、
この地域の事について頭の中に地図など入っていなかったのだ。

もう20年くらい前になるだろうか、
愛知県のリトルワールドがチベットの僧院の移築に伴い、僧院の内壁画を描いてもらうためにチベットの僧侶?か絵描きさんを日本に招いた事がある。
その時チベットから家族でこちらに来てくださった方々が、日本の水道やガスに目を見張り、マーケットに食料品があふれている事にとても驚いていらしたという事を、その時招聘役になった弟から聞かされた。
1日の半分くらいの時間をかけて、遠くの井戸まで水を汲みに行くのが、向こうの女性の重要な仕事の一つであり、1日の大半を食事の準備に費やす生活をしていた人たちから見たら、蛇口をひねれば水が出る事、コンロで煮炊きが出来る事、いつ行っても食料品のある文明社会の生活はとても驚くものだったという事だった。壁画の修復が済んだ後、女性陣が帰りたくないと言っていたという話も聞いた。

中央アジアというと、中学で習った地図の中の砂漠の絵と、この時の話くらいしか具体的に思い浮かばす、今まで来た。
中国のチベット侵略は知っていても、具体的な地図や人々の姿は思い浮かばない。侵略されたチベットとこの時の壁画修復に携わった方々の事は別々の次元の出来事として私の記憶箱には離れた箇所にファイルされていたのだ。

それが重なったのが、この万博の「中央アジア館」を見た時だ。
「ウズベキスタン カザフスタン キルギスタン タジキスタン」
正直言って、「あれ、そんな国あったっけ」と思った。どこよ、と地図を見た。地図を見て「へぇ…イラクイラクに行く前にこんな国々あったんだぁ」というのが本音。世界地図なんて知らない人だったのです。
帰ってから配偶者に「知ってた?」と聞くと笑われたのでやはり男の人は世界情勢とかはちゃんと見ているのですね、フツーのニュースの中で。

旧ソビエト連邦の中の共和国だったと、今は知ることが出来た。
それで記憶にないんだなと知った。そして共和国とは言え中国や旧ソ連のような社会主義国ではない事も今回わかった。
でも例えばカザフスタンは旧ソビエト社会主義共和国共産党第一書記さんが、独立以降ずっと大統領の地位にあり、反対派が暗殺されてるらしい。
キルギスタンでは「2005年3月に反政府運動が起こり、4月には大統領辞任」となっているので、このゴタゴタの最中に万博のパビリオンの準備をしたという事になる。。これってニュースになってたんだっけ?
なんかどっかの国の事がニュースになっていましたっけね。

それから、この中央アジア館には含まれていない「トルクメニスタン」という国は、独裁が続いており、中央アジアの北朝鮮と呼ばれているらしい。
中国共産党の拡張政策を、去年の1月頃人権擁護法案関連で「にわかねらー」になり、少しずつ知るようになった者としては、この中国の奥にある中央アジア諸国がみーんな「共和国」であったと知ったショックはとても大きかった。政治体制が似ている事から中共の懐柔にたやすく乗ってしまうのではないかという危惧や、これらの国々の輸出品目が資源輸出である事から、これも又中共に独占されたりしてしまうのではないかしら、と思ったり。下手すればチベットの二の舞にもなりかねないとこの時は思ったのだ。
(旧ソ連なのでロシアが黙っていないのでこれはないのだろうと今は思う)
どの国の事だったかは忘れたけれど、一年の内の3/5日が地震で揺れていると書いてあった国があり、それもとてもショックだった。今Wikipediaで探してみたけれどそれらしい国が見つからない。資源輸出でそれなりに各国とも経済は安定してるのらしい。万博で見た印象とは少し違うようだ。
万博の展示物からは、たいした輸出品目もなく工業も進んでおらず、経済的自立も難しそうな印象を受けた。
そんな国が中国に隣接していてしかも「共和国」だという事が怖いと思った。

