2019年05月17日
高島タカミ(釣行記)上級磯にて
結果的にイサキ6枚でタカミを終えた。
例年、GW明けの高島は釣り物が入れ替わる時期で魚影が著しく薄くなるもの。だが今年はイサキの動向が明らかに早く、先月のノヅキで釣った抱卵イサキがそれを思わせた。
イサキといえばタカイワ。あるいはスズメノコなど、本当ならワレやイワグチでイサキ祭を狙いたいが、単独磯ではそんなチャンス磯へ乗れる日は少ない。また大物が瀬を回るには、いくらなんでも尚早ではないか、そんな流れもあってイサキシーズンが始まるのなら、特大ババイサキを狙ってゴウトウ周りへ入るか、過去データからタカミが良いか、迷う出航前の恵翔丸キャビンだった。
恵翔丸は32111。やはり単独組は最後になる。舟は三杯。必然的に磯は限られる。そしてゴウトウとタカミは共に足場が厳しく、その反面、チャンスは大きい。この日は若潮(長潮の次)とあって潮は小さく、およそどこ磯でも釣りにくいということは無いだろう。そう予見して高島の外周を走ると、ゴウトウには島義丸の釣り人が見えた。
「タカミじゃね、空いとったらお願いします」ブリッジで船長に告げて、タカミの舟着、ヒトリゴト付近へホースヘッドが付けられた。上礁。

さて、タカミ。磯が濡れているときは遠慮していたが、乾いて入れば何とかなる。とは云え、高手で釣るためには重たい荷物を3回に分けて運ばねばならず、釣りの前に体力を大きく消耗する磯。しかし岬になった高手に乗ってしまえば、その座から扇角180度のポイントが狙える。だがタカミの落とし穴はここにある。
タカミの鉄則は岬の前の丸瀬の沖。潮がどちらへ動いても一撃必中のポイントといえる。それでダメなら左右、遠投、さらにタナは深い。沖へ投げればウキ留め糸で数えると8本、9本でもウキが立つということは、水深にして45m以上という値になる。
この手広さこそがタカミの難しさ。たとへばタカイワなら、沖の駆け上がりから瀬を流す釣り方が主体で、あとはタナや仕掛けの小細工で工夫を重ねる。たとえばコダンなら、火電煙突へ払い出す潮を主体に釣りを組み立てる。たとへばノヅキなら、舟着の深みを中心に攻め手を立てる。タナもせいぜい4〜5本まで。
ところがタカミときたらタナは舟釣り並みに深く、必中ポイントが何カ所もあり、時には超遠投やチョイ投げに効果が出て、さらに潮は動かぬか、左右か、当ててくるか、底へ突っ込むか、どうかすると左右への分水嶺に出くわすか、まったく変幻自在の動きに翻弄される。つまり攻め手や海況の変化が多い分だけ、釣り方の組み立てや選択を誤ると総スカンを喰らう。反対に決め手が嵌まると一気の大釣りに恵まれる。
この日もまさにそんなタカミだった。
座に着いて先ず行うのは取り込みの仕度。7mほどのすり鉢状の急傾斜になった磯の先端の僅かな水平が取り込み座。ピトンを打つ隙間は無いので、高手に撃ち込んだハーケンから落下防止の手縄を垂らし、取り込み座へ置いたタモ柄を結ぶ。バッカンとクーラーを安置し、初手を放り込んだのは、もう6時前だった。
丸瀬の沖へウキが立つと、潮はじわじわと左流れ。僅かに押し込んでくる。サシ餌は残る。『ふむ』
少し遠くへ投げるが余り変わらない。イワグチ寄りの潮はほとんど動いていない。イケマ側を伺うと、こちらも鈍い。タナが深いと聞いていたので初手から底カゴ3本で開始して、さて、半時間が過ぎ体力も回復してきた頃だった。
ウキが入った。「おっ、イサキじゃ」幸先の良いババイサキを確捕。ハリスは7号3尋半、定石のカゴスペ11号を結び、ヒラマサの急襲に備える。

