引用元:http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1378616381/



20150111-12



1: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 13:59:41.35 ID:W56FqsHD
昔、家の近所の山に粗末な山小屋があって、そこにオナガさんって人が住んでいた。
めったに山から降りてこなくて、なんの仕事をしていたのか分からない。
オナガっていうのもどんな字か知らないし、もしかしたらオオナガだったかもしれない。

俺と友だちで、オナガさんの山小屋に遊びに行ったことがある。
その時、俺は「どうしてこんなところに住んでいるのか?」って意味のことを聞いた。
その時の話がスゲエ怖くて、しばらくは夜一人で寝れなかった。




2: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 13:59:58.65 ID:W56FqsHD
オナガさんは、ちょっと前まで普通の家に住んでた。
家はちょっとした山持ちで、代々受け継いだ山がいくつかある。
そのうちの一つに、妙な言い伝えがあった。
「その山で鏡を見てはいけない」
いかにも曰くありげな口伝だったが、
オナガさんは、親父さんや山守をしている飯橋のじいさんに聞いたらしい。




9: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:01:51.94 ID:W56FqsHD
ある時、その山の奥で木を切ることになって、
飯橋じいさんの孫でトシカズって人が、そこまで道を通すことになった。
土建屋で借りて来たパワーショベルで、山を切り開いて道にしていく。

その日、オナガさんは作業の様子を見に行った。
ちょうど例の山に差し掛かっていたらしい。
パワーショベルに乗っていたトシカズさんが、急に作業の手を止めた。
怪訝な顔でバックミラーを覗いている。
「…どないした?」
オナガさんが近付くと、トシカズさんはミラーを指差して言った。
「や、ここにね、何か変なモンが映っとるんですよ」
オナガさんがミラーを見ると、自分とトシカズさんの背後にポツンと白い点があった




13: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:02:09.21 ID:W56FqsHD
ジッと見つめいていると、僅かに動いている。
振り向いたが、近くにそんなモノは見当たらない。
「さっきから、ちょっとずつ近付いとるみたいなんですわ…」

気味が悪かったので、その日はそこで作業を切り上げ、二人で飲みに行った。




16: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:02:26.21 ID:W56FqsHD
その日から、トシカズさんの様子がおかしくなった。
あきらかに何かに怯えている。
オナガさんも気付いていた。
家でも外でも、鏡を覗くたびに背後に見える白い点。
「あいつどんどん近付いてくるんですわ」




17: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:02:41.75 ID:W56FqsHD
近付くにつれ、オナガさんにもソイツの姿がハッキリと見えてきた。
胎児のように白い皮膚、短い手足。
丸い頭には、切り裂いたかのように大きな口だけがついている。
見ためは人の口。まったく血の気のない白い唇が、しっかりと閉じられている。
トシカズさんは、もう作業ができないくらい精神的に参っていた。
「もう、すぐ後ろにおる…」




18: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:02:57.99 ID:W56FqsHD
数日後トシカズさんが、閉じ篭った自宅の部屋で死んでいるのが見つかった。
後頭部に一口大の穴が開いていて、脳みそが全部無くなっていた。
「トシカズはあいつにやられたんや。あいつがおるのは鏡の中だけやない。
 ガラスや光る物にも写る。見るたびにどんどん近付いてくる…
 せやから俺は、こんな山小屋に住んでいるんや」




21: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:03:20.05 ID:W56FqsHD
山小屋には、ガラスや光沢のある金物など、何かが写り込むようなものは何もなかった。
「…それでも、時々水面とかを見てしまうことがある。俺、もう半分食われとるんや。
 こないだ、とうとう口を開けよった。米粒みたいな歯がびっしり並んどったわ」
そう言って、オナガさんは腕まくりをして見せた。
手首の辺りに、細かい点の並んだ歯型があった。

それからしばらくして、オナガさんが死んだと聞いた。
死に様は分からなかった。
寝れない夜が、またしばらく続いた。




24: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:04:09.67 ID:n8V9JHV8
山に住まんで村に住めばよかったんでわ?




26: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:04:28.05 ID:CehADshR
失禁不可避




31: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:05:00.64 ID:qIK4OCRq
怖E




35: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:06:20.47 ID:NDLlNUMG
終わり?




55: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:08:41.34 ID:W56FqsHD
すまんオワリやデイ
たまにはオカ板にきてや




63: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:09:41.41 ID:u5pS2eD0
>>55
もっと書けよ




64: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:09:43.24 ID:ZYfBNC9b
>>55
お前がたまに貼りにくるんやで




59: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:09:13.71 ID:/d5413Bu
オカ板のおもしろいスレ教えて




66: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:09:52.36 ID:W56FqsHD
>>59
名作は1ヶ月に1つくらいしか投稿されないんだよね
TXTに保存してるあんましられてない話しならまだあるけど見たいんか?




