2019年07月05日

高島タカイワ(釣行記)今年のイサキ祭

イサキ祭という祭りがあるワケではない。高島へ通う仲間の間で、産卵にやってくるイサキの群を釣ると、それはもう祭りだワッショイの勢いでイサキが釣れる。10数年前のイケマで5人が釣ったとき、全員の竿が次々に曲がり、もういちいち掬っていられない活況をみた、それをイサキ祭と呼び始めた。

近年の高島のイサキは、およそ5月の連休明けから西磯でポツポツとヒラマサの仕掛けに掛かり始め、初期の2週ほどだけ超大型のババイサキがゴウトウ周りでウキを沈める。イワグチの辺りは格好の産卵場らしく、イケマからワレまで大中のイサキが押し寄せる。こうなってくるとスズメノコやコンクリ、またナベからノヅキへかけての島表でも釣れるようになり、やがて中型のスリムな体型をもった雄のイサキが鈎に掛かる。

コダンやスズメががら空きで、ワレやゴウトウに人気が集中することも珍しくない。

そんな動向を見せるイサキだが、ここ数年は年中の魚となっていて、水温が上がっていない3月頃でも産卵前の中型イサキが磯の近くに居るらしい。そして今期。やはり連休明けに卵を抱いた牝が出るが、例年のようなババイサキが見えない。見えないまま雄が混じり始め、卵も腹パンパンというほどではない。明らかに産卵の動向が変化している。

かくて前回のタカイワでは、ババイサキのピークの筈が、大型は2枚だけ。あとは中型に終始する釣りで数も伸びない。餌盗りはえげつない程ではなく、むしろサシ餌が残るような時間帯もあった。それから一ヶ月、釣りへ行けない間に仲間から情報を集めると、ようやく瀬についてきたようだった。

ならば再びタカイワで勝負。ダメならカンジキか、そんな思いをもって大浜港を目指した。イサキが始まったことを受けてか、しかし恵翔丸は17名。3を先頭に2が5組という激戦で、単独組は磯を選ぶような事にならない。だが一人釣りが奏功することもある、今回のように、一人向けのタカイワが空く事がある。


おそらく高島釣行の中で最多の磯ではないだろうか。海底を見た事は無いが、その様子は立体的に頭の中にあり、潮の性質もだいたい経験していることもあって、磯における所作や魚の取り込みなど、ほぼ手慣れた場所。荷物の置き場までルーティンになっている。

午前4時30分を待たず恵翔丸は舫を解いた。タカイワによじ登ったのは午前5時すぎ。

イサキ釣りの極意は、その手返しにある。つまり釣った魚を鈎から外した後、どれだけ素早く仕掛けを打ち返せるかが釣果の明暗を分ける。魚が居るところへ仕掛けを入れれば誰にでも釣れるが、より多く、より大物を釣ろうと思うなら、手返しを上げるしかない。

したがってイサキ釣りのときは、仕掛け竿を出して初手を放り込む前に、タモはもちろん水やクーラーの潮氷水、血抜き網、段々鈎、細仕掛けの換装用ハリスなど、釣りの最中に釣る行為を中断する動きを可能な限り切りつめる。今回は水槽バッカンを持ち込んで、釣った魚をそのまま放り込み即座に手返し、ウキが馴染んだら魚を締めて血抜き、そしてクーラーへ。手返し効率は極限まで向上させる配備を敷いた。


そりゃあそうだ、事前にK先生や師匠からタカイワ界隈の釣況を聞いているので、それはもう一投目からぶち忙しい釣りになると思い込んでいた。

そして初手。タルが良いと聞いてはいたが、高島の早朝は何が掛かるかわからない、偶然回ってきた大ヒラマサや大鯛がパクリとやるのは、えてして底カゴ。したがってハリスは6号3尋半という70クラスのヒラマサなら強引にやりとりできるサイズ。

ところが、話しが違う。底カゴのタナを1〜3本で探っても、普通にサシ餌が無くなるだけでアタリらしいものは無い。セオリー通りに正面の駆け上がりへ流し込む要領で仕掛けを入れるも、潮が動かず、まったくダメ。仕方ないので瀬の上へ仕掛けを放り込むと、ごく僅かに左流れの潮がある。『これか?』喰い筋を探しては手返しを試みるが、一向にそれらしい気配が無い。

『やっぱりカゴがいけんのか?』一度だけタル固定を投げてみたが、はやりサシ餌は丸残り。

どうも怪しい、手前の仕掛けに自信が揺らいできた、これは拙い。カゴかタルか自信が持てなくなったら、途端に手が消極的になるもの。焦って沈着冷静な判断や洞察力を失い、我流の屁理屈で意固地な釣りになってしまう。殆どの場合、それは釣れない。

「魚とトモダチになったらいいよ」誰かが云ったが、まったくその通りで、釣ってやろう、喰ってやろうと思うと不思議と邪念は道糸を伝って魚に届く。(笑)

何も無いまま半時間が過ぎた。とにかく、アタリが拾えない。しかしカゴからタルにするための理由が無い。『潮さえ行けば』の思いとは別に、となりのアカイワの二人組をタル/カゴのマーカーにさせて貰った。

