Low-Band DXing (4) 受信用4SQについて 

暑い夏がやってきました。

毎年、この時期は次のシーズンに向けて実験をしながらアンテナの構想を練っています。楽しい時間です。

以前、ダイポールは4SQよりも高ゲインということを紹介しましたが、打ち上げ角が高く、バックも筒抜けですので、私の経験上WやEuの受信には完全に4SQに軍配が上がります(但し、きれいなビームパターンが出るようにしっかり位相と振幅を調整した場合ですが)。私の友人は4SQのことを「ビバレージいらず」と呼んでいます。

この4SQの受信性能を活かそうと受信専用の小型の4SQの実験が数多く行われていて、LBDの中でも何例か紹介されています。

160m用でもエレメントの長さは10m以下ですので、ゲインは大幅に犠牲になりますが、きれいなビームパターンを出すことでSNの向上を図ろうというコンセプトです。また、瞬時にビーム方向を切り替えられるのもメリットです。

下の図が移相回路の一例です(LBD 4th edition より)。移相は同軸ケーブルで行い、可変アッテネータでエレメントに与える電流の振幅を制御しています。この可変アッテネータがミソで、4SQできれいなビームパターンを出すためには位相と同じく振幅も重要であることの表れです。
RX-4SQ circuit

以前、4SQで180°以外の移相に同軸ケーブルは使えない、と書きましたが、ここで紹介した受信用4SQは例外です。各エレメントの根元にリアクタンス分を無視できる大きさの抵抗器を入れますので、同軸ケーブルの長さで所望の位相を与えることができます。

で、肝心の性能はどうでしょうか。私は10m長のエレメントを使ってエレメント間隔を10mとし、80m用の受信専用4SQを作ってみました。

確かにきれいなビームが出て十分実戦投入できるのですが、ノイズが少ない環境であれば、やはり受信もフルサイズの4SQの方が明らかに良好でした。

垂直系アンテナはノイズが多いという固定観念がありましたが、要は無指向性だからノイズを多く拾ってしまうのだということが4SQを使ってみて初めてわかりました。

そろそろビバレージアンテナについて書こうかと考えています。上で「ビバレージいらず」と書きましたが、4SQとは役割(聞こえ方)が違いますので、実はビバレージも重要な戦力になります。

ビバレージアンテナは私の経験上、適当に作っても70%程度の性能は発揮しますが、残りの30%を追い込んでみよう、というお話しです。



Low-Band DXing (3) 4SQの帯域について 

今回はアンテナの帯域について書きたいと思います。

「3.500から3.800MHzまでSWRが1.5以下で、すごく広帯域だ」というような表現をよく聞きます。一般にアンテナの帯域というとSWRが低い周波数範囲と理解されているようで、雑誌の製作記事でも横軸を周波数、縦軸をSWRにしたグラフを良く見ます。

ただ、SWRはゲインやビームパターンといった本来のアンテナの性能とはほとんど関係のない指標です。

メーカー製のアンテナであれば、SWRとアンテナの性能は比較的良く一致しているのかもしれませんが、特に自作のアンテナでは注意が必要です。

実際に4SQではSWRが低くてもバンドエッジでは逆の方向にビームが出ていることがあります。

Low-Band DXing(以下LBD)での帯域の定義は違います。下の図はクワドラチャを使った4SQの特性です。SWRは3.500~3.800まで1.3以下ですが、ビームアンテナで重要となる良好なF/Bが得られる範囲は86kHzとなっていて、SWRの帯域と、満足なアンテナの特性(ゲインやビームパターン)が得られる帯域をしっかり区別しています。さすがです。

ただし、例えば160mの4SQのFB比やビームパターンを実測するのは難しいので、いかにしっかりシミュレーションで設計できているかがポイントとなります。

帯域のグラフ

私のアンテナ作業では、だいたい95%の労力をアンテナの調整、すなわちアンテナの性能を引き出すための作業に使い、残りの5%でSWRを下げます。調整さえ終わっていればあとは簡単で、給電点インピーダンスを純抵抗の50Ωに追い込むだけなのでSWRは必ず1付近になります。

次回は何を書こうか考え中です。受信用4SQにするか、ビバレージにするか。

Low-Band DXing (2) 90°移相について

最近よく「どうして4SQの移相に同軸ケーブルを使わないの?」との質問を受けます。答えは、使わないのではなくて使えないのです。

下のグラフはLow-Band DXing 4th editionが出典ですが、横軸が同軸ケーブルの電気長、縦軸が移相量を示しています。同軸ケーブルの電気長が90°の時、負荷、すなわち同軸ケーブルがつながる先(4SQでは、各エレメント)のインピーダンスがリアクタンス分を含まない場合(実線)では移相も90°になっていますが、リアクタンス分を含む場合(破線や一点鎖線)の場合は50°や110°になっていることがわかります。

前にも書きましたが、ほとんどの場合4SQの各エレメントのインピーダンスには、リアクタンス分が含まれますので、上記の理由から1/4波長の同軸ケーブルでは90°の移相を与えることはできません。

長さを1/4波長からずらすと90°にあわせることができますが、今度は各エレメントに流れる電流の大きさがずれてしまい、4SQの本来の性能が出なくなります。

うまく設計すれば、90°の位相を与えるエレメントのインピーダンスのリアクタンス分をゼロに追い込めますが、ビーム方向を切り替えると多くの場合周囲の影響でリアクタンス分が変化するので、これもまた良くないと思います。

90°の移相にクワドラチャハイブリッドを使うのも、このような事情があるからだと思います。

とは言え、90°の移相に間違って1/4波長の同軸ケーブルを使っても、計算上はそこそこのビームアンテナにはなります。

ON4UNが2005年のデイトンハムベンションで4SQの講演をしていますが、一番初めにこの件について説明しています。 ”今までは(移相=同軸ケーブルの長さ)とされてきたが、これはほとんどの場合で間違いであった”と。

次回は、4SQの帯域の考え方について書こうと思います。coax phasing

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