69: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:10:26.93 ID:/d5413Bu
>>66
おうたのむで




70: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:10:34.28 ID:NDLlNUMG
>>66
もうちょい怖いの持ってきてや




85: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:12:59.58 ID:W56FqsHD
俺の兄貴が小学生のころの(俺が生まれる前の)話。




86: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:13:16.80 ID:n8V9JHV8
キタキター




87: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:13:17.45 ID:W56FqsHD
兄貴が小5の春ごろ、おじいちゃんと一緒に、近くの山に山菜採りに入ったんだって。
狙っていたのはタラっていう植物の芽で、幹に棘が生えてるんだけど、
春頃に生えるその芽が、てんぷらとかにするとすっごく美味しいんだ。
兄貴はそこの山でよく遊んでたらしくて、
山菜の種類は知らなかったけど、おじいちゃんより山道には詳しかった。




91: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:13:44.76 ID:W56FqsHD
そんなこともあって、どれがタラの芽かを知ったら、兄貴は一人でずかずか山に入っていったんだって。
兄貴は山菜取りに夢中になって、普段は見えているけど行かないような山にも入って、
結構な量が手に入ったのに満足して帰ろうとすると、近くに人の気配がして振り返ったんだって。




95: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:14:06.44 ID:W56FqsHD
すると、10メートルぐらい離れた大きな岩の上に、
ガリガリに痩せた汚い着物姿の白髪の爺さんが座ってたんだって。
兄貴はちょっとビビッタらしいんだけど、足元に山菜籠があったから同じ山菜取りの人かと思って、
挨拶して帰ろうとしたんだ。
するとその爺さんが、
「坊主・・・タラの芽探しとるのか?」っていいながら、所々歯の抜けた口を開けてニタリって笑ったんだって。
兄貴は気持ち悪いとは思ったんだけど、
「うん。お爺さんも山菜採ってるの?」って聞き返したんだって




98: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:14:33.46 ID:W56FqsHD
すると、その爺さんは山菜籠に手を伸ばすと、
「わしもタラの芽じゃ。知ってるか坊主、タラの芽は生でもいけるんじゃぞ?」
っていいながら、その場でワシャワシャ食っている。
兄貴はそれをジッと見て、目が離せなかったんだって。
なぜなら、それは『タラの芽』じゃなくて、かぶれることでおなじみの『ウルシの芽』だったんだ。
芽の形自体は似ているけど全然違うものだし、むしろ身体に悪い(ひどいかぶれをおこすから)。




99: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:14:49.35 ID:W56FqsHD
それをワシャワシャ食ってるじいさんに、
兄貴は怖くて声も出せず、ただ涙をぽろぽろ流してそこに立ち尽くす事しか出来かった。
その爺さんは見ていると、体中どろどろにかぶれていって、口からは噛むたびに血が湧き出てきてたんだって。
それによく見ると、足が折れているのか変な方向に曲がっている。
「こいつはやらんぞ?ここら辺にはもう食える物は残ってねぇ他の場所を探しな。
 坊主も、もう村には食いもんは残ってねぇから山まで入ったんだろうが、残念だったなぁ」
そういうと、じいさんはまたニタリと笑う。
そして次の瞬間、スウッと消えていなくなったんだって。
その後兄貴は、叫びながら走って山を下りて帰ってきたらしい。




101: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:15:09.78 ID:W56FqsHD
その事を大人に話しても誰も信じちゃくれなくて、ふてくされてた時、
地区の地区長さんが、その地域の昔話を教えてくれたんだって。
「お前の入った山は昔、姥捨て山だったんだよ。それに飢饉のたびに口減らしもあった。
 多くの人があそこで食べ物を探して死んでいったんだ。
 捨てられた人は、食えるものは何でも口に入れたんじゃろうな。
 お前さんが会ったのは、その時代の人だろう」
地区長さんはそういうと、
「この土地の過去は皆知らないからあまり話すなよ」と兄貴に釘を刺した。
それと、「豊かな時代に育ったことを幸せに思いなさい」といって、家に帰されたらしい。




106: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:16:19.29 ID:vtQ8ngHX
ヒエッ…




107: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:16:34.09 ID:s5wuozfM
山の話すき
海の話より好き




108: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:16:47.96 ID:W56FqsHD
オワリやデイ




112: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:17:18.38 ID:W56FqsHD
色んな話見たけど
都市部や海より山の噺の怖さは段違いなのはなんでやろな




124: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:18:58.12 ID:PqZzmXFu
山で年寄りってだけで不気味やね




115: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:17:46.11 ID:2bWWZOuh
もっと怖い話クレメンス




123: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:18:57.69 ID:W56FqsHD
小人の噺しよか




127: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:19:35.93 ID:wrK/aWx4
>>123
おねがいしゃす




