2010年01月06日

[伊保田]竿始めの義

周防大島町伊保田。「伊保田」はイホダと濁らず、イホタと読む。

金魚のような形と云われる周防大島は、北を上にして周防大島を眺めると確かにそんな趣がある。伊保田は金魚で云うところの尾ヒレ。それも上側の端に位置している。港には大きなフェリーも寄港する設備があり、近くには陸奥記念館も建てられている。

沖家室島と並ぶ屈指の漁場、情島に近い立地は、潮通しが良く様々な回遊魚が近くを泳いでいるという。

かつて──高島へ辿り着く以前、カゴ釣りといえば沖家室島か伊保田の二カ所くらいしか、竿を出す場所が無かった。伊保田はしかし、真鯛のヒット確率を考えた場合、沖家室島よりも薄く、一方で沖家室島の鄙びた港街の風情を好んだ事もあって、カゴ釣りのイロハを練習したのは、専ら後者だった。

2010年。

松の内が明ける前に何とか一度、今年最初の釣りへ行きたいと目論んでいたのだが、本日、最初の水曜日は生憎の大時化。火電沖波止までもが欠航を予告するほどの絶望的な一日となった。

もう一週ほど遅らせる事も考えたけれども、昨年の暮れを振り返ってみると、もう1ヶ月以上も竿を振っていない。ここらでリハビリを兼ねて一度だけ──ダメで元々──釣りらしい一日を過ごしてみよう・・・か。

心に決めるほどの一大事ではなかったのだけれども、釣友H師と正月の挨拶を交わした過日、師に曰わく「伊保田で35センチぐらいのヒラアジが3本。正月に行ったんよ」。さらには、寒いので行かない風味の話しをしておきながら、前夜になって「明日は伊保田」とメールが入る。

これは渡りに船。アジとて35センチもあれば充分なサイズではないか。金杯でボロ負けした心に鞭打って、翌日の伊保田を企てた昨夜だった。

だが、1ヶ月も釣っていないというのは、如何にもハンディキャップが大きい。釣りに必要な小道具が軒並み切れている。シモリ玉、アジ鈎など、仕掛けを拵えることさえ敵わず、致し方なく残してある仕事に着手して前夜を見送るばかり。

かくして当日。周防大島への道中にある釣具店で、不足していた道具を買い足した。つまり、釣り場へ着いてから仕掛けを作るような流れである。正午には釣り始めるつもりだったが、これも仕事が飛び込んで一時間の遅刻。侭ならぬ休日ではある。(´Д`;)

竿始めの義。

さっそく堤防の先端へ立ち、竿ケースを開いて──しっかし、その、滅茶苦茶に寒い。

体温を維持していたのは5分程。たちまち手は凍てつき、指先の感覚はほぼ麻痺。1.5号のハリスを鈎に結ぶ事さえ覚束ない。買い足したサビキ仕掛けを改良し、ギクシャクしながら最初の仕掛けを入れたのは、もう午後1時に差し掛かるところだった。

「タイ、釣るようなもんじゃけえね、ここは」と、先に到着のH師。
「アタリ、在りませんか?」
「ずーっと待って、バタバタっと釣れたら、またおらんようになるんよ」
『なるほど、我慢の釣りか・・・』

しかし、その我慢は2時間が過ぎても一向に変化が無い。変化どころか、サビキの多段鈎に付けたサシ餌が、ほぼ全て残る。要するにアジが廻って来る時以外、ここに魚は居ないということを示唆している。

太陽の力が衰えると、気温は徐々に下がる。強く吹き付ける風が素肌を決定的に冷やす。オキアミを摘む指は自由に動かず、3時間が過ぎた時点で心が折れた。『35センチのアジ。そんなん居らんわ』orz....