 そしてつくづくと私達ってテレビやニュースで流れるヨーロッパやアメリカなどの、力を持った国々が「世界」なんだと錯覚しているんだなぁと気がついた。
実は知らない国々が世界中にはいっぱいあって、そこにも人々は暮らしを営んでいて、そこでは今だ民主化などあまり進んでいない事実、日本に生きていると民主化が当たり前の概念として刷り込まれてしまっているけれど、実はこれは西側諸国の価値観でしかない事、などをこの中央アジア館を見て、実は考えさせられるきっかけとなった。

それがずっと心に残っていた。

…では社会主義国っていうのは今、どれくらいあるのだろう。Wikiで調べてみた。
一応「ソ連崩壊後も独裁体制を保持した中央アジア諸国や、共産主義政党が選挙によって単独で政権を取った国は社会主義国とされない」となっているので、これらの国々は社会主義国ではないらしい。
今は中国、ベトナム、ラオス、キューバなどに限られているという。しかし南アメリカなどで最近社会主義を標榜する政党が政権を取っている国が増えてきていると聞いている。

社会主義国Wiki

そしてこのページの下にずっと目を移し、社会主義国の歴史などを読んで、ワイルドスワンを読んだ時と同じような驚きを新たに感じた。社会主義、社会主義と言ってても実は何も知らなかったんだなぁというのが実感だ。
「犠牲者に関するデータ」などを読むと驚愕せずにはいられない。

毛沢東が虐殺した数 6500万人
八路軍による長春包囲作戦での市民犠牲者 33万人
江西省に一時建国された中華ソビエト共和国臨時政府にて処刑された旧地主階級・知識人・一般国民 18万6千人
中華人民共和国成立後に、1953年までに反政府勢力として処刑された旧国民党、富裕層、旧地主階級、知識人71万人(中国の解放軍出版社より出版された国情手冊)
チベット解放の美名のもとに人民解放軍によって殺されたチベット人 1950年から84年までの間で120万人以上
大躍進政策による餓死者 2000万人〜 4300万人
文化大革命での犠牲者 2000万人
文化大革命で破壊された治安回復の為、軍優先に転換した毛沢東に見放され、地方に送り出された先々で軍・民兵(文化大革命で被害を受けた側)の復讐(リンチ殺人)対象となった元紅衛兵
文化大革命のどさくさに紛れ、国家分裂を防ぐために処刑されたといわれるチベット族・ウイグル族などの少数民族。これにより少数民族の多くが漢族に籍を移したという。
江西省 10万人、広東省 4万人、雲南省 3万人
第二次天安門事件(1989)で殺されたデモ学生数 319人(中国政府公式発表)
ポルポトがカンボジアで虐殺した数 150万人〜300万人
ソビエト連邦解体までの70年間に粛清された数(現行のロシア政府が1997年に認めた公式データ) 6200万人
1937年から1938年までの一年間でスターリンが虐殺した数 2000万人
北朝鮮 200万人
東ヨーロッパ 100万人
カティンの森事件で虐殺されたポーランド軍将校・警察官・公務員・元地主の人数 2万5千人
旧ソ連の偽りの呼びかけに欺かれて呼応し、ワルシャワ蜂起に参加後、旧ソ連軍に見殺しにされたレジスタンス市民の犠牲者
ハンガリー動乱での犠牲者 数千人
東ベルリン暴動での犠牲者
ベルリンの壁突破失敗の犠牲者
ティミショアラの虐殺での犠牲者 
ラテンアメリカ 15万人
アフリカ 170万人
アフガニスタン 150万人
その他の共産党 1万人



これが社会主義国の現実なのだ。

 今子供がはたちになって、自分も半世紀近くを生きて、生活、仕事、生きること、等々を振り返る事が多くなった。そんな生活に根ざした生きた観点からこれらの情報を読んでみると、学生時代や若い時に字面を読んで感じたものとは全くちがったものとして、自分の中に響いてくる。若い時はただの「情報」「知識」でしかなかったものが、自分が子育てをし生活を営み、それを経験してみると、これらの事柄のむこうにある「人々の暮らし」というものがかいま見えてくる。
そしてここに書かれた1960年代、1970年代、1980年代等々の個々の時代それぞれを、自分の生きてきた年代に重ね合わせてみれば、社会主義の歴史を歩んできた国々の悲惨さ、不安定さ、そこに生きる人々の苦労などを現実問題として考えてしまう。
ポルポトが虐殺を行った1976年、私は青春を謳歌していた。毎日喫茶店でバイトをする元彼のとこに通い、音楽をあさり、学校に通っていた。きっとこの虐殺の事が毎日ニュースにでも流れていたのだろうけどなんにも知らずに井上陽水だのかぐや姫だの中島みゆきだのの歌を歌っていた。平和な日本だった。