136: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:20:30.23 ID:W56FqsHD
大学時代、サークルの友人と二人で深夜のドライブをしていた。
思いつきで隣の市のラーメン屋に遠出して、その帰り道にくねくねと蛇のようにうねる山道を通った。
昼間は何度か通ったことがあったが、夜になるとこれが同じ道かと思うくらい無気味な雰囲気だった。

ハンドルを握っていたのは俺だったが、わりとビビリのほうなので
運転をかわってもらったほうが気が楽だった。
しかし友人の山根はラーメン屋で勝手に一杯ひっかけていたので
助手席で無責任な軽口を叩くばかりだった。




144: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:21:20.98 ID:W56FqsHD
しかし友人の山根はラーメン屋で勝手に一杯ひっかけていたので
助手席で無責任な軽口を叩くばかりだった。

そんな時、
「ここの峠って色々変な話があるよな」
急に山根が声をひそめて囁いてきた。
俺は聞いたことがなかったが、
「何なに?どんな話?」
なんて聞くと、ヤツのペースだと思ったので興味ない風を装って
「ああ」
とそっけなく返した。
山根はなぜか俯いてしばらく黙っていた。




147: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:21:46.34 ID:W56FqsHD
二車線だが対向車は一台も通らない。
申し訳ていどの電灯が疎らに立っていた。
無言のまま車を走らせていると急に大きな人影が前方に見えた気がして一瞬驚いたが、
道端に立っている地蔵だと気付いてホッとした。
このあたりになぜか異様に大きな地蔵があるのは覚えていた。




149: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:22:11.24 ID:W56FqsHD
その時、黙っていた山根が口をひらいた。
「なあ、怖い話してやろうか」
この野郎、大人しいと思ってたら怪談を考えてたな。
と思ったがヤメロなんていうのはシャクだったので
「おう、いいぞ」
と言った。
山根は俯きながらしゃべり始めた。




152: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:22:31.89 ID:W56FqsHD
「俺の実家の庭にな、小人が埋まってるらしいんだよ。じいさんが言ってたんだけど。
俺の家、古いじゃん。いつからあるのかわからないへんな石が庭の隅にあってな。
その下に埋まってるんだと。

「で、じいさんが言うにはその小人がウチの家を代々守ってくれている。」
そのかわりいつも怒っていらっしゃるので、
毎日毎日水を遣りその石のまわりをきれいにしていなければならない。




158: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:23:36.57 ID:W56FqsHD
「たしかにじいさんやお祖母ちゃんが毎日その石を拝んでいるけど、そんな話ってあるのかなあ、
と思って小学生の頃病院で寝たきりだった曽祖父のところに見舞いに行った時に聞いてみた。

「曽祖父もちゃんと小人が埋まってると教えてくれた。それもワシのじいさんから聞いたと言っていた。
子供にとっては気が遠くなるほど昔だったから、こりゃあ本当に違いないと、単純に信じた。

山根は淡々と話しつづけた。
こんな所でする怪談にしてはずいぶん変な話だった。




162: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:23:54.11 ID:W56FqsHD
山根は言った。
「小人って、座敷わらしとかさ、家の守り神のイメージあるよな。でも埋まってるってのが変だよな。
俺、曽祖父に聞いてみたんだよ。なんで埋まってるのって」

そこまで聞いた時、急に前方に人影が見えて思わずハンドルを逆に切ろうとした。
ライトに一瞬しか照らされなかったが、人影じゃなかったみたいだった。
地蔵だ。

そう思ったとき背筋がゾクッとした。
一度通った道?
ありえなかった。
道は一本道だった。




167: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:24:16.79 ID:W56FqsHD
「曽祖父はベットの上で両手を合わせて、目をつぶったまま囁いた。
むかし、我が家の当主が福をもたらす童を家に迎え、大層栄えたそうな。
しかし酒や女でもてなすも、童は帰ると言う。そこで当主は刀を持ち出し、童の四肢を切り離し。
それぞれ家のいずこかへ埋めてしまった」

俺は頭がくらくらしていた。
道がわからない。
木が両側から生い茂る景色は変わらないが、まだ峠から抜けないのはおかしいような気がする。
さっきの地蔵はなんだろう。
二つあるなんて記憶に無い。
車線がくねくねとライトから避けるように身をよじっている。
山根は時々思い返すように俯きながら喋りつづける。




171: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:24:37.62 ID:W56FqsHD
「それ以来俺の家は商家として栄えつづけたけど、早死にや流行り病で家族が死ぬことも多かったらしい。
曽祖父曰く、童は福をもたらすと同時に、我が家をこんこんと祟る神様なんだと。
だからお怒りを鎮めるためにあの石は大事にしなければならん、と」

よせ。
「おい、よせよ」
帰れなくなるぞ、と言ったつもりだった。

しかし同じ道をぐるぐる廻っているような気がするのと、山根のする話とどうも噛み合わなかった。
最初に言っていた<この峠の色々変な話>ってなんだろうと、ふと思った。
山根は続けようとした。




