2010年05月15日

高島イワグチ(追悼)益田丸のこと

週に一度を上回って高島で釣ると、ブログが追いつかなくなる。(´Д`;)

イワグチで釣った高島の一幕。それは5月10日の事で、益田丸の田中船長さんが亡くなられてから10日が過ぎた時だった。少し早く恵翔丸へ乗り込むと、一人でキャビンへ腰掛けた大船長がいらした。

「おはようございます」背中に声を掛けた。
「ああ、おはようございました」
「淋しゅうなりましたねえ。どうじゃったんですか...」

訃報を聞いた直後だけに、殊更しんみりと話しかけた。

「ああ、うん。30日にね」
「いけんかったんですか」
「4月になってから、じゃのう...」

消え入るような声で大船長はポツリ、またポツリと話し始めた。

それによると田中船長は2年前に一度、体調が思わしくなく入院され、そのとき手術を受けられたという。一旦その後は回復したかに見えたが、心ならずも病状は進んでしまい、4月の始め頃になって再入院した後は、もう厳しい状況だったという。

ご子息を亡くされた事がきっかけだったのか、晩年は酒が過ぎ、それも遠因ではなかったかと話してくださった。

田中船長は高島のご出身であり、大船長よりも二歳ばかり年が若い。大船長が漁師としてシナ海へ出漁していた頃、一時期は益田の水産関係の企業で仕事をされ、後に渡船を始められた。

その当時は六隻の船があったという。(先のエントリーに書いた五隻は誤りで)「ゆき丸」、「益田丸」、「よし丸」、「こうよう丸」、「かつ丸」それに「ちず丸」が就航していた。中でも「ゆき丸」と呼んでいた船が、現「恵翔丸」の前身、つまり木船だった頃、大船長が舵を執っていた船だという。

現在に至った変遷は前エントリーに詳しいが、とにかく「益田丸」は「ゆき丸」と並ぶ最初期の、いわばスターティングメンバー。苦楽を共にして来られた仲間であり、長らくライバルとして凌ぎを削り合い、切磋琢磨された盟友でもあるに違いない。

それ故に大船長の深い哀しみは、たった5年が経ったに過ぎないヒョッコの高島ファンには、幾ら忖度してもおそらく量り切れない事柄だと思うのだった。

キャビンの長椅子の上で大船長は、足をさすりながらゆっくりと体を回してこちらを向いて云った。

早春の或る日──大船長が云うところの「台の上」、すなわち大浜港の北側の高台へ腰掛けた田中船長に偶々出会い、声を掛けられた。

「おお、どうなん」と大船長。
「ああ、ううん」と曖昧に返す田中船長。そしてこう続けたという。
「おまえはええのう。跡が居って」

過去の記憶の中から大切な物を取り出すように大船長は話してくださった。

「アレが...、そういうて云うんじゃ」
「そうじゃったんですか...」言葉を継いだつもりだったけれど──

その声は小さ過ぎて、キャビンへ入って来られた今日の恵翔丸のお客さんの賑やかな会話に掻き消されてしまったようだった。

いま、主を失った益田丸は、以前と同じように大浜港の高島丸の隣に舫で結ばれている。

改めて、謹んで哀悼の意を捧げます。


2010年05月01日 訃報
2009年09月19日 高島の渡船今昔
2007年05月10日 高島ホトケ(出会)ベテランに聞く

foujitas at 03:19コメント(4)TB(0)高島回顧録 | 潮待放談 
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コメント一覧

1. Posted by shige   2010年05月15日 06:27
おはようございます
ご無沙汰しておりました
五島より帰ってきて訃報を聞いた時は・・・とても残念な思いで
寂しくなりましたね(悲)
小生の親が商売をやってた頃のお客様で、小生が小さい時から親しくしていただいてました。
船には乗った事ありませんでしたが、今となっては乗っておくべきだったかと。。
ご子息の不幸・だいぶ堪えたみたいですね。
謹んで哀悼の意を・・・合掌
2. Posted by ダイコー望   2010年05月15日 23:40
 我が道を行く船頭には怒鳴られっぱ無でした。今となっては自分の未じくさを感じるばかりです。が、大浜に帰ったら恵比寿さんの顔でした。
初めて高島に渡ったのはゆき丸ですが。
3. Posted by ふじた   2010年05月16日 11:29
shigeさん^^
ご無沙汰しています。
やはりお近くでいらっしゃるだけあって、よくご存知の船長さんだったのですね。私は後々になってお話を聞いただけなのですが、それでも高島には随分と関わりが深い方だと感じていました。
先日の帰りがけ、大浜港の益田丸を改めて目にして、なにか云い知れない感情が湧いてきまして、人影が無くなった港でしばらく立ち尽くしていました。
今でも、やはり寂しく思います。
4. Posted by ふじた   2010年05月16日 11:32
ダイコー望さん^^
いつもありがとうございます。
高島のベテラン方の皆さんは、田中船長さんをよくご存知でいらっしゃいますね。私のような新参者には量れぬ思いがあるのだろうと察します。
ゆき丸時代の事をご経験なさっているなんて、本当に羨ましく思います。もっと早く高島で釣り始めておけば良かったと思うこの頃です。

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