2010年02月18日

高島タカイワ(釣行記2)大外道に大当たり

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『魚が欲しけりゃあマツガシタじゃったよのぅ。いや、まあ今日は初めてのタカイワ思うたんじゃ。そのうち潮も行くじゃろう、そしたら・・・』潮が行かぬ朝の時間帯は、水深が浅いだけに餌盗りに手を焼くばかりだった。

さて、その潮だ。K先生に曰わく「コスズメに向かって(上げの)潮目が出たら釣れるんよ」だが、釣り始めからここまでは、いずれの海域も潮は弛んだまま。それでも正面よりも左側の潮はジワジワと押し気味に左へ流れていた。

右側の浅い海の潮はどうかと云うと、これが丸で行かない。それはアカイワの対岸ほぼ真正面に見える小山(後に地図で調べると益田市津田の辺りにある鵜の鼻らしい)の方角が境になっていた。

浅い西側(右側)では、瀬を回るヒラマサは期待できても、真鯛の可能性は薄い。だが、アタリの無いまま午前10時に達してしまっている。

電話が鳴った。『ん、コダンのK先生か?』
「どこ居るん?」なんとY仙人だ。
「是然々でタカイワですわ。いま何処なんです?」
「小水無瀬と大水無瀬の間ぐらいよ。何本でしようるん?」船で出ているらしい。
「いま2本ですわ。タルんがええんですかね」
「カゴでええよ。そうじゃねえ1本半ぐらいにしてん」

神の声だった。(笑)

何の経験則も無いタカイワでは、磯の様子を掴み、想像力を働かせながら過ごす、全てが新たな試み。何が有効なのか判らず、もう日が高く明るいというのに、依然として暗中模索が続いていた。さらにY仙人は続けた──

「正面よりチョイ左に遠投してん。そっから左へ流す」
「おおっ、正にそれですわ。色々調べてみて云々・・・」

2時間近くを費やして達した一つの憶測というかタカイワの定石は、いみじくもY仙人の虎の巻に合致したものだった。『儂って、けっこう遣るじゃん(笑)』

だからと云って、神の声に従っても、そう易々と魚は釣れない。少なくとも右の浅い海域は見切って、左半分で勝負すること。カゴで2本半までが精一杯。結果的に得たのは、この二点でしかなかった。

だが、潮はゆっくりと立っていて、半時間ほど打ち返していると、左側の潮は程よく行き始めた。「これじゃ、この潮でええんじゃ」ウキの動き方に注視しながら、期待が思わず声になって出た。

潮が行き始めると、それまで群がっていた餌盗りは居なくなり、サシ餌は完全な状態で残るようになった。魚さえ居れば必ず当たってくる筈だ。コマセを切らさぬよう、手返しの頻度を上げ、同じポイントへ繰り返して投げ入れる。

しかし後の1時間、サシ餌は残り続けた。

Y仙人は、こう云った。「竿1本半で遠投。正面ちょい左からコスズメ方向へ」。

この一説をどう捉えるか。『タカイワは竿1本半の遠投で釣るべき』と云う意味では無い。少なくともY仙人の経験則として『タカイワにおいて竿1本半の遠投で釣った事実があるに過ぎない』と捉えたら、必ずしも神の声に固執して釣るだけではダメなのではないか。

小さな磯の上だが単身。邪魔を犯す相手は居ない──二刀流。カメを想定して今日は、幸いにも餌は3枚を用意してきた。二本の竿でコマセを撒いても不足する事は無い。

無理矢理にピトンを打ち込み、カゴの竿を流しつつタルの竿を支度する。ウキ止めと水中ウキ無しの全遊動。幸運なことに風も落ちて薄日が射している。この適度な潮の動きなら、じっくり海面付近から沈めても良いのではないか。上手くいけばヒラマサも有り得る。

一方でカゴの竿も打ち返す毎に少しずつタナを変えて探る。『どこかで必ず魚に出くわす筈じゃ』。イマジネーションは、もはやフル回転。

しかし──タカイワの海は何も云ってくれない。ただ淡々とウキが流れていくだけの時間が過ぎる。

「入れっ!」と大声で渇を入れてみたり、意味不明のウキ入れ踊りを踊ってみたり、まあ、およそ誰も居ない磯で恥を忘れて手を尽くしてみたのだが(笑)──

『これだけ良い潮が行ってもダメか。はやりコダンやイケマでないとダメなんか。でもコスズメには絶好の潮じゃろうのぅ』

少しずつマインドはネガティブな方へ傾き、沈み始めた。狭い磯の足下に置いたバケツには、依然として情けなく朝のメバルが浮かんでいる。時刻は正午。集中力を持って様々な手を試みていたそれまで、時計は余り気にならなかったのだが、納竿が近づくと焦りと落胆が混沌として脳裏に渦巻くのである。

