2010年05月12日

高島100回記念ワレ(釣行記1)釣神と化して

思い出せば出す程に後悔が滲む。何故あそこで糸を出さなかったか、何故4号ハリスに手を掛けたか、何が躊躇いを喚起させたのか──最後のチャンスを物に出来なかった腕を呪うばかりの一日を過ごした。

イワグチで痛恨のバラシに泣いたその日から、中一日。悔しさも冷めやらぬ水曜日が巡ってきた。毎週水曜日は渡れる限り高島、そう決めて臨んだ今回は、実に100回めの上礁。ふり返れば五年の歳月が過ぎていた。

前回、99回めに不甲斐なく敗北。今回こそは何が何でも「高島のヒラマサ」が目標だ。鬼神と化してでも格好を付けねばならないのである。

K先生。「撒き餌を撒かんにゃあダメよ」とは常日頃から教わっている、カゴ釣りの極意でもある。オキアミを大量に撒いて魚を呼び寄せ、足止めさせて鈎に掛けるためには、即ちコマセの量が物を云う。しかし、1枚が千円前後もするボイルオキアミを大量に撒くのは、正直なところ一寸刹那い。

そこで餌屋でボイルを買うとき、およそ半額で購入できる生オキアミを手に入れた。こいつを3キロばかり足下に撒いて──という企てである。兎に角、百回めの今回は気合いが違う。

早朝の大浜港。

恵翔丸は4・2・2・2と船が一名。今日は久しぶりのS師と竿を合わせる2人組みであり、したがって三つの2がジャンケン。一番手はコダンを狙うというので、西磯へ入るためには3番手がベストだ。そして順番を決める勝負は最良の結果となった。島義丸次第ではあるが、イワグチかワレを狙うには最も近い番手である。

高島へ接近した恵翔丸は、予想を上回る風に手こずりながらもコダンから磯着けを始めた。首尾良くワレが空いている。が、磯際を横に走るうねりと北西の風が恵翔丸を襲う。『ダメか、いや、頼む!』ホースヘッドにしがみついて、ブリッジへ祈りを捧げる。

船長は一瞬の間隙を縫うように磯へ思い切りよく舳先を押し当てた。『よっしゃ!』機敏に磯へ飛び移り、岩を掴んで上礁完了の合図を送った。

高島、ワレ。

云わずと知れた名礁。島の西側、ほぼ中央部に位置する上げ潮の絶好位だ。そして今日は上げ潮を釣る一日。これ以上の選択肢は無い。更に前日には師匠が90センチ近いヒラマサを揚げていて、更々に前々日にはSK師がヒラマサ6連発の良績が集中する磯。K先生に曰わく「ヒラを釣るんなら実績のある磯よ!」とは、正にこの事である。

しかし風は凄まじい。ほぼ右から真っ直ぐ吹き続ける強風にあおられた波は、イガラの船着きへ当たって砕ける。東映のオープニング映像のようなアレだ。

よって、ワレの低手は波に洗われていてダメ。その次の座も危ない。沖の恵翔丸から船長が「低いとこは取られるよ〜」と危険を喚起してくれる。指示に従って先端から三番目の中途半端な斜面に座を据える。

いつもと異なる座に立つと、バッカンの位置や手返しの姿勢が定まらず、釣り始めは段取りが悪い。おまけに強風に阻まれて仕掛けは遠投できない。

「思うたより酷いねえ」どちらからともなくS師と、このタフなコンディションを慰め合うのだった。

潮は素直な上げ潮。上礁直後は鈍かったようでも、この強風に逆らって流れるウキを見ると、潮はなかなか強い。セオリーに従い、正面40メートル付近へ仕掛けを落とし、潮に乗せてワレタカバの沖を通過させ、イガラの方へ流し込んで釣り始める。

竿は剛弓、前回のイワグチから刷新した8号の道糸には、今度こそ大物に屈せぬ7号ハリス4尋。鈎はカゴスペ12号という仕立てだ。ヒラマサを狙う限り、金輪際4号などは使わぬ。(笑)


半時間も経つと、強風の中でも磯での立ち回りに慣れ、竿を振り込むコツが掴めた。手返しのテンポを早く、そして手撒き専用に持参した生オキアミを足下へ一掴み、また一掴みと放り込んで進める。

足下に撒いたオキアミが沖に沈めた仕掛けにどれほどの影響や効果を及ぼすか、確かなことは解らないけれど、複雑にうごめく潮筋に乗って撒き餌が拡散すれば、いずれ撒いている地点をヒラマサが察知し、結果的に釣っている領域へ魚が集まる──そんなイマジネーションを持って撒き続けた。

徐々に潮は立ってきた。それに合わせて風は一段と強くなった。「こりゃあ戦意喪失するわあ」と背後のS師。潮下に流れるウキを見つめると、左隣に居るS師の話し声は風音にかき消されてしまう。5時半に上礁し、既に1時間以上が経過していた。

「当たらんね〜」と振り返って見ると、S師は竿を引き上げて高手へ移動していた。強風に過ぎてしばし休憩だという。

『今日の儂は一味違う』自らの竿に云い聞かせ、ここまでの釣りが間違っていなかった事を再認識。

サシ餌の様子を見ながらタナを細かく調節する。風が強いので横着な事はしなよう心がけ、タナ調節もすべて仕掛けを引き上げた状態で行い、詰まらぬ足下の根掛かりなどのアクシデントを着実に回避。サシ餌が残ればタナを下げ、餌が落ちればタナを上げる。2〜3本の間は、とりわけ細かく上下に気遣うのである。

潮は更に活発な動きを見せ始めていた。沖は強い風が吹き抜け、うねりを誘う。浮沈するウキは不確かにしか視認できない。

3本弱で流していた仕掛けのサシ餌が落ちていた。回収の後、矢引一本ほどウキ止め糸を浅いほうへ動かし、正面の40メートル、定点へ仕掛けを投入。ウキが馴染むとたちまち流されるので、投入直後は一際強い視線を当てておく必要がある。

そのウキが立ち、赤い頭を起こしたことを確認。潮に乗せるためには、潮とは逆向きの風に取られる道糸を大きくフケさせなくてはならない。スプールの糸パラパラと出し、穂先を下げる。磯際の貝にも用心せねばならないが、一方でS師は休憩中なのでフケ糸で邪魔をする心配は無い。

波間の赤い目印が一瞬、隠れた。波頭が下がったら再び見える筈のウキだが、それも無い。

『入ったか!?』(^△^)

>>つづく

foujitas at 19:46コメント(0)TB(0)高島回顧録 | 潮待放談 
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