173: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:24:59.17 ID:W56FqsHD
「これはウチに伝わる秘密の話でな、本来門外不出のはずなんだけど…」
「オイ、山根」
我慢できなくなって声を荒げてしまった。
山根は顔を上げない。
悪ふざけをしてるようだったが、よく見ると肩が小刻みに震えているようだった。




176: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:25:35.26 ID:W56FqsHD
「この話には変なところがあって、俺それを聞いてみたんだ。そしたら曽祖父がおまじない一つを教えてくれた」
「山根。なんなんだよ。なんでそんな話するんだよ」
「山根ェ!車の外が変なんだよ、気がつかないのか」
俺は必死になっていた。
「だから…こういう時にはこう言いなさいって。

ホーイホーイ
おまえのうではどこじゃいな
おまえのあしはどこじゃいな
はしらささえてどっこいしょ
えんをささえてどっこいしょ
ホーイホーイ」




178: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:25:54.87 ID:W56FqsHD
心臓に冷たい水が入った気がした。
全身に鳥肌が立ちビリビリくるほどだった。
ホーイホーイという残響が頭に響いた。
ホーイホーイ…呟きながら俺は無心にハンドルを握っていた。
見えない霧のようなものが頭から去っていくような感じがした。
「頼む」
山根はそう言って両手を合わせたきり黙った。
そして気がつくと見覚えのある広い道に出ていた。
市内に入り、ファミリーレストランに寄るまで俺たちは無言だった。




180: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:26:18.60 ID:W56FqsHD
山根はあの峠のあたりで助手席のドアの下のすきまから顔が覗いているのが見えたと言う。
軽口が急にとまったあたりなのだろう。
青白い顔がにゅうっと平べったく這い出て来てニタニタ笑い、これはやばいと感じたそうだ。
俺に話したというよりも、自分の足元の顔と睨み合いながら、あの話を聞かせていのだ。
彼の家の人間が危機に陥った時のおまじないなのだろう。
「家に帰ったら、小人にようくお礼言っとけよ」
と俺は冗談めかして言った。
「しかしお前がそういうの信じてたなんて以外な感じだな」
と素直な感想を言うと、山根は神妙な顔をして言った。

「俺、掘ったんだよ」




189: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:27:45.58 ID:NDLlNUMG
やーまーねー




193: まきお 2013/09/08(日) 14:28:10.71 ID:0RJsbjyC
>>180
すごい良かった




133: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:20:15.57 ID:lBgNUQvG
私には霊感がありません。
ですから、幽霊の姿を見たことはないし、声を聞いたこともありません。
それでも、ものすごく怖い思いをたった一度だけ、中学生の時に体験しました。
その話を聞いていただきたいと思います。




142: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:20:59.23 ID:lBgNUQvG
14歳のころ父を亡くした私は、母の実家に引っ越すことになりました。
母方の祖父はとうに亡くなっていたので、祖母、母、私と、女3人だけの暮らしとなります。
私は親が死んだショックから立ち直れないまま、新しい環境に早急に馴染まなくてはいけませんでした。
不安はあったのですが、私の身の上に同情してか、転校先の級友も優しく接してくれました。
特にS子という女の子は、転校してきたばかりの私に大変親切にしてくれ、
教科書を見せてくれたり、話相手になってくれたりしました。
彼女と親友になった私は、自然に周囲に心を開いてゆき、
2ヶ月もたつころには、みんなでふざけあったり、楽しく笑いあったりもできるようになりました。




146: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:21:36.95 ID:lBgNUQvG
さて、そのクラスには、F美という可愛らしい女の子がいました。
私は彼女に何となく心惹かれていました。
もちろん変な意味ではなく、女の子が見ても可愛いなと思えるような、小柄できゃしゃな感じの子だったので、
同性として好意を持っていたのです。
(私はちょっと地黒で背も高いので、今考えると、多少の羨望もおそらくあったのだと思います)




150: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:22:13.09 ID:lBgNUQvG
好かれようとしていると効果はあるもので、席替えで同じ班になったことからだんだん話すようになり、
彼女が母子家庭であることがわかって、余計に親しくするようになりました。
もっともF美の場合は、死に別れたのではなくて、父親が別の女性と逃げたとか、そういうことだったように聞きました。
彼女も女だけで生活しているということを知ったとき、この子と友達になってよかったなと心底思いました。
ただそれも、彼女の家に遊びに行くまでの短い間でしたが・・・




153: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:22:46.23 ID:lBgNUQvG
その日、私が何故F美の家を訪ねることになったのか、私は覚えていません。
ずいぶん昔の話だからというのもありますが、
それよりも、彼女の家で見たものがあまりに強い印象を残したので、
そういった些細なことがあやふやになっているのでしょう。
その時はS子もいました。
それまでもS子はF美のことをあまり好いておらず、私が彼女と仲良くすることを好ましくは思っていないようでした。
それなのに何で彼女がついて来たのか、私には思い出せません。
しかしとにかく、学校の帰り、家が全然別の方向なのにもかかわらず、
私とS子は何かの用事でF美の家に寄ったのでした。




