2007年03月06日

雁木

c915ba57.jpg大嫌いな牡蠣祭りだが、たった一つだけ毎年心待ちにしている事がある。商店街の催事に地元の企業や団体が参画して、一大フードコートの形成する中の造り酒屋、八百新酒造が持ってくる酒「雁木」だ。

先代から伝承される蔵人が渾身の一作としてデビューさせた美酒であり、年を追うにつれて良い酒に育っていく様が素晴らしい。酒の素性を変えることなく、成長するという表現がぴたりとくるのである。

軟水で造る酒にしては切れがあり、決して甘口の酒ではないけれども、東北の酒ほどギラギラしていない。刃物に例えるなら、ステンレス包丁と云うよりは、鉄を鍛えた出刃包丁という感じか。

これが新作だった頃は、今よりも少し荒々しさがあった。どこか荒削りの面影を残す酒は、しかし奥が深く、呑むほどに異なる表情を見せていて、期待感たっぷりの楽しい味わいを堪能していたのだ。

ところで「雁木」は地元の岩国では余り口にする機械が無い。意図的にそのような流通を企てられているのか知れないけれども、とにかく関東一円で人気を博す酒であり、岩国市内の店では限られた料亭に出されるのみ。酒屋でも、取り扱う店が少ない。

もちろんウェブで購入する事は可能だけれども、敢えて安易に入手せず、ある種の希少性を楽しみながら呑む「雁木」にこそ、普段は見えない旨味を味わえると思い、この日を待ち望むのだった。

かくて、一月には新酒が出される。杜氏や蔵人が精一杯の仕事をして、ああゆる天候や自然現象の果てに生み出される「雁木」が、かの牡蠣祭りに並べられるのである。そうして蔵人と直接話しながら、小さな杯に注いでもらった酒を聞いてみる刹那。これが旨い。

何年が経ったのだろうか。初めて呑んだ「雁木」に比べて今年は、また少し大人びていた。理知的なところもあり、一方で趣とこくを深め、再会することに大きな期待感を持ってしまうような竹馬の友となっていた。

牡蠣祭りでは、小さな瓶に封じられた「雁木」を売っているのだけれども、そんな瓶ではたちまち飲み干してしまう。蔵人に一升瓶は無いかと尋ねると、もちろん有ると答え、明日には配達しても良いとおっしゃるではないか。(有り難い!)

さっそく届けてもらった今年の「雁木」。封を開け、最初の一献を備前のぐい呑みに注ぎ、瓶の口に残る滴を親指で舐める。そうして口へ運ぶ所作に、はっは、云いようもない至福を思うのだった。

嗚呼、旨い!

LINK:八百新酒造
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