その時社会主義国のカンボジアでは3人に一人が国家によって殺され、生命の危機におびえて暮らしていたのだ。

ペレストロイカをやったゴルバチョフといえば、彼が顧問先の社長に似ていたのでそれをおもしろがっていた記憶しかない。そんなソ連が崩壊したのが1991年…長女が2才の時だ。まだそんなに昔の事ではない。

東ドイツの壁が破られた時のニュースは覚えている。まだ健在だった父とテレビの画面を一緒に眺めた。

あの時はただのニュースにしか過ぎなかったものが、今Wikiで読んでみると、そこに生きていた人々の現実が「生活」と重なって(Monsterなどのマンガの知識ともあいまって)想像されてくる。
子育てをどんな気持ちでしただろう、どんな気持ちで明日を思っただろうと、そこに生きる人々に思いをはせる。

あらためて自民党政権が戦後一貫して政権を保ち、学生運動や社会党との連立政権の時代があったとしても、民主主義国として発展を遂げてきた日本の政府、国体、というものに感謝した。
人が暮らし、そこに国があって、それがまともに運営されている事というのは、日本に生きているとあまりその有り難みがわからない。子供の教育が国によってタダで受けられ、4才くらいまでの幼児の医療費もタダで受けられ、舗装された道路、整備された街並みを当たり前の用に享受し、税金をブーブー言いながら払う。それが当たり前の事として日常を送ってしまっているけれど、実はこれはとっても稀で、幸せな事なのだという事を又あらためて感じ入ってしまった。

官僚批判が今盛んだけれど、たしかに官僚たちが自分たちの保身や退官後の天下り先の確保に国民の税金を無駄に使うこと等我慢のならない事はたくさんあるけれど、その官僚さんたちが今の日本の細かな法制やしくみを整えてくれたという事実も見逃せない。戦後日本をなんとか立ち直らせようと、優秀な人達が制度を整え、日本に住む人々が暮らしやすくなる為にはどうすれば良いかと工夫し、諸制度を改良してきてくれた事実をみのがしてはならないだろう。もちろん官僚だけでなく商工業者にあっても企業にあっても共に日本を育ててきてくれた。それを支えた日本国人民も、すべての力が結集して今の日本があるのだけれど、他の違う道を歩んだ国々の事を考えてみると、国を先導して来てくれた先陣がその時々で選んでくれた道程に感謝せずにはいられない。(…太平洋戦争の失敗という「先導」もあるにはあるのだけれど)


…と言った後で、しかし、この日本の整備された施設等々は借金で賄われ、その借金は日本を背負う次世代に容赦なく負わせるといういい加減な仕組みを作って何も責任を取ろうとせず、自分達は天下りと退職金で財産を作り悠々と生き、これからの日本を破綻に追い込もうとしているのも官僚たちである事を思い出す。
そう考えてみると感謝もへったくれもないではないかという思いにも捕らわれる。

結局いつまで経っても自分の中で答えは出ない。

国も時代も人の思いも流れ流れ、何が正しいかなんて事は過ぎてみなければわからず、いや過ぎてみてもわからず、皆手探りでその時代時代をまさぐりながら生きているにすぎない。
その時代時代に、声の大きい人が人々を扇動して社会を動かし、それがあたかもそれ以外に正しい道はないのだと大声で叫んで時代を引っ張っていく。だけどそれの評価が定まるのは100年くらいしてからだ。
その評価も進んだ先の時代の価値観によってどうにでも変わっていく。

万博の思い出というmeemeeさんの一文から、こんな事をつらつらと考えた。

のでここに記しておく。

Posted by foryou_m at 08:56│Comments(0)TrackBack(0) │この記事は「日記:万博」カテゴリーに含まれています |★ 

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