2010年08月25日

[火電5番](釣行記)ダンゴ鈎で食材確保

暗い火電沖波止に降り立って周りに目を凝らすと、3人ばかりの釣り人が居た。午前4時30分。晴れた夜空の西には美しい満月が残り、凪いだ水面へ映り込んでいた。南から心地好い風が吹く。

猛暑が続く日中は厳しいが、夜明け前の日本海はもう秋の色香を滲ませていた──。

「よっ!」

窓をノックする音で目覚めてみると、中本船長が外に立っていた。4時半の一便乗船に間に合うよう4時に一度は目覚めたのだが、再び睡魔に誘われ、車の荷室へ設えた簡易ベッドの上で眠っている時だった。時計を確認し、慌てて支度を整える。

「おはようございます」
「おはようございました。この人数じゃけえねえ」頭を掻きながら船長が云う。

中本渡船の一便に乗ったのは2人。先出しの辰丸は2名を乗せて沖堤防へ向かっていた。

「どこ行くね?」
「5番、行きますわ」
「きのうは8番で出たんよ」乗り合わせたカゴ師。
「そう、8番。(竿)2本」と詳細に教えてくださる船長だ。

今日は満月の大潮で満潮が午前5時。まともに行けば5番か8番が定石。下げ潮に転じる午後を思うと、両方に芽がある5番に利がある。もとより策を弄して決めていた5番であり、もはや迷う筋はない。

5番階段へ飛び乗り、6番辺りまでいつものように歩く。ここが座だ。

棒ウキへ粘着テープで電ケミを固定し、凪の海へ仕掛けを放り込んだ。やはり夜明け前の潮は鈍く、ウキは殆ど流れない。月の灯りが辺りを照らし、ウキの発光がやや乏しく見える。ヘッドライトで手元だけを照らしながら、用心を重ねて半時間を打ち返した。

やはり魚信は無い。マダイが期待できない真夏に、夜明け前の手返しは些か虚しいものでもある。(´Д`;)

東の空が明るくなる頃には潮を少しずつ動き始めた。

ここから日が昇るまでが勝負だ。一際、力を込めて竿を振り込む。堤防際から30メートル辺りまでの距離は早朝から豆アジが群がり、カゴから零れたオキアミを追いかけて海面を割るほど。ポイントはその沖合いである。


やや押し気味に通していた潮が、素直な満ち潮となって行き始めた。正面よりやや左に見える高島を目安にし、潮上へ仕掛けを入れて流す。

高島の左側からウキは、右側へ移動する。ここで手返し。時計に喩えるなら、およそ11時から12時の小さな角度を流して打ち返す、小刻みな手返しである。なぜなら6番付近に立って5番寄りには瀬があり、ここへコマセを集中させ、回遊するヒラマサに気付かせる戦法。

忙しく打ち返す中、遠くに見えていたウキが無くなっていた。

「おろっ、無いじゃねーの!」(^△^)

慌てて竿を持ち直し、フケた道糸を手繰る。獲物が走り出すのを少し待ってみるが、どうもその様子が無い。『サンバか?』これ以上待つのは危険。獲物が身を翻したら、鈎が外れてしまう。竿を起こし、アワセ。

ほどほどの手応えで揚がってきたのは、やはり中程度のサンバソウだった。(´Д`;)

『まあ、何なり魚が見えるのは悪い事じゃあない』。しかし、その後にアタリらしい魚信は得られず、餌盗りは徐々に活発化してきた。サシ餌が残る時間が短くなっているのである。

遂に日が昇り、朝になった。時刻は午前8時。明け方に吹いていた涼しい風は止んでしまい、気温が上昇していく事を肌が感じている。咽の渇きを覚える前に、意識しながら水分を補給し、熱中症に備えるのだった。

『それにしても餌盗りが多いのう。ヒラが回って来りゃあ判るはずじゃが』淡々と打ち返すが、一向にその気配が無い。それでも10時まではチャンスがある筈と考え、ハリスを7号から6号へ落とし、鈎もカゴスペ11号から軸が細く軽い一刀真鯛10号へサイズダウン。

しかしチャリコが一枚、鈎を銜えた他は何も起こらぬまま一時間が過ぎた。「こんなもん釣っとる場合じゃないわ」orz...