159: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:23:37.99 ID:lBgNUQvG
彼女の家は正直古さの目立つ平屋で、
木造の壁板は反り返り、庭はほとんどなく、隣家との間が50センチもないような狭苦しい場所にありました。
私はちょっと驚きましたが、おばあちゃんの家も年季は入っていますし、家計が苦しいのはしょうがないだろうと思って、
自分を恥ずかしく思いました。
「おかあさん」
F美が呼ぶと、少ししわは目立つものの奥からにこやかな顔をした綺麗なおばさんが出てきて、
私とS子に、こちらが恐縮するほどの深々としたおじぎをしました。
洗濯物をとりこんでいたらしく、手にタオルや下着を下げていました。




211: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:30:36.78 ID:lBgNUQvG
「お飲み物もっていってあげる」
随分と楽しそうに言うのは、家に遊びに来る娘の友達が少ないからかもしれないと、私は思いました。
実際にF美も「家にはあんまり人は呼ばない」と言ってましたから。
もしF美の部屋があんまり女の子らしくなくても驚くまいと、私は自分に命じました。
そんなことで優越感を持ってしまうのは嫌だったからです。
しかし、彼女の部屋の戸が開いたとき目に飛び込んできたのは、予想もつかないものでした。




217: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:31:34.28 ID:lBgNUQvG
F美が綺麗だということはお話ししましたが、そのぶんやはりお洒落には気を使っているということです。
明るい色のカーテンが下がり、机の上にぬいぐるみが座っているなど、予想以上に女の子らしい部屋でした。
たった一点を除いては。
部屋の隅に立っていて、こっちを見ていたもの。
マネキン。
それは間違いなく男のマネキンでした。
その姿は今でも忘れられません。
両手を曲げて縮め、Wの形にして、こちらをまっすぐ見つめているようでした。
マネキンの例にもれず、顔はとても整っているのですが、
そのぶんだけその視線がよけい生気のない、うつろなものに見えました。




222: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:32:06.48 ID:lBgNUQvG
マネキンは真っ赤なトレーナーを着て帽子を被っていました。
不謹慎ですが、さっきみたおばさんが身につけていたものよりよほど上等な物のように思えました。
「これ・・・」
S子と私は唖然としてF美を見ましたが、彼女は別段意外なふうでもなく、
マネキンに近寄ると、帽子の角度をちょっと触って調節しました。
その手つきを見ていて私は鳥肌が立ちました。
「かっこいいでしょう」
F美が言いましたが、何だか抑揚のない口調でした。
その大して嬉しそうでもない言い方が、よけいにぞっと感じました。




225: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:32:33.36 ID:lBgNUQvG
「ようこそいらっしゃい」と言いながら、トレーにケーキと紅茶を乗せたおばさんが入ってきて、
空気が救われた感じになりました。
私と同じく場をもてあましていたのでしょう、S子が手を伸ばしお皿を座卓の上に並べました。
私も手伝おうとしたのですが、お皿が全部で4つありました。
あれ、おばさんも食べるのかなと思い、ふと手が止まりました。
その時、おばさんがケーキと紅茶のお皿を取ると、にこにこと笑ったままF美の机の上に置きました。
そこはマネキンのすぐそばでした。




228: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:33:20.28 ID:lBgNUQvG
とんでもないところに来たと私は思いました。
服の中を自分ではっきりそれとわかる冷たい汗が流れ続け、止まりませんでした。
F美はじっとマネキンのそばに置かれた紅茶の方を凝視していました。
こちらからは彼女の髪の毛しか見えません。
しかし突然前を向いて、何事もなかったかのようにフォークでケーキをつつき、お砂糖つぼを私たちに回してきました。




230: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:33:38.38 ID:ybzbdHeG
これアカンやつや




231: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:33:45.08 ID:lBgNUQvG
私はマネキンについて聞こうと思いました。
彼女たちはあれを人間扱いしているようです。
しかもケーキを出したり服を着せたりと、上等な扱いようです。
ですが、F美もおばさんも、マネキンに話しかけたりはしていません。
彼女たちはあれを何だと思っているのだろう?と考えました。
マネキンの扱いでは断じてありません。
しかし、完全に人だと思って、思い込んでいるのだとしたら、
『彼』とか『あの人』とか呼んで、私たちに説明するとかしそうなものです。 でもそうはしない。
そのどっちともとれない中途半端な感じが、ひどく私を不快にさせました。
私がマネキンのことについて尋ねたら、F美は何と答えるだろう。
どういう返事が返ってきても、私は叫びだしてしまいそうな予感がしました。
どう考えても普通じゃない。