これを取り込むのに用心しながら座を移動。うまく掬ってクーラーを置いた高手へ上り、魚を絞めて仕掛けを投入。それから竿をピトンへ掛けて血抜きしていると、またウキが無い。慌てて竿を手に取ってリーリング開始。またババイサキの手応えだ。
座を躙り降りて網を差し入れて確捕。磯をよじ登って魚を絞めて──。
最初の一尾から30分の間に5回の当たり。手返しは5回でいずれも入れ食い。『こうなったら鈎をやめて網でも入れたら良いのではないか?』そう思うほど同型のババイサキが連発した。
だが、タカミの高手にあって5連荘は、もはやナントカ式メゾッドと云えるスクワット。釣っている間に筋肉痛が発症し、腿、腰、背の筋肉が悲鳴を上げている。もうヘトヘト。
幸いか不幸なことか、入れ食いは半時間でピタリと終わった。終わったどころか、生体反応も気配も消え失せた。潮はじわじわと押し込んでくるだけで、どこにも変化が見られない。やがてサシ餌が残り始めた。
『こりゃあ、ヒラが回っとるんじゃ』。根拠も無く手返しを打つ。いや、正しくは、何も居ない雰囲気を強く察知しているが、自己暗示をかけていなければ釣り続けるのが辛い。足元のスズメダイだけが、目に見える魚影ではないか。
朝が過ぎて、タカミ沖に立った棒ウキが赤く反射する。何も起きぬまま時間だけが過ぎる。イワグチのフカセ師の釣りを見物しては出会い頭のヒラマサを待つが、そんな事は起こらない。
偏光グラスをかけて海を見ていると、銀色の腹を見せるように大きな魚影が海面すれすれで体をくねらせている。その前方にはイカナゴのような小魚の群れが、やはり海面付近を大量に逃げ回る。海中のナブラ。
後に聞いたところでは、あの大きな銀色の魚影はメジ、ブリの手前の、つまりハマチらしい。小さなミノーでも持っていれば投げてみる甲斐があったかも知れない。(持っていなかった)
無情な5時間が過ぎた。これからまた磯を下るのかと思うと気が重たい。そこで、舟着横のヒトリゴトから丸瀬のポイントが狙えないものか、その確度や距離を調べて記憶すれば、タカミの高手へ登らなくても勝負が出来る筈。そう考えて磯の大移動。

ヒトリゴトから狙いを定めて投げにくい体制からキャスト。ウキが立ったら竿をピトンへ掛けて、磯を登って高手へ行き、ウキの位置を確認する。再び降りて再投入。また登って確認。これを5〜6回やって、ヒトリゴトの位置を記憶した。またしてもスクワットだった。もう釣果はどうでもいい。
そんな仕掛けにイサキは反応する。一所懸命に汗をかいて高手へ登ってウキを捜すが、これが無い。『無い?』つまりアタリか?
慌てて磯を駆け下りてヒトリゴトへ。もう充分です。
結果的にイサキ6枚でタカミを終えた。
イサキ祭は6月初旬か。

例年、GW明けの高島は釣り物が入れ替わる時期で魚影が著しく薄くなるもの。だが今年はイサキの動向が明らかに早く、先月のノヅキで釣った抱卵イサキがそれを思わせた。
イサキといえばタカイワ。あるいはスズメノコなど、本当ならワレやイワグチでイサキ祭を狙いたいが、単独磯ではそんなチャンス磯へ乗れる日は少ない。また大物が瀬を回るには、いくらなんでも尚早ではないか、そんな流れもあってイサキシーズンが始まるのなら、特大ババイサキを狙ってゴウトウ周りへ入るか、過去データからタカミが良いか、迷う出航前の恵翔丸キャビンだった。
恵翔丸は32111。やはり単独組は最後になる。舟は三杯。必然的に磯は限られる。そしてゴウトウとタカミは共に足場が厳しく、その反面、チャンスは大きい。この日は若潮(長潮の次)とあって潮は小さく、およそどこ磯でも釣りにくいということは無いだろう。そう予見して高島の外周を走ると、ゴウトウには島義丸の釣り人が見えた。
「タカミじゃね、空いとったらお願いします」ブリッジで船長に告げて、タカミの舟着、ヒトリゴト付近へホースヘッドが付けられた。上礁。

