2019年07月11日

高島タカイワ(釣行記)五目達成も

梅雨に入って風が強い。高島周辺では波や風が絶え間なく続くせいか、数字よりも荒れている場合が多いという。この日も朝の海はなかなか激しいもので、上礁する時間帯は東がコンクリ、イワグチまでの磯着け。ワレから北側は磯が洗われていた。

イサキ祭といって久しい今日の高島は3を頭に12名。当然、単独組は最後に回るのだが、元よりタカイワやカンジキなどは一人磯。慌てることはない。イケマから回った恵翔丸はタカイワとアカイワへ一人ずつを下ろしてコダンの沖へアンカーを沈めた。船は久しぶりに尻が浮くほど揺れた。

午前5時。隣のフカセ師に譲ってもらって、2週連続のタカイワへよじのぼる事に成功。一週間に集めた情報によると深い磯ではサメが回遊し、タカイワやコスズメのイサキも数、型ともに落ちてきているという。それでもタカイワの準備では先週と同じく、まず取り込み用バッカン、潮氷水、細番手の段々鈎などを予め支度しておき、1分1秒のロスをそぎ落とす。

初手。やはり6号3尋半のカゴを正面中距離へ投入。潮は程よく通す満ち。サシ餌は無くなって異常なし。アカイワ側、コスズメ側と探りを入れ、タナや餌盗りの様子を窺う。うまくすればウキが消し込むのだが、この日のカゴには反応が出ない。


そうしているとアカイワのフカセ師にアタリ。繊細なフカセ竿が景気よく曲がっているではないか。見れば良型のイサキがタモへ納められ、先を越された敗北感がタカイワには漂った。『焦るな、焦るな』言い聞かせていると、フカセ竿がまた曲がる。こうなるといけない。

失敗する時のパターンは、魚を釣っているのに隣の釣り師の好調を羨んで焦燥感を募らせるとき。まさにこのパターンだ、投入するこちらの仕掛けがアカイワ側に躙り寄っていき、タナもまたフカセ釣りを意識して極端に浅くする。こうなるとイサキどころではなく、フカセ師を相手に釣っているようなもの釣れるワケが無い。

カゴ釣りにはカゴ釣りの釣り方がある、矜持がある。フカセ釣りを羨ましいと思うなら、最初からフカセ釣りをすれば良い。そんな事を自分に言い聞かせながら、しかし反応が出ないタカイワの沖へ仕掛けを打ち返す。潮がほどほどに行っているのに、これはどうした事か。これがK先生が云った「喰いが落ちてきた」だろうか。

明るくなったころ、三角目印こと、背びれが沖の潮を横切った。サメだ。こればかりは仕方ない。

ここは辛抱時と堪えて手返しを続ける。乱暴なヒラマサが居ないことを確認し、6号を外して4号段々鈎へ換装。イサキの専用仕掛けを投入。タカイワのスイートスポットである駆け上がりをめがけて仕掛けを打ち返していると、ウキがモゾモゾとして水中へ引き込まれた。「よし、入った!」それを当然の事のように受け止め、竿を起こした。

この品のない手応えはマメヒラだ。右へ泳いで行ったかと思うと急に引っ張る。寄せてきたら根へ突っ込む。豆サイズとはいえ、その挙動はまぎれもないヒラマサ。4号ハリスはリールのドラグの世話になる必要も無く、竿任せの引っ張り合いを制することができる。午前6時、難なくタモへ収まり、まずは坊主脱出。


先週と同じ展開だが、このマメヒラには意外な効果があった。『カゴ釣りはカゴ釣り、何か打開策がある筈』こうなればもうフカセ釣りは気にならない。タナを少しずつ変えながら、海底の地形をイメージして、潮の動きに注視する。潮乗りを考えたカゴ錘も、先週と同じく18号に換装。これでイサキ釣りの準備は整った。