233: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:34:14.22 ID:lBgNUQvG
何か話題を探しました。
部屋の隅に鳥かごがありました。
マネキンのこと以外なら何でもいい。
普通の学校で見るようなF美を見さえすれば、安心できるような気がしました。
「トリ、飼ってるの?」
「いなくなっちゃった」
「そう・・・かわいそうね」
「いらなくなったから」




236: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:34:42.06 ID:lBgNUQvG
まるで無機質な言い方でした。
飼っていた鳥に対する愛着などみじんも感じられない。
もう出たいと思いました。
帰りたい帰りたい。ここはやばい。長くいたらおかしくなってしまう。
その時「トイレどこかな?」と、S子が立ち上がりました。
「廊下の向こう、外でてすぐ」とF美が答えると、S子はそそくさと出て行ってしまいました。
そのとき正直、私は彼女を呪いました。
私はずっと下を向いたままでした。
もう、たとえ何を話しても、F美と意思の疎通は無理だろうということを確信していました。




237: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:34:50.77 ID:W56FqsHD
探偵スクープにマネキンと結婚する女いたよな




241: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:35:44.38 ID:li/EZC4s
>>237
あれ怖かった。すぐにどのマネキンか当てたもんな。引いたわ




239: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:35:22.97 ID:lBgNUQvG
ぱたぱたと足音がするまで、とても長い時間がすぎたように思いましたが、実際にはほんの数分だったでしょう。
S子が顔を出して、「ごめん、帰ろう」と私に言いました。
S子の顔は青ざめていました。
F美の方には絶対に目を向けようとしないのでした。
「そう、おかえりなさい」とF美は言いました。
そのずれた言い方に卒倒しそうでした。




243: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:35:56.46 ID:lBgNUQvG
S子が私の手をぐいぐい引っ張って外に連れ出そうとします。
私はそれでもまだ、形だけでもおばさんにおいとまを言っておくべきだと思っていました。
顔を合わせる勇気はありませんでしたが、奥に声をかけようとしたのです。
F美の部屋の向こうにあるふすまが、20センチほど開いていました。
「すいません失礼します」
よく声が出たものです。
その時、隙間から手が伸びてきて、ピシャッ!と勢いよくふすまが閉じられました。
私たちは逃げるようにF美の家を出て行きました。




245: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:36:23.16 ID:lBgNUQvG
帰り道、私たちは夢中で自転車をこぎ続けました。
S子が終始私の前を走り、1メートルでも遠くへ行きたいとでも言うかのように、
何も喋らないまま、自分たちのいつもの帰り道まで戻っていきました。

やっと安心できると思える場所に着くと、私たちは飲み物を買って、一心不乱にのどの渇きをいやしました。
「もう付き合うのはやめろ」とS子が言いました。
それは言われるまでもないことでした。
「あの家、やばい。F美もやばい。でもおばさんがおかしい。あれは完全に・・・」
「おばさん?」
トイレに行った時のことをS子は話しました…




246: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:36:31.61 ID:/d5413Bu
S子有能




252: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:37:04.94 ID:lBgNUQvG
S子がF美の部屋を出たとき、隣のふすまは開いていました。
彼女は何気なしに通りすぎようとして、その部屋の中を見てしまったそうです。
マネキンの腕、腕が、畳の上に4本も5本もごろごろ転がっていたそうです。
そして、傍らで座布団に座ったおばさんが、その腕の一本を狂ったように嘗めていたのです。
S子は震えながら用を足し、帰りにおそるおそるふすまの前を通りました。
ちらと目をやると、こちらをじっと凝視しているおばさんと目が合ってしまいました。
つい先刻の笑顔はそのかけらもなくて、目が完全にすわっています。
マネキンの腕があったところには、たたんだ洗濯物が積まれてありました。その中に男物のパンツが混じっていました。
「マ、マネキンは・・・?」
S子はついそう言って、しまったと思ったのですが、
おばさんは何も言わないまま、S子にむかってまたにっこりと笑顔を見せたのでした。
彼女が慌てて私を連れ出したのはその直後のことでした。




255: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:38:00.02 ID:lBgNUQvG
あまりにも不気味だったので、私たちはF美が喋って来ない限り話をしなくなりました。
そしてだんだん疎遠になっていきました。
この話をみんなに広めようかと考えたのですが、とうてい信じてくれるとは思えません。
F美と親しい子にこの話をしても、傍目からは、私たちが彼女を孤立させようとしているとしか思われないに決まっています。
特にS子がF美とあんまり仲がよくなかったことは、みんな知っていますから・・・。

F美の家に行ったという子に、こっそり話を聞いてみました。
でも一様に「おかしなものは見ていない」と言います。
だから余計に私たちに状況は不利だったのです。
ただ一人だけ、これは男の子ですが、「そういえば妙な体験をした」という子がいました。




