2010年08月21日

沖家室島「夏のラストチャンス」

本来は8月18日から4日間が夏休みなのである。英気を養い、気分をリラックスさせ、晩夏からの新たな修羅場へ飛び込むための、いわば充電期間だ。しかし電話は容赦なく鳴り続け、メールを開くと受信箱には見過ごせない件名がわんさかと並ぶ。休みくらい平等に与えてくだされ、神よ。

ま、他人の「忙しい」という話しほど退屈なものは無い。よって、以上。

夏休み最終日の本日は、昨夜の宴を終えた後の午前5時だった。『おっ、これなら釣りに行けるわ(^△^)』。夜明け前。いそいそと道具を選定し、車へ積み込む支度を始める。しかし5時に起きたのでは山陰は無理。夏のラストチャンスは、故国沖家室島で過ごすことにした。

盆過ぎに本浦でマダイを釣った記憶は薄いのだが、もしかするとワンチャンスがあるかも知れない。当然、カゴの用意をし、先の高島で残したオキアミを冷凍庫から出す。

さらに、やはり夏に旬を迎える魚といえば、シロギス。先頃から試してはみるが空振り三振。どうもヘタクソ極まるキス釣りに明け暮れているので、今回は、沖家室島でカゴ釣りをした後に、どこか和佐か小泊にでも移動し、砂浜で釣ってみたいと思うのだった。

かくて通津の海遊釣具へ立ち寄り、ゴカイ700円を買いせしめ、一路、本浦港を目指した。


午前7時。すっかり朝陽が昇った本浦港には、週末であるにもかかわらず、たった一人の釣り人の姿があるだけ。中学校跡の先にある石波止には、云うまでもなくジグジグな兄さん方々が格好の良い自動車で乗り付けてハマチを望んでいらした。

難なく堤防の先端へ入らせてもらい、カゴ錘へオキアミを詰めて第一投。中潮だが、潮はまったく動いていない。

『いやいや、今日はこれでええんよ。釣りを愉しめるだけで』殊更に暢気に構える。

しかし、そうは云ったって、湖のような海にあって、オブジェのようにポツンと浮かんだウキを見ていると、だんだん悲しくなってくる。

『いやいや、今は行ってないが、そのうち行き出すよ』殊更、暢気に構える。

だが潮は行かない。それでもジギンガーを喜ばせるような、大小のナブラが見られ、一縷の望みを託して渾身の力を振り絞って遠投を試みたり。ときにはタルウキを持ち出し、万が一のハマチを思う朝の沖家室島だった。

云うまでもなく、仕掛けは遠く届かぬ位置へ着水。小水無瀬島ではオキアミに乱舞するハマチだが、不思議と沖家室島ではオキアミに反応が無い。過去、たった一度だけワカナの親分程度の魚がオキアミに掛かった。

ナブラも見えなくなり、再び平穏な本浦港が戻ってきた。

暑い。暑いが、どうも街なかの暑さとは少々異なる。空気が乾燥していて少し風があるせいか、直射日光を浴びても大汗にならない。ジリジリと焼かれる感覚はなく、おあすかに秋めいたオゾンさえ感じる。

そんな平和で長閑な気分で正面40メートルにあるウキを眺めていると、赤いトップが消し込んだ。そしてまた飛び出してきた。

「ありゃ〜?餌盗りかぁ?」少しの間だけ待ってきるが、それ以上の反応が見えない。どのみちサシ餌は無いと思い、仕掛けを回収すると『おろっ、何かのっとるわ』。(^m^)

チャリコのようでもあるが、さほど力強く泳ぐでもない。5尋近い4号ハリスの先に魚体が見えてきた。『長細い?』ホウボウだ。

2本半のタナで岸寄りの駈け上がりに近い場所へ投入した仕掛けは、どうやらサシ餌が底付近にあったらしい。しかし、カゴでホウボウが釣れるとは、いや、カレイやアイナメも鈎に掛かった事がある──恐るべしオキアミ。


アタリはそれだけだった。ホウボウを納めた後は更に潮が鈍くなり、どう考えてもマダイが掛かるような海ではない。右手にある猫の額ほどの砂浜へ、沖家室島に古里を持つ子供たちが泳いでいた。風景は、ますます長閑になった。