それから1時間ほどは再び反応が無くなるが、やはり瀬の中にはイサキが泳いでいるらしく、コスズメ寄りの10時方向へ浮かんでいたウキが消し込む。ここからは渋々と中型イサキを追加。この時期は瀬釣りが優位だが、イサキは本来駆け上がりを好む。深みは捨てて、正面からコスズメ側を丁寧に釣って、1時間ほどで3〜4枚のイサキを取り込んだ。地味な釣りだ。


そして潮が変わった。午前8時頃から潮は徐々に弛み、遂にはストップ。ジワジワと右へ寄せていく潮筋まである。こうなるとタカイワは弱い。だいたい左に流して瀬の上を釣るのがセオリーだから、潮が止まったり、逆潮が出たりすると攻め手を失う。クーラーの中は情けない状態だが、今日のタカイワでは仕方ないか。

思案の果て、何もしないのでは獲物は揚げられないので、餌盗りを覚悟で久しぶりに深みへ投入。するとウキがヌルリと入った。手応えは大きくないが、中イサキよりは重たい。寄せてみたらウマヅラハギ。これはおかず。

さらに半信半疑、いやダメ元で正面へ遠投を試みる。遠く沖の潮も止まったままだったが、結果が違っていた。勢いよくウキが消し込んだ、それは止まっている凪のウキがズバッと消えるのだから驚く。慌てて竿を起こしたら、これが結構な手応え。40センチ超えのババイサキだ。

『よし、一か八か』ババイサキが回ってきたのなら、もう一丁『この群を逃してなるものか』。(笑)

すると、どうだ、デタラメな予想がまさかの的中。同じ群なのか、素早く打ち返した仕掛けは前手と同じポイントで同じように消し込んだ。これも丁寧に取り込んで、さすがに三連発は無かろうと放り込んだ仕掛けが、また引っ張られた。いずれも今のイサキにしては大型。この日唯一の入れ食いだった。


この入れ食いの一幕でヒントを掴んだ。今日のタカイワは遠投に活路あり。たとえ潮が行かなくても、駆け上がりを狙った遠投なら餌盗りを交わして獲物にアタックできる。イサキもまた、最盛期のような連荘ではないが、コンスタントにウキを揺らす。そうと知って釣りを組み立て、そこそこに数を伸ばすことができた。

沖の潮から獲物を吊り上げる、まさしく遠投カゴ釣りの真骨頂。

他ではタカベ。やはり瀬の周りには群が居るようで、一度は仕掛けの着水と同時にスレ掛かり。そのままウキが沈む珍事にも遭遇。それからクロ。アカイワのフカセ釣りにクロが掛かっていたのを見た、その少し後だった。やはり瀬の上に止まっているウキがフワリと無くなって中型クロ。

これで五目釣り達成。ヒラマサ1、イサキ13、ウマヅラハギ1、タカベ2、クロ1。なんとも食卓が賑やかで楽しいが、しかし、こんな釣れ方をするのは夏の海になった知らせか。雑魚ではないけれど、ピシッとイサキのまとめ撃ちとか、マメヒラ大会という初夏の風景は無く、ダラダラと多様な魚が底カゴへ掛かるのは、そういえば夏の磯釣りによく見られる。


もう一つ特筆しべきは、イサキの掛かりが甘く弱いこと。マメヒラ釣りにしばしばある居食いは、ウキがモゾモゾと動いたり、一度沈んだウキが戻って止まったり。怪しい動きを察知してアタリを訊いてみると、「すわ獲物!」というシーンがある。その多くが地獄掛かり、つまり鈎を飲み込んでいる状態。

本来のイサキなら、景気よくウキが消し込み、大型になるとそのまま竿を引っ張る明快なもの。遠くから伝わる魚信が頼もしい。ところが鈎を飲み込んで居食いをすると、派手なアタリが出ないので、竿を起こしてみてから慌てる。それは魚の活性が低いことを示すもので、今年の高島が夏へ入っていることを表しているのかも知れない。

梅雨明けも近い。真夏の高島の支度を始める時節。



foujitas at 18:45コメント(0)高島回顧録 | 潮待放談 
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