260: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:38:16.53 ID:lBgNUQvG
F美の家に行ってベルを押したが誰も出てこない。
あらかじめ連絡してあるはずなのに・・・と困ったが、とにかく待つことにした。
もしかして奥にいて聞こえないのかと思って、戸に手をかけたらガラガラと開く。
そこで彼は中を覗き込んだ。
ふすまが開いていて(S子が見た部屋がどうかはわかりません)部屋の様子が見えた。
浴衣を着た男の背中が見えた。向こうに向いてあぐらをかいている。
音声は聞こえないが、テレビでもついているのだろう。
背中にブラウン管かららしい、青い光がさして、ときおり点滅している。
だが何度呼びかけても、男は振り返りもしないどころか身動き一つしない・・・
気味が悪くなったのでそのまま家に帰った。




262: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:38:51.39 ID:lBgNUQvG
F美の家に男はいないはずです。
たとえ親戚やおばさんの知り合いであったところで、テレビに背中をむけてじっと何をしていたのでしょう?
それとも、男のパンツは彼のだったのでしょうか。
もしかしてそれはマネキンではないかと私は思いました。
しかし、あぐらをかいているマネキンなど、いったいあるものでしょうか。
もしあったとすれば、F美の部屋にあったのとは別の物だということになります。
あの家にはもっと他に何体もマネキンがある・・・?
私はこれ以上考えるのはやめにしました。




265: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:39:11.53 ID:lBgNUQvG
あれから14年がたったので、今では少し冷静に振り返ることができます。
私は時折、地元とはまったく関係ない所でこの話をします。
いったいあれが何だったのかは、正直今でもわかりません。
もしF美たちがあれを内緒にしておきたかったとして、
仲の良かった私だけならまだしも、なぜS子にも見せたのか、
どう考えても納得のいく答が出ないように思うのです。
そういえば、腕をWの形にしているマネキンも見たことがありません。
それだと服を着せられないではないですか。
しかしあの赤い服は、マネキンの身体にピッタリと合っていました。
まるで自分で着たとでもいうふうに・・・

これが私の体験の全てです。長文失礼いたしました




279: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:40:58.01 ID:8lvLYIWx
マネキンと暮らすなんて真似出来んつって




280: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:41:02.35 ID:W56FqsHD
短いのいこか




285: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:41:13.46 ID:kw4H5by1
>>280
あく



294: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:42:26.64 ID:W56FqsHD
ある猟師が山に入った。
猪を待って身を潜めていると、目の前に一匹の蜘蛛がいた。
そこへ蛙がやってきて蜘蛛を食べた。
蛙は跳ねていった。
そこへ蛇がやってきて蛙を呑んだ。
蛇は這っていった。
すると、どこからか大きな猪がやってきて蛇を喰った。
猟師はしめたと思い、猪に鉄砲の狙いを定めた。




300: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:43:36.41 ID:W56FqsHD
しかし、ここでふと考えた。
「蜘蛛は蛙に喰われ、蛙は蛇に喰われ、蛇は猪に喰われた。
 その猪を撃ったら、俺はどうなるんだろう」
気味が悪くなった猟師は鉄砲を下ろした。
そのとき、山中に響きわたるような大きな声がした。
「殺さなくてよかったのう」




318: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:45:40.58 ID:YJJ8DDBb
>>300
日本昔話っぽい




321: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:45:58.61 ID:/d5413Bu
>>300
シンプルやね




329: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:46:45.25 ID:ZYfBNC9b
>>300
これええな




310: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:44:40.33 ID:W56FqsHD
なんJは長文貼れない強制小出し感




369: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:53:53.93 ID:3nYFe6s5
福島から5月頃、関東に避難してきた。
それまでの地元は、避難制定地域よりもわずか数キロ離れているってだけ。
数キロ先は『もと人里』で誰もいない。でも自分達の場所は衣食住していいよ、の地域。
目に見えない恐ろしいものと戦い続けるくらいなら、と転居を決意。
転居に伴い、子どもは4月末まで保育所に預けていたんだけれど、
その保育所の登所最終日に起こったことを今から書こうと思う。




372: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:54:32.97 ID:/d5413Bu
はじまった




373: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:54:32.85 ID:3nYFe6s5
その最後の日も、変わらず朝から預けにいった。
「寂しくなります、お世話になりました」と先生方へ挨拶し、園児達へのささやかなものを渡し、
いつものように子どものクラスでおむつなどを準備していた。
そこへおじいちゃん(見た目判断だが)と一緒にAくんが登所してきた。
4才クラスに4月から入所した子で、何度か「おはよー」と声かけしたことがある。
その時もいつものように「Aくんおはよう」と声をかけた。
するとAくんは私のところにまっすぐ歩いてきて、両手でおにぎりのようにしている手を差し出してくる。
なんだろう、泥だんご?折り紙のなにか?など色々考えていると、
Aくんは無表情のまま、三角にしているおにぎり型の手、指と指の間からその中身を見せてきた。