『伝家の宝刀を抜くに、まだ早いか』余りにもアタリが無いので、さすがに痺れが切れてきた。ダンゴ鈎。午前9時。餌盗りの正体を確かめるべく、ベストのポケットへ忍ばせておいたダンゴ鈎を天秤にセットする。

同じポイントへタナ2本で仕掛けを沈めると、たちまちウキが引き込まれる。『やっぱり何か居ったか』アワセを入れて巻き取ると、掌より一周り大きいサンバソウだ。致し方なくクーラーへ納める。

続いて仕掛けを投じると、またしてもサンバソウ。次ぎもまたサンバソウ。いずれも寸分違わぬ同寸法であり、それは相当な群れをなしているらしい。

『ええい、こうなったら釣れるだけ釣って食材確保じゃ』

型が小さいなら数で勝負というワケではないのだけれども、一応食べるだけの身がついたサンバソウなら、持ち帰るだけの価値はある。およそ2時間、入れ食いのような時間帯を挟んで、釣り上げたサンバソウは占めて8枚。

依然として潮の様子は活気を帯びない。むしろ再び緩んだように、ウキは終始ノロノロと流れる。11時前になると、サンバソウの代わりにバリが掛かり始めた。

群れの種が入れ替わったように、それは徹底的にバリ。どうやら6番の沖合に、もう芽は無いらしい。

荷物を半ば片付けつつ、5番の正面へ座を移す。ラストの一時間は、ここで改めて探ってみることにした。すると潮は、あれよと云う間に逆方向へ動き出し、明かな下げ潮に転じてしまった。時刻はまだ11時だ。


結局、ここでも最初の数投はサシ餌が残るが、それ以降はダメ。餌盗りに察知されてしまうと、ほとんど手も足も出せない。ボトルの冷水はまだ残っているが、2枚のオキアミを消費したところで終了。

結果的にサンバソウを釣りに来たような火電沖波止となってしまった。が、海面水温が29.9度もあるような海で釣り糸を垂れ、しっかり食材を確保できた一日は、そう悲観的に思うべきではない。

中本船長の柔和な笑顔で見送って貰った、晩夏の古湊にて。

foujitas at 19:48コメント(6)TB(0)古湊釣房 | 潮待放談 
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コメント一覧

1. Posted by 釣りきち YMD   2010年08月26日 14:35
5 ふじたさんへ
昨日も真夏日 お疲れ様でした。
ニュースを見ると、9月・10月も例年より暑いとでています。残暑が10月まではないと思いますが。。。
船長も元気でしたか?豆アジ、サンバソウを餌取りもぐれでは、釣り人も減りますよね。
来月中旬に中本渡船に予約入れてます。
イサキ?大アジ?ケンサキイカ狙いです。
次週こそは、ドラゴンタチキチを釣上げたいと思っております。
頑張っていきましょう!
2. Posted by ふじた   2010年08月26日 17:27
釣りきちYMDさん^^
毎度ありがとうございます。
なかなか厳しい火電沖波止でしたが、それでも食べられる魚が釣れるのは幸いでした。
中本船長もお元気の様子。なによりです。
来月は調子も上向いているのではありませんかね。^^
私はタチウオは経験が無いのですが、あれも面白そうですね。頑張ってください!
3. Posted by あ2   2010年08月26日 17:34
サンバも数釣りゃご馳走よ!と言った釣り師がいました。・・・上物の本命が釣れない私が負け惜しみで言ったのですが、半分は本音でもあります。

私の通う近辺では青物の時期の始まりはジグや生餌などに魚が反応しオキアミは食わず、それがだんだんオキアミに反応し始めるというのがあるのですが、山陰ではそういうことはないのでしょうか?

もしそうなら餌取りが多い時期は泳がせが有利かなと思ったのですが・・・、カゴ名人に泳がせはやはり似合いませんかねえ。

私も週末出撃予定ですが、残念ながら青物の話は聞こえてこないので大人しくサンバを釣ってきます。というかサンバが釣れれば私にとっては上等なので。
4. Posted by かっちん   2010年08月26日 21:09
お疲れ様でした。
昼間は茹だる様な暑さでしたから心配しておりました。

サンバソウの数釣りとは・・・・
あれは小さくても石鯛ですから美味しいですよね。

私もサンバ狙いで行きますかな。  笑
5. Posted by ふじた   2010年08月27日 08:59
あ2さん^^
いつもありがとうございます。
サンバソウでも数を釣って調理をすれば、一尾のサイズの記憶が薄らぎます。食べて美味しいことは間違いありませんよねえ!
山陰のヒラマサも、やはり新たな群(シーズン初期の豆ヒラ)は、お話の通りオキアミに反応を示しません。高島ではジグが使えない暗黙のルールがあり、いきおいオキアミだけが餌となっています。が、各地の堤防ではやはりシーズン初期は、ジグが圧倒的に有利なようですね。
実は割愛しましたが、10センチほどのアジを付けて泳がせていたのですが、30分経っても元気なまんま。餌盗りの動向を見ていても、どうやら魚が居なかった様子でした。
週末はがんばってくださいね。^^
まだ日中は猛暑。どうかご用心くださいまし。
6. Posted by ふじた   2010年08月27日 09:03
かっちんさん^^
いつもありがとうございます。
8時を過ぎた頃からハンパない猛暑でした。それでも波返しの上に立てば、少し涼しく感じる風もあり、体調は万全にクリアしました。
しかしながらヒラマサは遂に現れず。ヤケクソのダンゴ鈎でおかず確保の一日となったワケです。(´Д`;)
明日はご出陣ですね。云うまでもなく猛暑対策をお忘れ無く、頑張ってくださいね〜!!

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