つまり、お二人のあのタル仕掛けにイサキが喰いついたら、こちらの手も即座にタル。ハリスの長さや潮筋を観察して、最も適していると思われる仕掛けで臨む。しかし隣のタルが物言わぬ限り、カゴで探ったほうが良い。なぜなら潮筋を変えるにも、タナを変えるにも、瀬を窺うにも、カゴの方が圧倒的に勝負が早い。とにかく「タル優位」のシグナルが出るまでは、丹念にカゴで釣るべし。(結果的にこれが奏功する)

そうして迎えた6時すぎ、待望のアタリが出た。それは、動かぬ潮に業を煮やして瀬の上へ直接放り込んだ底カゴ2本の6号ハリスだった。中型のイサキがウキを引き込んだ。はやり潮が行かないと釣りづらい。

早朝のイサキに大ヒラマサを諦め、さっそく4号段々鈎に換装。3号まで用意をしたが、ここはマメヒラ対応が出来るよう4号で行く。そうして打ち返した4号の初手は、瀬ではなくアカイワ側の深みだった。流れようとしないウキが突如消し込み、道糸が指を弾く。「ヒラじゃ」さっそくマメヒラの洗礼。根に当たらぬ限りこのサイズなら4号とイサキ鈎で獲れる、いささか強引に寄せてタモへ。マメヒラは上鈎に掛かっていた。


これが反撃の狼煙となるかと思ったが、喰いが立ったのは午前9時頃だった。それまでは、動く潮を求めて投入ポイントを少しずつ変える、するとコマセが効かなくなるので、潮筋を想定しながらジワジワとポイントを違えてはタナを探る。カゴは通常の20+α号から18号に変更。鈎にも潮受けのフローターを備えて、少しでも潮乗りを良くする。

そうしてポツリ、またポツリと中型のイサキを追加。ババイサキは出ない。『昨日までの釣況とはえらい違いじゃないか』、聞こえる筈もない師匠に恨み言を垂れながら、釣っては水槽へ。仕掛けを投じては魚を締め、暑い、ちきしょう。

そしてゴールデンタイムに突入。潮が行き始めた。こうなると一気呵成、それまでにマメヒラなどで傷められていたハリスを全交換。さらにマメヒラを掛けたときに、何故か切れてしまった段々鈎を再び全交換。蛍光ビーズなど、そこにあったものを流用して仕掛けを拵える。

ここからは、ほぼ入れ食い。もはやタル固定にする理由などどこにも無く、ひたすらカゴを投げる。タナは2本程度なので仕事は早い。仕掛けを空で回収することは3尾に1回程度で、実に忙しい。獲物はマメヒラ、イサキ、タカベ。クロやハゲは居ない。


しかし、ただ仕掛けを投げているかというとそうではなく、瀬を釣っていたら何時の間にか餌盗りモグレになってアタリが遠のく。あるいは駆け上がりの上を短く丹念に流しているとそこでアタリが出る。それでもダメならタナを下げて深みへ仕掛けを沈めては様子をみる。

一つの潮筋を外さぬようにポイントを変え、変幻自在に居場所を変えるイサキを探すような釣り。タル固定で爆釣というのとは、だいぶ様子が違う。そのせいか、結果的に30尾以上の魚をクーラーに納めたにもかかわらず、あまり釣った気がしないのが本音。

一方で磯での動きは激しい。ウキが消し込んだら竿を立てて巻き取る。掬っては魚を外し、バッカンにしゃがんで仕掛けのセット。立ち上がってキャスティング。そしてウキが消し込む。立ったり座ったり、体を捻ったり、磯を降りて血抜き編みを採り上げたり。3時間のヒンズースクワットの如き動作で、釣りながら筋肉痛が発症する。

マメヒラを掛けて浮かせた後、姿を見せたところで口切れで鈎を外していった奴があった。また、タモを取ろうとして濡れた足場で小さく滑った瞬間に竿のテンションを失い、鈎を外していったババイサキ。この2尾が心残り。

この日のババイサキは、やはり個体数が少なく4本に1本程度。しかしスプールの指をはじき飛ばす強烈なアタリを楽しませてくれたババイサキもあった。それから今日のポイントは、すべてのアタリが底カゴだったと点は特筆。あれだけタル、タルと云われてきた中で、試してみたタル固定には何らの兆しも無かった。となりのマーカーのおかげでカゴを投げ続けられたと云っても良いかも知れない。

都合、マメヒラ5本、ババイサキ7枚、中イサキ14枚、チビイサキ6枚、タカベ2尾。

最後の獲物は午前11時丁度。この日は半夜便が出るので回収は11時30分だという。ラストの獲物を取り込んだところで、潔く納竿となった。そのイサキは、この日一番のババイサキで45センチはあろうかというビッグサイズだった。VIVA高島。


思ったより早く迎えに来て、大慌てで収納。半夜便が出るときは、10分早く帰り支度する必要がある。

foujitas at 07:54コメント(2)高島回顧録 | 潮待放談 
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コメント一覧

1. Posted by くしざき   2019年07月05日 20:47
素晴らしい❗️
まさに、段取り八分ですねー❗️
但し釣りに関しては、そう簡単に仕上げの二分に至らない。臨機応変のつもりが迷走になりますからねー💦
だから楽しい❗️
藤田さんの洞察力に座布団一枚^_^
2. Posted by ふじた   2019年07月06日 08:57
くしざきさん^^
いつもありがとうございます。大型がバンバン連発するイメージを持ってしまったので、釣り方を修正するのが大変でした。30尾は充分な数なのですが、そんなワケで良く釣った印象が薄い一日。まさしく臨機応変が釣りの鍵ですね。精進します!

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