2009年09月25日

高島カメ(憶測)獲物の正体は?

姿見ずというのは釣り人の夢を掻き立てる。悔しい思いは、やがて「大物を取り逃がした」と武勇伝にしたくなるものだが、結局は釣ることが出来なかったワケで、腕も運も足りなかったという証左に他ならない。

先月のカメ、そして一昨日のカメでハリスを千切っていった奴の正体は、いったい何だったのだろうか。船長や先輩の見解、また大捕物をしたときの状況を並べて今一度、それを推測してみた。

■遣り取り

10回の大当たりのうち、4回は竿を起こした直後に手応えを感知し、いざ巻き始めたら手応えが無くなっていた。キツネに摘まれたか、『乗らなかった』と諦めて回収すると、鈎が無くなっていたという形。

3回は、獲物と引っ張り合いになり、強引な寄せ(あるいは矯め)の最中にテンションが消え失せるバラシ。

2回は、ドラグを調節しながら糸を出したり巻いたり、一進一退の攻防の果て、竿を起こすとジワリと寄せられるので、たとえば微妙なドラグ調節をしながら巻き取ろうとした直後、いきなり走られて「ブチッ!」。

1回は、どうにもこうにも引っ張り合い、幸いにハリス切れに見舞われず応戦した後、唐突にテンションを失った。仕掛けを回収してみると、真鯛鈎にも匹敵するカゴスペ11号が伸り、返しの辺りで鈎先が折れていた。

■釣況

潮は比較的動いていて、いずれの場合も底カゴ仕掛けで、タナは2本から2本半。

周辺はサシ餌が無傷で残る状況。目の届く範囲で、前後の時間にサメが海面を割って身を翻していた。

件の大当たり以外、雑魚一匹として鈎には掛からない時間帯だった。

■感触

何度か引っ張り合いをしてみた感触は、経験と記憶を遡っても、魚の引っ張り方とは微妙にニュアンスが違う。ヒレや尾を使って水中を泳ぐ生物というよりは、電動ウィンチのスイッチが突然「入」にされたような感触。質量の大きな物体が突如として動きだし、加速感も減速感も無いまま、一定の怪力が竿にのし掛かる。

なんと云うのか、沖家室島でエイを引っ張り上げた感覚に極めて近い。

突っ走る向きは、沖へ、深場へといった方向で、決して横に走ったり、海面へ浮いてこようとはしない。

■糸の切断状況

チモト切れもあったが、半分以上は鈎上数センチの位置で切断。

切断箇所を詳細に視ると、刃物で切ったようにささくれなく切れている場合が多くあった。その他のケースは、切断箇所から4センチ程が細かなヤスリで擦ったような痕跡。今ひとつは、糸を捻って引きちぎったような痕跡があった。

かつて、件のエイを引っ張り上げた事を思うと、鈎への結束に技術的な問題点は無かったと考えて良い。ちょっと自信を失いかけたが、あの強度を体験している限り、信じるに足りる。

■見解

船に戻って船長や大船長に話してみた。(つりたつ情報にバラシ4などと...(^-^;)

大船長に曰わく「んー、カツオかのう。沖にカツオが沸いとったよ」。ゴウトウ沖でかかっていた恵翔丸の証言である。昨年、仙人YG師はミヤノシタで100センチのカツオを釣り揚げた実績からの推測らしい。

船長に曰わく「サメじゃったら7号で喰うて10で喰わん云う事はないよねえ」。なるほど、一理ある。他にもサワラの群が入っているらしいと聞いた。

K先生。翌日、カメで苦心を強いられたK先生によれば──「サメよ、サメ。下から来て、サシ餌が動いたときにパクッとやるんよ」。そこで訊いてみた──「サメがボイルを食べるんですかね」。即答「食べるよ」。

なるほど、さすがはK先生。後にも先にもサメを担いで恵翔丸へ乗り込んだ唯一の人物だ。年間100本のヒラマサを釣る腕と経験に裏打ちされた見解は、非常に興味深い。師匠もまた、同じように、サメはボイルを拾い食いすると知っていた。

■可能性

これらを総合して考え合わせると、やはり怪物の正体はサメである可能性が最も大きい。それも2メートルを越す化け物。

次にカツオであった可能性。しかしカツオやマグロが喰い上げたり、泳ぐのをやめて踏ん張るだろうか。

そして巨大なヒラマサであった可能性。1メートルを超えるヒラマサは釣った経験が無いので言及できないが、少なくとも火電沖波止で巡り会った90センチ級とは力の桁が違う。それに、僅か一時間の間にそんな鬼マサが、たった一個のサシ餌に3度も掛かるというのは虫が良すぎる。

サワラの可能性。電光石火で千切って行った中には、サワラが居たかも知れない。高島沖へサワラの群が入っていたと大船長が話していた。

■結論

あれがサメだったとしたら、これ以上論ずる価値は無い。実は、今度カメに立つときには、カーボン・ケブラーのリーダーを鈎に結んでみようかと考えていたが、もしも糸が切れなかったら、あの引っ張り合いは間違いなく体ごと海へ引き込まれる。

あれがカツオやヒラマサだったとしたら、そう思うと三度のチャンスを逸した腕の無さを恨むばかり。悔しくて仕方ない。

あれがサワラだったとしたら。サワラは釣った経験が無いけれど、うむー、さほど大きな興味は無いかねえ。

本編でも再々に触れた謎の大物の正体が、カツオだと断定すれば悔しいし、サメと断定すれば馬鹿々々しい。くどくど書いたって過ぎた事は致し方ないのだが、どうも気持ちが釈然としないままでは次回の釣りに宜しからぬ影響が及ぶというもの。

ここは一つ、サメだったという結論を下して再出発。もっと腕を上げた後に再び出会ったら、その時が奴の年貢の納め時。(笑)



foujitas at 01:01コメント(0)TB(0)高島回顧録 | 潮待放談 
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