納竿まで、あと1時間。『どうしてみる?』もはや手は尽きた。

『ちっくしょう。こうなったら禁断の3本じゃ』朝から試していない事と云ったら、3本以上の深いタナ。尤も、タカイワから投げて届く範囲の殆どは2本半以内。それより深いと九割以上の確率で根に掛かる。しかし一カ所だけ、大きくコスズメ方向へ遠投すると、延々と流れて行く場所がある。

タナを3本チョイまで下げ、根掛かりを覚悟し、渾身の力で大遠投。風が落ちたタカイワの沖へ仕掛けはぶっ飛んだ。着水後、ウキが立つまでの時間が奇妙に長く思える。

『これでダメなら今日は仕方ない』肝が入った一投だ。

ウキは引っ掛かる事無くコスズメへ向けて流れていった。ほぼコスズメから見える位置に達すると、タカイワから見たウキは極めて小さい。逆光の中で、そのウキが消えた。

「はっ、入ったんか?!」俄に目を疑った。

大きくフケた道糸を慌てて巻き取る。スプールの残量から、おそらく150メートル以上も先にウキはあっただろう。糸の伸びを考慮し、思い切って竿を起こして大アワセを入れるが、一瞬の手応えを感じたものの、殆どスカ。

『だはー、またメバルかい?』(;´Д`)

やっぱり今日はダメなようだ。仕掛けというか獲物というか、リールのハンドルを回して回収に掛かるが、ほとんど大物の手応えは無く、まったく軽々と寄ってくる。2/3ほど巻き取ったところで、仕掛けが藻に引っ掛かったように重くなった。

『なんちゅうこっちゃ、ここまで来て仕掛けを無くすんか』(´Д`;)

続けてリールを巻くと、しかし何故か寄ってくる。物凄く重たく、それは以前、イサキを釣ったとき獲物と藻を一緒に巻き取ったとき以上に重たいのである。『どうなっとるんかいの、こりゃあ』半ばヤケクソ。

ウキ止め糸が海面から出てくる頃、突如、獲物は強烈な反撃に出た。余りに急な魚の逆転劇に一瞬、主導権を取られそうになる。竿が伸る直前に辛うじて立て直し、ドラグをほんの2〜3ノッチだけ調節。一進一退の攻防が始まった。

「なんかぁ、こりゃあ!」ときおり真鯛のように頭を振るが、それまでの過程が真鯛にしては根性が無い。見え隠れしているシモリ岩を交わし、漸く足下に魚影が見えた。

『白い?』ほぼ降参した魚を凝視してみると、縞模様が見える。「ああ、サンバかぁ(´∀`)いや、ほいじゃがデカいんか?」

魚の姿を確認し、また泡を喰った。どうやら予想以上の大物であり、サンバソウと呼ぶサイズでは無い様子。なにしろ頭を浮かせるために竿を立てても、剛弓の穂先が大きく曲がって浮いて来ないのである。

なんとか網を入れ、フラフラになりながら柄を縮め、磯へ揚げてみて仰天。ゆうに50センチは超える立派なイシダイだ。その形相は「口黒」と呼ばれるに相応しく物々しい。かつてワレで師匠の化け物イシダイを掬った時以来、間近で見たことさえ無かった。


外道には違いない。が、これは思わぬ上物。タカイワがくれたビッグなオマケではないか。今日の釣りは、もうこれで充分。三崎遠征のときに購入したタモ網の入魂がイシダイなら不足も無かろう。

それから半時間。再び何も居ない海へ向かってカゴを投げるが、もはや遠投する体力は残っておらず、フニャフニャと投げては回収。偶々ヒラマサでも居れば巡り会いたい、という程度の時間を過ごし、12時50分になって納竿。

破れかぶれの大遠投タナ3本。そのワンチャンスに偶然掛かった魚。釣ったと云って良いのか、やはり釣れたと揶揄されるのか判らぬけれども、これも高島が与えてくれた恵みの一尾だ。満足に足りる。

今度こそヒラマサ!(^m^)v



foujitas at 09:01コメント(10)TB(0)高島回顧録 | 潮待放談 
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コメント一覧

1. Posted by shimo   2010年02月18日 11:54
ふじたさん

お疲れさまでした
外道とは言え「嬉しい外道」ですよ!
先日の私の「嬉しい外道」と同じ魚・・・
上物釣りをしていて時として食って来る
「石鯛」ですが 以前は美味い魚との認識が無かったのですが 先日の石鯛君・・・脂が載ってて臭みも無く「石鯛ってこんなに美味かったかな?」と思う位に美味しかったです
皿に盛られたクロと石鯛の刺身・・・
クロも大型だったので美味かったはずなのに
 石鯛のほうが人気が有ってドンドン減りました
 「何だか クロに申し訳無く思えました・・・」
2. Posted by ふじた   2010年02月18日 13:13
shimoさん^^
ありがとうございます!
これが無かったら無惨な一日になるところでした。
先輩の話では、この時期にまたサンバやイシダイがボイルに食いつくとか。ラッキーな一尾に恵まれました。
お刺身は美味しいものですね。少し身が軟らかくなりますが、洗いも上々。私のようなカゴ専門の者には、滅多に味わえない魚でした。
でも今時期のクロは絶品ですよね〜。^^
3. Posted by あ2   2010年02月18日 13:43
今回も意外な展開で楽しい釣行記をありがとうございます。