堤防の先端は一際強く冷たい風が舞う。流石にそこで釣り続ける気力は絶えてしまい、堤防の反対側へ移動。

この堤防は元々は沖の一文字だったところへ、陸から垂直方向へ新たな堤防を築き、鈎型に陸続きにされたもの。よって堤防の反対側は、鈎型の角に当たる位置。風は少しマシに感じられた。

しかれども、ポイントを変えてみたところでサシ餌が丸残りになる釣況に何等変わりは無く、やがて伊保田の集落へ物悲しい鉦の音が鳴り響いた。集落の有線放送が告げる、午後5時の合図である。

竿始めの義──撃沈。(;´Д`)

まあ、こうなる事は想定内。あわよくば何かが釣れぬものかと赴いた一日である。竿を持って、海の近くに立つことが出来ただけでも幸い。

そういえばベラが鈎に掛かった、か。(笑)

来週は全開にて!



foujitas at 19:47コメント(6)TB(0)沖家室島釣記 | 潮待放談 
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コメント一覧

1. Posted by かっちん   2010年01月06日 20:22
竿始めの義・・・・伊保田まで行かれましたか!!  汗
アジの35センチクラスとは良いサイズですねぇ。。  驚

結果は残念賞でしたが、ウォーミングアップには十分でしょ。。
いやいや、今日はチト寒すぎですな。   汗

私は、何時も陸奥公園前近くの波止で挑戦していますが、照明が無いので日暮までが勝負です。
でも、結構良いサイズが釣れていましたよ。

暫くは、山陰は無理っぽいので私も玉ちゃんも諦めておりますが・・・・
どうやら、高島に連れて行かれそうな雰囲気となりつつあります。  不安・・・・
2. Posted by あ2   2010年01月06日 23:34
年も明けて,渋い時期の到来ですね。

魚の濃い磯ではエサトリが少なくなってチャンスとはいえ逆に絶対的に魚が少なめだったり,水深がなくて水温が激下がりな場所ではサシエがオキアミ一つで一日間に合うかもしれません。

それにしたって
>高島に連れて行かれそうな
とは,私ならほいほいついて行きそうですが・・・。

ともあれ西高東低,荒れた日の多い時期です。みなさまくれぐれも安全第一で楽しい釣行を。
3. Posted by 釣りきち YMD   2010年01月07日 02:08
ふじたさんへ
2010年いよいよ幕開けですね。
ポリアンナ物語『良かった探し』でいきましょう!
筆初め、もとい竿初め(どちらもちょっと!!)。

年明け早々m(__)m

私も今年2回目の釣りに出動しましたが、敢え無く撃沈。広島市内周辺はメバルがおらん。今日なんか一度のアタリもなく、2010年の2時間を無駄にしてしまいました。(爆)
あっ ふじたさん 今年もよろしくお願いします。
正月からblog毎日見てますから。

4. Posted by ふじた   2010年01月07日 08:12
かっちんさん^^
今年も早速にコメントをありがとうございます。
いや〜、想定内とは申せ、一度もウキが沈まない半日は退屈なものですわ。加えて、あの極限の寒さ。凍死に入り口を見たような気がします。(笑)
この時化の合間に山陰では、ちらほらとデカいのが揚げられていますねえ。
暫くは高島が遠いのですが、行けるチャンスがあったら、いまこそ好機かも知れません。
玉ちゃんとの爆釣珍道中を楽しみに待っております!^^
5. Posted by ふじた   2010年01月07日 08:18
あ2さん^^
早速のコメントをありがとうございます。
この日を振り返ると、もっと他に攻め手があったかも知れないのですが、なにしろあの寒さと風。アレコレと策を練る余裕や知恵がありませんでした。後半にさしかかる頃には、もう何時納竿しようかと、および腰。(笑)
竿を手にできただけ幸いな一日です。^^
水曜日と気圧が仲良くしてくれる事を祈るこの頃、なのでありました。
6. Posted by ふじた   2010年01月07日 08:22
釣りきちYMDさん^^
今年も早速にコメントをありがとうございます。
筆初め、竿初め、がはは。いや、まあ、今年もどちらも恵まれたいものですわ。(爆)
広島のメバルも苦戦ですか、うむー。魚の冬眠は聞いた事がないのですが、伊保田も同じように音無。やっぱり寒すぎますかね。(笑)
昨年暮れは失速しましたが、今年は高いテンションを保っていきたいと思います。今年もどうかよろしくお願いします。m(__)m

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