『そろそろ移動するか』時刻は10時過ぎ。

しかしシロギスを狙うとは申せ、ここを辞するのは些か勿体ない。魚は釣れそうにないけれど、車の喧噪もなく、爽やかな風が吹き抜け、鳥の鳴く声と潮騒の音だけが耳に残る。蝉は仕事を思い出したように時々鳴き声をあげる。本浦港に近い家屋で、誰かがクシャミをすると、その声が入り江に木霊するのである。

『ここに居よう』

買い置いたゴカイをクーラーから取りだし、底カゴ仕掛けを分解。ジェット天秤にシロギス用の貧しい仕掛けを結びつけ、ぶっこみ+引き釣りを試みる。

本浦の沖は砂でなく礫。シロギスはほとんど期待できないが、何か食べられる魚が掛からぬものか。小気味良い魚信を送ってくるのは、徹底的にベラ。それからチャリコ。さらには掌ほどのカワハギ。これではダメだ。

再び底カゴに戻し、コマセを入れずにゴカイの房掛けで仕掛けを放り込んでみる。

やはり掛かるのはベラ。どうやら水温が高くなり、沖合までベラが泳ぎ廻っているらしい。

午後1時。悟りを得て、竿を納めた。

ほとんどカゴ釣りの練習をしただけの沖家室島だったけれども、この島の魅力はいまなお色褪せていない。ここでカゴ釣りを覚え、やがて高島の磯に上がるようになったその当時を思えば、一日釣って一つのアタリさえ無かった毎週の水曜日が懐かしく思い出される。

ましてや思わぬホウボウがあるのだ。

今日はもう良い。(´∀`)

foujitas at 19:38コメント(4)TB(0)沖家室島釣記 | 潮待放談 
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コメント一覧

1. Posted by かっちん   2010年08月22日 11:00
沖家室釣行お疲れ様でした。

爽やかな風が吹き抜け、鳥の鳴く声と潮騒の音だけが耳に残る・・・
  ↑   ↑
仕事の事も忘れウキを注視するなかで・・・・
良いナァ!! 釣果は無くても此れがあるから釣りは辞めれんですよね。

アッ、美味しいホウボウの水揚げがありましたね。   汗
刺身が絶品だったでしょ。   笑

2. Posted by ふじた   2010年08月22日 18:20
かっちんさん^^
毎度ありがとうございま〜す。
なしくずしに仕事が流れ込むと、無休状態が果てしなく続きます。なので、半ば無理矢理に沖家室島へ逃避行動。(笑)
風光明媚で、かつ木訥な風景は他にない場所なのですよ。それだけに、何時までも美しい港であってほしいと思います。
ホウボウ、美味でした!(^^)v
3. Posted by あ2   2010年08月23日 16:31
あ2です。

ゆったりとした釣りをされたのですね。釣れた魚もおいしかったようで大物釣り師のフジタさんもたまにはこんな釣りも良いのではないでしょうか?

魚の写真を見ると少し体高が高いのでカナガシラかと思いましたが、いずれにしてもおいしい魚ですね。身は皮を引かずに湯引きで皮目を活かしたのがお気に入りで、アラは上品なだしがとれます。

また大きな魚であれば肝やウキ袋もいい味なので汁物に一緒に入れるとおいしいですね。

そろそろヒラが高島に・・・?。
4. Posted by ふじた   2010年08月23日 17:18
あ2さん^^
いつもありがとうございます。
流石あ2さん、ご名答でした。ぼうずコンニャク氏のサイトで確認したところ、こいつは明らかに「カナガシラ」でした。ホウボウにこれほど多くの仲間が居たとは、恥ずかしながら知りませんでした。(^^;
実は、その、魚の大きさが乏しかったものですから、煮付けにするにも足りず、ブイヤベースの具材となりました。身の柔らかさは味わえませんでしたけれども、出汁の風味は天下一品。調理人に曰く、余計なスパイスも不要との話しでした。
高島のヒラマサは、もう少しばかりか。いや、そろそろチャンスが巡ってきますか、依然として気になります。

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