イシダイはうまい魚ですね。大きくても小さくても独特の貝類に近い旨みがあってなんともいえません。食性がそのまま味に反映しているのかもしれません。上物を狙っていてごく稀にかかるのですが、本命以上に私は喜びますね。

身は火を通すと好き嫌いの分かれるクセが出るのでやはり刺身・薄作りがお勧めです。意外なのは皮の旨みで、うろこを残したまま引いて塩を振ってぱりっとするまであぶって食べるとこれがまた美味です。(大きな魚の場合はうろこは引いても良いと思います。)

このところ全くの不釣で、磯の上でウキ入れ踊りや糸走れダンスなどばかりの私としてはうらやましい限りです。

フジタさんの踊りは見てみたかったですね。
4. Posted by ふじた   2010年02月18日 17:14
あ2さん^^
こちらこそ毎度ありがとうございます。
今回の物語は終盤になるまで見所も無く、やけに長引いてしまいました。実際に釣っている最中の心境も同様で、諦めにも似た思いの果てに掛かった一尾でした。
なるほど、やはりイシダイは火を通すより刺身が良いのですね。骨に残った身を煮てみましたが、肉質が硬くなってしまい、食感に劣る一皿でした。刺身は抜群に美味!
皮は思いの外硬く、火の通し加減が足りなかったのでしょうかねえ。しかし風味は大変良く、これで二合の酒を飲み干しました。(笑)
ウキ入れ踊りはですね、その、勘弁したってください。(^^;(あれは見られたら真面目に恥ずかしいものです(笑)がはは)
5. Posted by かっちん   2010年02月18日 17:42
ウヒョ〜!!!
何と・・・これは、極上の外道ではないですか。  羨
しかも、今の時期が食味も抜群でしょう。
私も、この夏に釣ったチビッ子を初めて食べてみましたが美味しかったです。


で・・・最近は外道祭りが流行でしょうかね。。。 汗
私も含めて・・・・
6. Posted by みやちゃん   2010年02月18日 17:54
5 ふじたさん、昨日はお疲れ様でした。
タカイワって私が乗った宮の下の隣になりますか?
そこなら前回、島義のお客さんがタイ、ヒラマサらしきのを釣ってましたね〜
イシダイさぞかしおいしかったでしょう(^-^)v
ところで明日ですが、営業活動が岩○地区を予定しておりまして、ふじたさんのお店に顔を出したいのですが?!
岩○駅の前の店にいらっしゃいますか?!
もしお邪魔じゃなければ宜しくお願いいたします!
7. Posted by shige   2010年02月18日 18:37
お疲れ様でした^^
踊りが見てみたい・・・(爆) 1人で”渇”は小生も同様です(汗)
忙しい釣りになられたようですが、コンデションも上々ではなかったでしょうか?
なにより本石が羨ましく思えます♪ さぞかし美味しかった事かと存知まするv^^v
8. Posted by ふじた   2010年02月18日 21:18
かっちんさん^^
毎度ありがとうございます。(^^)v
まさしく外道祭。ヒラマサのヒの字も無い一日でした。
イシダイの刺身は文句なく美味。少しもっちりした食感と瑞々しい甘味は、なかなか得られない一皿でした。うへへ。
しかし、まあ、狙って釣ったのではなく、偶々掛かったという獲物。達成感は70点くらいの高島ではありました。(;´Д`)
今度こそ、本命を釣り上げたいと思います!
9. Posted by ふじた   2010年02月18日 21:23
みやちゃん^^
いつもありがとうございます。
タカイワはミヤノシタから数えると、間にアカイワを挟んだ二つ隣の磯。アカイワから歩いて渡ることも出来るそうです。
アカイワもタカイワも真鯛、ヒラマサともに実績のある磯でしたから、ちょっと期待していたのですが、結果的に期待を上回る獲物という一日でした。
さて、明日は午前中に商店街の会合がありまして、正午以降は店に居ります。^^
場所はお店のサイトもありますので、ご確認くださいまし。私のケータイ番号などお知らせ出来れば確実なのですが──よかったら、メールアドレスを教えてくださいまし。m(__)m
お目にかかれるなら、是非!楽しみにしています。(^^)v
10. Posted by ふじた   2010年02月18日 21:30
shigeさん^^
ありがとうございます!
いやはや、つい独りで釣っていると、ワケの解らぬ行動をとってしまいます。ウキ入れ踊りは、一応、隣の磯や沖の船から目が届かない事を確認してから踊りました。(爆)
あれをご披露するのは、念力が備わって、確実に踊ったら釣れるようになった後の事になろうかと・・・(笑)
当日は急速に気候が回復し、朝には厳しかったイガラも、9時頃には船が着けられるほどでした。でも、良い経験になりました。^^
イシダイの刺身も久しぶりに堪能。(^△^)

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