さて、タカミ。磯が濡れているときは遠慮していたが、乾いて入れば何とかなる。とは云え、高手で釣るためには重たい荷物を3回に分けて運ばねばならず、釣りの前に体力を大きく消耗する磯。しかし岬になった高手に乗ってしまえば、その座から扇角180度のポイントが狙える。だがタカミの落とし穴はここにある。
タカミの鉄則は岬の前の丸瀬の沖。潮がどちらへ動いても一撃必中のポイントといえる。それでダメなら左右、遠投、さらにタナは深い。沖へ投げればウキ留め糸で数えると8本、9本でもウキが立つということは、水深にして45m以上という値になる。
この手広さこそがタカミの難しさ。たとへばタカイワなら、沖の駆け上がりから瀬を流す釣り方が主体で、あとはタナや仕掛けの小細工で工夫を重ねる。たとえばコダンなら、火電煙突へ払い出す潮を主体に釣りを組み立てる。たとへばノヅキなら、舟着の深みを中心に攻め手を立てる。タナもせいぜい4〜5本まで。
ところがタカミときたらタナは舟釣り並みに深く、必中ポイントが何カ所もあり、時には超遠投やチョイ投げに効果が出て、さらに潮は動かぬか、左右か、当ててくるか、底へ突っ込むか、どうかすると左右への分水嶺に出くわすか、まったく変幻自在の動きに翻弄される。つまり攻め手や海況の変化が多い分だけ、釣り方の組み立てや選択を誤ると総スカンを喰らう。反対に決め手が嵌まると一気の大釣りに恵まれる。
この日もまさにそんなタカミだった。
座に着いて先ず行うのは取り込みの仕度。7mほどのすり鉢状の急傾斜になった磯の先端の僅かな水平が取り込み座。ピトンを打つ隙間は無いので、高手に撃ち込んだハーケンから落下防止の手縄を垂らし、取り込み座へ置いたタモ柄を結ぶ。バッカンとクーラーを安置し、初手を放り込んだのは、もう6時前だった。
丸瀬の沖へウキが立つと、潮はじわじわと左流れ。僅かに押し込んでくる。サシ餌は残る。『ふむ』
少し遠くへ投げるが余り変わらない。イワグチ寄りの潮はほとんど動いていない。イケマ側を伺うと、こちらも鈍い。タナが深いと聞いていたので初手から底カゴ3本で開始して、さて、半時間が過ぎ体力も回復してきた頃だった。
ウキが入った。「おっ、イサキじゃ」幸先の良いババイサキを確捕。ハリスは7号3尋半、定石のカゴスペ11号を結び、ヒラマサの急襲に備える。

これを取り込むのに用心しながら座を移動。うまく掬ってクーラーを置いた高手へ上り、魚を絞めて仕掛けを投入。それから竿をピトンへ掛けて血抜きしていると、またウキが無い。慌てて竿を手に取ってリーリング開始。またババイサキの手応えだ。
座を躙り降りて網を差し入れて確捕。磯をよじ登って魚を絞めて──。
最初の一尾から30分の間に5回の当たり。手返しは5回でいずれも入れ食い。『こうなったら鈎をやめて網でも入れたら良いのではないか?』そう思うほど同型のババイサキが連発した。
だが、タカミの高手にあって5連荘は、もはやナントカ式メゾッドと云えるスクワット。釣っている間に筋肉痛が発症し、腿、腰、背の筋肉が悲鳴を上げている。もうヘトヘト。
幸いか不幸なことか、入れ食いは半時間でピタリと終わった。終わったどころか、生体反応も気配も消え失せた。潮はじわじわと押し込んでくるだけで、どこにも変化が見られない。やがてサシ餌が残り始めた。
『こりゃあ、ヒラが回っとるんじゃ』。根拠も無く手返しを打つ。いや、正しくは、何も居ない雰囲気を強く察知しているが、自己暗示をかけていなければ釣り続けるのが辛い。足元のスズメダイだけが、目に見える魚影ではないか。
朝が過ぎて、タカミ沖に立った棒ウキが赤く反射する。何も起きぬまま時間だけが過ぎる。イワグチのフカセ師の釣りを見物しては出会い頭のヒラマサを待つが、そんな事は起こらない。
偏光グラスをかけて海を見ていると、銀色の腹を見せるように大きな魚影が海面すれすれで体をくねらせている。その前方にはイカナゴのような小魚の群れが、やはり海面付近を大量に逃げ回る。海中のナブラ。
後に聞いたところでは、あの大きな銀色の魚影はメジ、ブリの手前の、つまりハマチらしい。小さなミノーでも持っていれば投げてみる甲斐があったかも知れない。(持っていなかった)
無情な5時間が過ぎた。これからまた磯を下るのかと思うと気が重たい。そこで、舟着横のヒトリゴトから丸瀬のポイントが狙えないものか、その確度や距離を調べて記憶すれば、タカミの高手へ登らなくても勝負が出来る筈。そう考えて磯の大移動。

ヒトリゴトから狙いを定めて投げにくい体制からキャスト。ウキが立ったら竿をピトンへ掛けて、磯を登って高手へ行き、ウキの位置を確認する。再び降りて再投入。また登って確認。これを5〜6回やって、ヒトリゴトの位置を記憶した。またしてもスクワットだった。もう釣果はどうでもいい。
そんな仕掛けにイサキは反応する。一所懸命に汗をかいて高手へ登ってウキを捜すが、これが無い。『無い?』つまりアタリか?
慌てて磯を駆け下りてヒトリゴトへ。もう充分です。
結果的にイサキ6枚でタカミを終えた。
イサキ祭は6月初旬か。

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