375: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:55:32.34 ID:3nYFe6s5
知っているだろうか、カマドウマという虫を。
うさぎ虫とか、ぴょんぴょん虫とか、そんな呼び名もある。
鳴きもせず、音も出さず、個人的に生命力の強い虫だと思っている。
ティッシュ箱で思い切り「べし!!」と上から潰し、
死骸が気持ち悪いので旦那にとってもらおうと呼んできて、ティッシュをそっとどけると既にいない。
え!?どこ行った!?と見回すと、天井に張りついていたり。
前に飛ぶかと思いきや、真横ジャンプもしてくるというキモさ。
私はこの、はちきれんばかりの腹をしたグロテスクで跳躍力の高いカマドウマが大嫌いだった。

Aくんの手の中には、カマドウマの中でも特大クラスに入るようなものが入っていた。
多分私の顔が物凄いことになっていたんだろうと思う、先生が「どうしました?」と駆け寄ってきた。
まさに、その時。




381: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:57:03.67 ID:3nYFe6s5
はがしょっ
というような音がしたと思う。言葉に書くとうまく伝わらないけれど。
Aくんは物凄い速さで、私の目の前でカマドウマを食べた。
「ぎゃあああああああ!!!!」と先生の声。
Aくんの口から4本くらいはみ出ているカマドウマの足。
私、頭真っ白。
でも次の瞬間、私はAくんの口に左手を突っ込んでいた。
焦点はAくんに定まっておらず、ずっと床のシミみたいなものを見つめていた記憶がある。
だけど、どこかで冷静な思考の自分がいて、『なんとかしなくては』とも思っていた。
直視しないように視界のはじっこに見えるAくんを捉えながら、
右手でAくんの頭を押さえ、左手の指でAくんの口の中身をかき出していた。




387: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:57:57.36 ID:/d5413Bu
なんでくうねん




392: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:58:23.72 ID:MGv5xHZM
ヒエ~ッ




393: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:58:24.73 ID:ZOHNuaS7
おええ




395: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:58:41.67 ID:3nYFe6s5
そのうちAくんが「うえっ、ぐぇっ」と言ったと思うと、大量に嘔吐。
私の左手から肘にかけて、ゲロまみれ。
「おめぇAさ何してんだ!!」と、Aくんのおじいちゃんが私を引き離し、突き飛ばされた。
そこでようやく先生方数人が間に入ってくれた。
はーっ、はーっ、と半ば放心しながら必死に呼吸して、手を洗いに行ったのだが、
「だってうぢのばーちゃが!食べろって言っでだ~うあ~」と泣いているAくんの声が聞こえた。




398: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 14:59:23.79 ID:3nYFe6s5
その後は当時の状況など話すべきことを話し、先生達にお礼?を言われ保育所をあとにした。
足が地に着かず、脳内ヒューズ飛んだみたいなまま車に乗って・・色々考えた。
こんなことがあってもその場の処置は3分とかからず、
次見た瞬間には、主任先生の呼びかけでみんなが楽しそうに歌を歌っていたので、
さすが長年の保育士はすごいなあとか、
おじいちゃんに突き飛ばされてひっくり返った私の格好ダサッとか。




405: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 15:00:10.02 ID:3nYFe6s5
でも、それでも忘れられない。
Aくんが無表情でカマドウマを食べた、あの瞬間の音。はみ出た足。
その一件を含む最近の園児について、所長先生からお話されたことも。
「震災から1ヶ月・・・Aくんだけじゃない、たくさんの子が不安定になっている。
 切り刻んだ人形を持ってきた子もいた。友達の首を絞めて「苦しい?」と聞いている子も。
 子ども達もギリギリのところなんだと思う」
そのお話が頭から離れず、自分の子達の顔を思い出しては切なくなるばかりだった。
一変した環境、生活、ピリピリした街の雰囲気、屋内遊びしか出来ないもどかしさ。
コントロールできる範囲では笑えている子ども達でも、その奥には深い傷を負っている。
そんなストレスをどうにかできる術や思考を、子ども達は持っていない。




410: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 15:00:54.89 ID:3nYFe6s5
だからAくんのようにいきなり虫を食べてしまったり・・・ん?
と、ここでようやく所長先生の最後のお話が気にかかった。
お話のあと、「余計なお世話かとは思うんですが」と私が切り出した話。
私「Aくんのおばあちゃんには、ちょっとお話したほうがいいかと思いますが・・・」
先生「うん、Aくんちね、おばあちゃんは居ないんですよ」
なんだろね、と苦笑いされていた。

おわり




412: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 15:01:12.23 ID:/d5413Bu
ひええええ




413: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 15:01:18.68 ID:bIPB1ZH8
え、なにそれは




464: 風吹けば名無し 2013/09/08(日) 15:16:32.68 ID:KPDggelb
オワリやデイ?